[2]魔法科高校の世界にチート転生者がきたようです 作:型破 優位
そちらもよろしくお願いします。
一話目からいきなり評価一、しかも名前が表示されてないから何処が悪かったのかわからないままなのですが……これはどうしたらいいのでしょうか。
はい、本文いきます。
真由美が寝ているため動けないが、佑馬はあまり寝るということをしなくなっていた。
回復能力が高すぎるのに加えて、回復を脳が勝手に効率化してしまうため、必要がないのである。
そして現在、自分の胸の中でスヤスヤと寝ている真由美に腕枕しながら、今日行われるバトルボードについて考える。
(確か、摩利を潰しにくるんだっけか。うろ覚えになってるけどそんな描写があった気がする。)
そう、次のバトルボードでは第三者が介入してくるため、その対策を考えている。
(術者を捕らえるより、術式を解除した方が早いが、それなら七高のCADを改竄させなければいいだけのこと。でも、その行動は事の成り行きを知ってると言ってるようなものだから、逆に怪しまれる。)
結論は一人でなんとかするだが、正直難しい。
精霊魔法は見える、が、観客席からどうやって解除をするのかが思い付かない。
思案に耽っているうちに、夏ということもあり外が明るくなっていく。
まだ日が昇ってないとはいえ、本当はホテルにいないといけない二人。
起こすために真由美のほっぺを引っ張ったりプニプニと押したりして遊びながら起こす。
「……ん……んぁ……ん、ん?佑馬君?なんで此処に?」
「はい、おはようございます。寝ぼけているところ悪いですが、ホテルに戻りますよ。」
「え?あ……それもそうね。それじゃあ戻りましょ?楽しみだわ、転移魔法がどんなものなのか。」
「そうですか?楽しめる時間があれば、是非楽しんでください。」
そして、指をパチン!とならした瞬間、
「楽しめました?」
「……え?」
ホテルの真由美の部屋の前にいた。
「さ、早くしないとすぐ乙女の思考をして頭でお花畑を展開してしまう人に何言われるかわかりませんから。」
「……摩利のことかしら……すごい言われようね。」
あはは、と苦笑しながらも、部屋に入っていく真由美。
入って扉を閉める前に、クルッと向き直って、
「……ありがとね、佑馬くん。」
満面の笑みでそう言ってから扉を閉めた。
………。
「……ジブリールがいなかったら今ので確実に堕ちてたな。」
妙に輝いていた笑顔を思い出して苦笑し、そう呟きながら佑馬も部屋へと戻っていった。
◆◆◆
九校戦三日目。
昨日のことは当然秘密だ。
秘密と言うことは、皆が知っているということになる。
いや、これだと語弊があるだろう。
秘密と言うことは、皆が真由美と佑馬が一緒にいたという事実の部分だけが独り歩きして、皆に知れ渡っている。
当然、人気の高い真由美にはファンもいるわけで……。
「あーこの視線どうにかならねぇかな。」
現在、摩利のバトルボードの試合を観戦にしに来ているのだが、二つの意味で絶賛敵視を喰らっている。
一つめは当然、真由美とのこと。
そして、二つ目が……。
「そりゃ、そんなことされてたら誰だって嫉妬するって……。」
エリカも呆れるその行為。
それは……
ジブリールが佑馬にベッタリとくっついていることだ。
これが二つ目の理由でもある。
「ん?これはまだ常識の範疇だよ。」
「♪」
常識の範疇には明らかに見えないが、数ヶ月、数年ではなく、数十年と一緒にいればそれも常識として変換されてしまうだろう。
ジブリールも昨日の真由美のことを聞いて、今まで以上にスキンシップが激しいのだが、久しぶりにベッタリと出来て上機嫌でもあった。
隣からはため息が聞こえてくるが、佑馬の心ではあまり気にしている余裕はなかった。
摩利はこの後、怪我をする。
それを未然に助けられるのは自分だけ。
だが、そうもいかないのだ。
発動する前に魔法を書き消してしまったら、外部からの干渉として摩利が失格になるのはほぼ確実。
そして現在、その場所は分かっていても無闇に魔法を打てない。
神威で飛ばそうにしても、魔法式が展開されている物体ならともかく、魔法式だけを飛ばせるのかは実際試したことがない。
バレたら摩利は失格。
七高のCADには既に細工がされており、直接触らない限りはそれを取り除くことも出来ない。
「……どうかしました?」
ジブリールが珍しく心配そうな顔でこちらを見る。
佑馬は、歯噛みをしていた。
知っているのに、本当は対策出来たのに、今現在何も出来ない自分に苛立ちもした。
(なんでもっと前に思い出さなかったんだよ!いくらでも手の打ち用はあっただろ!)
夜通し考えても、摩利に支障が出ないように出来る魔法は現在持ち合わせてなかった。
「……あ。」
「……?」
「あ、こっちの話。後で言うから。」
ジブリールが首を傾げていたのでそれに当たり障りのない答えを返して、考える。
バレたら終わり。
つまり、
急いで脳で魔法式を組み立てる。
(あの工作自体は俺ならサイオンを当てるだけでも解除出来る。後は認識阻害を何重にしてかける。)
よく考えれば簡単だった。
何も既存の魔法で対策することはないのだ。
そして、その工作がしてある場所に手をかざす。
「佑馬?」
「どうしたんだ、佑馬?」
「佑馬くん、何してるの?」
ジブリール、達也、エリカから疑問の声がかかるが、まずは安全の方から。
認識阻害を何重にもかけて、そこからサイオンを打ち出す。
そして、その魔法式を水路を揺らさず、誰にも悟らせずに破壊した。
「……いや、ちょっとした不安要素を取り除いただけ。もう取ったからいいよ。」
「……何かあったのか?」
達也は既に九校戦が狙われているという情報を掴んでいるため、警戒を強めながら聞いてきた。
「ああ、水路に魔法式があったから、それを吹っ飛ばしただけだ。」
「……魔法式?」
「ああ。そして、七高のCADには細工が施されている。七高の選手を使った一高への妨害だけど、足元の式が展開されなければ問題はない。」
まだ達也が何か聞いてこようとしたが、そこでスタートの用意を意味するブザーがなったため、何も聞かずに試合の方に目を向けた。
そして、二回目のブザーとともに、スタートが告げられる。
先頭に出たのは摩利、だが、予選とは違って二番手が背後にピッタリとついている。
激しく波立つ水面は、二人が魔法を撃ち合っている証だ。
そして、例の工作があった鋭角のコーナーに差し掛かる。
そこで、七高の選手が大きく体勢を崩してオーバースピードを起こしていた。
その直線上にいたのは摩利。
背後からの異変に気がついたのか、百八十度回転して、七高の選手を受け止めるべく、新たに二つの魔法をマルチキャスト。
突っ込んでくるボードを弾き飛ばす為の移動魔法と、相手を受け止めた衝撃で自分がフェンスへ飛ばされないようにする為の加重系・慣性中和魔法。
そして、摩利は見事に七高の選手を受け止め、試合は中断。
そうなるはずだった。
外部からのサイオン波が来るまでは。
「……ッ!?」
佑馬は水路と摩利達を注視していたため、そのサイオン波に反応するのが遅れた。
そしてそれは摩利のボードに直撃し、七高の選手と共にフェンスへと衝突し、会場は一時騒然となって、レース中断の旗がいくつも振られた。
佑馬と達也は急いで摩利と七高の選手に近づき、応急処置を行う。
無免許の医療行為は出来ないため、応急処置をしてから医療班が病院へと連れていったのを確認して、佑馬はそのまま会場を出ていく。
その犯人が何処にいるのか、マーキングをつけているため既に分かっている。
犯人は男。
自己加速術式で逃走しているが、何も関係ない。
人目のないところで空間転移を使い、犯人の横を並走する。
「よぉ、よくもやってくれたなお前。」
「ッ!?」
いきなり横に現れた佑馬に驚きを隠せず、そのまま佑馬に蹴り飛ばされて転倒する。
「――ガハッ!」
自己加速術式を使っていたため、そのスピードはとてつもないものであり、そこからさらに佑馬の蹴りを喰らったため、防壁魔法を張ったにも関わらずダメージは大きく血を吐いた。
「……俺には嫌いなことがいくつかある。」
佑馬は男に近づきながら低い声で言った。
「努力をバカにするやつ。何も出来ない癖にプライドだけは高いやつ。力に溺れていつも上からなやつ。そして……」
「ヒィッ!」
男に手を翳して、男が悲鳴を上げるなかさらに低い声で言った。
「人の努力を無為にするやつだ。」
魔法を構築する。
CADがないため、コンマ数秒遅いが、それでも高校生にしては、いや、世界的に見ても早いスピードで魔法式が構築されてく。
そして、佑馬のはるか上空に魔法式が出現した。
そして一筋の光が男を穿ち、その男は消滅する。
軍に渡した収束系で、『極東の魔王』『夜の女王』の異名を持つ四葉真夜の魔法、『
それを確認して、背を向け、一言呟いた。
「そして何より、それが前の俺のしてきたことというのが、一番腹立たしい。」
皆さんもある物事を成し遂げたときの、その一瞬の油断が命取りになるかもしれませんよ。
というわけで、新魔法です。
活動記録の方もよろしくお願いします。