[2]魔法科高校の世界にチート転生者がきたようです 作:型破 優位
HUNTER×HUNTERについての活動記録を更新しました。
確認をお願いします。
最近感想の方が鋭い。
自分のプロット実は読んでます?
司波家では、現在夕食を食べ終えて深雪は食事の後片付けを、達也は自分の部屋へと向かっていた。
そして、部屋に入った丁度その時、電話が鳴る。
その相手は……
「お久し振りです。……狙ったんですか?」
『……いや、何のことだか分からんが……久し振りたまな、特尉。』
画面に写ったのは不得要領な顔をした、旧知の人物、陸軍一○一旅団・独立魔装大隊隊長・風間玄信少佐。
一○一旅団の読み方は、イチマルイチ旅団だ。
「リアルタイムで話をするのは二ヶ月ぶりです。しかし……その呼び方を使うということは、秘匿回線ですか、これは。よくもまあ、毎回毎回一般家庭用のラインに割り込めるものですね。」
『簡単ではなかったがな。特尉、一般家庭にしては、君の家はセキュリティが厳し過ぎるのではないか?』
「最近のハッカーは見境がないですから。家のサーバーには、色々と見られてはまずいものもありますので。」
(どうりでカウンター機能が素晴らしいわけだ。)
そして、その屋根の上には、佑馬がいた。
何故かといえば、CADについてだったのだが、軍との連絡ということで形式上、達也のためにも、入るに入れない状態にある。
そのため、佑馬も回線に忍び込んで電話の内容を盗み聞き(面白そうだったため)しようとしたのだが、返り討ちを喰らいかけたのだ。
『そのようだな。今も危うく、カウンターでクラッキングを喰らいそうに……。』
そのとき、軍の関連者であろう者が風間に耳打ちをした。
その瞬間、風間の目付きが鋭くなる。
『……達也、この回線近くで盗聴されているぞ。』
「……ッ!?」
(うぉい、バレるの早すぎるやん。)
そして、見事にバレた。
さっきの話からカウンターを喰らいかけたらしいのだが、そのハッカーも中々の腕のようだ。
達也が知覚魔法、"精霊の眼"でこちらを視ているので、仕方がなく達也の部屋へと移動する。
「やぁ、達也。盗み聞きする気はなかったんだが。」
「……今度は何が目的だ?さすがにここまで干渉されると俺も黙っておくわけにはいかないのだが。」
普段もある程度されているのだが、より一層、最初のころのような警戒心を剥き出しにして問う達也。
後ろでは風間がこちらを睨んでいる。
「いや、本当に盗み聞きする気はなかったんだけど。」
「では、何故屋根の上で、わざわざ盗聴する必要がある?」
「……。」
面白そうだから、と言って許される雰囲気でもなく、一番の悪手である沈黙を取ってしまう。
佑馬自身もここで達也と争うのは不本意であり、また意味もない。
ただ、達也はさらに警戒の色を濃くしながら別の質問をする。
「そういえば、前に何故"桜"シリーズのことを知っているのかという質問に答えてもらっていなかったな。」
正直言って、ここまで面倒なことになるとは思っても見なかった。
「悪いな、盗聴したのは本当に何でもない出来心だ。"桜"シリーズについて何故知っているのか、という質問には答えられない。」
答えたらこれからさらに面倒なことになるため、それはどうしても答えられることではなかった。
「特尉、彼は?」
そこで、ずっと黙っていた風間が耐えかねたのか、誰なのかを聞いてきた。
「中田佑馬。同じクラスメイトで、神の使者の一人です。」
「ふむ、君が中田佑馬君か。」
神の使者の一人、と聞いても驚かないところを見ると、ある程度のことは知っているようだ。
「そうです。神の使者の一人、中田佑馬です。あの時はどうも。」
さて、ここまで素性がバレていて、盗聴をしていた、となれば、向こうからの評価はひとつ。
怪しい。
「こちらの言い分はCADのことで達也に聞きにきた時に電話してるのが聞こえたから終わるまで待つついでに、興味で盗聴していただけなんだけどね。それに、争うとしても達也にとっては不利益なことしかないと思うんだけど。」
争う気もないので本当のことを言う佑馬だが、興味で盗聴、争うとしても、とは最早本当に争う気がないのか疑問に思ってくるところなのだが。
だが、あえて煽るようにして言う佑馬。
「それに、達也の分解では俺は倒せない。それが例え、『マテリアル・バースト』だとしても。そして、俺はお前を倒せる術を持っている。これでもまだ争う気を起こすっていうのなら、相手になるけどな。」
ここまで言えば、常人ならキレる。
だが、客観的に物事を見れる達也にとっては、これが一番効果的なものだ。
「俺の『マテリアル・バースト』が効かないというのはともかく、お互いに不利益なのは確かだし、俺も争う気は無い。だが、今回の行動はさすがにタダで見過ごせることではないな。」
そして、今回の達也の意図が読めた。
つまり、ここまで誘導されていたのだ。
「俺も『分解』『再成』を取られているんだ。何か一つ、そちらも提供してもらうことにしよう。」
佑馬の技を手に入れるために。
「……はぁ……今回は見事にしてやられた。やっぱり性格悪いよな、達也。」
「さぁ、なんのことなのか俺にはさっぱりだな。」
そう言いながらも、達也の口は笑っていた。
「まぁ、今回のことは俺も悪かったと思ってるし、一つぐらいなら見せて……いや、ちゃんと教えてやるよ。」
そこで、今まで話したくても話し出せなかった風間が残念そうに言った。
『すまない、特尉。どうやら警察に尻尾をつかまれたようだ。近いうちにまた連絡をする。』
「その必要はない。」
そこに否定を入れたのは、佑馬。
佑馬はテレビ電話のモニターに手を翳す。
少しして、風間の目付きがまた鋭くなった。
『……今、一体何をした。警察が消えたのだが。』
「なに、ちょっと手をいれただけだ。しばらくはこれないよ。」
一瞬で警察から逃げた佑馬に驚きを隠せない風間。
これがハッカー目的でやってきたら、どんなセキュリティを張ろうと無駄だということがすぐに分かる。
「さて、俺はここにいても問題ないだろ?ここで言って終わりにするか、ここで追い出して軍の連絡網に入り込まれたいか、選択肢は二つね。ちなみに、『エレクトロン・ソーサリス』だっけ?その人呼んでも無駄だからよろしく。」
さっき達也にハメられたことをまだ根に持っている佑馬は、とりあえず風間に当たることにした。
「……仕方がない、しかし、ただで教えるわけにはいかない。君も戦略級魔法師の一人だ。つまり、国を守る義務がある。君が我々の隊に緊急の場合のみ入るという条件付きでなら、教えよう。これ以上はこちらも譲れない。」
風間もただでは引けないため、軍に入ったら、という条件を提示する。
しかし、先ほど佑馬が言ったのは、
ここで言って終わりにするか、追い出してハッキングされるか、の二つ。
つまり、交渉か対立かなのだが。
「嫌だね。それなら軍に入らないでハッキングした方がこちらの自由も確保出来るし、緊急の時に軍として動かなければならないのは面倒だから。」
交渉ですらない、こちらに不利益なことしかないことに、佑馬が乗るわけない。
情報を知りたいなら、ハッキングすればいい。
争うのもこちらの素晴らしい伴侶が喜んで参加するだろう。
「……わかった、軍に所属しているという形だけでいい。指示も何も聞かなくていい。ただ、我が隊に所有権のみを貰いたい。そちらにとってもメリットだとは思うぞ?」
「その理由は?」
だが、どうやら違ったようだ。
既に交渉は始まっていた。
さすがは達也の上司というべきだろうか。
「メリットは、十師族からの勧誘を防げることだ。」
確かに、これはメリットだった。
軍隊に所属しているなら、所有権は軍隊にある。
つまり、十師族が関与してくる可能性が減るのだ。
ジブリールは襲われたら嬉々として反撃するだろうが、もし家が壊されては堪ったものではない。
「軍に所属するだけ、後は何もしなくてもいい、何も聞かなくてもいい、本当に所属するだけ。これだけですね?」
確認は怠らない。
これは前の世界で学んだことだ。
多少の確認ミスが、大きな隙を生むことに繋がる。
「ああ、構わない。入ってくれるか?」
「了解。『神の使者』として、入らせて貰います。いいですね?」
「了承した。では、これから頼むぞ、特尉。」
よって、佑馬とジブリールの軍隊入り(形だけ)が決定し、九校戦で怪しい動きがあるという情報だけを落として、風間は電話を切った。
「……さて、さっそく佑馬の技を見させてもらおうか?」
「性格悪いやつめ。まぁ、一つぐらいならな……深雪も呼んできてくれ。後、寝巻きだな。」
「ここで見せてくれればいいのだが。」
「泊まり込みで教えるんだよ。深雪一人でここに居させるわけにもいかないだろ?達也の立場的にも。」
「……わかった、少し待ってろ。」
達也は下で片付けをしている深雪を呼びに言ったため、佑馬はとりあえずソファーで寛ぐことにした。
◆◆◆
「……大きいですね……。」
「ああ、無駄に大きいな。」
「ほっとけ、さっさと入るぞ。」
あれから達也と深雪は寝巻きなど身辺の物をあらかた持ってきて現れた。
そして現在、転移で家の前にいる。
二人暮らしにしては異常に大きい家に、佑馬に急かされたため、急ぎ足で玄関に向かい、入る。
「すごい綺麗ですね。」
「まぁ、いい知り合いを持ってね。」
いい知り合い、つまりは神だが、そのおかげで暮らしには満足している。
「おかえりなさい。あら、達也に深雪?」
「ジブリール、お邪魔する……わね。」
ジブリールが奥から姿を現すが、その格好に、達也も深雪も固まった。
天翼種特有の私服、露出の高い服装だ。
しかし、それを知らない人がこれを見ればどう思うだろうか。
家の中、しかも二人きりの家で、男女だけの家で、こういう格好をしていれば、当然ことだが、
「……その……すごいわね。」
顔を赤くしながら佑馬とジブリールを交互に見る深雪。
まぁ、そう見られても仕方がないだろう。
「まぁ、これはいつものことだから気にするな。とりあえず、付いてこい。」
そして、例の部屋。
あの真っ白な部屋に、達也と深雪を入れた。
「……これはどういう魔法だ?」
「企業秘密。でも、ここを使って教えるよ。ここは外の空間とは隔離された空間だから、魔法をどんなに打っても問題はない。」
達也と深雪はこの時、佑馬とジブリールが何故あんなに魔法を使いなれている理由がわかった気がした。
「それじゃあ、さっそく見せるか。ジブリール、『天撃』よろしく。」
「了解でございます。」
「……何?」
達也の驚いたような声を無視して、ジブリールは空中へと飛んだ。
そして、手を翳す。
その瞬間、辺りをサイオンの嵐が襲う。
「これは……!」
「サイオンが……光ってる……!?」
そして、手を見た達也と深雪は、驚きを隠せない。
ジブリールの手には、可視出来るほどの凄まじいサイオンが凝縮されていた。
そして、手を振りかざす。
凄まじい轟音とともに、辺りに衝撃波がとぶ。
達也は反射的に深雪の前に立ち、佑馬はジブリールと達也、深雪を含む全員に反射膜を張った。
そして、部屋が見えてくると……
「……え?」
無傷の部屋に、深雪は声をもらした。
達也も驚いている。
「さて、これが達也に教える魔法『天撃』、別名『スカイ・バースト』だ。」
「……ッ!!」
そして、その驚きの表情はさらに強くなった。
スカイ・バースト。
それは、三年前に使われた、戦略級魔法だ。
それを、教えると。
「対価として不満か?」
「……逆にいいのか?」
言外に、十分すぎる、と言っている達也に、満足げに頷く佑馬。
「さて、じゃあ、使う系統から説明するぜ?」
そして、天撃を教える佑馬とジブリール。
CADに入れるための魔法式の効率化に時間がかかっているため、深雪は寝かせ、達也と佑馬、ジブリールで夜通し作業した。
さぁ、展開を先読みしてみてください!
(当たったときの対応が困る。)
次回、やっと、本当の九校戦が始まります。
天撃って、収束と放出だけでいけるような気がするのは自分だけだろうか。
力に物を言わせる魔法。