「あ~・・・・うん。確かにね」
「・・・・・・・そうだな」
ま、まあこの展開はこの章をやると決めた時から考えていたものなので私自身覚悟はしていましたが・・・・・・・それにしても・・・・
「ま、まあ仕方ないって。それよりも本編に行こうよ~」
「そうだな。それでは本編どうぞ」
数週間前、博麗神社にて
『それにしても本当にすごいわよね』
『何がだ?』
『ミコトの能力よ。気配を感じることができる。傷を癒せる。生命力を魔力や筋力に変換できる。本当に便利ですごい能力よ。正直羨ましいわ』
『そうだな。確かにこの力は便利だ。でも・・・・・正直に言えば俺はこんな力を持ちたくなかったと思っている』
『え?どうして?その力があって損することなんてないでしょう?』
『確かに損をすることはないだろうな。だが・・・・・・この能力は危険なんだ』
『危険?』
『ああ。なぜならこの能力は・・・・・』
side 霊夢
「ねえよ~むちゃん。ちょっと聞いてもいいかな?」
ミコトの戦いを見ていると、横で竜希が妖夢に声をかけるのが聞こえた。
「・・・・・・なんですか?」
妖夢は力なく答える。さっき竜希にやられたのがそうとうショックだったのか、それとも・・・・・
「よ~むちゃんはさ、本当に彼女のこと何も気がつかなかったの?」
「・・・・・・・」
「どうなの?」
「・・・・・・あの人がいつもの幽々子様ではないとは思っていました」
まあ妖夢は幽々子の従者だから気がついても当然ね。
「・・・・・・じゃあさ、君は生前の幽々子ちゃんのことは知ってるかな?」
「・・・・・・いえ、知りません。幽々子様が亡くなったのは私が生まれる前のことですから」
「・・・・・そっか」
「竜希、どうしてそんなことを聞くの?」
咲夜が竜希に聞いた。
「ん?いやね~、多分だけど彼女は生前の西行寺幽々子なんだなと思ったからね。よ~むちゃんに確認を取ろうと思ったんだ」
「どうしてそんなことわかったんだぜ?」
「彼女自身が言ってたからね~。もう一度生を謳歌するって。だから彼女は生前の西行寺幽々子で何らかの理由でここにいるんだなと思ったんだよ~」
「生前のって・・・・・それって生き返ったってことか!?」
「生きてた時の肉体がないからちょっと違うけどそんな感じかな~?」
「マ、マジかよ・・・・・・」
魔理沙は驚いた表情をして言った。まあそりゃあそうか。何せ死者が蘇るなんてありえないから・・・・・まあ多分だけど蘇るのとは違うんでしょうけど。
「ねえ霊夢ちゃん。ちょっといい?」
竜希は話に一切参加せずにずっとミコトの戦いを見守り続けていた私に声をかけた。
「何?」
私は目を離さずに応じる。
「あ~実はさ・・・・・・ちょっと謝らなきゃいけないことがあってさ」
「・・・・・・それはミコトは全然大丈夫じゃないってことかしら?」
「!?・・・・・・気づいてたの?」
「ええ。だってミコト・・・・・・あんなにつらそうな顔をしてるんですもの」
幽々子と相対するミコト、その表情はつらく、ひどく苦しそうだ。
「・・・・・・ということは、ミコちゃんがやろうとしてることもわかってるんだね」
「・・・・・・ええ」
そう。私は知っている。ミコトがこれからやろうとしていること・・・・・・いや、ミコトがもうしてしまったことを。
「・・・・・・・さっき霊夢ちゃんを邪魔した俺が言うのもなんだけどさ、ミコちゃん止めなくてもいいの?このままだったらミコちゃん確実に苦しむことになるよ?」
「・・・・・・・止めないわ。ミコトだってそれを覚悟した上であそこにいるんでしょうから」
そう。ミコトは覚悟をした上であそこにいる。でなければ・・・・・・戦おうとした私を引き止めるはずなどないから。
「それに・・・・・・今更行ってももう遅いわ。もう・・・・・・止められない」
「・・・・・そっか」
もう止められな。だってミコトは・・・・・・もうアレを使ってしまったのだから。
「霊夢・・・・さっきから何を言ってるんだ?ミコトがどうかしたのか?」
魔理沙が私に聞いてきた。咲夜も気になっているのか私の方を見ている。
「それは・・・・・見ていればわかるわよ。・・・・・・もうすぐ終わると思うから」
「・・・・・そうか」
魔理沙と咲夜はミコトのいる方に視線を戻した。
ミコト、それがあなたが決めたことだというのなら私は何も言わない。
でも・・・・・どうか・・・・・・
(お願いだから・・・・・自分で自分を苦しめないでミコト)
side ミコト
・・・・・・もう少しだ。あと少しで・・・・・・
「ねえミコト、あなたは一体何を考えているのかしら?」
彼女が俺に問いかけてきた。
「ようやくスペルカードを使って攻撃してきたと思ったらさっきの一回だけ。そこからはまたさっきと同じように私の弾幕を躱すだけ。自分から戦いを続けるとか言っておきながらどういうつもり?」
「・・・・・・・」
「あら?答えてくれないの?私はさっきあなたの質問に答えてあげたっていうのにひどいわね」
「・・・・・・それはすまないな」
「謝らなくてもいいから質問に答えて欲しかったのだけれど・・・・・仕方がないわね。答える気がないなら・・・・・・ここで終わらせてあげる」
そう言って彼女はスペルカードを取り出した。
「覚悟してねミコト。このスペルカードは今までの比ではないわよ。なにせ私のとっておきですもの。これを受ければ・・・・・・あなたは確実に死んじゃうでしょうね♪」
彼女は楽しそうに俺に言ってきた。
「・・・・・・そうか」
「・・・・・・つまらないわね、震えるぐらいに恐れおののいて欲しかったのに。・・・・・まあいいわ!これで御終いよ!「反魂蝶 -まんか・・・・・・」
ガクッ
「!!」
彼女がスペルカード発動しようとしたその瞬間。彼女は地面に手と膝をついた。そしてその表情は苦しみに染まっている。
「・・・え?な・・・にこれ?体が・・・・動かな・・・・い、それに・・・・苦し・・・・い」
「・・・・・・どうやらここまでのようだな。実体がないから思ったよりも早かったな」
「ど、どういう・・・・・こと?一体・・・何・・を?」
「・・・・・・俺がさっき発動したスペルカードの効果だ」
「さっき・・・・の・・・・・スペル・・・カード?」
「ああ・・・・・さっき俺が使ったスペルカード、命獄「黄泉の伊邪那美」は攻撃用のスペルカードではない。あれは・・・・・・・・・命を奪うスペルだ」
「・・・・・え?」
彼女の顔は恐怖に染まった。
「な・・・・によ?なによ・・・・それ・・・・どういうことよ!」
彼女は苦しみながらも声を張り上げていった。
「命獄「黄泉の伊邪那美」は略奪の力。空間型の結界を展開して空間内に居るすべての存在から命を汲み上げるスペルカードだ。この効果によってあんたの命は少しづつ奪われていったんだよ」
「!!・・・・そ・・・・んな・・じゃあ・・・・・あの弾幕は・・・・」
「このスペルカードが攻撃の為のものだと思わせるためのフェイクだ。お前に怪しまれないようにする為のな」
「あ・・・・ああ・・・・」
「俺から攻撃しなかったのは必要なかったからだ。このスペルカードを発動しさえすれば・・・・・・全てが終わるからな」
「・・・・・う・・・・あ・・・・」
彼女は苦しそうに呻き、恐怖から涙を流す。
「・・・・・・・すまないな。俺は元々戦う気なんてなかった。俺は・・・・・・・あんたの命を奪う為にあんたと相対していた。あんたを・・・・・・・
殺す為にな」
「・・・・・・いや・・・・いやぁぁぁぁぁ!」
彼女はまるでたがが外れたかのように悲鳴を上げた。
「いや!いやいやいやいやいやいやいや!死にたくない!死にたくない死にたくない死にたくない!」
彼女は叫ぶ。涙を流して、狂ったように泣き叫ぶ。
「折角・・・・・折角生き返ることができたの!もっと美味しいものを食べるの!お昼寝するの!恋もするの!家族も作るの!私は・・・・・・もっと生きるの!生きて幸せになるの!」
「・・・・・・・」
「お願い!殺さないで!私は・・・・・・・もっと生きたいの!もう死にたくないの!」
彼女は懇願する。先程まで殺そうとした俺に、表情を絶望に染め、悲痛な声をあげ、涙を流して懇願する。でも・・・・・
「・・・・・・そうだよな。誰だって死ぬのは恐い。一度死を経験したあんたなら尚更そう感じるんだろうな・・・・・・でも・・・・それでも俺はお前を殺す。お前は・・・・・・死者だから。お前の命は・・・・・もう失われているはずのものだから」
俺は彼女に言い放つ。
「死ねば命は失われる。生き返るだなんて決して許されない。俺は・・・・・・・許すことができない」
俺は彼女のもとに歩み寄る。そして・・・・・
ガチャ
至近距離から彼女の額に銃を突きつける。
「ごめんな。せめて最期は・・・・・俺の手で直接終わらせる」
「い・・・や。いやぁ・・・・・」
「・・・・・・さようなら。せめて俺を・・・・・・・
憎んで
恨んで
許さないで
逝ってくれ」
バン!
彼女の額を銃弾が貫く。
そしてその瞬間・・・・・・・・
彼女の命は消え去った。
あとがき座談会のコーナー!IN東方!
今回はゲストなしでお送りします!
「まあ本編があんなだったからな。それは仕方ないか」
「そうだね~。それで?今回は何を話すの?」
そうですね。彼女のことはこの章の終わりで詳しく話すので今回はスペルカードのことを話しましょう。
「スペルカードのことを?」
ええ。話すべきことがありますのでね。まずは命獄「黄泉の伊邪那美」についてです。このスペルカードはTAKAYAさんが応募してくれたもので以前出した命極「国生みの伊邪那岐」の対極にあたるスペルカードです。効果は空間内に居る存在の命を奪う効果があります。
「なんというチート能力。というか危なすぎでしょ。何か制約とかないの?」
ありませんね。はっきり言ってしまいますとこれが発動したらもう選択肢が二つしかなくなります。
「二つ?」
ええ。死を待つかミコトさんを殺して止めるかです。このスペカを止めるにはミコトさんを殺すしか方法がないですからね。
「・・・・・・それはなんというか・・・・・ヒドイね」
・・・・・まあそうですね。ただこのような能力なので滅多に使うことはない・・・・・ですよね?
「ああ。いくらなんでも危険すぎるからな。このスペルカードは滅多なことがない限り使わない」
「まあ当たり前だね」
こんなの乱発したら・・・・・・マジやばいですもんね。さて、次は彼女が発動しようとした「反魂蝶 -満開-」です。気がついている方もいると思いますがこれは原作にはありません。
「原作では「反魂蝶 -八分咲-」までで満開まではいってないもんね。でもなんで満開にしたの?」
まあ単純にこの幽々子さんが生き返った幽々子さんだからですね。この反魂は生き返らせることで本来なら満開になるはずがないものが満開になっていることを示唆しているんです。
「・・・・・その説明わかりにくいよ?」
うぐっ・・・・・ですが私ではこれが限界ですので・・・・・・詳しく知りたい方はググってください。きっとわかります。
「いい加減だな。ところで主、少しいいか?」
なんですか?
「異変の元凶だった彼女がいなくなったわけだが・・・・・これでこの章は終わりなのか?」
いえ、まだ終わりではありませんよ。まだクライマックスが残っています。
「これ以上まだ何かあるの?」
ええ。それが終わらないとこの章は終を迎えませんのでね。謎になっているものもありますし。だから章が終わるにはあと1,2話・・・・・もしかしたら4,5話かかるかもしれません。
「この期に及んでまだそんなにかかるのかよ・・・・・・」
ええ。といっても今増やしたところは別の章で話すかもしれませんからやっぱり後1,2話ぐらいかな?
「本当に適当だな~。まあいいや。それよりもそろそろ締めない?」
そうですね。それでは・・・・・
「「「次回もまたきてくれ(きてください)(きてね~)」」」