月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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 色恋に疎い少年が自分が恋している事を自覚します


朴念人の恋の芽生え

 

 大樹には代わりに二品目のピリ辛のスープをご飯のお代わりを貰いながら飲んでいた

 

 

 辛味に弱い翔には無理なそれを大樹に任せお好み焼きにメインの角煮に香の物〆のデザートの溶けかかったかき氷を食べ終え

 

 はっきり言って残念な昼食

 

 それでも翔の食事を手伝って自分に出来ることがある事を知ったアリスにはとても貴重な体験で小さな翔の世話は楽しかった

 

 食事の後で命逹に土産を買うことになり

 

 命、忍、ミサ、留美菜、なみ、りん、美輝、翔に似合いそうなコサージュをヴェルサンディとスクルドに選んでもらい

 

 アリスは二人に見立ててもらって、ユウには湖水真珠の指環を贈る予定だ

 

 他には、翔が欲しがった瓶詰めのハチの子やイナゴ等を買ってもらいご満悦の翔

 

 そして最後に大樹に

 

 「今日のお礼をしたいからと言って好きな物を選んでもらえ、あくまでプレゼントするのはお前だと言うんだぞ?」

 

 そう言ってヴェルサンディが選んだのは水牛の角で作ったネックレスにスクルドは水牛の角で造られたカメオを買ってもらい大喜びの二人

 

 スクルドの目を欺き、一足先に帰った鬼百合は忍の元にアリスと寝ている翔をを連れて行くと

 

 「鬼百合、その子誰?もしかして鬼百合の隠し子、それとも拐ってきたの?」

 

 そう言われて

 

 「お、お前なぁ…アタイをどんな目で見てんだよ?」

 

 そうボヤイたら

 

 「こぉーんな目だよぉ~っ♪」

 

 そう言って、左右の目尻を引っ張って見せる命に脱力してへたり込む鬼百合は

 

 「忍、済まんが侯爵に報告があるからこの子、アリスを頼むぞ」

 

 そう言って侯爵に山賊騒ぎと顛末、ヴェルサンディに大樹と日が沈むまでに戻るように言って遠回りさせた事を報告

 

 騒ぎその物より、大樹が山賊達を一蹴した事実が侯爵を事の他喜ばせた

 

 その後で命逹に土産を渡すとやはりミサだけが恐縮するが

 

 「お前だけじゃねえんだから遠慮するな」

 

 そう言って受け取らせた

 

 その同時刻の大樹は、ヴェルサンディと二人、山上湖の畔で夕焼けをみていた

 

 真っ赤な夕陽を浴びる大樹を見ながらヴェルサンディと話ながら漠然とした違和感を感じていた

 

 「大樹様、どうかしましたか?」

 

 先程から首を傾げ、一心に考え込む大樹を見ながら自分と二人きりはつまらないのだろうかと不安なヴェルサンディが堪らずにそう声を掛けると

 

 「う、ん~っ…何か昨日からなんか違和感を感じてたんだけど…」

 

 そう考え込みながら答える大樹に

 

 「大樹様が感じる違和感…」

 

 そうヴェルサンディが呟くと

 

 「それだ、その大樹様だ…貴女の様なお嬢様に大樹様って呼ばれるのに違和感があったんだよ」

 

 ようやく自分が感じていた違和感に気付いた大樹

 


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