思いついたことを書いてみた   作:SINSOU

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結末は賛否両論だし、胸糞だと思います。
特に原作ファンの皆様、ご注意を。




ファニーゲーム(復讐はいけない)

「なんでだ・・・」

 

茶髪の少年が、唸るように言葉を発する。

なんでだ?えっと、すみません。

私、結構疎い方なので・・・えっと、貴方が何を言いたいのか解らないんです・・・。

ごめんなさい、そう言って私は頭を下げる。

目に涙を受かべている私の姿は、端から見れば泣きながら謝っているようで、心が痛むだろう。

だが、茶髪の少年はその目をより鋭くさせる。その目の力だけで、私を殺せそうなほどに。

 

「なんで殺したんだ!父さんや母さん!松田や元浜や桐生!

 生徒会や学校のみんな!なんで殺したんだ!」

 

少年の言葉に、私はやっと合点がいき、ああそのことなんですね!と納得した。

その私の姿に、茶髪少年はおろか、後ろにいた紅い髪の少女たちも目を鋭くする。

どうやら彼らは、私の行いに疑問を持っていらっしゃるご様子。

なので、私は懇切丁寧に教えてあげることにした。

 

『復讐は駄目だと言った際に、私の気持ちが解ると仰ってましたでしょ?

 でも、本当の意味で解るわけがありません。なにせ、貴方は私ではありませんから。

 なので実際に体験してもらった方が、本当の意味で理解できると思いまして』

 

「は?」

 

私の言葉に、茶髪少年は間の抜けた声を上げ、他の方も口を開けてしまいます。

何故でしょう、私は至極真っ当だと思うのですが?

首を傾げる私に、彼らは一端だまり、

次いで先ほどとは比べ物にならないほどの目で、私を睨みつけてきます。

それこそ、彼らからは何やら負のオーラ?というものが流れてきますし。

どうしたのでしょう?ここは、私の気持ちを理解したことで、復讐は諦めるはずなのですが。

 

「そんなことのために!父さんや母さんを!友達を!みんなを殺したって言うのかよ!!」

 

茶髪少年の言葉に、私は抗議をします。

そんなこととは何ですか。これはあなた達にとって大切なことなのですよ?

私と(だいたい、軽めで)同じ体験をしたのですから、互いに痛みを分かち合えたわけです。

なので、私たちはそう言った意味では同じになれた

 

「てめえのような殺人鬼と俺たちを一緒にするな!

 罪もない人を平気で殺す、てめぇのような奴は絶対にゆるさねぇ!

 この場で俺たちがぶっ殺してやる!」

 

その言葉を合図に、少年たちは、各々に武器を取りだす。

失礼ですよ、私は貴方たちの関係者しか殺していません。

それこそ、町中の人間を殺さなかった私の心の広さを感謝するべきですよ。

私の必死の説得も空しく、彼らは私を殺す気満々の御様子。

ああ、彼らも復讐に呑まれてしまったのですね・・・哀しいことです。

 

私は彼らの姿に、落胆と失望を含ませた溜息を吐いた。

ああ、雨が降ってきましたし、風も吹いてきましたね。なんて今日は酷い日なのでしょう。

私は濡れる心配をしつつ、復讐に呑まれた可哀想な彼らと対峙することにした。

 

 

「ギャスパー!」

 

茶髪少年の叫びと共に、白髪少年が前に躍り出て、私を見つめる。

その途端、金縛りにあったかのように動けなくなった。

あら動けないですわ。もしかして、ギャスパーというあの子が原因かしら?

開いたままの目で白髪の少女を見る。

それと同時に、何やら紅い籠手を填めた茶髪少年と、

両刃剣を携えた金髪少年や同じく両刃剣を振りかざす少女が迫る。

それ(剣で)斬られたら流石に死んじゃいますよー、と内心では抗議するも、

動けない私は避けることも出来ない。

そのまま拳と剣が迫る瞬間、突如大きな光と音が響き、目の前が真っ白になる。

 

「うわぁぁぁー!?」

 

誰かの叫び声と同時に私の身体が自由になるも、

目がちかちかして何も見えず、急なことで対応も出来ず、私はそのまま倒れ込む。

その瞬間、風切の音と共に頭上で何かが通った。

 

「ギャスパァァァァ!?」

 

倒れた私は、なんとか身体を起こし、まだちかちかする目を凝らす。

すると、黒焦げになった何かが倒れていた。

よく見れば、そこに何かコードのようなものが絡まっており、バチバチと音を立てている。

おそらく、先ほどの雷で電線が切れ、ギャスパーという子に当たってしまったのでしょう。

哀しい事故ですね・・・。

白い修道服を着た子が、それに触れようとして、青い髪?の子に止められる。

 

「よくもギャスパーを!絶対にゆるさねぇ!」

 

なにやら茶髪少年が私が何かしたんだと決めつけ、更なる怒りを滾らせます。

はっきり言って、私に怒るのは筋違いですし、これは不幸な事故ですよ。

そういうも、聞く耳を持ちません。

 

「ここは私が!」

 

長い髪を結った、赤白の服を着た少女が空に飛び、私に向かって何かを放とうとする。

その瞬間、風に飛ばされただろう、新聞紙が彼女の顔を覆う。

咄嗟のことで対処が出来なかったのか、

赤白の少女は顔の新聞紙を外すことに気を取られているので、私はすかさずナイフを投げる。

が、風にあおられて彼女には当たらず、丁度彼女の少し頭上に舞い上がった瞬間、

再度雷が落ちる。

結果は、ナイフの傍にいた彼女にも電気は流れ、そのまま地面に落ちていった。

 

「朱乃!?」「朱乃さぁぁぁぁぁん!?」「いやぁぁぁぁぁ!?」

 

色々な叫び声が聞こえるが、生憎、風のせいであまりよく聞こえない。

それにしても、こんな時に空を飛ぶなんて自殺行為だというのに、悲しい事故ですわね。

またしても悲しい事故に心を痛める私に対し、彼らはより憎しみに呑まれていく。

 

「ギャスパーだけじゃなく、朱乃さんまで!」

 

茶髪少年が叫ぶと、右手で籠手を押さえ、何やら呟く。

何やら嫌な感じがしたので、茶髪少年に向かって走る。が、雨のせいで足を滑らしてしまう。

その途端、先ほど両刃剣を持った片方が、再度斬りかかってくる。

咄嗟にその子の手首に向かってナイフを投げるが、簡単に躱される。

 

「みんなの仇だ!」

 

そう叫び、横切りをしようとする青い子の前に、急に猫が飛び出す。

 

「な!?」

 

先ほど雷に討たれた子のように、咄嗟にことに驚く青い子。

そして雨で滑ったのか、手から剣が外れ、勢いのまま飛んでいく。

その先にいたのは、赤白の子をどうにか助けようとしている修道服の子。

 

「アーシア、避けてくれぇぇ!」

 

誰かの叫びも空しく、白い修道服を着た少女の胸に、その剣は突きたてられた。

少女は一瞬で灰となり、彼女の衣服であった修道服が、彼女の灰が、風に舞って飛んでいく。

 

「あ?ああ?あああああ!?」

 

青い子は、自分のしてしまった事を理解し、そのまま地面にうずくまり、叫ぶ。

可哀想に、修道服の子は、この青い子にとって大切な人だったのでしょう。

これも哀しい事故ですね。

 

「ゼノヴィア!貴女、何て事を!?」

 

赤い髪の少女が、信じられないといった表情で、ゼノヴィアと呼ばれた青い子を見る。

 

「違う!私は!私はそんなつもりじゃ!でもアーシアを私は、違う!殺してなんかいない!

 私はアーシアを殺してなんか!でもアーシアは私が殺した?あれ?」

 

可哀想に、半ば壊れかけているご様子なので、がら空きの背中に包丁を突き刺しておきましょう。

そのまま崩れ落ちるゼノヴィアという子に、私は少し同情する。ほんのちょっぴりですけど。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

今度は、先ほどの白い髪のことは違う子が私に向かってくる。 

よく見ると、頭には猫のような耳が付いている。

あら可愛いですね、そう言おうとした私に向かって、猫耳少女?は拳を振るう。

一直線の拳だったせいか、身体を捻って避けるが、その余波で、私は壁に叩き付けられる。

目を凝らせば、猫耳少女の拳の先には、大きな穴が開いた壁がある。

もしも避けていなかったら、半身が千切れていたでしょう。

まるで戦車の砲弾のような拳ですね。内心、私は猫耳少女をそう評する。

と、何やら地面から鎖のような物が伸び、私の身体に蒔きつく。

今度は一体なんでしょうか?そう思い首を回せば、銀髪の女性が魔法陣の中心に立っている。

どうやら、彼女が元凶なのでしょう。

そう考えていると、茶髪少年がこちらに近づいてくる。

彼の左腕の籠手は、まるで血のように赤く光っており、

少年の表情からして、私を殺すためのギロチンに見えた。

 

「皆の仇だ!」

 

そう言って、少年が私に殴りかかろうとして、

 

「お前達!一体何をしているんだ!?」

 

声の方を振り向けば、おそらく見回りであろう人たちが、私たちを懐中電灯で照らしていた。

 

「違う!これは違うんだ!俺たちは殺人犯を捕まえようと・・・!」

 

光に照らされた茶髪少年が必死に弁明するが、見回りの人たちの顔は険しい。

そうでしょうね、と私は内心では呟く。

なにせ彼らが見ている光景は、鎖で縛った私を、

金属のような籠手で殴ろうとしている少年に見えているのでしょうから。

それに他を見れば、包丁が突き刺さっている死体や、剣を持っている少年もいるわけです。

パッと見て、どちらが危険に見えるでしょうか?

 

「話は警察が来てからだ!お前たちはこの場を動くな!」

 

大人たちは、怯えを隠しながらも声を荒げる。

チラリと茶髪少年の紅いことを見れば、不発だった力が燻っているのが見える。

と、私は良いことを思いつく。

私の特性上、こういったことにも役に立つことは充分理解している。

だから私は、そのまま彼の拳に体当たりするようにぶつかった。

その瞬間、私はそのまま壁を突き破り、誰かの庭に飛ばされる。

 

「お前!一体何をした!」

 

「違う!俺は何もしてない!本当なんだよ!」

 

意識が薄れゆくなか、大人たちに押さえつけられる少年たちを見て、私は口元を歪めた。

 

「駄目だ、死んでる・・・」

 

その言葉を耳にした少年たちは、一体どういう表情をしたのでしょうか?

ああ、残念です・・・。

 

 

その日、身元不明の遺体が、安置室へと運ばれた。死因は、心臓強打によるショック死。

なお、その身体には一切の傷が無く、まるでマネキンのようだとも言われ、

今にも動き出しそうと気味悪がられていた。

それと、容疑者として疑われている少年たちは、未だ自分たちは違うと、容疑を否定している。

 

ある日、身元不明の遺体を運び出そうとした際、驚くべくことが起った。

なんと身元不明の遺体が無かったのだ。まるで始めから無かったかのように、空っぽだった。

しかし、書類にはちゃんと遺体があったことが記されており、

このことは後の不可思議な噂話として語り継がれている。

 

 

 

 

 

 

さて、次の町へ行きましょう

 

私は旅行鞄を携え、次の町へと出発する。

私の胸には、針が逆に動いている時計が、四葉のクローバーの首飾りがある。

 

私は列車の席に腰を下し、先ほど購入した新聞を開く。

すると、連続殺人犯?の少年たちが逮捕、という記事がチラリと見えた。




オリジナル神器

逆回りの時計(リターン)
使用者の肉体のみ、一日の時間枠内まで戻すことが可能。
なお、死亡した際の記憶は残る。

四葉のクローバーの首飾り(アンラッキー)
使用者に『認知された範囲内』において、敵対者に不幸が起きる。
対象者の負の感情が高ければ高いほど、不幸の度合いは変わる。

なんだこのチート。

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