今回はミコトさんが先生になります!それでは本編どうぞ!
「早すぎだろ!?」
side ミコト
紅魔館で執事の仕事をしてから3日経ち、今日俺は人里に来て、ある場所を探していた。
「ミコト」
俺を呼ぶ声が聞こえ、そちらに振り向くと
「妹紅」
そこにいたのは妹紅だった。
「二週間ぶりだな。相変わらず輝夜とは殺し合ってるのか?」
「ああ!もちろんだ!」
妹紅は満面の笑みで力強くそう答えた。話しの内容と表情が物凄いミスマッチだな。まあ聞いたのは俺なんだが。
「と、そうだ。妹紅、お前に聞きたいことがあるんだがいいか?」
「何だ?」
「寺子屋ってどこにあるんだ?」
「寺子屋?」
「ああ。左手も治った事だし慧音との約束を果たそうと思ってな」
そう。俺が今日人里に来たのはいつかした慧音との約束を果たす為、寺子屋の子供達に勉強を教える為だ、
「なるほど、そういう事か。それじゃあ私が慧音の寺子屋に案内してやる」
「それは助かる。ありがとうな」
「気にするなって。じゃあついて来い」
「ああ」
俺は前を歩く妹紅のあとについて行った。
「着いたぞ」
妹紅に案内されて5分後。俺は寺子屋に辿り着いた。
「それじゃあまずは慧音に挨拶しよう」
「そうだな」
妹紅は寺子屋の扉に手をかけて開いた。
「お~い慧音、ミコトを「遅い!」
ゴツン!
「ギィッ!」
扉を開いた妹紅はすぐ近くにいた慧音から何故か頭突きされた。頭突きを受けた妹紅は目を回して気絶している。
「遅刻するなと言っただろう!何度言えばわか・・・・・」
慧音はなにやら怒鳴っていたが妹紅の姿を確認すると言葉を発するのを止め固まった。そして・・・・・・・
「も、妹紅!?大丈夫か、しっかりしろ!」
物凄い勢いでオロオロとし始め、妹紅の体を上下左右に揺さぶった。その妹紅はというと微動だにしない。間違いなく大丈夫ではないな。
「慧音、少し落ち着け」
俺はそんな彗音を落ち着かせようと近づいた。
「あ、ああ。そうだな・・・・・・ってミコト?何でここに?」
「前に子供達に勉強を教えて欲しいって言ってただろ?だから来たんだ。それよりも今は妹紅だ。とりあえず中で寝かせるぞ」
「わ、わかった」
俺と慧音は妹紅を寺子屋の中に連れて行った。
「よっと」
俺は慧音が敷いた布団の上に妹紅を寝かした。でもなんで寺子屋に布団があるんだ?
「慧音先生。なんで妹紅お姉ちゃん寝てるの?」
「お昼寝?」
「そ、それは・・・・・」
寺子屋の中にいた子供達は気絶している妹紅を見て慧音にそう聞いてきた。対する慧音は目を泳がせ言い淀んでいる。
「ねえ君達ちょっといいかな?今は休み時間?」
「うん。そうだよ」
俺はそんな慧音に助け舟を出すべく話題を変えた。慧音はホッとしたような顔をしている。
「ねえ、貴方だあれ?」
子供たちの中のひとりが俺に聞いてきた。
「ああ。俺は一夢命。君達に勉強を教えに来たんだ。ミコトって呼んでくれ」
「へえ、そうなんだ。よろしくねミコトお姉ちゃん!」
「「「「よろしくミコトお姉ちゃん!」」」」
(・・・・・お姉ちゃんか)
俺は子供たちにお姉ちゃんと言われて若干凹んだ。自覚はあるけど・・・・・俺ってそんなに女っぽく見えるのか?しかもものすごく純真な目で言ってきたから否定しづらい。だがしかし、ここでちゃんと教えておかないと今後この子たちにお姉ちゃんとして扱われてしまう。ここはきちんと言わなければ。
「うんよろしく。でも俺はお姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃんだからそこは間違えないで欲しいな」
「「「「ええっ!嘘!?」」」」
・・・・・うん。わかってた。何となくこうなるんじゃないかってわかってた。でも・・・・わかってても悲しいものがあるな。しかも・・・・・
「・・・・・なんで慧音まで驚いているんだ?」
「い、いや、てっきり女の子だと思ってたから・・・・・」
「・・・・・・口調でわからなかったのか?」
「いや、なんか『俺女』っていうのがあるって聞いたからミコトもそうなんじゃないかと・・・・」
どこでそんなん聞いたんだよ。なんだか頭が痛くなってきた。とりあえず慧音には後で説教しよう。
「ねえミコトお兄ちゃん。お兄ちゃんは何を教えてくれるの?」
慧音にどう説教しようかと考えていたら一人の女の子がそう聞いてきた。
「ああ。俺は君達に算数を教えようと思ってね」
「え~、算数~」
教える内容を話したらそんな声が聞こえてきた。周りを見ると少し嫌そうな顔をしている子が何人かいる。どうやらここには算数が嫌いな子が多いようだな。
「皆は算数が嫌い?」
「うん」
「あんまり好きじゃない」
「足し算と引き算はわかるんだけど・・・・・掛け算とか割り算はよくわからない」
うん。やっぱりそのあたりか。
「そっか。確かに難しいもんね。でも覚えておくときっと役に立つからちゃんと勉強しよ?」
「でも・・・・・」
「大丈夫。俺がわかりやすく楽しく教えてあげるよ」
「楽しく?」
「うん。慧音、授業を初めてもいいか?」
「ああ。頼む」
「よし、それじゃあ皆席について」
「「「「は~い」」」」
皆は俺の言うとおり席に着いた。素直でいい子達だな。さて、それじゃあ始めますか。
side 慧音
(さて、お手並み拝見だな)
これからミコトの授業が始まる。私は教室の後ろの方で見ていることにした。
「それじゃあまずは割り算を教えようかな」
「え~割り算・・・・」
「僕割り算嫌い~」
割り算という言葉を聞いて皆嫌そうな声を出した。本当に嫌いなようだな。さて、どう教えるミコト?
「ははは。大丈夫だよ。さっきも言ったけど楽しく教えてあげるから」
「楽しく?」
「うん。皆は甘いもの好きかな?」
ミコトは子供達にそう聞いた。それが割り算とどう関係があるんだ?
「うん!大好き!」
「僕も大好き!」
「私も大好物だよ!」
「そっか。やっぱり皆好きだよね。実は・・・・今日はそんな皆に大福を作ってきたんだ」
そう言ってミコトはどこからかたくさんの大福を取り出した。一体どこに持っていたんだ?
「わ~い大福!」
「美味しそ~う!」
ふむ、確かに美味しそうだな。
「早くちょうだいお兄ちゃん!」
「その前に。皆に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「なあに?」
「俺が持ってきた大福は27個、そして慧音さん先生と妹紅お姉ちゃんを含めると9人いるんだけど・・・・・この大福を皆で分けると一人何個になるかな?」
なるほど。そういうことか。
「そんなの簡単だよ!1人3個だ!」
子供達の内、1人が答えた。
「そうだね。27個を皆でわけると1人3個だ。よくわかったな。実はこれが割り算なんだよ」
「えっ?」
「割り算っていうのはね、こういうふうにたくさんのものを皆で分けるときに一人いくつもらえるかっていう考え方もあるんだよ。皆わかったかな?」
「うん、すぐにわかった!」
「私もわかったよ!」
「僕も!」
どうやら皆わかったようだな。
「どう?そんなに難しくなかったでしょう?これから割り算を解くときは今みたいに考えればわかりやすいんだよ。今回は大福で考えたけどもっと違うもので考えてもいいんだ。皆が考えやすいものでね。さて、それじゃあ割り算のことが少しわかったお祝いだ。皆で大福を食べよう」
「「「わ~い!!!」」」
ミコトは皆に大福を分け与え、目を覚ました妹紅と一緒に皆で大福を食べた。ミコトの手製らしいその大福はとても美味しかった。大福を食べた後は皆を外に連れ出して鬼ごっこやケイドロといった遊びをした。ミコトはこの遊びの時も色々なルールを取り入れて皆に割り算、掛け算を教えていた。結果ミコトの言っていたように皆は楽しく割り算、掛け算を知ることができたようだ。
(こんな教え方もあるんだな)
私は自分では思いつかなかった方法で子供達に授業をするミコトを素直に尊敬した。
side ミコト
「またね!ミコトお兄ちゃん!」
「うん。またね」
授業が終わり、俺は家に帰る子供達を見送った。結果でいえば授業は成功。皆は楽しく割り算、掛け算を理解してくれたようだ。
「今日はありがとう、ミコト」
子供たち全員が帰ったのを見送った後、慧音が礼を言ってきた。
「礼はいいよ。約束だったし、俺も好きでやっていたんだからな」
「いや、そうはいかないさ。ミコトのおかげで皆割り算、掛け算の苦手意識を改善できたんだからな。ミコトには本当に感謝している。本当にありがとう」
「・・・・まあ役に立ったならいいけど」
再び慧音に礼を言われ俺は少々気恥ずかしくなり、顔を背けた。
「なんだ?もしかしてミコト照れてるのか?」
そんな俺を見て妹紅はからかうような笑みを浮かべて言ってきた。
「・・・・そんなんじゃない」
俺は一応誤魔化しておいたが・・・・・きっと意味ないんだろうな。
「ふふ。なあミコト、もしお前さえよければまた子供達に勉強を教えてやってくれないか?皆ミコトのことを気に入ったようだし。ミコトの授業の仕方は私にとっても学ぶところが多いからもっと見たいんだ。いいか?」
「いいもなにも俺もそのつもりだよ。皆にもまた来るって約束したからな。流石に毎日というわけにはいかないがたまに来るよ」
「そうか。ありがとう」
「だから礼はいいって」
慧音は律儀な奴だな。まあそれほどあの子達のことを大切に思っているっていうことか。慧音はいい教師だな。・・・・・・・さて、それじゃあ
「ところで慧音」
「なんだ?」
「・・・・・・よくもまあ俺を女の子だと思ってくれたな?」
「・・・・・え?」
俺は神社に帰る前に慧音に説教をした。となりで妹紅が青白い顔をしてみていたが気にしないことにしよう。
あとがき座談会のコーナー!IN東方!
今回のゲストは上白沢慧音さんです!
「よ、よろしく・・・・」
おや?慧音さんお疲れですか?
「そりゃあ最後にミコトに説教されたんだ・・・・・疲れもする」
あ~・・・・・それはご愁傷様です。
「そもそも慧音が俺のことを女だと勘違いしたのが悪いんだろ」
「そんなこと言っても仕方ないだろ。ミコトは女顔だし声もどっちかというと高い方だったから女だと思うことに違和感がなかったんだ」
「・・・・・慧音、説教時間追加しようか?」
「ごめんなさい。勘弁してください」(僅か0.2秒で頭を下げる)
あ、あの慧音さんがこんなになってしまうとは・・・・・流石はミコトさんの説教ですね。
「全く。普段から女に思われないように口調を男っぽくしているのに、これじゃあ意味ないじゃねえか」
まあミコトさんは目が覚めるような美人ですからね。仕方ないですよ。なにせ顔はFateのセイバーさんなんですから。
「・・・・・・なんでそんな設定にしたんだよ」
まあ単純に面白そうだったからですね!
「・・・・・主、後で説教な」
マジで勘弁してください(DOGEZA!発動!)
「なあミコト、ひとついいか?」
「なんだ慧音?」
「さっき口調を男っぽくしていると言っていたが・・・・・元々の口調は違うのか?」
「そうだな。昔の口調はちょっと違っていた」
「どんな口調だったんだ?」
ミコトさんのかつての口調は前回までの執事ミコトさんの口調とほぼ同じですよ。丁寧な口調で一人称は私です。
「そうなのか?どうしてそんな口調だったんだ?」
「ああ。それは昔好きだった本の影響だな。その本の主人公がそういう口調だったから俺も真似てたんだよ」
「口調を真似るって・・・・そんなにその本が好きだったのか?」
「ああ。といってもかなり昔のことで今は本のタイトルも思い出せないけどな。ただその口調のせいでただでさえ女顔なのに余計に女だと勘違いされることが多くなったから男っぽい口調に変えたんだよ」
と言ってもあまり意味なかったみたいですけどね。
「・・・・・・まあな」
「なんというか・・・・・色々苦労していたんだな。ミコト」
「・・・・・慧音、頼むからそんな同情の目を向けないでくれ。余計に悲しくなるから」
「そ、そうか。それは悪かった」
「わかってくれたらいい」
さて、それでは話も区切りがつきましたしそろそろ締めますか!
「区切りつたか?」
いいんです!これ以上長引くと私の睡眠時間が削れられるんですからこれで締めでいいんです!
「「メタいな」」
はいはい、何とでも言えばいいですよ!それでは・・・・・
「「「次回もまたきてください(きてくれ)!」」」
「さあ主、説教の時間だ」
え?