東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

37 / 151
第31話

今回でとうとう永遠亭編は終わりを迎えます!

「どのように締められるのか・・・・どうか本編にてご確認を」

それでは・・・・・

「「本編どうぞ!」」


第31話

side ミコト

 

日が沈み、月が登り始めた時間帯、俺は外に出ていた。

 

「・・・・・ミコト、本当にいいのね?」

 

輝夜は俺に確認を取った。

 

「ああ。頼む」

 

「わかったわ。それじゃあいくわよ!」

 

輝夜は俺に向かて弾幕を放ってきた。

 

ザンッ!

 

俺はその弾幕を()()に持った剣で全て弾いた。

 

「・・・・・よし」

 

「もう左手は完全に元通りになったみたいね」

 

そんな俺の様子を見て永琳が言った。

 

「ああ、問題はないな」

 

俺は左手で剣を強く握ったり振ったりしてさらに動きを確かめながら答えた。

 

「永琳の薬のおかげだありがとう」

 

俺は永琳に心からの礼を言い、頭を下げた。

 

「ええ。どういたしまして」

 

「輝夜もありがとな。確認に付き合ってくれて」

 

「気にしなくていいわよ。これくらいたいしたことないから」

 

「はは、そうか」

 

俺は剣を鈴に戻しながら言った。

 

「ねえ、気になってたんだけどその鈴ってなんなの?てゐを助けた時には銃にもなっていたわよね?」

 

「私も気になるわ。その鈴はどういったものなの?」

 

輝夜と永琳は気になったらしく聞いてきた。どうやら鈴を変化させていたことには気がついていたようだ。

 

「そうだな・・・・クラマ、シラマ出てこい」

 

俺が呼ぶと鈴の本来の姿であるクラマとシラマが出てきた。

 

「鈴が人になった!?」

 

「これは・・・・」

 

輝夜と永琳はクラマとシラマを見て驚いている。

 

「マスター、お呼びですか?」

 

「ああ。輝夜と永琳に二人のことを教えようと思ってな」

 

「了解しました」

 

クラマは俺にそう言ったあと輝夜と永琳に向かい合った。シラマもだ。

 

「はじめまして。私はクラマ。ミコト様の使い魔の霊獣です。こちらはシラマ。私と同じくミコト様の使い魔の妖獣です」

 

「・・・・・(ペコリ)」

 

クラマは自分とシラマの紹介をした。シラマはクラマが紹介すると頭を下げた。

 

「そう、鈴の姿をしていたのはそれがあなた達の能力だからかしら?」

 

「はい。私たちの能力は『主に応え姿を変える程度の能力』。この能力で普段は鈴の姿をしています」

 

「なるほど。その能力で剣になったり銃になったりしてたのね。でもなんで普段は鈴の姿をしているの?」

 

「私たち自信、命なき存在ですから。私たちがこの姿になるとミコト様の生命力を消耗してしまいますので普段は鈴の姿をしているのです」

 

「そういうこと・・・・・でもなんで鈴なのかしら?」

 

「それは私たちが鈴が好きだからです」

 

「・・・・・・(コク)」

 

「「・・・・・・・は?」」

 

クラマの発言に輝夜と永琳は呆けた顔をした。おそらくいくら好きだからといって普段から鈴の姿をしている二人のことを変わっていると思ったのだろう。・・・・・・まあ俺も二人は少し変わっていると思うが。

 

「マスター、もう戻ってもよろしいですか?」

 

「ああ。ありがとな」

 

「いえ、戻りますよ、シラマ」

 

「・・・・・(コク)」

 

クラマとシラマは鈴に戻って俺の右手首に巻き付いた。

 

「ねえミコト。二人があの姿になるとあなたの生命力が消耗されると言っていたけど大丈夫なの?さっきまで左手を再生させてたから生命力を消費してたのよね?」

 

輝夜は心配そうに聞いてきた。

 

「大丈夫だよ。確かに結構の生命力を消費したけどあれぐらいどうってことない」

 

事実以前まで俺はほとんどの生命力がないまま問題なく生活していたからな。これぐらい消費したぐらいなら問題ない。

 

「そう、ならよかったわ」

 

輝夜はホッとした様子で言った。

 

「姫、お師匠様、ミコトさん!ご飯ができましたよ!」

 

鈴仙が食事の準備が出来たことを教えに来た。

 

「ありがとうウドンゲ。姫、ミコト行きましょう」

 

「「ああ(ええ)」」

 

俺たちは食事を摂りに屋敷の中に戻った・・・・・・永遠亭での最後の夕食を摂るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、きたきた、早く座って」

 

居間に着くとてゐが座って待っていた。机にはこの一週間の中で最も豪華で最も多くの料理が並べられていた。

 

「今日はずいぶん豪勢なのね」

 

輝夜が机の上の料理を見て言った。

 

「そりゃあもう、鈴仙ってばミコトさんが永遠亭で摂る最後の食事だからって言ってすごい張り切ってたから」

 

「ちょ、ちょっとてゐ!そういうてゐだって普段は何もしないのにミコトさんのためだって手伝ったじゃない!」

 

「そ、それは言わないでよ!」

 

そうか。二人は俺のために・・・・・

 

「鈴仙、てゐ。ありがとう」

 

「「//////」」

 

俺が礼を言うと鈴仙とてゐは顔を赤くした。一体どうしたんだろう?

 

(・・・・・・最後か)

 

「姫、どうかされましたか?」

 

「なんでもないわ永琳。それじゃあ食べましょう」

 

「そうね。じゃあ・・・・」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

俺たちは食事を始めた。食事中は皆他愛のない話をして、笑顔だった。食べ物はかなりの量があったにもかかわらず全ての皿が綺麗に空になった。・・・・・まあほとんど俺が食べたのだがな。左手の再生で生命力を結構消費したからそれを補おうとどんどん箸が進んだ。こうして永遠亭での最後の夕食は終へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も月が綺麗ね」

 

「・・・・そうだな」

 

俺と輝夜は縁側で月を眺めながら煙管を吸っている。

 

「こうしてミコトと月を見ながら煙管を吸うのも今日で最後なのね」

 

「ああ。そうだな」

 

「・・・・・・・ねえ、ミコト」

 

「なんだ?」

 

「ここで・・・・・永遠亭で暮らさない?」

 

輝夜はまっすぐ俺の目を見ながら言った。

 

「・・・・・ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ。でもその話には乗れない」

 

「どうして?」

 

俺は目を閉じて。ある人物のことを思い描いた。

 

「・・・・・・霊夢が待っていてくれるから」

 

「・・・・・霊夢が?」

 

「霊夢は俺に自分の家に住みなさいって言ってくれた。だから俺の帰る場所は霊夢のいる博麗神社なんだ。霊夢が俺に出て行くように言わない限りは霊夢と一緒に博麗神社で暮らしたい」

 

・・・・・正直な話、実は自分自身どうしてここまで霊夢と共に暮らすことにこだわっているのかはわからない。ただ・・・・霊夢に言われたときはすごく嬉しかったし・・・・・今は早く霊夢の顔が見たいとさえ思っている。なんでだろうか?

 

「・・・・・そう。ねえミコト、あなたって・・・・・・ごめんなさい。なんでもないわ」

 

「?そうか」

 

輝夜は俺から目を背けた。輝夜は今なんて言おうとしたんだろうか?

 

「ねえミコト、もっと近くであなたの眼を見ていい?」

 

「ああ。いいぞ」

 

輝夜は近づいてきて俺の眼を覗き込んできた。ただ・・・・・想像以上に近い。鼻の先がぶつかりそうだ。

 

「本当に綺麗な眼ね。本物の月のよう・・・・」

 

「そうか」

 

「・・・・・ねえミコト、私のお願い聞いてくれる?」

 

「なんだ?」

 

「自分の眼を嫌わないで欲しいの。ミコトの眼はとても美しいから。だから・・・・ミコトに嫌って欲しくないの。だからお願い」

 

「・・・・・わかった。善処する」

 

「ふふ。そこは絶対に嫌わないって言うところでしょ?」

 

「悪いな。俺は絶対っていう言葉は使わないようにしているんだ」

 

そう。俺は絶対なんて言葉は俺は信じない。・・・・そんな無責任な言葉は使いたくない。

 

「ミコトらしいわね。何故か納得だわ。なら・・・・・ちゃんと善処してね?」

 

「・・・・・ああ」

 

「・・・・・もう寝ましょ。ミコトも今日は疲れたでしょ?」

 

「・・・・そうだな」

 

俺たちはそれぞれの自室に向かい眠りについた。

 

 

 

 

 

 

side 輝夜

 

 

『霊夢は俺に自分の家に住みなさいって言ってくれた。だから俺の帰る場所は霊夢のいる博麗神社なんだ。霊夢が俺に出て行くように言わない限りは霊夢と一緒に博麗神社で暮らしたい』

 

ミコトのあの言葉。もしかしてミコトは霊夢を・・・・・・。おそらくミコトは意識しているわけではない。無意識に霊夢を・・・・・

 

「・・・・・負けないわよ。霊夢」

 

私は今ここにいない霊夢に対して対抗心を燃やした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ミコト

 

太陽が登って間もない時間。俺は永遠亭の玄関前にいた。

 

「世話になったな、皆」

 

「ねえミコト、やっぱりもうちょっと永遠亭にいたら?まだ左手も治ったばかりなんだから」

 

「そうです!もう少し様子を見ましょう!」

 

神社に帰ろうとする俺をてゐと鈴仙が引き止めてきた。

 

「ダメよ二人共。ミコトの帰りを霊夢が待っているんだから。下手に引き止めたりなんかしたら・・・・・・めっせられるわよ?」

 

「「うっ」」

 

二人は輝夜の言葉を聞き萎縮した。・・・・・一体霊夢はどれだけ恐れられているんだろうか?

 

「・・・・・・ねえミコト、また永遠亭に来てくれる?」

 

輝夜は俺にそう言ってきた。

 

「もちろんだ。左手の治療費も払わないといけないし、それに・・・・・永遠亭のことは気に入ってるからな。また遊びに来るよ」

 

「本当に!?」

 

「また来てくれるんですか!?」

 

「ああ」

 

俺の言葉を聞いて二人はとても喜んでいるようだ。そんなに俺はなつかれたのか?

 

「治療費のことは払えるようになったらでいいから無理はしなくていいわよ」

 

「ありがとな永琳」

 

「気にしなくていいわ」

 

「そうか・・・・・それじゃあもう行くな」

 

俺は永遠亭に背を向け、神社に帰ろうとした。すると・・・・・

 

「ミコト!」

 

輝夜の声が聞こえたので俺は振り返った。

 

「・・・・またね!」

 

輝夜は笑顔でそう言った。その笑顔は・・・・・神楽のものとは違う輝夜だけの笑顔だった。

 

「ああ。またな」

 

俺は輝夜にそう返して今度こそ博麗神社へと帰るために永遠亭を発った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 霊夢

 

ミコトが永遠亭に行ってから7日目。私は・・・・・

 

「・・・・・はあ」

 

とてつもなく落ち込んでいた。まさかミコトに会えないのが生活がこんなにもきついとは思わなかったわ。

 

「ミコト・・・・・何してるんだろ?」

 

この7日間、私はほとんどミコトのことを考えていた。ミコトは何をしているのか?あの兎詐欺(てゐ)に変ないたずらをされていないか?鈴仙に避けられて悩んでいないか?永琳に変な薬を飲まされていないか?輝夜のわがままに振り回されていないか?・・・・こんな具合に時間さえあればミコトのことを考え夜も眠れず昼寝もできずにいた。

 

そしてなにより私が恐れていることは・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ミコトが帰ってこないんじゃないかということだ。

 

「・い・・・む」

 

考えたくなかった。そんなことはないと思いたかった。けど・・・・・考えずにはいられなかった。

 

「お・・・・、れ・・・む」

 

全く有りないという話ではない。もしかしてミコトは永遠亭が居心地がいいと思ってしまっているかもしれない。そして・・・・・神社に帰ってこずにこれからずっと永遠亭で暮らそうと思っているのかも。

 

「おい、れ・・・む」

 

あるいは・・・・・永遠亭にいる誰かのことが好きになってしまったなんてことも十分に・・・・

 

「おい!霊夢!」

 

「え?」

 

私は近くで割と私の名を呼ぶ割と大きな声を聞き顔を上げた。そこには・・・・

 

「全く、どうして何度も呼んでるのに反応してくれないんだ?霊夢」

 

「ミ・・・コトなの?」

 

「何を当たり前のこと言っているんだ?」

 

「・・・・・本物よね?」

 

「逆に聞くがどうして俺の偽物がいると思うんだ?」

 

間違いない。ミコトだ。私がずっと会いたいと焦がれていたミコトが目の前にいる。ミコトが・・・・・帰ってきた!

 

ガバッ!

 

「ちょっ!霊夢!?」

 

私は嬉しさのあまりミコトに抱きついた。

 

「おかえり!ミコト!」

 

「・・・・・ああ。ただいま霊夢」

 

 

 




あとがき座談会のコーナーIN東方!

今回もゲストはなしでミコトさんと二人で進めていきます!

「また二人でなのか」

まあそうですね。それと初めに言っておきます・・・・・今回のあとがきで話すことはほとんどありません!

「ないって・・・・なんでだよ」

いえ、次回は今回の章の話のまとめ的なことをする予定なので次回でいろいろ話して今回は特に話すつもりはないんですよね。

「そうなのか?じゃあこれからどうするんだ?」

そうですね・・・・・とりあえず読者の皆さんに今回の章で質問があるかどうか聞きます。何か質問があるようでしたら感想でお願いします。答えられる範囲で次回で答えますので。

「・・・・他にやることは?」

ありませんね。強いて言うのならばミコトさんに永遠亭編お疲れ様でしたと言う事ぐらいですね。ということでお疲れ様です、ミコトさん!

「ああ。といっても俺よりも薬を作っていた永琳と思い悩んでいた輝夜、そして霊夢の方がお疲れだと思うがな」

まあそうですね。彼女たちにも後ほどねぎらいの言葉をかけておきましょう。それではだいぶ早いですが今回はここで締めましょう。次回は先ほど言っていた通りまとめ的な話になりますので質問がある方はどうぞ気兼ねなく聞いてください。それでは・・・・




「「次回もまたきてください(きてくれ)!!」」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。