[2]魔法科高校の世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

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遅れてすみません。
熱でダウンしてました。

皆様のおかげでこちらの小説もお気に入りが千件行きました!
本当にありがとうございます。

でも、やっぱり小説は難しいですね……
皆様の評価、身に染みております。

もっといい小説が書けるよう努力していきますので、これからもよろしくお願いします。


常軌を逸したもの

 観客は今目の前で起こった試合展開に、フィールドの状況に、ただただ黙って見ることしかできなかった、

 

 未知の魔法から繰り出される、競技場全てを覆う光を放ち、轟音を鳴り響かせて撃たれたフィールドに底が見えないほどの穴を空ける強力な魔法。

 

 空は未だに黒い雲に覆われ、そこから雷の筋がいくつも光って見える。

 

 ジブリールは一礼して退場し、雫も競技場を後にした。

 

「今のは不正じゃないのか!!」

 

 観客の一人が、声を上げた。

 

「あんな魔法CAD無しで、いや、CADがあったとしても使えるわけがない!何人かで裏から工作してるんだ!!」

 

 一人が言えば、後は芋づる式だ。

 次々とジブリールに対しての批難が殺到、さらに飛び火して、大会委員にも批難が飛ぶ。

 

 大会委員はフィールドに向かい、穴の状況を確認したり空を見て雲の様子を確認したりと忙しそうに動いていた。

 

「すごいわね……九校戦でここまで荒れるなんて始めてよ」

 

「まぁ、私もさすがにあんなのを見せられるとは思っても見なかったからな……もしかしなくてもA級ライセンス以上の魔法だ」

 

「でも、そんな魔法いくらジブリールさんといえど、CADも無しで使えるようなものじゃないと思うのだけれど……」

 

 観客席で試合を観戦していた真由美と摩利も、さっきの魔法について議論をし始めた。

 

「……達也くんは今の魔法の原理は分かった?」

 

 そして、一番結論が出せそうな達也へと振る。

 

「……まず一つ言えることは、あの魔法はジブリールが一人で行ったものです」

 

「CADは使ってたのか?」

 

「いえ、恐らくですが、背中から出ていた手がCADの役割を担っていたのだと思います。しかし、原理は全くと言っていいほど分かりませんね」

 

「そう……達也くんでも無理なら、後はジブリールさんか佑馬くんぐらいしか分からないだろうし……」

 

 そこで全員黙り混んでしまい、観客が罵詈雑言を飛ばすなか、三人にはその声が気にならないほどまでに、さっきの魔法についての仮説をたてるために考え込んだ。

 

◆◆◆

 

「それで、さっきのあれはどうやったんだ?いくら遠かったとはいえ、俺でも魔法式を確認することしか出来なかったぞ」

 

 佑馬とジブリールは試合後、控え室のソファーに座って、こちらもまたさっきの魔法について話し合っていた。

 

「それは、当然で、ございます。いくら、佑馬の眼があるとは、いっても、現在の時間軸(・・・・・・)から見ては、その構造を知ることは、出来ませんので……」

 

「現在の時間軸……その技の根元は龍精種(ドラゴニア)か?」

 

「さすがは佑馬。正解でございます」

 

「……そんなに力を使うものなのか?」

 

 そして、ジブリールは息も絶え絶えといった感じだった。

 

「正直、この姿を維持、するのが、やっとでございます」

 

「分かった。ちょい待ってろ」

 

 その言葉を残して佑馬は転移し、すぐに戻ってきた。

 ヘアバンド型のCADを持って。

 

「これつけとけ」

 

「ありがとう、ございます……ふぅ……やっぱりこれは無理がありましたか……」

 

 ヘアバンド型CADが既に記録されているジブリールの平常時の情報をもとにサイオンを『再成』し、みるみるうちにジブリールのサイオンが戻っていく。

 

「それで、どうやってやったんだ?今までで見たことも聞いたこともないぞ」

 

 ジブリールから出た今回の『雷撃』の内容。

 それは佑馬をして常軌を逸しているの一言につきるものだった。

 

「現在を中心に、過去・未来の時間上にあるこの場所で起こる複数の時間内にある雷雲から起こった雷の力を反響させ、現在に収束してその視力を何十倍、何百倍にもして撃ち込んだだけでございます」

 

 つまり、この付近で起こった過去の雷、そして、未来でこの付近に起こるだろう雷の力を反響させて、現在に収束させて撃ち込んだ。

 それ即ち、時空間を複数ねじ曲げ、合わせたことになる。

 

「空間転移が出来るなら、この時空間転移も出来るのではないかと思いましたので……翼の『手』は云わば精霊、この世界でのサイオンの集合体でございますが、それを天撃以上に濃縮する必要がありますが、そうなると維持が難しくなります。よって、その力を一秒後の未来とその力を反響させて(・・・・・・・・・・・・・・・・)、その力を維持し留めてあるものでございます。つまり、この力は時空間に『点』ではなく、『面』として接しているわけでございます。そして佑馬との試合の時に空間転移した時、ベクトル膜に触れて空間にヒビが入りましたよね?何故でしょうか」

 

「転移された物が異次元からベクトル膜に当たった瞬間、異次元からこの次元に戻るためのベクトルが反射される。しかし、その異次元は既に閉鎖されている。よって、居場所がなくなったボールは粉々になり、異次元とこの次元との間で何かしらの現象が起きてヒビが入った……というのが俺の考えだが」

 

 ジブリールが言っているのは、九校戦前の佑馬とのクラウド・ボールの試合で起きた、転移とベクトル膜が反応しあって起きたことだった。

 

「言い方を変えましょう。何故、空間にヒビが入りつづけた(・・・・)のでしょうか」

 

「……なるほど……言いたいことはわかった」

 

 何かしらの現象が起きてヒビが入った。

 それなら何故、その空間は閉まることなくずっとヒビが入り続けたのか。

 確かに、不自然な点はいくつもある。

 

「私はそれをこう仮定しました。転移は時間にも直接影響するもの。それが反射されたとき、その力がその場で反響していたとしたら、と」

 

「反響させているからその力はずっとその場に残って、ヒビが入り続けるということか」

 

「そういうことでございます。なので、空間転移を連続的に行えば同じ状況が出来るのでは、と思い、前々から一応試してはいたのでございます」

 

「なるほどな……それで、その内容は?」

 

 確かに、筋はそれで通る。

 連続的に空間転移を行えば、その場所にはずっとこの次元と異次元と繋がることになる。

 

「『手』は先程も言ったように、時空間に『面』としています。つまり、それを転移によって過去と未来に伸ばしました。私たちは『点』である以上、現在にしか転移出来ませんが、『面』によって反響させている『手』ならば、過去や未来にも作用することが出来ます。後はその力を現在へと持ってこれば終わりございます」

 

「雫の攻撃を捌けなかったのはそれが原因か」

 

「はい……ですから、深雪との試合では使うことができません」

 

 そこまで話したとき、急にアナウンスで呼び出しがかかった。

 

『大会本部より呼び出しを致します。第一高校の中田ジブリールさん。直ちに大会本部まで来なさい』

 

「呼び出しだな」

 

「……面倒ごとでございますよね」

 

「間違いなく面倒ごとだな」

 

 はぁ……とため息をついてとてもめんどくさそうに部屋を出ようとするジブリール。

 それを佑馬は苦笑しながら見て、

 

「俺も言ってあげるから、早く終わらせるぞ」

 

 一緒に部屋を出た。

 

◆◆◆

 

 大会本部のテントに入ると、そこには真由美と克人がいた。

 

「いらっしゃい、佑馬くん、ジブリールさん」

 

「どうも、会長さん。どういったご用件で?」

 

 用件はだいたい知っているのだが、社交辞令とも言える言葉で次を促す。

 

「さっきの魔法についてだが、あれは本当に中田ジブリールが一人でやったものなのか?」

 

「はい。見たとおりでございますが」

 

「それを証明する術はあるか?」

 

「あるといえばありますが……よろしいので?」

 

「なにがだ?」

 

 さっき言ったことを証明しろ。

 それはつまり、間接的にここらへん一帯を破壊しろと言っているようなものだった。

 

「ここらへん消し飛びますよ?」

 

「……そういえばそうだったな」

 

 そして、佑馬は前立てた仮説が事実ではないのかと思い始めた。

 『十文字 克人は天然説』だ。

 

「なら、どうやったら不正ではないことを証明するつもりだ」

 

「簡単です。まず控え室にて、CADが服にないかを確認、使うCADはそこで審査すればいい。そして、次の試合でその力を証明するだけのことをやれば、全員納得するしかないでしょう?」

 

 これが、このめんどくさい呼び出しを早く終わらせるために考えた案。

 試合での証明なら、いくらでもやりようがあるし、百聞は一見にしかずというものだ。

 

 克人が大会委員のとこへ向かって、さっき佑馬が言ったことを伝えているなか、真由美がこちらへと寄ってきた。

 

「どうかされました?」

 

「うん。あの魔法のことなんだけど、どうやったのかなって。達也くんですら原理もわからないって言ってたから気になっちゃって」

 

「あー……正直に言うと、ぶっとんでました」

 

「ん?佑馬くんも知らなかったの?」

 

「そうですね。あれは完全にジブリール専用の魔法ですよ」

 

「ジブリールさん、マナー違反ではあるとは思うけど、教えてくれない?」

 

 どうしても気になるのだろう。

 マナー違反ではあるけどと遠慮を見せながら、全く退く様子を見せない。

 それを感じ取ったジブリールは、ただ一言。

 

「九校戦終わったらお教えします」

 

 今はめんどくさいと言って断った。

 

 決勝戦はさっき佑馬が言ったことに付属して、さっきの魔法を証明するに足る力を見せることが出来なければ三位となることが決定し、ジブリールもそれを承諾。

 

 いよいよ深雪とジブリールとの試合が始まりを迎える。




自分でもたまに書いてて混乱します。
特に時空間のこととか。
全く話が進まない…
そろそろ九校戦編終わらせないといけないのに。

次回はvs深雪です

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