さて!今回も前回に引き続き竜希さんの白玉楼での生活です!
「・・・・・いやいやいやいや!そんな感じじゃあないよね?なんかシリアスになってるよね?」
それは・・・・・そうですね。
「認めやがった!」
まあいいじゃないですか。大事な話なんですから。
「まあそうだけどね~」
さあ、それでは本編にいきますか!
「はいは~い!それでは本編どうぞ!」
side 妖夢
ここは白玉楼。食卓にはいつもと同じように朝食とは思えないほどの数の皿が並べられ、いつもと同じように幽々子様がその料理に舌鼓を打つ。
でも・・・・・・・今この場にいつもと違うものが2つある。
「ねえ妖夢」
「なんでしょうか幽々子様」
「今日の朝ご飯もすごく美味しいんだけど・・・・・この魚だけ香ばしいというか・・・・・なんか焦げてないかしら?」
「うっ・・・・そ、それは」
一つは焦げてしまった魚。普段ならばこのようなものが食卓に並ぶことはないのが今日は私のミスで焦がしてしまった。
そしてもうひとつの違うものは・・・・・・
「あ~・・・・ごめん幽々子さん。それ俺のせいで焦げちゃったんだよね~」
彼・・・・・竜希さんがこの場にいることだ。
「え?」
「そうだったの」
「違います幽々子様、それは・・・・「うん。本当にごめんね~」
竜希さんは私の言葉を遮って言った。
「別にいいわ。これはこれで美味しいもの」
幽々子様は全く意に介する素振りを見せずに焦げてしまっている魚を美味しそうに口に含んだ。
「あの竜希さん・・・・・どうして」
私は幽々子様に聞こえないように小声で竜希さんに聞いた。
「ん~?だって本当のことでしょう?あれは俺が原因で焦げちゃったみたいだし」
「それは・・・・・」
私はそんなことないと断言することができなかった。実際に竜希さんのことを考えていたから魚から目を離してしまい焦がしてしまったから。だから焦がしてしまった原因が竜希さんにあるというのは間違いではない。
でも・・・・・
「それでも過失は私にあります」
「あ~・・・・かもね。でもいいじゃん。幽々子さんあんまり気にしてないみたいだしさ。よ~むちゃんもあんまり気にしなくてもいいんじゃない?」
なんというか・・・・・いい加減な物言いですね。だけど・・・・・竜希さんに言われると本当にそれでいいような気になってきてしまう。
「それよりも・・・・・早く食べないとよ~むちゃんの分なくなっちゃうよ?」
竜希さんが苦笑いを浮かべて言ってきた。机を見ると半分以上のお皿が空になっていた。
その原因は幽々子様だ。相変わらず食べるのが途轍もなく早い。
「・・・・そうですね」
私は竜希さんの言うとおり、食事を進めることにした。
「ふう、美味しかったわ」
しばらくして大量にあった料理は全てなくなった。今は食後のお茶を飲んでいる。
「今日の朝食は竜希も作ったのよね?」
「うん、そだよ~」
「なかなかいい腕よ。妖夢にも引けを取らないわ」
「いやいや、そんなことないよ~?よ~むちゃんの方がずっと上手だし」
「そんな・・・・・私なんてまだまだです」
「そんな謙遜することないよ。もっと自信持ちなって!」
「そうよ妖夢。あなたの料理はいつも美味しいわよ」
「・・・・・ありがとうございます」
私は褒められて少し恥ずかしなってしまった。
「やっぱり照れてるよ~むちゃんは可愛いな~」
「!!た、竜希さん!」
「アッハハハ!」
「ふふふ♪」
竜希さんはおどけたように笑った。そんな光景を幽々子様は微笑みながら見ている。
「もう・・・・・食器を洗ってきます」
私は机の上の皿をまとめて持ち上げる。
「あ、じゃあ俺も」
「いえ、竜希さんはいいです。その代わり幽々子様の相手をしてあげてくれませんか?」
「え?幽々子ちゃんの?」
「ええ」
(竜希さんが手伝いを申し出てくれたのは嬉しいけれど・・・・・正直ずっと一緒にいると色々と考え過ぎて家事に集中できなさそうだし)
「そうね~・・・・・一人だとやることがなくて暇だから少し相手をしてもらっていいかしら?」
「うん。わかったよ~」
「それじゃあ行きましょ」
「はいは~い」
竜希さんと幽々子様は今から出て行き、幽々子様の部屋に向かった。
「・・・・・さて、私も食器を片付けないと」
私は食器を持って台所に向かった。
side 幽々子
「これでどうかしら?」
パチ
「あ~そうくるか。それじゃあこう」
パチ
「あら?これはちょっとまずいわね」
私は今竜希を相手に将棋を指している。私はそれなりに強いという自覚はあるのだけれど・・・・・彼もなかなか強いわね。
「う~ん・・・・・どうしましょう?」
「・・・・・ねえ幽々子さん。聞きたいことあるんだけどいい?」
私が次の一手を考えていると竜希は話しかけてきた。
「何かしら?」
「・・・・・どうして俺をここに住まわせようと思ったのかな?」
聞いてきた竜希の口調はさきほどと変わらないがその眼は真剣だ。
「・・・・・妖夢のためよ」
パチ
私は駒を打ちながら答えた。
「よ~むちゃんの?」
パチ
「ええ。妖夢には・・・・・・妖夢が強くなるにはあなたが必要だから」
パチ
「・・・・・そっか。幽々子さんは随分とよ~むちゃんのことを思ってるんだね」
パチ
「ええ。あの子は・・・・・・私にとって大切な子ですもの」
パチ
「・・・・・へえ、そうなんだ」
パチ
「でも・・・・・正直に言うとね。私自信は妖夢が強くなろうがどうなろうがどうでもいいと思ってるの」
パチ
「・・・・・・どういうこと?」
パチ
「・・・・・別に強くなくたって構わないもの。私は・・・・・あの子が居てくれるだけで構わないから」
パチ
「・・・・・・居てくれるだけで構わないねぇ。でもさ・・・・・よ~むちゃんはそう思ってはいないよ?」
パチ
「・・・・・わかっているわよ。妖夢は・・・・・私を守るために強さを求めている。だから・・・・・私はその気持ちを汲んであげたいの」
パチ
「・・・・・・それが何を意味しているのかはわかっているのか?」
パチ
「・・・・・ええ。強くなるということは・・・・・それだけ危険が大きくなるということ。大きな力を持てば戦いを引き寄せてしまう」
パチ
「・・・・・わかっていながら強くなって欲しいと願うのか?大切な者を・・・・・・危険に晒してもいいのか?」
パチ
「・・・・・・それが、あの子の願いだから」
パチ
「・・・・・・そうか」
パチ
「・・・・・・詰んだわね」
「ああ。俺の勝ちだ」
「・・・・・強いのね」
「・・・・・ああ」
「・・・・・竜希、妖夢ことをお願い」
私は竜希の目を正面から見据えて言った。
「・・・・・・」
スッ
竜希は立ち上がり、部屋の入り口の戸に手をかける。
「・・・・・言われるまでもない。妖夢を強くすることは・・・・・・俺の願いでもあるんだからな」
「そう・・・・・ありがとう」
「・・・・・・」
パタン
竜希は何も答えずに部屋から出て行った。
「・・・・・本当に強いわね彼は」
私は将棋の駒を撫でた。
「でも・・・・・・次は勝つわ」
私以外誰もいなくなった部屋でそう呟いた。
side 妖夢
「フッ!ハァッ!」
私は家事を一通り終え、私は庭で刀を持ち素振りをしていた。
「ハアハア・・・・・・」
「やっぱり綺麗な太刀筋してるね」
「!!」
声のする方を見ると、そこには竜希さんがいた。
「素振りしてたんだ」
「・・・・・ええ。家事は一通り全て終えましたので」
「へぇ、そっか」
「・・・・・これじゃあダメなんですよね?」
「ん?」
「これじゃあ・・・・・このままじゃあ・・・・・私は強くなれないんですよね?」
今のままじゃあ・・・・竜希さんの言う綺麗な太刀筋じゃあ私は・・・・・・
「・・・・・そうだね。その太刀筋じゃあ・・・・強くはなれないよ」
竜希さんは苦笑いを浮かべて言う。
「・・・・・綺麗に剣を振るうだけじゃあ強くなることはできない。大事なのはどうすれば相手を斬ることができるのか・・・・・その為にどう動けばいいのか。それを知る必要がある」
「・・・・・・」
「あの時にも言ったけど強者にとって無駄のない動きほど読みやすいものはない。知性の低い奴や戦いに精通していないような奴だったら綺麗な今の妖夢でも全く問題なく対処できるだろうけどね」
「・・・・・そう、ですか」
・・・・・やっぱり私は・・・・・弱いんだ。
今までは剣を振るうことしか考えていなかった。
太刀筋をより鋭くすることが強くなるために必要なことだと思っていた。
でも違う・・・・・私が今までやってきたことは・・・・・強くなる為には役に立たないことだったんだ。
ギュウ・・・・・
私は自分の今までやってきたことの無意味さを恨み刀を強く握り締めた。
「でも、だからこそ妖夢は・・・・・・強くなれる」
「え?」
「・・・・・・太刀筋を見ればわかる。妖夢が今までどれほどの思い出剣に向き合ってきたのかが。その思いが・・・・・ひたむきさが・・・・・・剣に対する誇りとなる」
「誇、り?」
「・・・・・・今までの妖夢に足りなかったものは二つ。一つは剣を振るうことに対する覚悟。もう一つ戦闘経験。それさえあれば妖夢は・・・・・・確実に強くなれる」
覚悟と・・・・・経験・・・・
「魂魄妖夢。お前は・・・・・強くなりたいか?」
竜希さんは私を正面から見据えて、あの時私に刃を向けた時のように研ぎ澄まされた雰囲気をまとい問う。
(凄い威圧感・・・・・・押しつぶされてしまいそう・・・・でも)
「・・・・・はい。私は・・・・・・強くなりたい」
私は竜希さんの問いかけに答える。決して目を逸らさず、正面から見据えて。
「・・・・・・何の為にだ?」
「・・・・・幽々子様を守るため、そして・・・・・・竜希さんの『求め』に応えるためにです」
強くなりたい理由。それは・・・・・昔から変わらない思い。そして・・・・新たに芽生えた思い。その為に私は・・・・・・強くなってみせる。
「・・・・・ミコトから聞いたんだな?」
「はい」
「・・・・・・覚悟はあるんだな?」
「・・・・・・はい。刀を振るう覚悟も・・・・・・・強くなる覚悟も・・・・・・・あなたの『求め』に応えるための覚悟も。私にはあります」
「そうか・・・・・・わかった。なら俺が・・・・・妖夢を強くする。妖夢に戦い方を教えてやる。だから・・・・・頼むから・・・・・・強くなってくれよ?」
「・・・・・はい!」
「・・・・・・・・ありがとう(ボソッ)」
「え?」
「・・・・・とりあえず修行は明日以降からだよ~。今日は・・・・・明日からの地獄の修行に備えてゆっくりしてな~」
竜希さんはいつもの口調に戻し、私に背を向けて手をヒラヒラと振って屋敷に戻っていった。
竜希さん、私は必ず強くなってみせます。
あなたの『求め』るもの・・・・・・
あなた以上に強い存在に必ずなってみせます
あとがき座談会のコーナー!IN東方!
今回も前回に引き続き竜希さんと妖夢さんのお二人と進めて行きましょう!
「今回の話は・・・・・重いよね」
「確かに・・・・そうですね」
「妖々夢編が終わってようやく平和なほのぼの話が展開されると思ったのにな~」
それは・・・・はい。すみません。
「まあ別にいいちゃあいいんだけどさ。ただ俺が真面目モードになる機会が多すぎるんだよね~。俺って普段はこっちのキャラ押してるんだよ?」
「今のところ真面目モードの比率の方が多いような気がしますね」
「ね~?」
う~ん・・・・実際は道化モードと真面目モードの比率はいいとこ1:1ぐらい割合だからそこまで頻繁に真面目モードになっているわけじゃあないんですけどね。
「真面目モードになった時の話が重いからそっちの印象が強いんでしょうか?」
まあそうなんでしょう。
「・・・・ねえ主。お願いだからもうちょっとのほほんとした話増やしてくれない?もう俺キャラぶれまくりだよ?」
検討しておきましょう(まあ予定ではこの章で真面目モードに入る機会はいくつか用意しているんですけど)
「・・・・・な~んか今間がなかった?」
気のせいですよ!それよりもそろそろ本編の話ししません?
「そうですね。今回特に話すことといえば・・・・・やはりラストの竜希さんの『求め』の正体ですかね?」
「あ~・・・・まあそうなるのかな?」
ですね。というわけでラストで妖夢さんが言っていた通り竜希さんの一つ目の『求め』の正体は『自分よりも強い存在』です。
「まあ読者の中には気がついている人はたくさんいるみたいだけどね~」
・・・・・まあ確かに。感想見てると察している人結構いましたもんね。正直これはわかりやすいかなと思いましたし。
「誰よりも強いが故に自分よりも強い者を求める・・・・・・ですか」
「まあそういうことだね~・・・・正直俺からしたら『最強』なんてうんざりだから」
「そんなにですか?」
「そうだよ~。だって『最強』でいたところで何の得にもならないし~。『最強』だって理由で戦わなきゃいけない事もあったし~・・・・・本当に面倒だよ」
私にはわかりませんが『最強』であるっていうのも色々と大変なんですね。
「まあね~。さて、それじゃあそろそろ締めにしない?」
と、そうですね。それでは・・・・・
「「「次回もまたきてください(きてね~)」」」
ここでお知らせです
この小説ですが更新ペースが遅くなる可能性があります
理由は仕事が忙しいのと最近始めたISの小説の更新を優先するためです
ISの二期が始まったので今私の中でISが一番のトレンドになりましたので
ただこの小説も最低でも週一で更新できるようには頑張ろうと思います
それではこれで失礼いたします