月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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下手な山賊より面倒な輩

 するとそれまで堪えていた涙が溢れだし泣きながら母親の胸に飛び込むのを見てホッとして残りの山賊達を退治した

 

 それを見て安堵の溜め息を吐く村長に

 

 「安心するのは未だ早いですよ、暫くは目を覚まさないだろうけど念のため縛り上げておいて損はないと思います」

 

 そう大樹に忠告され慌てて縄を用意して縛り上げるのを見守っている大樹に人質にされていた少女とその両親が近寄って来たから何か言う前に

 

 「怖かったろうけどどこも怪我はしてない?」

 

 そう話し掛けると笑顔で

 

 「はい、怖かったけどお兄さんのお陰で痛い目には遇いませんでした、有り難うございます」

 

 そう言われて

 

 「俺も君が無事でホッとしてる」

 

 そう答える大樹の頭の上から

 

 「大樹、ようやく役人のお出ましだ、ある意味役人の相手は山賊より面倒臭えからトンズラこくぞっ♪」

 

 そう笑って言われ翔にも

 

 ー一応ボクが様子見て無事連行されるの見たらお父ちゃんの気ぃを辿っていくさけ…ー

 

 その先に困る翔に

 

 「お嬢様のヴェルサンディにこんな事を頼んで申し訳ないが後で翔に服を着せてやってくれねぇか?」

 

 そう言われたヴェルサンディは

 

 「勿論ですとも鬼百合様、可愛い翔ちゃんのお手伝いを頼まれたのをスクルドが後で知ったらさぞかし悔しがるでしょうね?」

 

 そう言って笑うヴェルサンディを見て翔を取り合ってたユウとユカを思い出し苦笑いする鬼百合

 

 二人の令嬢を乗せた二騎の一角獣が飛び去るのを見ていた村人の一人が我に返り

 

 「一角獣…そうか通りで強いはずだ、あの少年は歌の国の霊獣の騎士と呼ばれる英雄の一人なんだからなっ!」

 

 したり顔でそう叫ぶと少女が

 

 「じゃ、じゃああのお兄さんは騎士様なの?そんな偉い方が私が怪我してないか心配してくれたの?」

 

 そう不思議そうに呟くと

 

 「彼は本物の騎士様だからだよ? 騎士だってだけで威張り腐ってるような輩とは格が違うんだ

 

 彼みたいな男が婿養子で侯爵様の跡を継いでくれたら良いのにな…」

 

 そう溢すと別の者が

 

 「何だお前、彼が飛び乗った一角獣にはスクルド様ともう一騎の一角獣の女戦士の前にはヴェルサンディ様が同乗されてたのを?」

 

 そう話すと別の話好きの女が

 

 「しかも二人のお嬢様方が彼を見る目は完全に恋する乙女の物だね…ありゃ」

 

 面白そうに喋ると

 

 「侯爵様はこの事をご存知なのだろうか?」

 

 そう一人の男が言うと

 

 「バカだね…現在訪問中の歌う人魚姫こと命王女と霊獣の騎士…そして二騎の一角獣が向かった先は侯爵様のお屋敷の在る候都

 

 疚しい事がありゃ絶対足を向けない方向だよ?」

 

 そう答えると

 

 「成る程、こりゃ暫くは目が離せそうにない話になりそうだな?」

 

 と聞かれた女は

 

 「そりゃそうさ、でなきゃいくら功績の有る騎士でも余所者は余所者

 

 侯爵様が認めてなきゃ二人のお嬢様を託すわけがない」

 

 そう女に言われて

 

 「 問題が有るとすりゃあの騎士殿の鈍さだろうな、ありゃお嬢様達の視線に全く気付いてないな 」

 

 そう言われて女も

 

 「 だね、ありゃうちのちび助が大きくなったら格好良い騎士になるって言ってる時の表情してたからね

 

 未々夢に向かって一直線っ!って所だろう…まぁそれはそれで好もしいんだけどさっ♪ 」

 

 そう言って笑うとどちらにしろ全てはこれからなんだろうね…そう思う村人達だった

 


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