月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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便利な魔法

 

 命と鬼百合がその姿に感嘆の声を上げる昼食の席

 

 「いーなー、翔…みこもそれ着てみたいなーっ」

 

 そう言って羨ましがると羽毛の無い体皮が晒されるこの衣装を好まない翔が嫌な顔をしているのを見咎めるユウに気付いて俯く翔…

 

 その翔を苦笑いして見ながら鬼百合は

「露出度の高いその服は王女のみこは不味いんじゃねぇのか?」

 

 ユウに向かって聞くと

 

 「何を今更…人魚姫の命様は下半身こそ魚体に隠されてますけど上半身の露出度の方こそ問題が有ると思いますが?」

 

 そう言われて命の人魚姫の姿を思いだした鬼百合が

 

 「あーっ、確かにそー言われてみりゃそうか」

 

 と、呟くと月花の後ろで控えるメイドが

 

 「それでしたら私がお作りしましょうか?勿論トモのアドバイスはお願いしますけど複製を良く手伝ってますから滞在中に間に合うよう頑張りますが…」

 

 そう言われて嬉しそうに笑いながら

 

 「うん、楽しみに待ってるからお願いね」

 

 命が一メイドとそう話しているのを驚く伯爵家の大人達を他所に命達はファッションの話題で盛り上がっていた

 

 午後の鬼ごっこの勝者はやはり月花で末妹の月美にその権利を譲り

 

 こちらは童話の赤い頭巾がトレードマークの衣装で若月の人魚姫と交換する事になり喜ばれた

 

 夜になると堅苦しい席の食事を嫌がる翔が吸熱魔法とグリエの事を話して

 

 「お手伝いあるから皆とご飯食べる」

と言い訳したら逆にその

 

 「す、凄い…翔ちゃんって魔法使えるの?魔法をみたいから見せて」

 

 そう言われてしまいどつぼにハマる翔だけど翔には運命の転機の訪れとも言えるかもしれない

 

 対象物の質量にもよるけど瞬時に凍結する様は一種のパフォーマンスだし

 

 ジュースや木の実、草の実を凍結した物は喜ばれグリエの方も伯爵達を唸らせた

 

 「慰霊祭で出店したら大盛況間違いなし」

 

 そう伯爵のお墨付きを貰い料理長の方も

 

 「グリエの方も素晴らしいですが吸熱魔法は是非とも私もお手伝いして欲しいくらいですよ」

 

 笑って言われて照れ臭い翔は

 

 「えーよ、ここ居る間はゆってくれたらお手伝いするさかいゆったってや

 

 みこおねーちゃん、ボクの修行になるんやから一杯お手伝いしたほーがええんやろ?」

 

 誉められて気分の良い翔は以前なら

 

 「みこおねーちゃん…って柄か?あんなんはみこでじゅーぶんやっ!」

 

 そう言って憚らなかった翔がユウも目を見張る程自然に言え言われた命も照れ臭そうに笑いながら

 

 「うん、そーだよ…だから頑張ってね、翔っ♪」

 

 命の声も嬉しそうに弾んでいてその命を見ながらユウは

 

 「命様、黒蓮様にお使いを頼んで宜しいでしょうか?」

 

 そうユウに聞かれた命は

 

 「うん、みこから頼んでおくね」

 

 そう言ってもらい頼む用件を頭のなかで整理するユウだった


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