東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第58話!

さあ!今回はこの章での竜希さんの最大の見せ場となります!

「皆~。楽しみにしてくれよ!」

「それでは本編をどうぞ」


第58話

side ミコト

 

「な、なんだぜあれは?」

 

西行妖を見て魔理沙が呟く。西行妖は黒く、禍々しい瘴気を放っている。

 

(この感じ・・・・・・まずい!)

 

「皆、俺の近くに来い!」

 

「え?」

 

「早く!」

 

「わ、わかったわ」

 

霊夢達は俺の近くに集まった。

 

「命極「国生みの伊邪那岐」」

 

スペルカードを発動し俺達の周囲に結界が貼られた。

 

「これって・・・・あの時の治癒のスペルカードよね?」

 

「なんで今これを使ったの?」

 

咲夜と霊夢が聞いてきた。

 

「・・・・・・西行妖をよく見てみろ」

 

俺が言うと皆は目を凝らして西行妖の方を見た。

 

「!そんな・・・・・どうして・・・・・」

 

幽々子は表情を驚愕に染めた。なぜなら・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

西行妖が花を咲かせているからだ。まだ3分程だが徐々に、少しづつ満開に近づきながら。しかも・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

普通の桜とは全く違う黒々とした花をだ。

 

「西行妖は死を撒き散らす桜なんだろ?だからこのスペルカードを発動したんだ。このスペルカードの能力は正確には治癒ではなく生命力の供給だからな」

 

「それで西行妖の力と相殺させているんですか?」

 

「ああ、だから結界からは出るなよ」

 

俺は皆に念を押した。

 

「でも・・・・どうして?どうして急に咲き始めたの?」

 

幽々子が西行妖を見ながら言う。

 

「それは・・・・・・詳しくはわからない。だがもしかしたら既に花を咲かせるのに十分な春が集まっていて芽吹くのに時間がかかっていただけなのかもしれない」

 

「そんな・・・・・じゃあ西行妖が咲いたのは・・・・・私の・・・・・」

 

妖夢は膝をつき、項垂れる。

 

「・・・・・違うわ妖夢、あなたのせいじゃない。こうなったのは全て・・・・・・私のせいよ。私が・・・・・彼女に意識を奪われさえしなければ・・・・・・」

 

そんな幽々子もまた表情を暗くし自分を責めた。

 

「・・・・・二人共、落ち込む気持ちはわかるけど今はそれどころじゃないわ」

 

「そうよ。今はこの状況をなんとかするのを考えるのが先決よ。落ち込むのは後にして」

 

霊夢と咲夜が落ち込んでいる二人を諭した。

 

「霊夢と咲夜の言うとおりだ、あまり時間がない。こうしている間にも西行妖は満開に近づいてその度に力を増してるんだ。それにこの結界もあまり長くは保てないぞ」

 

はっきり言って今はかなりまずい状況だ。俺や霊夢、元々死んでいる幽々子には影響がないだろうが・・・・魔理沙と咲夜、それに竜希と半霊の妖夢は違う。結界がなくなれば早々に西行妖の力で死んでしまう。

 

「でも・・・・・一体どうすればいいんだぜ?あの木を倒せばきっと止まるんだろうが・・・・・あんなでかい木を短時間で倒すのはさすがに無理だぜ」

 

「そうね・・・・・時間さえあればなんとかなるでしょうけど・・・・・」

 

魔理沙と霊夢の言うとおりだ。西行妖さえ倒してしまえばきっと自体は収まる。だがおそらく間に合わない。今西行妖は8分咲き手前といったところだ。あんな巨木を今から倒そうとしたんじゃあ間に合わない。

 

「でも皆でやればなんとか・・・・・」

 

「それは無理だ妖夢」

 

「どうしてですか?」

 

「あれを倒しに行くにはこの結界から出る必要がある。だが魔理沙、咲夜、竜希、そして妖夢はこの結界からは出られないだろう。出ても大丈夫なのは俺、霊夢、幽々子の3人だ」

 

しかも結界を貼っている間俺は動くことはできない。実際にやれるのは霊夢と幽々子の二人。到底間に合わない。

 

「そんな・・・・・じゃあ・・・・・どうずれば?」

 

「・・・・・・・」

 

俺は答えることができなかった。はっきり言って現状を打破する方法は・・・・・・・・・ない。

 

(・・・・・くそっ、どうにもならないのか?)

 

俺が自分の無力さに腹を立てていると・・・・

 

「・・・・・・気に入らねえ」

 

「・・・・竜希?」

 

今まで沈黙していた竜希が重く、鋭い、そして・・・・・・悍ましい程の闘気をまとって口を開いた。

 

「なんだよあれ?黒い桜?・・・・・・胸糞わりい」

 

竜希は西行妖の方に歩み始めた。

 

「待て竜希!結界から出るな!」

 

「大丈夫だよミコト。あの程度の力、俺には通用しない。俺はあんなもんの影響受けられる程弱くねぇんだよ」

 

あんなもんって・・・・・・こいつ・・・・・

 

「・・・・・結界から出てどうするつもりだ?」

 

「どうする?決まってんだろ・・・・・・・あれを斬る」

 

「なっ!?む、無理よ!あんな大きな木をひとりで斬るなんてできるはずが「できるよ」・・・え?」

 

竜希は霊夢の言葉を遮った。

 

「俺ならできる。それが・・・・・・・俺の能力だからな」

 

「竜希の・・・・・・能力?」

 

「ああ、待ってろ、すぐに終わらせてきてやる」

 

竜希は結界から出ようとした。

 

「竜希」

 

そんな竜希を俺は呼び止めた。

 

「何だ?」

 

「・・・・・・信じてもいいんだな?」

 

「・・・・・当然だ。ミコトも知っているだろう?俺は・・・・・・『最強』だ」

 

竜希は一部の迷いも戸惑いも持たず、堂々と言い放った。

 

「・・・・・・わかった。頼むぞ」

 

「・・・・・ああ」

 

竜希は結界から出た。竜希の命には全く変化が見られない。本当に西行妖の影響を受けていないようだ。

 

「ミコトさん・・・・・なぜ竜希さんを行かせたんですか?」

 

妖夢が聞いてきた。

 

「・・・・・・・その答えは妖夢もわかっているんじゃないか?あいつの強さ・・・・・あいつの剣を受けたお前なら」

 

「・・・・・・・」

 

「俺達は待っていればいいんだ。あいつが・・・・・竜希が西行妖を斬るのをな」

 

「・・・・・そう・・・・ですね」

 

俺と妖夢は西行妖へと歩を進める竜希の背に視線をやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 竜希

 

(・・・・・この辺でいいか)

 

俺は西行妖から少し離れた場所で歩みを止めた。

 

「・・・・・」

 

俺は西行妖を見上げた。少しずつ満開に近づく『黑』い桜。そんな桜を俺は・・・・・美しいと感じた。ただ同時に・・・・・・・忌々しいとも感じた。

 

スー・・・

 

俺は刀に手に掛け、ゆっくりと抜刀する。すると・・・・

 

ブワッ!

 

西行妖は夥しい程の黒い瘴気を俺に向かって放ってきた。俺が自分に仇をなそうとしているのに気がついて俺を殺そうとしているんだろう。

 

スー・・・・・

 

ただ俺はそれを気に止めるつもりはない。ゆっくりとゆっくりと・・・・・抜刀を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強く、堂々とした『黑』い桜。その姿は俺にあいつを・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神楽』を思い起こさせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は桜が好きだ。だがこの桜を認めたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

認めるわけにはいかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この『黑』が咲き誇る姿を見たくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この『黑』が儚く散る姿を見たくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神楽』を思わせる西行妖

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこいつを・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斬る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴォォォォォ!

 

黒い瘴気は勢いをまして俺に迫る。そして、もう少しで俺に届くという所で・・・・・

 

ザンッ!

 

俺は刀を抜ききった。そして・・・・・

 

ギィィィィィィィ!

 

黒い瘴気は消え、周囲には断末魔が響き渡る。

 

「飛天御剣流「絶龍閃」。この剣は俺の能力により、あらゆるものを断ち切る一閃」

 

ギィィィィィィィ!

 

西行妖の断末魔は消えない、それどころか苦痛に比例するがごとく、より大きく轟く。

 

「・・・・・すまないな西行妖。お前は間違いなく俺が今まで見てきたどの桜よりも・・・・美しい桜だ。だが・・・・お前を見ていると思い出してしまうんだよ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺にとって何よりも大切な『黑』を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺にとって何よりも愛おしい『黑』を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんなに手を伸ばしても絶対に届くことのない『黑」を

 

 

だから俺は・・・・・・お前の存在を認めることができなかった」

 

ギィィィィィィィィ!

 

「さようなら西行妖。お前のその断末魔の叫びを、俺は・・・・・・・死ぬまで覚えているよ」

 

俺は刀を鞘に収めながら言う。

 

ギィァァァァァァァァ!

 

西行妖の断末魔は更に大きくなる。そして・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチンッ

 

ギィ・・・・・・

 

俺が刀を納刀仕切ると同時に、西行妖から断末魔が聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

西行妖は・・・・・・・その存在を消した。

 

 

 

 

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!

今回はゲストなしでお送りします。ただ・・・・・・

「ただどうしたんだ主?」

どうしたって・・・・・竜希さんのそれですよ?

「それ?なんのことだ?」

いやだから、竜希さんが真面目モードだっていうことですよ!

「何だそのことか。別に気にする必用はない。いつもどおりに進めてくれ」

そう言われましても・・・・・

「まあ気持ちは分かるな。普段のとはキャラ違いすぎて違和感が半端ないからな」

「・・・・・まあ確かにそうかもしれんな。ただ普段とはと言ってたが本編では結構真面目なときも多かったような気がするぞ?」

「そういえばそうだな・・・・・俺は昔からの付き合いで巫山戯た態度のお前の方が見る機会が多いんだが・・・・・・幻想郷に来てからは巫山戯るのと真面目の比率が半々ぐらいの気がするな」

言われてみれば・・・・・・はじめの破天荒キャラが崩れている気がします。

「崩れていると言われても・・・・・それは主のさじ加減だろう?俺に言われても困る」

・・・・・うわぁ~冷静なツッコミだな~。

「そもそもお前が書くキャラはぶれ過ぎだぞ?俺も初期の時とキャラが結構変わっているし」

あ、ミコトさんのはぶれているわけではありませんよ?ミコトさんは幻想郷に来て変わったということですから。

「だがキャラがブレているところがあるのも事実じゃないか?」

・・・・・・・否定はできない。

「・・・・・・もうちょい頑張れよ?」

・・・・・はい。

「さて、主いびりも終わったし本編のことを話すか」

「そうだな」

いびりって・・・・・・まあいいですが。今回は竜希さんが西行妖を斬る話でしたね。

「・・・・・小説だからわからないだろうけど西行妖ってかなりでかいよな?それをあんな風にいともたやすく斬るなんて・・・・・・本当にお前チートだよな」

「そんなことはないぞ?それに斬ったといっても俺が斬ったのは西行妖であって桜じゃあない」

「?どういうことだ?」

「まあその辺は次回で分かることだ。それよりも・・・・・・またオリジナルの技なのかよ。いよいよ飛天御剣流にする意味がなくなってきてないか?」

それは・・・・・・何も言い返せないです。これから先の話では普通に原作で出た技を出していくつもりなんですがね。

「・・・・・はあ、まあいいが。それよりもひとつ聞いていいか?」

なんです?

「この章って・・・・・・まだ次回も続くんだよな?」

ええ。そうですよ。

「・・・・・これ以上なに話すんだ?異変は完全に解決したぞ?」

まあそうなんですけど・・・・・・まだ重要なところが残ってるんですよね。

「重要な話?」

ええ。色々と伏線の回収やら新たな伏線を貼ったりしますので。

「そうか」

さて、そろそろ締めますか。それでは・・・・・・



「「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」」




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