月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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修行の成果と翔の槍

 

 勿論命も欲しがったがこの二作品はトモのデザインした物の為完成したら連絡する約束に

 

 

 滞在五日目

 

 「今朝の修行でようやく全員揃って豊作祈願の踊りを習得した巫女達に明日からは次の豊作の感謝の気持ちを捧げる踊りに入るからね

 

 鬼百合、そっちはどお?」

 

 そう命に声を掛けられた鬼百合は

 

 「今はわからんが少なくとも祭典前の四騎士に引けを取らんレベルに仕上げたつもりだぜ?」

 

 そう言われて

 

 「じゃあ、すぐは無理でも正騎士も近いよね?

 

 翔はもう少ししたら槍が帰ってくるから頑張ってね」

 

 そう言われて

 

 「そ、それってどーゆー事…」

 

 その翔の疑問に命は

 

 「翔の槍は九十九神化して自らの意思で姿を隠してるんだ…力を取り戻す努力をしない翔に怒った槍がね」

 

 にぎりしめた拳を震わせた翔に

 

 「だからあん時足手まといと言ったんだ、自分の力で何とかしようとしないで槍に甘えてばかりだからな」

 

 鬼百合にそう言われて

 

 「ぼ、ボクのせい…なんやね?」

 

 力なく呟く翔に

 

 「せいだった…だ、ユウ達を守る為自らの命を差し出す決意、それがお前を変え…それに真琴の霊玉が応えたんだ」

 

 そう鬼百合に言われて考え込む翔に

「翔、考えるのは後にして…焼けてるんだろ?配るから出して良いか?」

 

 そう聞かれた翔は

 

 「もう余熱はみこおねーちゃんの勾玉が吸うてもーたからよーす見て食うたらえーで…」

 

 そう翔が答えると

 

 「ほれ口を開けな、お前はこっちの方が良いだろ?」

 

 そう言って腰にぶら下げていた巾着袋から煮干しを取り出し翔の口に入れると自らは甘藷を取るとふうふう良いながら食べ始める鬼百合

 

 命以外が食べ始めるのを見て一本の甘藷熱を奪い冷ましたのをスーに渡して

 

 「みこおねーちゃんが食べるの手伝ったってや」

 

 そう頼むと再び鬼百合の隣に座り込んで煮干しをかじり始めた翔に少し割りなみに手渡すと頷いたなみが翔に食べさせ始めた

 

 八人目は大海原の女神の衣装に九人目は古代の女騎士の衣装

 

 で、共に命も欲しがり完成待ちで交換衣装は御法がデザインした巫女風と治安維持局の幻の制服

 

 朝食後は川遊びに誘われた命達で鬼百合とたけ他四人でお昼ご飯は勿論六人の釣果次第になっている

 

 最悪パンと翔が集め木の実だけと言う可能性が有るのだけに一体どうなることやら…

 

 月花の家の別荘に着くと降り立ったのは月花、月夜、月美、命と翔、鬼百合とたけ、さと(月花付きのメイド)、ミチ

で別の三台に残る孫達と側付きのメイド達に四人の見習い騎士他命の従者

 

 ユウは色々雑務が有るため黒蓮と留守番する事にして慰霊祭に向け準備した

 

 移動中の馬車の中での事

 

 「命様、頼まれてた物出来ました…」

 

 そう言って三本の鞘付きのナイフを取り出し命と翔に渡すと渋い顔をして

 

 「その二人に刃物か?」

 

 そう言われてたけは笑いながら鞘から抜いてみせ

 

 「鬼百合様、これは木製のペーパーナイフですからご心配なく

 

 ただ木製でも先端は尖ってるし下手な扱いをすれば簡単に折れますがもう少し細工を施せばそれなりの装飾品になりますよ?」

 

 そう言って残りの一本をペティナイフで彫刻を始めると鳥の羽の様な模様を描き始めそれを見ていた鬼百合が

 

 「器用なもんだな?」

 

 そう声を掛けると

 

 山ん中の一軒家で家族だけで住んでたし素材も時間もいくらでも有りましたからね…

 

 そう話しながら器用に掘り進めるたけの手元を見詰める月夜とその姿を見て密かに溜め息を吐く月花

 

 そして馬車を降りる際たけの手を取り頬を赤らめるのを見て(やっぱり…)と思ったけど取り敢えずは口にはしないでおいた

 

 鬼百合と少年達が昼食の確保の為釣りに行くのを見て寂しそうな顔をする妹に掛ける言葉の無い月花

 


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