月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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覚悟が問われるとき

 「歩けますか?無理ならここで少し休みなさい」

 

 そう言って媛を見て頷くと頷き返すのを見て大樹に近寄り

 

 「良くやりました…私が出来るのはここまです貴方は一度帰国して同じ魔法剣士の真琴に修行を見てもらうべきでしょう

 

 ですが貴女の為に流した二人の女神達の涙、この涙の落とし前どうつけますか?」

 

 そう命に言われて意味がわからず首を捻る大樹に

 

 「貴方はヴェルサンディとスクルドの事をどう思っているのですか?」

 

 そう問われた大樹は

 

 「明るく元気なスクルド様は…そう、炎の妹の蛍と居るみたいで一緒に居ると俺もなんだか元気が出るような感じだけどヴェルは…」

 

 「私や忍と違い俺が守らなければ…ですね?」

 

 命のその言葉に真っ赤になり

 

 「はい、命様の為に戦う騎士になりたいと思った時とは違うんです、それをなんと言えば良いのかわかりませんが…」

 

 その大樹の言葉に

 

 「ならば考えなさい、ヴェルサンディは貴方のために命懸けで貴方の元に駆け付けたのですよ?

 

 貴方にはその想いに答える義務が有ります」

 

 そう言われて考え込む大樹と答えを待つヴェルサンディ…

 

 「俺は多分初めてヴェルを見たときから惹かれてたと思いますが…」

 

 そう言って言葉を途切らす大樹に

 

 「もう一度言いますがヴェルサンディは命を賭けましたっ!!」

 

 そう重ねて言われて

 

 「わかりました、外に出たら侯爵様にヴェルを俺に下さいとお願いします、勿論こんな言い方じゃなくヴェルの立場に相応しい言葉を選びますけど…」

 

 そう答えるのを聞いて

 

 「頑張りなさい、私も応援します…

 

 媛、結界の扉を和泉の女神の依り代の部屋に開きましたからこれを依り代に渡して明日にでも海斗に送ってもらいなさい」

 

 そう言って媛が結界から出るのを確かめてから扉を閉じ

 

 「では私達も帰りましょう」

 

 そう言って結界から出て侯爵の元に帰ることした

 

 

 

 小半時程で終えた修行か早いか遅いかはわからないけど楽でなかったのは帰ってきた頬のげっそりと痩せこけた姿を見れば一目瞭然

 

 最初はからかうつもりだった鬼百合も流石にからかえない程で

 

 「侯爵様にお願いしたい事が有りますが侯爵様はどちらに?」

 

 そう尋ねる大樹に

 

 「私ならここに居るが改まって頼みたい事とは何かね?言ってみなさい」

 

 そう侯爵に言って貰った大樹は息を呑むと

 

 「身分違いの懸想であるのは承知の厚かましい願いをもうします

 

 貴方のお嬢さんのヴェルサンディを俺…私の妻に下さい…我が愛剣に懸けて命を賭けて守ると誓いますからどうかこの願いお聞き届け下さい」

 

 そう言って頭を下げる大樹

 

 

 


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