勿論、歴史文化の視点から学んでいる為知識は持っていたが参考文献の挿絵を見たことが有るだけで再現しようと思ったこともないから実際に手にしてみるのは始めての衣装
さすがに公式の場(特に歌の国の王家主催のパーティー)では不味いがのパーティーなら美月主催のパーティーなら口煩い者達ですら単純にファッションとして受け入れるのは現金と言うべきか?
水着と思えば気品のあるデザインは好感も持てる一着に仕上がっているのはデザインした人間のセンスの問題だろう、いい仕事をしていると素直に思えた
その衣装をユウが気に入ってしまったのでその衣装で半日過ごさざるを得なくなった翔に拒否権は認められてない
最初この衣装を着せてみたところ思いの外に似合っていたので
『せっかくですのでこの衣裳を翔ちゃんにプレゼントします』
そう言われた翔は
「今日だけで十分やろっ!」
そう言いたい翔が顔をひきつらせるのに構わず
「それでしたら友情の証しに先程迄翔が着ていたドレスと交換で如何でしょうか?」
そう言われた月花が喜んだのは言うまでもなく他の娘達も羨ましがった
その上でユウは月花に
「月花様、もしお差し支え無ければこの服をデザインされた方をご紹介頂けませんか?
出来れば参考文献を持ってきて頂ければ尚嬉しいのですが…」
そう言われた月花は側付きのメイドに指示を与えデザインさせたメイドを呼び寄せた
トモと紹介されたそのメイドにユウは
「勿論、貴女の主人の月花様のお許しを得てからの話になりますが…」
その言って広げた参考文献の太陽神の挿絵を指差しながら
「この太陽神の衣装を作ってみませんか?その衣装を着ていただくのはつい先日光の精霊の巫女となられた真琴様
プラチナブロンドの髪と金色の瞳は太陽神の少年期と思わせるお姿ですから…」
その話を聞いていた月花が
「真琴王子様のお噂はかねがね伺ってますけどその様なお約束を勝手にされても良いのですか?」
そう言われたユウは
「政治的な意図は何もありませんから、私は王妃様に要請を致しますし何よりも王妃様ご自身がこれを着た真琴様を見たがる…
その真琴様のお姿を見て、王妃様はきっと喜びになると私に思わせるからですよ」
そう言われたメイドのトモは
「そうですね…そう言うお話しでしたら真琴様を拝見させていただいてから作るとより精度の高い仕上がりになると思いますが…」
そう言って言葉を区切り主人を見ると
「何を躊躇う必要が有るのですか?あの噂の真琴王子様に逢える…
王子様が私達の前にいらして下さるんですよ?お請けする以外の選択肢は有りません」
そう月花が言うと他の孫娘達だけでなく居合わせたメイド達も力強く頷いたので
「承知しました、早速ラフ画から始めてきますのでお時間を頂いて宜しいでしょうか?」
そうトモに聞かれた月花は
「皆もわかってると思いますが当分トモには衣装作りを専念させますから他の仕事は割り振らないようにっ!」
そう言い渡していた