月の明かりに照らされて   作:春の雪舞い散る

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お茶目な侯爵様は宣った

 

 その大樹の様子を見ながら

 

 「大樹殿は地の精霊の巫女で有る忍王女に誓いを捧げた騎士と聞いてるが?」

 

 そう言われて大樹に代わり

 

 「それはあくまでも精霊の巫女と騎士の主従関係の物ですがそれがお気に召さぬなら大樹の誓いを返しましょう

 

 それで弟のように思う大樹の恋が叶うなら騎士に誓いを返した不甲斐ない主人の謗りも甘受しましょう」

 

そう忍に言われた侯爵は大樹を見て

 

 「命を賭けてと言ったな?

 

 ならばそれを見せてもらうが構わないな?」

 

 「お父様…」

 

 父侯爵に抗議しようとするのを母に止められて肩を落とすヴェルサンディに構わず大樹が頷くのを見て

 

 「地の精霊の巫女様もそれで構いませんね?」

 

 そう問われて忍も頷くと

 

 「歌の女神の国の騎士大樹、貴公に娘はやらんよ、やるのではなく貴家から貴公を婿養子にもらい受ける…

これが私の…侯爵家の答えだ、婿殿よ」

 

 そう言って嬉しそうに高笑いする侯爵と微笑む母をみてやっと事態を理解したヴェルサンディが大樹にしがみつき

 

 「大樹、私達許されたのよ…貴方のお嫁さんになれるのね…」

 

 夢見るような表情で呟くヴェルサンディを引き剥がし

 

 「いや未だ大事な事が残ってるよ」

 

 そう言われて引き剥がされたヴェルサンディが不服そうな表情をする前で片膝を着くと

 

 「我が剣は貴女を守るために在り貴女の敵にのみ振るうこと誓いこの誓いが疑われし時は自ら命を断ち身の潔白を証す事を今ここに誓います 

 

 この神聖なる誓い、受け取ってくれますね?」

 

 この二人の様に身分の高い女性に騎士からの正式なプロポーズを大樹がすると

 

 「勿論喜んでお受けします、大樹様っ♪」

 

 そう言って大樹の頬に口付けして大樹のプロポーズに応えたヴェルサンディ

 

 その二人を一同が祝福する中忍のチョコレート色の霊玉がひとつ…大樹が背負いし黒炎竜に取り込まれて黒炎竜の進化を促したがそれについては後程触れるとして

 

 「気持ちは既に婿殿と呼びたいが色々手続きが正式に済むまでは大樹殿と呼ぶことにして取り敢えず風呂で汗を流してきなさい

 

 その間に食事の支度も整うだろからな」

 

 そう侯爵が言うと謡華と目が合った命は

 

 「雪華、大樹とヴェルサンディ様を祝福したいから準備を手伝ってください

 

 それと侯爵様には事後承諾になりますがスクルド様が出水の精の導きを受ける巫女になりました事をご報告致します」

 

 そう二人に告げると

 

 「そうですか…命様、忍様、スクルドを宜しくお願いします」

 

 侯爵がそう言って頭を下げる侯爵とそれに倣い頭を下げる夫人

 


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