思いついたことを書いてみた   作:SINSOU

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大嫌いお姉ちゃん(大好きお兄ちゃん)

三勢力の和平会談

堕天使コカビエルによる、教会への襲撃と聖剣強奪に加え、

魔王サーゼクス・ルシファーの妹、リアス・グレモリーの管理する領地、駒王町への襲撃。

 

堕天使コカビエルの目的は、

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)ア・ドライグ・コッホと、

白い龍(バニシング・ドラゴン)アルビオン・グウィバーの二天龍によって中断された、

堕天使・天使・悪魔の戦争の再開であった。

まずは教会を挑発するために聖剣エクスカリバーを奪うも肩透かしを食らう。

そのため、今度は魔王ルシファーの妹、リアス・グレモリー嬢と、

同じく魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹君、ソーナ・シトリー嬢が住む町、

駒王町へと標的を変えた。

コカビエルの目的は、現代の赤龍帝「兵藤一誠」とその主、リアス・グレモリーとその眷属、

そして現代の白龍皇「ヴァーリ」によって防がれ、

かの大罪人コカビエルは、地獄の最下層(コキュートス)にて、永久冷凍の刑に処された。

 

この事件を切っ掛けに、三勢力のトップたちは和平を結ぶことになる。

それは、今までの戦いによって三方共に疲弊しきってしまったのも要因だろう。

これにより、今まで殺し合っていた者達が、互いに手を取り合える未来が訪れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なぜ俺たちを襲う!?もう戦う意味はないんだぞ!

 俺たちを殺せば、三勢力に反旗を翻えすことに」

 

「五月蠅いなぁ」

 

私は、よく解らないことを言う悪魔に対し、五月蠅いから頭に銀剣を突き刺した。

ビクビクっと身体を震わす悪魔の屍を見つつ、私は一つの欠伸をした。

 

『おいまだ寝ぼけてんのか?』

 

お兄ちゃんが私を心配する。

 

「大丈夫だよ、さっきまでは眠かったけど、こいつ(悪魔)を殺したら目が覚めたから。

 心配してくれてありがとう、お兄ちゃん」

 

『けっ、誰がてめえの心配なんかしてるかよ』

 

『フリード、いい加減しないと私が怒る』

 

お兄ちゃんの言葉に、すかさずお姉ちゃんが口を挿む。

 

『いい加減にしろよこのシスコン。一々つっかかってんじゃねえぞ』

 

『だったらリムルに優しくしろ。お前は口が悪い』

 

『ああ?だったら黙らせてみろよこのクソシスコンさまよぉぉぉ!?』

 

『いい機会だ、お前の言葉遣いを正し、リムル(妹)愛に目覚めさせる』

 

「もう、二人ともだめだよ」

 

なんという事か、脳内のお兄ちゃんとお姉ちゃんなのに、勝手に争いだしてしまった。

まあいっか、別にいつものことだから。

そう思い、私はこの場から離れようとして、ふと何かの気配を感じた。

多分、相手は気配を殺していると思っているだろうけど、私には丸分かり。

そう言う風に弄られたし。

 

で、私を見ているのはだぁれっかな~?って、あれ?

その気配を感じとり、私は首を傾げた。

 

『おい、どうした?』

 

『うん?どういうことだ?』

 

脳内の二人も、不思議そうな声を上げた。

 

「なんで御同類(エクソシスト)が沢山いるんだろう?」

 

私を取り囲んでいるのは、エクソシストの皆さんだった。

でも、そういった連絡は一切受けていない。だから、これは全くの予想外だ。

なんでだろうと私が首を捻っていると、気付けば周りを囲まれていた。

取りあえず、声をかけてみよう。

 

「あのさー、うざいから出てきてくれない?私、分かってるよ?」

 

その声に、がさがさとエクソシストたちが出てくる。

その姿に、私はもう一度首を捻る。やっぱりおかしい。でもどうでもいっか。

 

「リムル・セルゼンだな?」

 

その言葉に、私は頭を傾げる。なぜなら、私には彼らと会う連絡を受けてない。

 

「私に何の用ですかー?」

 

私は出来るだけ違和感のないように、言葉を発した。

すると、リーダーと思しきエクソシストが私に声をかけた。

 

「リムル・セルゼン、貴様を拘束する」

 

その声を合図に、周りのエクソシストたちが、光剣を取り出し、光の刃を顕現させる。

 

「はい?」

 

『はぁ?』

 

『なにそれ?』

 

取りあえず、私は聞き返した。

なぜ拘束されなければいけないのだろう?私には解らない。

脳内のお兄ちゃんとお姉ちゃんも同じ反応。

 

「貴様には、禍の団への内通と、はぐれエクソシストの疑いがある」

 

私が首を捻っていると、目の前の神父は淡々と述べる。

曰く、私が禍の団(混沌・鰤門)ととかいうテロリストに情報を横流し、

また罪なき人間を殺し、また同胞を手に掛けたらしい。全く身に覚えがない。

そもそも、混沌・鰤門とはなんなの?美味しそうな名前だね。

 

「えっと、私、そんなの聞いたことないんです。

 それって何ですか?美味しそうな名前ですけど」

 

彼らは何か勘違いをしているみたいなので、取りあえず否定してみた。

するとリーダー格の神父は、光剣を下げるどころか、その切っ先を私に向けた。

周りのエクソシストたちも同じように、私へと刃を向ける。

 

「そうか、あくまで白を切るか。ならば貴様を今ここで断罪する!」

 

「あの、なんで剣を向けるんですか?ですから私、そんなの知らないって」

 

「貴様が知っていようと知るまいと、そんなことはどうでもいい、この化け物め。

 はぐれエクソシストとなったフリード・セルゼンと同様に、

 貴様のような存在が明るみに出れば、我ら教会の立場は大いに失墜する。

 ならばその前に、我らの手で処分する。我ら教会のために喜んでその命を捧げるのだ!」

 

目の前の神父は、まるで熱が燈ったように、陶酔しているのかのように、声を荒げた。

でも、私はそんなのはどうでも良かった。

ただ一つ、私は聞こえてきた内容を聞き返した。

 

「フリード・セルゼン(お兄ちゃん)が、はぐれエクソシスト?」

 

『なんじゃそりゃ』

 

『フリード、お前は一体何をした?』

 

脳内のお兄ちゃんとお姉ちゃんも、その言葉に戸惑っている。

 

「そうだ!あの快楽殺人者め、あろうことか我ら同胞を手に掛けたのだ。

 それだけに飽き足らず、契約者の人間も殺している。奴の存在は我々にとって恥部だった」

 

「だった?」

 

私のオウム返しに、神父は笑う。

 

「そうだ、奴は死んだよ。最後は悪魔と化して、無様に死んだという報告を受けた。

 全く、さっさと死んでいればいいものを・・・」

 

「え?」

 

その言葉は私の中に反芻する。

 

お兄ちゃんが死んだ?お兄ちゃんが死んだ?Was my old brother killed?

 

「だからこそ、貴様もフリードのようになる前に、その存在を抹消させて貰う。

 教会が倫理に反することをしていたと明るみに出る前にな」

 

そう言葉を合図に、周りのエクソシストたちが、一斉に私へと駆ける。

そして各々の光の剣を振りかざし、悍ましき化け物を断罪しようとして、

 

「「「「「あぇ?」」」」」

 

首がロケットの如く、血という噴煙をまき散らしながら、胴体から発射された。

 

 

 

 

 

 

『なあ大丈夫か?』

 

『大丈夫かと聞くお前は馬鹿だ、デリカシーがない。お前はまだ、リムル(妹)愛に目覚めていない』

 

『だからそのなんちゃら愛って何なんだよ!』

 

「お願い、二人とも静かにして」

 

降りしきる雨を避けようと、私は古びた廃屋の中で、一人膝を抱えていた。

襲ってきたエクソシストを塵殺した後、私はずっとこの調子だ。

正直、お兄ちゃんが死んだ事に現実感を持たない。

なぜなら、私の頭の中にいるのだから。

 

『まあでも、お前の想像した俺だけどな』

 

そう、そのお兄ちゃんも、結局は痛みに耐える為に生み出した想像でしかない。

でも、それでも私のお兄ちゃんだ。

本当のお兄ちゃんに会いたいと思い、これまでずっと必死だったのに、もう会えない。

もしかしたら、お姉ちゃんも同じように・・・

 

『待て、私はフリードと違ってそんなことはしないぞ!もちろん、想像でしかないが』

 

『なにしれっと自分は違うとか言ってんだよ!』

 

脳内で語る至りの漫才に、私は少し落ち着いた気がする。

 

でもこれからどうしよう

 

殺したあいつ等が言うには、今の私ははぐれエクソシストとして、

いつの間にか出来てた三勢力の中で危険人物として載っているらしい。

これは最後に生き残らした、あのリーダーっぽい神父を拷問したことで知れた。

質問の回答以外のことをすれば、全身の骨を1本ずつ折った。

瞬き、呼吸、微動作、命乞い、泣き言、叫び、落涙等々、回答以外の何かをすれば折った。

 

取りあえず今の目標は、お兄ちゃんの敵討ちってことかな。

まだ眉唾だけど、お兄ちゃんは生きているかもしれないし。

仮に死んでたら、お墓を建てない駄目だし。

 

『やはりフリードは死ぬべき、というか今すぐ死ね。私がここで殺す』

 

『だから一々俺に突っかかってくんなっての!』

 

脳内で繰り広げだした漫才に苦笑しつつ、私は立ち上がった。

やることをやったら、次はお姉ちゃんに会いに行こう。

気付けば、振っていた雨は止み、雨雲の隙間から光が漏れていた。

 

 

「その犯人の名前、知りたくないですかぁー?」

 

幼い声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はフリードの犯した罪を償い続けなければならない。

 そして凶行を続けるお前を止める!そのためにも、私はお前と戦う。私はお前の姉だから!」

 

「罪って何?ただ私たちは言われたとおりに悪魔を殺してきただけだよ?

 今更それが間違いってなに?それに、なんで自分だけ間違っていないって思ってるの?

 そして悪魔に成り下がった癖に、なに自分は綺麗だと思ってるの?

 お兄ちゃんを、私を否定して、今更姉面するなあああぁあぁぁぁぁぁぁっぁあぁ!!」


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