月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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第39話

 

 「 私達の部屋を覗いたら、余程疲れたのか床で丸まって寝てたから取り敢えず私のベッドに寝かせておいて…

 

 って、そう思って抱き上げたら寝ながら涙を流してましたから… 」

 

 そうりんに言われて命と媛歌をベッドに寝かし付け

 

 「 留美菜、りん、今夜の事は暫く伏せておきなさい

魔力に対する抵抗力は注意して何とかなるものでもありませんから皆を…

 

 特に、ミサを苦しめるだけに過ぎないのはわかりますね?」

 

 そう言われて頷くと

 

 「 今夜は、このまま私が三人を見守りますから貴女は休み早朝交代しましょう、頼みますよ? 」

 

 そう、二人に指示を与えて休ませると明かりを消して三人を見守る事にする忍だった

 

 翌朝!忍と交代すべく起きて来た留美菜とりんが部屋に入ると翔を抱いた忍がミサと話しているのを見て

 

 「 命様は未だお目覚めになりませんか? 」

 

 そう、ミサに問い掛ける留美菜に忍は

 

 「 翔も気にして見に来ましたが… 未だ、目を覚ます気配はありません 」

 

 そう言って首を横に降る忍に

 

 「 忍様、外やとあんましお稽古する時間取れんやろ? ボクがアクエリアス様にもろた結界ん中でお稽古しぃひん?

 

 ボクは毎朝修行しとるんよ… ボクもう嫌やねん、足手まといやゆわれんのは

 

 あんまし戦いに役立つ術は身に付かへんけどその内にて思て頑張ってるんよ… 」

 

 そう言われて

 

 「 そうですね、私達はまず習った踊り位は自習で高めないとダメですね? 結界に案内してください 」

 

 そう、留美菜が答えたのでりんも頷き翔の結界に隠り四人は各々の修行をして自らの踊りをの練度を高めるために稽古励む事にした

 

 その日の昼頃、劇団員と共に公邸に着いた鬼百合は劇団員と共に公邸で昼食を取り…その後、王城まで送ると一角獣で公邸に戻り

 

 侯爵から女王と観月の三人で話し合った事を聞かされたので、翌朝船に戻り出港準備をさせ王城によると

 

 「劇団とミナのデザイン契約に関する手続きが終わりましたから私も一先ず公邸に戻りますのでご一緒して宜しいでしょうか?」

 

 そう言われて、ユウを連れ共に公邸に戻る事にした

 

 「お父ちゃんお帰りぃ~っ♪」

 

 そう言って、飛び付いて来た翔の小さな身体を受け止めると

 

 「翔、いい子にしてたか?」

 

 そう鬼百合に聞かれてビクッと身体を震わせ

 

 「 お姉ちゃん達守れんかったボクはお母ちゃんに又お尻叩かれてもしょんない… 」

 

 そう言って、溜め息を吐く翔の頭を撫で

 

 「 お前はお前で頑張ってたのは聞いてる…お母ちゃんだってちゃんと知ってるし女王だってお前を褒めてたんだからよ

 

 町の者に被害がないのはお前のお陰ってな 」

 

 そう言って、翔を慰める鬼百合と侯爵と話し合うユウは

 

 「 予定通り、鬼百合様の船で大樹とヴェルサンディ様に歌の国に赴いて頂き大樹には自らの報告

 

 ヴェルサンディ様にはウルズ様の事を理解していただく努力を頑張って頂くのみです

 

 ただ、ヴェルサンディ様には申し訳ありませんが船はとても小さな船だと言うことです」

 

 ユウにそう言われて、自分の名前が出たヴェルサンディが

 

 「 大好きな大樹様と鬼百合様の二人の霊獣の騎士様と鬼百合様の船でしたら鬼百合様が仲間と認める方達なんですね?

 

 その様な船になんの不満がありましょう? 」

 

 そう話しているの所に観月が訪れて

 

 「 お久し振りです侯爵様、私もそう思いますよ…公女と言う堅苦しい肩書きを忘れて振る舞える素晴らしい空間でしょうからね…

 

 ユウが同行するのが一番ですが、さすがに色々不都合がありますから…王城に居る見習い侍女の中から二名選んでヴェルサンディの世話をさせなさい

 

 その人選はユウ、貴女に任せます 」

 

 そう言われたユウは

 

 「 お任せ下さい… 」

 

 そう答えるのみで

 

 「 みこについては色々予定が変更になり、未だ月影の国に滞在中の上ユカが不在中ですから十六夜とユイの婚約披露宴出席の為一時帰国させますが… 」

 

 名も知らぬ少女 ( セレナ ) の反応を見ながら

 

 「 翔に関しては、町から害虫駆除を望まれ婚約披露宴にまで出ねばならない迄の関わりはありませんから…

 

 侯爵様ともご相談してみこが旅を再開する迄こちらに預かって頂けるよう検討しますが… 」

 

 そう言ってセレナと三人組を見て

 

 「 何かと世話を焼かせる子ですから、貴方達には色々手間を掛けさせますが助けてやってくださいね 」

 

 観月にそう言われて顔を真っ赤にしながら

 

 「 任せて下さい… 私達は勿論この町の皆から愛されてますからね、私達の翔は 」

 

 そうノーランに言われて照れ臭い翔が顔を真っ赤にしながら

 

 「 そないな訳無いやん?ボクみたいなんをそない思てるとかあり得んで? 」

 

 その翔の言葉に

 

 ( 相変わらずそんな事ばかり言ってるのですか? )

 

 そう思い溜め息を吐く観月に苦笑いして頷く一同だったけど

 

 「 しかし…春蘭もですがミナもこちらに来てこれまで垣間見えていた才能が一気に花開いた様ですね? 」

その観月の問い掛けに

 

 「 はい、ユカの手伝いをしてた時もそうですが漠然としたイメージを書き起こしデザイン化する才能…

 

 座長さんも専属契約を結びたいと言われる程ですから次の舞台が成功すればそちらの関係者の注目を集めるのは間違いないでしょうね… 」

 

 我が事の様に喜ぶユウを驚きの目で見るセレナに

 

 「 血の繋がりこそ有りませんが共に大公様の元で育ったミナやミサ、ミチは妹…

 

 その妹の努力が認められたのを喜ぶのは姉として当然ではありませんか? 」

 

 ユウのその言葉に

 

 「 私は世界のファッションの最先端を行く美月はもっとぎすぎすしてるって思ってましたから…すいません 」

 

 そう言って頭を下げるセレナに

 

 「 そう言った凌ぎ合いで高め合う組織も在りますが私の公女宮、美月はそう言ったタイプではありませんし幸い得意分野が被ってませんから… 」

 

 「 私達が互いの足の引っ張り合いをして喜ぶ方ではありませんし…

 

 常に仕事をいくつも掛け持ちする私達は後輩の成長待ちでしたから仕事を任せられる後輩の成長を歓迎するのは当然ではありませんか? 」

 

 そう言われて

 

 「 そうですね、頭の良いノーランに手先が器用なウエスと力自慢のイースに不器用な翔ちゃんの着替えや食事の手伝いをする私が三人を羨んでも仕方無いと言う感じでしょうか? 」

 

 そう聞かれて頷くと

 

 「 その通りで食事の世話はともかくいくら器用でも男の子のウェスに私達の大事な娘の着替えを任せたくはありませんし… 」

 

 そう言ってセレナを見て

 

 「 そのコーディネートは貴女が選んだのですか? 」

 

 そう聞かれてセレナが頷くとユウと観月も頷き

 

 「 ファッションに関する事なら何でも聞いて来なさい、遠慮は要りませんからね

 

 貴女のそのセンスは見逃せ無い物ですが何より翔ちゃんが心を許してる貴女は大切な娘のお友達…

 

 常に手元に置いて置きたいですがそれは叶わぬ願いですから託せる相手…貴女に託したいのですがお願いしてよいですか? 」

 

 そうユウに言われて

 

 「 私なんかで… 」

 

 そう言い掛けるセレナにユウは

 

 「 そんなセリフは翔ちゃんに任せなさい

 

 翔ちゃんは言われれば言うことは聞きますが理解しようとはしませんから託せる人間は自ずと限られ貴女は託せる人間と判断したからお願いするのです

 

 頼めますね?娘の親友の貴女には他の三人とは違う意味で… 」

 

 そう笑顔で言われて

 

 「 は、はい…私、翔ちゃんの親友なんですね? 」

 

 嬉しそうに聞くセレナの頭を撫でながら

 

 「 特殊な存在の翔との距離感が掴めない巫女達はどう接したら良いか迷ってたからな… だろ? 雪華… 」

 

 そう言われて曖昧に笑う雪華に対し

 

 「 私はもう迷ってないですよ? 鬼百合さんをお父ちゃん、ユウ様をお母ちゃんと呼ぶ翔ちゃんは言って見ればお嬢様…

 

 だけどグリエ、ケベック、スチーマーを駆使して料理の手伝いを喜んでする翔ちゃんは岬の仲間だよ… 留美菜、りん

 

 私にはあのイベントの日に屋台を手伝いに来てくれたチサ様と重なるよ」

 

 そう言われて

 

 「……そうですね、チサ様の霊玉を飲み込んじゃた翔ちゃんの事を妹の様に接してたチサ様とやたらとお姉ちゃん風を吹かせる媛歌様

 

 翔ちゃんの事を弄ってる真琴様と翼様のご様子はついつい構いたくなる妹… でしたからね 」

 

 そう言って身動きのできなかった頃の翔を思い出していた雪華は

 

 「 そう… ですね… 翔様と呼んでもいい気もしてきましたけどそんな呼び方して喜ぶ子じゃないですよね?六人の王女様達同様に 」

 

 そう雪華が言うと

 

 「 伯爵様も孫のお嬢様達同様に接してましたからね、十分お嬢様って呼んでも良い位ですよ? 」

 

 そう言って夫人の膝に座っておやつ代わりの蜂の子の空炒りを摘まんでる翔を見て微笑むなみと一同

 

 そんな和む雰囲気の中観月が思い出し笑いをしながら

「 取り敢えず大樹とヴェルサンディ、ウルズの事を伯母様に話してありますし真琴にも大樹の事は頼んでありますから修行頑張りなさい、守りたい者の為に 」

 

 そう言われて、力強く頷く大樹を嬉しそうに見詰めるヴェルサンディを見ながら

 

 「 みこの一時帰国の際の同行者の人選も任せますから頼みますよ 」

 

 そう告げると、海斗を促し大公領に帰っていく観月だった

 


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