東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第44話!

今回の宴会でひとまず日常編はラストになります!

「それはいいんだが・・・・なんだか話がごちゃごちゃになってないか?」

・・・・・気のせい(じゃない)です。それよりも本編にいきましょう。

「そうだな。それでは本編どうぞ」


第44話

side ミコト

 

「はいみんな注目!」

 

宴会の会場である博麗神社の一室に霊夢の声が響き渡った。

 

「今日は皆の知ってるとおりミコトの歓迎宴会よ。そこでミコトに乾杯の音頭をとってもらうわ。ほら、来なさいミコト」

 

「あ、ああ。えっと・・・・今日は俺の歓迎会に来てくれてありがとう。それで、その・・・・」

 

・・・・やべえ、何話していいのか全くわかんねえ。

 

「おいおい!まさかミコト照れてるのか?」

 

「・・・・うるさい」

 

言い淀む俺に向かって魔理沙がからかってきた。他にもにやけた奴が何人かいる。

 

「・・・・あ~もう!とにかく来てくれてありがとう!これからもよろしく頼む!以上だ!乾杯!」

 

「「「「「かんぱ~い!!!」」」」」

 

多少・・・・というかかなり投げやりになってしまったが乾杯の音頭をとり宴会が始まった。

 

「随分と戸惑ってたわね。それにすごく投げやりだったし」

 

乾杯の音頭をとった俺に対して霊夢がクスクスと笑いながら言った。

 

「仕方がないだろ。こんなの初めてで慣れてないんだから」

 

「だからってあれはないわよ」

 

「・・・・・わかってるよ。もう言わないでくれ。結構恥ずかしいんだから」

 

「ふふふ。ええ、わかったわ。ほら飲みましょ。これはミコトのための宴会なんだから」

 

「ああ」

 

俺は近くにある酒とツマミをとった。

 

「ミコト」

 

俺が酒をグラスに注ぐと霊夢はこちらに自分のグラスを向けてきた。

 

「もういっかい。今度は私達だけでね」

 

「・・・・・そうだな。それじゃあ・・・・」

 

「「乾杯」」

 

コツン

 

俺は霊夢とふたりで乾杯する。あまりいい音ではなかったが、その音は耳によく通った。そして俺と霊夢はグラスの中の酒を飲み干す。これが俺にとっての宴会の本当の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっミコト!飲んでるか?」

 

霊夢と一緒に酒を飲んでいると魔理沙が話しかけてきた。その傍らには見覚えのない人物が立っている。金髪に白い肌、青と白の服をきた少女だ。

 

「ああ、飲んでるよ。それよりその子は?」

 

「はじめまして。私はアリス・マーガトロイド。魔理沙の友人よ。あなたのことは魔理沙から聞いているわ。よろしくねミコト」

 

「ああ。よろしく」

 

魔理沙の友人か・・・・・それにしては結構礼儀正しいな。

 

「なあミコト。今なんか失礼なこと考えなかったか?」

 

「いいや、そんなことないぞ」

 

実際は考えてたけどな。さすがというかなんというか、勘がいいな魔理沙。

 

「それよりもミコト。私はあなたにお礼を言いに来たの」

 

「俺に礼だと?」

 

「ええ」

 

「アリスはミコトと初対面でしょ?それなのにミコトになんの礼を言いに来たっていうのよ?」

 

霊夢がアリスに聞いた。確かに俺はアリスから礼を言われるようなことはした覚えが全くない。

 

「あなた魔理沙に人のものを盗るなって説教してくれたんでしょ?そのおかげで魔理沙持って行かれた本が返ってきたのよ。正直返してもらえないと思ってて諦めてたから嬉しかったわ。だからお礼を言うの。ありがとうミコト」

 

・・・・・・なるほど。アリスも魔理沙の悪い癖の被害者だったのか。

 

「気にするな。俺は俺が魔理沙の行いに問題があると思ったから説教しただけだからな。その結果アリスの物が帰ってきただけだ。特別礼を言われるようなことじゃあないさ」

 

「そんなことないわ。その結果が私にとってプラスになったんだから。お礼を言うのは当然よ」

 

「だが・・・・」

 

「ミコト、そういう時は素直に礼を受け取っておけばいいのよ。でないと話がこじれることもあるんだから。ミコトのそういうところ、少し改めたほうがいいわよ」

 

霊夢が俺に対してそう言ってきた。・・・・・確かに霊夢の言うとおりかもしれないな。礼を受け取らないのはアリスにとって失礼かもしれないし。

 

「そうだな。それじゃあその礼は受け取っておくよ。どういたしまして、アリス」

 

「ええ」

 

俺が礼を受け取るとアリスは微笑んだ。霊夢の言うとおり、礼は素直に受け取るものだな。それが相手の為でもあるし。

 

「また魔理沙に何か盗られたらいつでも言ってくれ。すぐに魔理沙に説教するから」

 

「そうするわ」

 

「・・・・・いや、お前ら本人を目の前にして何言ってるんだよ。というか私は別に盗ってるわけじゃあないぜ。ちょっと死ぬまで借りるだけだ」

 

「「その死ぬまでがが問題なんだよ(なのよ)」」

 

「だ、だってアリスは人間の私よりも絶対に長生きするから私が死ぬまでなんてあっという間だろ?」

 

・・・・・・また魔理沙は。

 

「ほう、死ぬのなんてあっという間か・・・・・じゃあ魔理沙、お前のその箒、10年程貸してくれないか?」

 

「はあ!?なんでだよ!10年も貸せるわけないだろ!」

 

「何言ってるのよ。10年なんてあっという間でしょ?だって10年後って言ったらまだミコトも魔理沙も余裕で生きてるんだから」

 

「うっ・・・・それは・・・・」

 

「・・・・わかっただろ。10年でも十分に長いんだ。だからもう死ぬまで借りるなんて馬鹿なことはすんなよ?」

 

「・・・・・・わかった」

 

よし。魔理沙はきっちりと反省したようだな。

 

「わかればいい」

 

俺は魔理沙の頭を撫でた。

 

「ん・・・・って何するんだぜミコト!?」

 

「わり、嫌だったか?」

 

「い、いや。別にそういうわけじゃあ・・・・・」

 

魔理沙は小声でそう言った。やっぱ嫌だったのかな?

 

(・・・・・ああもう。羨ましい)

 

(・・・・・何かしら?ミコトの前だと魔理沙がなにか可愛いわね)

 

「さて、んじゃあ飲みなおすか。ほら、三人とも酒注ぐからグラス出せ」

 

「「「うん」」」

 

俺は三人のグラスに酒を注いだ。そして自分のグラスにも酒を注ぎの再び酒を飲み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミコト、ちょといいか?」

 

「藍」

 

しばらくして霊夢も魔理沙もアリスも他の人の所に向かった後、藍が声をかけてきた。なんでだろ?藍と話すのってすごく久しぶりなような気がする。つい三日前に数式について4時間語り合ったばかりだっていうのに。

 

「楽しんでいるかミコト?」

 

「ああ。すごく楽しいよ」

 

「それは良かった。これ、私が作ったんだが食べてみてくれるか?」

 

そう言って藍はいなりずしを差し出してきた。

 

「ああ、もちろん。それじゃあいただきます」

 

俺は藍の作ったいなりずしを口に含む。

 

「うん。美味しいぞ」

 

「そうか。良かった」

 

藍は嬉しそうに言った。よほど自分が作ったものが褒められて嬉しかったのだろう(いや、違うから by作者)

 

「それよりもミコト、すまなかった」

 

いきなり藍が謝ってきた。

 

「何がだ?」

 

「・・・・・以前紫様がいろいろ迷惑をかけてしまったようだからな」

 

・・・・ああ、そのことか。確かに迷惑(特に32話とか32話とか32話とか)はかけられたな。 

 

「前にあったときは話に夢中になりすぎて言うのを忘れてしまっていて・・・・本当にすまない。紫様に代わって謝る」

 

藍は頭を下げてきた。

 

「別に藍がそこまでしなくてもいい。それにあまり気にしていないし・・・・・言い方はおかしいけど楽しくもあったからな」

 

「楽しかった?」

 

「確かに紫のしたことで迷惑に感じたこともあった。けど、外の世界じゃあ俺にそんなことしてくる奴はあんまりいなかったからな。だからそうやって紫が構ってくれるのが楽しくもあったんだよ」

 

「・・・・そうか」

 

「ああ。だから紫には迷惑以上に結構感謝してたりする」

 

これは俺の本心だ。紫は掴めないし胡散臭い奴で俺のことを警戒しているけど・・・・・紫のおかげで幻想郷での生活が更に楽しく思えてるのも事実だ。だから紫には感謝している。

 

「あ、これ紫には内緒で頼むな」

 

流石に本人に知られたら恥ずかしいし。

 

「ふふ、どうしようかな?」

 

藍はいたずらっぽく笑ってそう言った。藍ってこんな奴だったっけ?

 

「・・・・・頼む」

 

「そうだな・・・・・今度ミコトがとっておきの甘いお菓子を作ってくれたら言わないでおいてやる」

 

くっ、足元見やがって。

 

「わかったよ。それで手を打つ」

 

「契約成立だな。楽しみにしているよ」

 

「ああ」

 

こうして、俺は藍にとっておきのお菓子を作ってやることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 霊夢

 

「こんなところで何してるのよ。ミコト」

 

私は宴会場から出て縁側で座っているミコトに声をかけた。

 

「ああ。ちょっと一服しにな」

 

そう言ってミコトは煙管を取り出した。

 

「そう。火付けてあげるわ」

 

「ああ。頼む」

 

私はミコトからマッチを受け取ってミコトの煙管に火をつけてあげた。

 

「ありがとう」

 

ミコトは煙管を口に咥えた。

 

「どうミコト楽しんでる?」

 

「ああ、もちろんだ。こんなに楽しいことは外の世界でもあんまりなかったしな」

 

・・・・・外の世界か。

 

「ねえミコト・・・・・・ごめん。やっぱりなんでもないわ」

 

「・・・・・・17回」

 

「え?」

 

「これで17回目だ。俺が永遠亭から帰ってきてからそうやって霊夢が俺に何か聞こうとしたの」

 

「数えてたの?」

 

「まあな。それよりも聞きたいことがあるんなら遠慮せずに聞けよ。気になってることがあるんだろ?」

 

・・・・・気になってること。私が知りたいこと。それは・・・・

 

「ねえミコト。ミコトは・・・・・外の世界で愛されてなかったのよね?」

 

「ああ。そうだ」

 

ミコトは普段通りに、何も動じずに答えた。

 

「それじゃあ・・・・・『神楽』って子はどうなの?」

 

「!?」

 

『神楽』の名前を出したらミコトは目を見開いた。先程とは明らかに違う反応だ。

 

「・・・・・そっか。あの時、霊夢もいたんだよな」

 

あの時っていうのは輝夜と会った時、ミコトが『神楽』の名を口にした時だろう。

 

「紫に何か言われたのか?」

 

「・・・・・ええ。まあ」

 

紫は言っていた。今のミコトが愛されていることに気がつかないのはその神楽が原因だと。だから私は知りたい。『神楽』のことを。

 

「・・・・・・そうか」

 

それからミコトは黙り込んだ。何も言わずに、煙管を吸っている。その表情には憂いを帯びていた。私はそんなミコトを黙って見つめる。

 

「・・・・・世界」

 

「え?」

 

「神楽は・・・・・・俺にとって世界だった。誰からも愛されず、辛くて、苦しくて生きるのが嫌になっていた俺に希望を・・・・意義を・・・・・愛をくれたたった一人の人だったから。神楽がいたから俺の世界が成り立っていたんだ」

 

ミコトの世界・・・・・ミコトをたったひとり愛した人。それが『神楽』

 

「・・・・・神楽は今どうしてるの?」

 

私はミコトに聞いてしまった。・・・・・ミコトがなんて答えるのかを薄々気がついていながら。

 

「・・・・・・死んだよ」

 

・・・・・やっぱりそうなんだ。当然ね。そうでなきゃ・・・・・・ミコトが神楽を置いて幻想郷に来ることなんてなかっただろうから。ただ・・・・・

 

「神楽は・・・・・・俺が殺した」

 

「!?」

 

ミコトのこの答えは予想外だった。

 

「ミコトが・・・・・殺した?」

 

「・・・・・ああ」

 

どういうこと?どうしてミコトは神楽を殺したの?神楽は・・・・・ミコトにとって世界なんでしょ?それなのにどうして・・・・

 

「ミコトそれって「霊夢」

 

ミコトは私の言葉を遮った。

 

「そろそろ戻ろう。せっかくの宴会なんだから。楽しまないとだろ?」

 

ミコトは笑みを浮かべてそう言った。ひどく儚く、悲しそうな笑顔を浮かべ。

 

「・・・・・・そうね。戻りましょう」

 

私はそう答えた。可能な限り笑顔で、可能な限り自然に。何事もなかったかのように。

 

「んじゃ行くか」

 

「ええ」

 

私はミコトと並んで宴会場に戻り、ミコトと一緒に飲み直した。宴会が終わるまでずっと。あの話をなかったことにするかのように。ひたすらにミコトと楽しみながらお酒を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!

今回のゲストは七色の人形遣い!アリス・マーガトロイドさんです!

「よろしく」

はいよろしくお願いします!そしてアリスさんすみませんでした!!(土下座しながら言う)

「えっ!?ちょっとどうしたの?」

え~実はですね・・・アリスさんはもっと早く登場する予定だったんですよ。

「え?そうなの?」

はい。具体的に言うと第8話でミコトさんたちが香霖堂に行った時にアリスさんもお客さんとして香霖堂にいてそしてミコトさんと知り合うということになるはずだったんです。

「第8話って・・・・・随分前じゃねえか。なんでその時出さなかったんだよ」

・・・・・・忘れてたんです。

「「は?」」

だから・・・・・忘れていたんですよ。アリスさんを出すのを。すっかりと頭から抜けてたんです。

「・・・・・それ最低だぞ」

返す言葉もありません。せっかくアリスさんを出すフラグをさりげなく出していたというのに。

「え?そんなの出てたかしら?」

はい。第7話の霊夢さんの夢の中でアリスさんの名前が出ています。これはアリスさんはもうすぐ出ますよっていうフラグのつもりだったのですが・・・・・見事に自分で折ってしまいました。しかも最低な理由で。マジで申し訳ありません。

「はあ・・・・もういいわ。過ぎたことだし。今更何を言ってもどうしようもないし。許してあげるわ」

うう・・・・ありがとうございます。

「ただし、もう二度とこんなことにならないように気をつけなさい」

はい!善処します!

「そこは絶対にしませんじゃないのかよ」

「さて、この話はここまでにしてそろそろ本編の話に移りましょ」

あ、はい。そうですね。

「と言っても今回は初登場なのにアリスの話がメインじゃあなかったけどな・・・・・」

マジで申し訳ないと・・・・

「もういいわよ。そんなに謝られても時間の無駄なんだから。それに私はバカテスの小説ではそれなりに出番があるし」

あの、そういう・・・・いえ、なんでもありません。

(さすがに今回はメタ発言に突っ込まなかったか)

「でも今回のメインは・・・・一応ラストのミコトと霊夢の話になるのかしら?」

ええ。霊夢さんは紫さんから話を聞いてからずっと神楽さんのことを知りたがっていましたからね。今回とうとう聞けたということです。

「そのおかげで何とも言えない空気になってしまったけどね」

まああまり明るい話題ではありませんからね。仕方ありません。

「・・・・確かにそうだな」

「しかも結局その神楽って子がどうして死んだのかもわかってないし」

まあ神楽さんが死んだ理由はまだ語るべき時ではないから仕方がありませんね。いずれ話ときが来るのでそれまで待ってもらいましょう。

「そうだな。さて、それじゃあそろそろ締めか?」

いえ、最後にお知らせがあります。

「お知らせ?」

ええ。前書きでもいいましたが今回で日常編は終わりとなります。そして新章に入るわけですがその前にちょっと出したい話があるんです。

「それって章の終わりにやってる座談会か?」

いえ、今回は座談会はしません。次回の話はある意味で非常に重要な話です。どのような話かはお楽しみということで。以上お知らせ終わりです。

「そう。それじゃあ少し長くなってしまったし締めましょ」

ですね。それでは・・・・


「「「次回もまたきてくれ(きてください)(きなさい)!!」」」

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