月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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鬼百合とたけの釣りの腕比べ

 

 第1Rの釣果は鬼百合が32尾でたけが一歩及ばず30尾で他は10尾前後だけどたけは

 

 「さすが鬼百合様…師匠達が一目置くお方です…」

 

 そう言って頭を下げると鬼百合の方も

 

 「剣の腕は未々上をいかせる気はないが釣りの腕は直に追い抜かれるなっ♪」

 

 そう言って愉快そうに笑うと

 

 「鬼百合様…」

 

 そう言ってひょうたんと焼けた魚の刺さる金串を鬼百合に手渡たすスーに

 

 「オー、すまんな」

 

 そう言って受け取ると仕掛けを変え切り身餌に切り替えると早速たけの竿がしなる

 

 「ほう、いい引きだな?」

 

 感心する鬼百合にもアタリがあり竿を立てるとやはり竿がしなり引きを楽しむ二人

 

 格闘の末に良型のマスを釣り上げた二人に伯爵家の孫達も初めて見るそのサイズに目を丸くしている

 

 それらを漁師の娘達に託し本格的に飲み始める鬼百合と焼き魚をかじる少年達の明るい笑い声が響く川原だった

 

 たけに好意と言うか恋心を持ちたけとお話ししたい月夜だけど鬼百合や少年達との釣り談義が盛り上がって自分の視線に気付いてくれる気配はない

 

 この時点で月夜の視線に気付かないのは命と翔に当のたけだけでその状態見かねたミチが月花に

 

 「 宜しいのでしょうか? 」

 

 そう聞いてみたけど

 

 ( 自分で声を掛けれなくてどうするのですか? )

 

 そう思いながら月夜を見守る月花

 

 「 あっ… 」

 

 月夜が声を出すより少し前に竿の反応に気付いていてタイミングを伺っていたのだが竿がぐぐっとしなり竿を立てるたけに

 

 「こいつは…この引きはあれだな…」

 

 そう呟く鬼百合にたけも頷くとその相手との格闘が始まった

 

 重い引きに耐えながら様子を伺うたけと見守る命と翔以外の者達

 

 息が詰まる様な駆け引きの果てに鬼百合のサポートのフックが掛かりついに川から引きずり出された

 

 その様子をそっと見守っていたユウと黒蓮に伯爵夫妻と供回り

 

 「あんな物を見せられては腕が疼いて仕方無いだろう?

 

 こちらは良いから手伝ってきたらどうだ?」

 

 伯爵の背後に控えていた料理長にそう告げると

 

 「はい、ではお言葉に甘えまして…」

 

 そう言って頭を下げると腕がなる食材を前に命達の元に走っていくその後ろ姿はすっかり浮かれていた

 

 グリエとケベックにケベックの応用術スチーマーを最大数で10個発動出来るようになった翔

 

 薪や炭等不要な翔の術は自然を汚さないし後片付けも要らない楽々便利な夢のエコロジーな調理器具?

 

 

 午前中で公務を終えた伯爵が僅かな手勢を連れ命達の後を追い掛けてきたのだが元気な若い騎士達は荷物を下ろすと命達が川遊びをしている所に向かった

 

 


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