東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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ハア・・・

「開始早々なにため息ついてんだよ」

いえ、ミスを無くすのって難しいと思いましてね。前回あんなこと言っておきながら、結局他にもミスがあったの気がつきまして。

「それで落ち込んでたのかよ」

はい。頑張ろうといきごんでみたもののやっぱり難しいと思い知らされました。

「確かに。難しいだろうな。ただな主、あんただって人間だ。ミスを完全になくすなんておそらく無理だ。大事なのはミスをなくそうと注意可能な限り気をつける気持ちだ。ミスをしてしまったときにすることはいいことだと思うが、気にしすぎていてはダメだ。気にしすぎたらミスを恐れて逃げてしまうこともあるだろうからな。あくまで大事なのはミスをなくそうとする心構えとミスしても次に活かそうと考えることだ。それを忘れるな」

ミコトさん・・・
はい!私頑張ります!!

「分かればいい。さて、少し辛気臭くなってしまったな。主」

はい!それでは東方~儚き命の理解者~第2話始まります。

「ゆっくりしていってくれ」


第2話

side ミコト

 

 

 

「改めてお礼を言うわ。お賽銭ありがとう!」

 

霊夢は俺に向かって満面の笑みを浮かべ礼を言ってきた。

 

「別に、手持ちがそれしかなかっただけだ」

 

俺はそう返した。事実、俺の財布には諭吉しかなかった(アルミも3枚あったが)わけだから嘘は言っていない。

 

「それでもお礼を言うわ。本当にありがとう!」

 

またしても笑みを浮かべ礼を言う。初めて対面した時と同じ笑顔だ。

 

(この笑顔が諭吉1枚か)

 

だとしたら安いと思った。俺の周りにはこんなふうに俺に笑顔を見せてくる人なんてほとんどいない。だからこそ、俺にとって霊夢の笑顔には諭吉以上の価値があるように思えた。

 

(後でもう一枚入れるか)

 

俺は心の中でそう固く決意した。手持ちがアルミ3枚になろうが構わない。

 

「お礼にお茶をご馳走するわ!付いて来て」

 

そう言って、霊夢は俺の手を引いて居間に向かった。

 

 

 

side 霊夢

 

 

「お茶入れてくるから少しここで待ってて」

 

そう言って、私は台所に向かった。今、私の気分はとても晴れやかだ。久しぶりにお賽銭が入った。しかも、かなりの高額だ。

 

(後で、紫に変えてもらおう)

 

私は、鼻歌まじりにお茶の準備を始めた。いつもは何回使ったかわからない出がらしを使っているが今日は違う。急須に入っている古い茶葉を捨てて、棚から新しい茶葉を取り出し、急須に入れる。恩人をもてなすのだ。贅沢しなければ。

 

(そうだ、確かまだ)

 

私は、茶葉が入っていた棚とは違う棚をあけ、そこから栗羊羹を取り出した。以前紫にもらった人里で美味しいと評判の栗羊羹だ。実際私も食べたが。程よい甘さと大きめの栗がうまく合わさってとても美味しい。最後のひと切れであったが、ミコトはは恩人。しかも勘違いで気絶させてしまった。ミコトは気にしていないといっていたが、私はどうしても気にしてしまう。普段の私であるなら彼の言うとおり気にすることはなかったが、彼は恩人だ。気にせずのはいられない。恩人のためなら栗羊羹のひと切れやふた切れさし出すことに抵抗などない。私は栗羊羹を皿に載せた。お湯も沸いたようなので急須にお湯を入れ、湯呑を2つ用意してお盆に乗せて、ミコトの待つ居間に戻った。

 

「お待たせ、ミコト」

 

そう言って居間に入る。そこには私の恩人であるミコト。そして、幻想郷の賢者八雲紫がそこにいた。

 

side ミコト

 

霊夢がお茶を入れに行った。人にお茶を淹れてもらうのはひさしびりだな。俺はひとりになった部屋でそう考えていた。さて、ひとりで待つのも暇だし、そろそろ話を聞くか。

 

「いい加減姿を現したらどうだ?」

 

俺は、一見すると何もない空間に向かってそう言った。すると、その空間が開いた。開いた空間には多くの目のようなものが見える。そして、その空間から1人の女性が現れた。長い金髪に、白い帽子、白と紫色の衣装で、傘を持っている。10人中10人が振り向いてもおかしくないもどの美女だ。しかし、その雰囲気はどこか胡散臭さを醸し出しており、人間とは違った気配を感じた。

 

「よくわかったわね。いつから気づいていたの?」

 

「この神社に入ったときからだ。ずっと気配を感じていた」

 

そう。この女性は俺が神社に入ってからずっと俺を見ていた。姿は見えなかったが、神社に入ってから気配は感じていた。そして、目を覚ましたあの時も気配を感じていた。このことから俺は彼女が俺を見ていたのだと結論づけた。

 

「そう。あなた、ただの人間じゃあなさそうね」

 

「さあ。どうだろうな?」

 

「おもしろいわね。あなた、名前は?」

 

「聞いてたんだろ?だったら名乗る必要はない」

 

「わかってないわね。こういうのは本人の口から聞くことに意味があるのよ」

 

「だったら先にあんたが名乗れよ。人の名前を尋ねるなら自分から名乗るのが礼儀だろ?」

 

「ふふ。それもそうね。私は八雲紫。霊夢の保護者みたいなものよ」

 

「八雲ね。わかった。俺は一夢命だ。もう知ってるだろうけど。」

 

「よろしくね。一夢君」

 

「一夢と呼ばれるのは慣れていないといっただろう」

 

「あら、あなただって八雲と読んでいたじゃない。名前で読んで欲しかったら紫と呼びなさい」

 

どうやら彼女は胡散臭いプラス食えない女性のようだ。

 

「わかったよ。紫」

 

「それでいいのよ。ミコト君」

 

「できれば君付けもやめてほしいんだが」

 

「ふふ。わかったわミコト」

 

本当に食えない人だ。そう思っていると、霊夢が居間に向かって来るのを感じた。少しして霊夢が居間に着いた。

 

「お待たせ。ミコト」

 

そう言って霊夢が居間に入ってきた。そして、紫の姿を確認すると。

 

「なんでいるのよ。紫」

 

呆れた様に、いや実際呆れているのだろう。紫に言った。

 

「あら?私がここにいたらいけないのかしら?」

 

「当然よ、ここは私の神社なんだから勝手に入ってこないで」

 

どうやら、というよりやはり、霊夢の保護者というのは嘘のようだ。保護者だったらこんなふうに言われることはないだろう。

 

「冷たいわね。ところでいいのかしら?せっかくのお茶が冷めちゃうわよ」

 

「わかってるわよ。今淹れるわ」

 

そう言って霊夢はお茶の準備を始めた。

 

「大丈夫?紫に変なことされなかった?」

 

お茶の準備をしながら霊夢が訪ねてきた。どうやら霊夢の紫に対する信頼は薄いようだ。

 

「大丈夫だ。俺の暇つぶしに付き合ってくれただけだから」

 

「そう。ならいいわ」

 

「ひどいわね。そんなに私が信用できない?」

 

「できないわね」

 

霊夢は迷いなく断言した。しかし、どうも本気で言っているようには聞こえなかった。

 

「ふふ・・・♪」

 

どうやら紫も本気で言ってるわけではないと気づいてるようだ。

 

「はい。どうぞ」

 

そうこうしているうちに。お茶を淹れ終わったようだ。俺と霊夢の前にお茶が置かれている。さらに俺の前には栗羊羹も置かれている。

 

「あら?新しい茶葉を使うなんて、奮発したわね」

 

「別にいいでしょ。紫には関係ないんだから」

 

「関係なくなんてないわ。私も飲むんだから」

 

そう言い紫はどこからか取り出した湯呑にお茶を注いだ。

 

「ちょっと!誰も飲んでいいなんて言ってないわよ!」

 

「いいじゃない。もともとこの茶葉は私があげたものなんだから」

 

「うっ」

 

反応を見る限り、事実のようだ。霊夢は反論できずにいる。

 

「ところで、羊羹は彼の分しかないのかしら?私も食べたいのだけれど」

 

「悪いけど彼の分しかないわ」

 

「あら。残念ね」

 

どうやら羊羹は俺の分しかないらしい。しかし困ったことになってしまった。

 

(俺甘いもん食べれないんだけど)

 

そう。俺は甘いものが苦手なのだ。食べると気分が悪くなってしまう。しかし、残したりしたら、せっかく用意してくれた霊夢に失礼だ。どうしたものかと考えていたら。

 

「どうしたの?」

 

霊夢が俺に尋ねてきた。お茶にも羊羹にも手をつけない俺に疑問を持っただろう。

 

(白状するか)

 

俺は意を決して話す。

 

「俺甘いもの食べれないんだよ」

 

「えっ?そうなの」

 

「ああ」

 

「ならその羊羹は私が「だからこの羊羹は霊夢が食べろ」

 

紫の言葉を遮って俺は言った。

 

「いいの?」

 

「ああ。後ひと切れしかないってことは霊夢も好きで食べてたんだろ?だったら遠慮する必要はない。これはもともと霊夢のものだからな」

 

そう言い俺は霊夢に勧めた。

 

「そ、そう。じゃあ遠慮なくいただくわね」

 

そして霊夢は羊羹を半分に割って口に含んだ。どうやら彼女の味覚に合うらしい。とてもおいしそうに食べている。その姿を見れただけで十分だった。

 

「羨ましいわね。霊夢」

 

紫は羨ましそうに、そして微笑ましそうに言った。

 

「・・・ん」

 

霊夢は羊羹が乗った皿を紫の近くに置いた。

 

「あら?」

 

「あんたも食べたいんでしょ?もともとあんたから貰ったものだし、あげるわ」

 

どうやら霊夢は若干ツンデレの気があるようだ。

 

「ふふ・・・♪ありがとう。霊夢」

 

そのことは紫もわかってるらしい。

 

「・・・ふん!」

 

霊夢は気恥ずかしいのかそっぽを向いた。俺はお茶を飲みながらその様子を眺めていた。久しぶりに他人に淹れてもらったお茶は美味しかった。




あとがき座談会のコーナー!

さて今回もやってまいりました。座談会の時間です。ゲスト、というかもはやレギュラーの

「ミコトだ」

そしてもうひとり!

「八雲紫よ♪」

今回はこの3人で進めたいと思います。

「よろしくお願いするわ。」

それにしても紫さんお美しい!まさに妖艶の美女って感じですね!

「ふふ♪ありがとう」

紫さんの微笑みが見れたなんて、私はもう「そんなことより主」

ちょっ、ミコトさん!邪魔しないでくださいよ~。

「そいつは悪かったな。まあそれはともかく、なんで本編より先にあとがき書いてんだよ」

いや~。前回の座談会が楽しすぎましてね。ですのであとがきを書いてテンションを上げてから本編を書こうと思ったんですよ。

「3回もピチュられそうになって楽しいって、お前Mかよ?」

ピチュられそうになった恐怖よりも私はみなさんとの会話を楽しみたいんです!

「あら、それはいい心掛けね」

お褒めの言葉ありがとうございます!

「はあ・・・調子に乗るなよ」

まあまあ、いいじゃないですか。それより、おふたりとも聞きたいことはないんですか?

「それじゃあ、私から聞くわね。どうして私の冬眠が抑えられてるのかしら?」

ああ、それですね。その設定はプロローグができてから決まったんですよ。プロローグでいかにも冬の描写をしてたけどそう言えば紫さん冬眠するなあ、と思いだして。紫さんは早々にだす予定だったので、苦肉の策で作った設定です。

「つまりお前のミスでできた設定か」

・・・まあ否定はしません。

「あら?いいじゃない。私の出番がなくなるよりよりよっぽどいいわ」

寛大なお心ありがとうございます。

「(出番なくなってたらピチュられてたな)次は俺からいいか?」

はい。どうぞどうぞ。

「俺の名前だけど、なんでカタカナ表記なんだ?」

それは命と分けるためですね。この小説、命って単語よく使うんですよね。タイトルからして使ってますし。だからミコトさんの名前はカタカナ表記にしたんです。ただ名乗るときは違和感あるのでそのときは漢字表記にしています。

「そうか。ならこんな紛らわしい名前にしなければ良かったんじゃ」

いえいえ、ミコトさんの名前は重要ですよ!この小説のタイトルにもなってるんですから!

「?どういうことだ?」

一夢は儚いを意味してるんですよ。そして命はいのちを意味してるんです。つまりミコトさんの名前は儚き命を意味してるんです。

「んじゃあ理解者ってのは?」

あっ、すみませんがそれはオフレコです。まあ勘のいい人はわかると思いますが。

「なら、深くは追求しないどくよ」

ご理解ありがとうございます。

「最後にもうひとつ聞いていいかしら?私はミコトのお嫁さん候補かしら?」

いえ。違います。紫さんにはカップリング要素は考えてません。

「あら、どうしてかしら?」

紫さんには別の結構重要な立場についてもらう予定なんですよ。

「重要な立場?」

はい。どんな立場かはいえませんが、重要です。それでその立場ではミコトさんとも後に来る予定の人達ともくっつきにくいんで、紫さんのカップリングはありません。まあ紫さんのカップリングが見たいという要望があれば考えますが。

「そう、まあ主要キャラのひとりになれるんだったら特に文句は無いわ」

(どうしよう(汗)主要キャラっていってもあんまり出番無いかもなんて言えない)

「どうした、主?汗がすごいぞ」

い、いえ!なんでもないですよ!なんでもないですとも!

「(絶対なんかあるな)・・・まあいい。そろそろ締めるぞ」

はい!それではこれからも。

「「「よろしくお願いします!」」」

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