「はちみつレモン、野イチゴ、草ブドウ、ミカンをジャムにしたものですからお好きなものを掛けてお召し上がりください」
そうりんがウルズに言うと
「じゃあはちみつレモンをお願いします」
そう言われてはちみつレモンを掛けて食べて貰いヴェルサンディがイチゴ、スクルドが草ブドウ、夫人がミカンを食べて目を丸くして驚き侯爵と料理長は小姓のリーダー格の男に運ばせた物を掛けて食べて居る
「翔ちゃん、さっきの水と言い厨房の者達が皆喜んでたよ、私からも礼を言わせてもらうね」
そう言われてやはり照れながら
「ボクも誉めてもろて嬉しいから気にせんでもえーよ?」
さすがにこれだけ誉められると照れるではなく身の置き所がないくらいだった
午後のお茶が終わる頃座長を連れて戻ると暫くユウが話を聞き
「大樹、私と座長さんを連れて王城に案内してください」
と、要請すると命が
「大樹には他にして貰いたい事がありますから忍王女、一緒に来てくださいそれとユウと座長さんも…」
そう言われて立ち上がる一同を誘導して外に出ると祈る命に応えた一角獸が舞い降り
「この子が案内してくれますから頼みますよ」
その命の言葉に安堵の溜め息を漏らすヴェルサンディとスクルド、その二人の反応に気付かぬユウではないから成る程と感心した
その三人を見送り振り向くと大樹に
「大樹は今から三人のお嬢様を空にご案内しなさい」
そう告げる命の言葉を聞いた侯爵夫人が
「それは私は望んではいけない事なのでしょうか?」
そう寂しそうに聞かれて
「いいえ…その様なわけはなくただ、大抵の大人の女性は尻込みしますから…
大樹、夫人様から始めウルズ様、ヴェルサンディ様、スクルド様の順にご案内しなさい」
そう言われて夫人の手を取ると大空へと誘う大樹
帰ってきた夫人に侯爵が
(た何年振りだろうか?少女の様にはしゃぐ妻の笑顔を観たのは…)
そう思いながら
「どうだったかね?」
そう妻に問い掛けると
「えぇ、とても素敵な眺めでしたよ…宙に浮く感覚と空からの眺めはとても素晴らしいものでしたし…」
そううっとりした表情で答える妻に
「確かに興味深い話だが今私が聞きたい事で無いのは承知していよう?」
そう言われて溜め息を吐き
「礼儀正しくハキハキした気持ちの良い少年で、ヴェルサンディとスクルドが好意を持ってるみたいですからどちらかの婿になってもらい息子になって欲しいです」
そう告げるとシューも
「とかく他国の方達からは低くく見られ勝ちな私達小姓を大樹殿は
共に旅立ち侍女の勉強をした少女達がユカ様から厳しい躾を受けていたのを見ているから皆さんの立ち居振舞いをバカになんて出来ないし俺達だって何の努力もなしに今が有る訳じゃない
その両方をこなせる皆さんの事をなぜ尊敬出来ないのか俺には理解出来ないですよ?
そう悲しそうに言ってくれましたから…
彼は尊敬に値する男です家柄や血筋だけで騎士号を得た名ばかりの騎士とは違います」
そう手放しの絶賛を送るシューと呼ばれた小姓の少年