そう声を掛けると入ってきた小姓達は皆目を丸くして
「私達ではこうはいかんな…私達の技術センスは古臭く柔軟さもないが何よりお嬢様達があぁも喜んでおられる」
そう言って感心して巫女達を見ると
「私達は命様の支度を手伝いに行きますからお嬢様方をお願いします」
雪華がそう言って頭を下げるとなみも
「失礼します」
そう言って頭を下げ退出する二人を見ながら
(奥様の言われた通りだな…確かにあの娘達が奥様やお嬢様方の側に控えていてくれたら有事の際に我々も安心して任せ心置無く最前線にお向けるのだろうが…)
挨拶代わりに地の精霊への奉納の踊り、豊作祈願、花の舞い、水の精霊への奉納の踊りを舞い謡華と共に10曲歌い食事がはじまった
よく冷えた食前酒とジュースに驚く侯爵に夫人と令嬢達に
「精霊巫女様達と翔ちゃんのお陰です」
そう言われて妻の隣に座る翔と固まって座る巫女達を見て微笑む侯爵
夫人に世話されながら角豚の炙り焼きにかぶりつく鬼百合に
「相変わらずお前が焼くと旨いな、侯爵も食ってみな」
鬼百合がそう声を上げると同行してない巫女達になみ、謡華、映見、ミサも勧めると
「う、旨い」
侯爵が唸り
「本当に美味しい…」
そう言って翔の頭を撫でる夫人と大樹を挟んで互いに気を引きあっていたヴェルサンディとスクルドも一瞬その事を忘れる美味しさで
料理長が試食用に小さく切った物を持ってきたの見て
「お前達も遠慮しないで試食しなさい、翔ちゃんも食べてもらった方が嬉しいのだろ?」
そう言って翔を見ると鬼百合が得意気に
「あぁ、伯爵領の慰霊祭じゃあ食い物系でも火を使う店の者達は皆フレアの祝福を受けた翔の火にあやかろうと材料持って集まってたんだぜっ♪」
そう話すとなみも
「火が無いのに焼けていくその不思議な光景を大人の人も魅入ってましたから…」
翔の不思議な霊力を聞くにつれ首を捻りつつ
「あの伯爵が何故翔ちゃんと出会っておきながら養女にと誘わなかったのだろうか?」
そう不思議そうに言う侯爵に
「まぁ、アイツがいるからな…」
鬼百合が笑ってそう言うと
「そんなのユウが認めないよっ♪」
命も笑って言うので
「伯爵様もそれがわかってらっしゃるから諦めたみたいですからね」
そう穏やかに微笑みながら言う映見
「だが肝心の本人が猫舌で焼き立てが食えんのも笑える話だがなっ♪」
鬼百合に笑ってそう言われても全く気にしない翔はそんな事より侯爵が時折摘まんでいる佃煮が気になって仕方なかったから
「なぁなぁ、お父ちゃん…侯爵のおっちゃんが今食うとるのってイナゴちゃうん?せやったらボクも欲しいんやけど…」
その翔の言葉を聞いて喜んだ侯爵が嬉しそうに
「サイ、厨房に言って貰ってきなさい」