今回・・・・とうとう紅い月が昇ります。
「どうなってしまうかは・・・・本編でご確認を」
それでは本編にいきましょう。
「本編どうぞ」
noside
紅魔館の大広間。この場にレミリア、フラン、咲夜、パチュリー、小悪魔、美鈴、そしてミコトといった紅魔館の主だったメンバーが集っていた。
その目的は・・・・・例の時に備えるためにだ。
「咲夜。あとどれぐらいかしら?」
「30分程でございますお嬢様」
「そう・・・・」
「お姉様・・・・」
咲夜からの回答を受け、不安そうに俯くレミリア。そしてそのレミリアの手を同じように不安な表情を浮かべたフランがギュッと握った。
30分。それは紅い月が昇る・・・・二人にとっては絶望の時へのカウントダウンであった。
「・・・・・大丈夫ですよレミリアお嬢様、フランドールお嬢様。パチュリー様と私を・・・・信じてください」
そんな二人の不安を拭うかのようにミコトは優しく頭を撫でる。
「ミコト・・・・・ええ。そうね」
「私・・・・信じる。お兄様とパチュリーのことを」
ミコトに励まされたレミリアとフランは僅かに表情を明るくさせた。
「ミコト。そろそろ始めましょう」
「わかりましたパチュリー様」
パチュリーに促されてミコトは定位置について魔力を練り上げ始めた。
「いくわよミコト」
「はい」
「「魔壁『インサニティ・ゼロ』」」
ミコトとパチュリーはレミリアとフランの周りに魔力でできた結界を展開した。
「・・・・二人共気分はどう?」
「・・・・ええ。すごく心地いいわ」
「本当に・・・・なんだか落ち着く」
パチュリーに問われたレミリアとフランは落ち着いた様子で答えた。
「この結界はいわばアロマセラピーみたいなものよ。結界を構成する魔力が対象者に作用して心身をリラックスさせる効果があるの。もっとも効力はアロマセラピーなんかとは比較にならないほどのものだけれど」
「この結界の効力をもってお嬢様方の狂気を打ち消すというわけです」
「なるほど・・・・・」
パチュリーとミコトの説明を聞いて納得したように頷くレミリア。
「ということは・・・・お兄様とパチュリーはこの結界を一晩中貼り続けるっていうこと?」
「まあそうなりますね」
ミコトはなんともないといった様子で答える。
「大丈夫なの?一晩中だなんて魔力が持たないんじゃ・・・・・」
「大丈夫よ。私の魔力はそんじょそこらの魔法使いと比較にならないほど高いんだから(まあ本当はミコトがいなかったら少しきつかったんだけど)」
心の中でポソッと呟きながらレミリアの問いかけにパチュリーが答えた。
「ならいいけど・・・・」
「それよりも・・・・まだ月は昇っていません。パチュリー様の開発した魔法を疑うわけではないけれど万が一ということもありますし・・・・警戒は解かないようにしておきましょう。美鈴、もしもの時は頼んだわよ?」
「はい咲夜さん!・・・・って、あれ?今私のこと名前で・・・・」
「どうしたの美鈴?」
「・・・・いえ!なんでもありません!(ようやく咲夜さんから名前を・・・・!)」
美鈴は咲夜にようやく名前を読んでもらえたことに感激していた。
「パチュリー様、体調が悪くなったら直ぐに言ってくださいね!直ぐにお薬を用意しますから!」
「ありがとう小悪魔」
両手いっぱいに何らかの薬を抱えて自信満々に言う小悪魔にパチュリーは少々苦笑いを浮かべながらも礼を述べる。
(・・・・本当にこの屋敷の皆さんは仲がいいですね)
ミコトは目の前の仲睦まじい光景を見てクスリと笑みを浮かべる。
(だからこそ・・・・・守らなければなりませんね)
そして、ミコトは彼女たちの笑顔を守ろうと決意を強くした。
月が昇り、一時間が経った。
レミリアとフランは・・・・
「・・・・どうやら成功みたいね」
「うん」
狂気に囚われてはいなかった。パチュリーの魔法は成功したようだ。
「あとは夜明けまで魔法を維持していれば・・・・お嬢様方が狂気に犯されることはありません」
ミコトがそう述べると皆は安堵のため息を吐いた。
その中でも当事者であるレミリアとフランは特に嬉しそうにしていた。
無理もないであろう。なにせもう狂気に恐れる必要はなくなり長年自分を苦しめていた問題が解決したと思ったのだから。
ただ・・・・・
得てして、ハッピーエンドというものは簡単には訪れたりはしない。
「そんなに思い通りに行くかな~?」
「「「!?」」」
突然気の抜けたような軽い調子の声がその場にいた全員の耳に入ってきた。
そして・・・・・
「キャッ!」
声が聞こえるのとほぼ同時に、パチュリーの体が弾幕によって弾かれ、吹き飛んでいった。
「パチュリー様!?」
ドサリと倒れ伏したパチュリーに慌てて駆け寄る小悪魔。
「大丈夫ですかパチュリー様?」
「え、ええ。大丈夫よ。それよりも早く魔法を・・・・「だめだよ~。そんなもったいないことしたら」・・・・え?」
急いで立ち上がろうとするパチュリーの傍らにぽわぽわした雰囲気を身に纏った少女・・・・・玻璃が現れた。
「うふふ~。二名様ごあんな~い♪」
玻璃が手を翻すとパチュリーと小悪魔の目の前に紫のスキマの様な空間の裂け目が出現し、その場にいた3人はその裂け目に飲み込まれてしまった。
「なっ!?」
「パチュリー様!小悪魔」
咲夜と美鈴は声を荒げ、先ほどまで二人がいた場所に駆け出そうとする。
そんな咲夜と美鈴の背後に・・・・・
「君達にも来てもらうよ!」
「「!?」」
先ほどの少女と雰囲気は違うが容姿は瓜二つの少女・・・・・瑠璃が現れる。
そして瑠璃は玻璃と同じように咲夜と美鈴、そして自身を空間の裂け目に飲み込ませた。
「これは・・・・一体?」
流石のミコトも目の前で起きた異常事態に対処しきれず、呆然としている。
その時・・・・
ゾワッ!
「ッ!!」
突如ミコトは背筋に凍りつくような寒気が襲う。慌ててミコトがその場から飛び退くと・・・・
ドンッ!
つい先ほどまでミコトの居た場所を巨大な紅蓮の槍が貫き、無数の紅の弾幕が降り注いだ。
「この槍と弾幕は・・・・・」
ミコトが槍の飛んできた方に振り向くとそこには・・・・・・・・俯きながら黙り込んでいるレミリアとフランが居た。
二人の体は次第に小刻みに震えだし、そして・・・・・
「「アハハ・・・・アハハハハハハハハハハ!!」」
表情を狂気に染め、大声で狂った笑い声を上げた。
「ここは・・・・一体?」
空間の裂け目に飲み込まれた咲夜の眼前には、草木が一本も生えていない荒野が広がっていた。
「咲夜さん!」
自分の名を呼ぶ声に反応し、振り返るとそこには美鈴が居た。そのすぐ近くにはパチュリーと小悪魔もいる。
「美鈴、パチュリー様、小悪魔」
直ぐに3人のそばに咲夜は近寄る。
「3人共無事だったのね」
「はい。それにしても・・・・・ここはどこなんでしょう?」
「見た限り幻想郷・・・・・ではないですよね?」
美鈴と小悪魔は辺りを見渡す。
「それよりもどうにかして紅魔館に戻らないと・・・・・レミィとフランが・・・・」
そんな中パチュリーが不安そうな表情を浮かべていた。
自分がこの場にいるということはすなわち・・・・・魔法が解除されてしまったということだとパチュリーは理解していた。
「そうですね。一刻も早く紅魔館に・・・・」
「そういうわけにはいかないよ!」
紅魔館に戻る方法を思案しようとする咲夜の耳に聞き覚えのある声・・・・先ほど自身をこの空間に連れてきた者の声が聞こえてくる。
声に反応して振り返る咲夜。そこには・・・・瑠璃と玻璃がいた。
「どうもはじめまして!私は瑠璃ちゃんだよ!」
「はじめまして~。私は玻璃ちゃんで~す」
何食わぬ表情で名を名乗る瑠璃と玻璃。
「ここいい場所でしょ~。私たちの故郷なんだ~」
「まあこんなにしちゃったのは私たちなんだけどね!」
二人はニコニコと笑顔を浮かべながら言う。
「あなた達・・・・・一体」
「『一体誰なのか?』って聞きたいんだね?でも無駄だよ!答えるつもりないもん!」
瑠璃は可笑しそうに笑いながらキッパリと言い放つ。。
「なら答えなくてもいいです・・・・・私たちを紅魔館に帰してください」
「それはだめ~。だってつまらないも~ん」
睨めつけながら言う美鈴の言葉に、今度は玻璃が答えた。
「つまらない?」
「うん。今日は吸血鬼の姉妹がいい感じに狂って暴れてくれる日なのに・・・・それを邪魔しちゃうなんてつまらないよ!」
「そうそう~。せっかくの機会なんだから吸血鬼には目一杯暴れてもらわないと~」
瑠璃と玻璃は全く悪びれた様子を見せずに楽しそうに言う。
「それでそれで!どうせなら・・・・・あの吸血鬼ちゃん達にはミコトくんを壊しちゃって欲しいよね!」
「ね~♪」
「・・・・何ですって?」
ミコトを壊して欲しい。その言葉を聞いて咲夜は激昂を顕にした。
「あなた達随分とつまらない冗談を吐くのね・・・・・・切り刻むわよ?」
咲夜は瑠璃と玻璃に殺気をぶつけながらナイフを構える。
「きゃ~!こわ~い!流石は切り裂き魔さんだね~」
「!?あなた・・・・なぜそれを・・・・?」
咲夜の表情は驚愕に染まる。
「知りたい知りたい?でもそれも教えてあげないよ!」
「くっ・・・・」
明らかにからかわれていると咲夜は自覚し、表情を強ばらせる。
「咲夜、無駄話はそこまでよ。話が通じる相手じゃないって言うなら・・・・・やることは一つよ」
「彼女たちにお仕置きして・・・・・力づくで紅魔館に帰させてもらいましょう」
「それしか無いようですね」
パチュリー、小悪魔、美鈴は戦闘態勢に入った。
「そう簡単にはいかないよ!あなた達には夜が明けるまではここにいてもらうんだから!」
「皆~。出てきて~」
玻璃が呼ぶと地面から夥しいほどの数の黒い人型が現れた。
「それは・・・・あの時の!」
咲夜にはその人型に見覚えがあった。その人型は・・・・かつて紅魔館に現れた暴虐者であったのだ。
「皆・・・・・やっちゃえ!」
瑠璃の指示のもと、暴虐者たちは一斉に咲夜達に襲いかかった。
一方紅魔館では・・・・
「「アハハハハハハハハ!!」」
未だにレミリアとフランは狂った笑い声を上げていた。
(・・・・まずいですね。パチュリー様がいなければ魔法の発動ができません)
そんな二人の姿を見たミコトは冷や汗を浮かべていた。
ミコトができるのはあくまでパチュリーの魔法の補助のみ。魔法の発動自体はミコトにはできないのだ。
「ねえミコト」
笑い声を止めたレミリアがミコトに声をかける。その表情から・・・・・完全に狂気に染まってしまっているとミコトは理解した。
「今夜の月は・・・・すごく綺麗だと思わない?」
レミリアはうっとりとした様子で大広間の天窓から紅い月を眺める。
「知ってると思うけれど私はね、紅い色が大好きなの。だから・・・・・・ミコトを血で真っ紅にしちゃってもいいよね?」
ニタァと悍ましい笑顔をミコトに向けるレミリア。
「アハ!アハハハハハ!壊す壊す!お兄様を・・・・・お兄様を壊して遊ぶ!アハハハハ・・・・・!」
一方フランは未だに笑い声を上げながら今まさにミコトを壊そうとウキウキしている。
「レミリアお嬢様・・・・・フランドールお嬢様・・・・仕方がありませんね。こうなってしまっては・・・・・誓いを果たさなければなりません」
ミコトは服装を正し、クラマとシラマを双剣へと変化させた。
「お嬢様方・・・・私はあなた達に何も壊させません。そして・・・・私自身も壊れません」
ミコトの思い返す。悲しみにくれ、涙を流す二人と交わした誓いを。そしてその誓いを違えないと心に強く言い聞かせる。
「さあ・・・・くるならきてください。私は・・・・・誓いを果たして見せます!」
「「アハハハハハハ!!」」
決意を固めたミコトに向かって、二人の吸血鬼が襲いかかった。
紅い月が昇る夜・・・・
狂乱の宴が幕を開けた
あとがき座談会のコーナー!IN東方!!
今回のゲストは咲夜さんです!
「よろしくお願いするわ」
はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう!
「今回とうとう紅い月が昇ってしまったわけですが・・・・案の定邪魔者が現れてしまいましたね」
「そうね。瑠璃と玻璃って言ったわね・・・・・厄介この上ないわ。しかもあのことを知っているなんて・・・・」
「あのことっていうのは切り裂き魔のことですか?どういう事なんですか?」
「それは・・・・・ごめんなさい。今は言えないわ。いつかあなたには必ず言うから・・・・それまで待っていて頂戴」
「咲夜さん・・・・わかりました。それまで待たせてもらいます」
まあそのことに関しては咲夜さんの二次設定では結構有名ですからわかる人にはわかるでしょうね。それでは話を変えますが結局ミコトさんは一人でレミリアさんとフランちゃんを止めることになっちゃいましたね・・・・
「まさか咲夜さん達を別次元に隔離するとは思いませんでした・・・・あれが瑠璃と玻璃の能力なのですか?」
いいえ違います。あれは二人が使う魔法のようなものですよ。能力は別にあります。
「あれほど高度な魔法を使えるなんて・・・・よほどの使い手なのね」
そうですね。幻想郷基準で考えるとトップクラスです。単体でも最低幽香さんクラスの実力を持っていますし。二人で協力するともっと凄まじいですからね。
「油断ならないわね・・・・」
「気をつけてくださいね咲夜さん」
「わかっているわ。ミコトも・・・・お嬢様達のこと頼んだわよ」
「はい」
さて、それでは今回はここまで・・・・と言いたいですがここで人気投票の途中経過を発表しましょう!
「ああ・・・・そんなのやっていましたね」
そんなの言わないでくださいよ!さて、それでは・・・・どうぞ!
一位 霊夢 14票
二位 フラン 13票
三位 咲夜 11票
四位 魔理沙
幽々子 9票
五位 妖夢 8票
とまあ以上です!
「霊夢様は流石は原作主人公といったところですね」
「まあそうね。それにしても私がお嬢様を差し置いて三位だなんて・・・・恐縮だわ」
まあ咲夜さんは人気ですからね。特に執事ミコトさんのコンビ的な感じですし。
「そう言われると・・・・悪い気はしないわ」
さて、今回はここで締めましょう。
それでは・・・・・
「「「次回もまたきてください(きなさい)!!」」」