「わ、私には未だヴェル程の覚悟はないけど私は大樹様の応援をしたいしそれがなんになるのかと言われたら困るけど今の私にはそれしか思い付かない…
でも…だからと言って何もしないで待ってるのはもっと辛いから自己満足と言われても良いから大樹様の応援をさせてください」
そう切ない胸の内を口にして再び頭を下げるスクルドを見て
「お二人の覚悟は十分あると思いますよ?同行を許してあげてください」
命にそう言われては認めざるを得ない侯爵が
「わかりました、認めましょう…三人をお願い致します」
そう言って頭を下げる侯爵に
「お任せください、媛の力を借りますね
修行を終えたら媛には観月お姉さんの元に使いをしてもらいますから」
そう言って四人を伴いアクエリアスの結界に跳ぶ命を見送り
「雪華はみこが帰って来たときに飲む茶を用意しといてくれ、りんはみこの寝巻きの準備をアリスに教えながらしな
忍とミサは夫人に付き添い不安を和らげて差し上げな」
そう指示を与えていると
「我々に何か出来ることはありませんか?」
そう言われて
「お嬢様方の床の準備と…腹を減らして帰ってくるだろう大樹になんか食い物を用意してやってくれ
後はアタイも侯爵も大樹の無事を祈ってやることくらいしか出来ることはない…済まんが酒を持ってきちゃくれねぇか?」
そう言われて頷くと侯爵も
「私にも頼む」
そう言って苦い酒を飲む二人だった
③ 散る恋実る恋
「大樹もちゃんと気付いてるよね?未だ黒炎竜に正当な主人だと認められてないのは…」
命のその言葉に頷くと
「うん、それなら良いけど今朝までは全く無視されてたのが反応してきたよね?大樹の魔力にさ」
そう言われて
「はい、余り歓迎されてる雰囲気は無いですけど」
そう答える大樹に
「取り敢えず夕方の続きから始めて」
そう言われて素振りを始める大樹はすぐに汗が吹き出し始め玉のような汗が流れ落ちていき足元にシミを作っていった
大樹の中の霊玉の霊力が大樹の魔力や闘気をを後押し魔剣を包み始めた
抗う魔剣と押さえ込もうとする大樹の静かな闘いが続く中
手を揉み絞り見詰めるだけの二人に
「見てるだけじゃ何も変わらないよ?」
そう命に言われたヴェルサンディが
「私達には霊力等ありませんから…」
そう悲しそうに言うと
「祈りの力に霊力は要りませんが今の貴女達にならそれに変わりうるものが有るはずですよ?」
そう言われてもわからない二人が顔を見合わせて考えていると
「大樹、黒炎竜が抗い始めたから更に氣を高めてっ!」
そう叱咤する水の精霊の舞姫