東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第130話!

守月姫編もとうとうクライマックスに入ります!

「さて、どうなるかねぇ・・・てかミコちゃんは?」

どうなったのかは本編でわかりますよ

「そか」

それでは本編に参りましょう

「本編どうぞ~」


第130話

 

「ミコト!」

 

「ミコトさん!しっかりしてください!」

 

「・・・・・」

 

矢で心臓を貫かれ、倒れ伏すミコトに駆け寄る鈴仙とてゐ。その目からは涙が溢れている。その様子を・・・・輝夜はただ眺めていた。

 

決して悲しんでいないわけではない。ただ・・・・輝夜の心には、悲しみ以上の憎悪が巣食ってしまっていた。

 

大切な・・・愛するミコトを失うこと・・・・それは輝夜にとって耐え難いもの。

 

ミコトのいない未来・・・・それはどれだけ苦しいのだろう。それはどれだけ辛いのだろう。それはどれほどの・・・・地獄なのだろう。

 

それを思う輝夜は・・・・ミコトの心臓を穿った卍月に対する憎しみを募らせていった。

 

「くくくッ・・・・・・儂の前に立ちはだかるからこうなるのだ。せめてその命、儂の不老不死の礎になれることを誇るがいい愚かな地上人よ」

 

「・・・愚か?」

 

卍月のその一言は・・・・輝夜の憎悪を解き放つ。

 

「ミコトが・・・・愚かですって?ふざけたこと言わないで卍月」

 

「ッ!?姫・・・様?」

 

悍ましいほどの殺気をその身に受けた卍月は、思わずたじろいだ。

 

今の輝夜から発せられる殺気は、普段の妹紅との殺し合いでの戯れの殺気とはわけが違う。

 

純粋な憎悪によるその殺気は・・・・浴びせられただけで死を覚悟させるに十分なものであった。

 

「・・・・殺す。ミコトを・・・・私の大切なミコトを奪ったお前は!この私が絶対に殺してやる!」

 

自身の周囲に弾幕を展開する輝夜。

 

輝夜は蓬莱人・・・・蓬莱人は、常人を遥かに超越した存在。即ちその力は本来絶大にして強大。その力が今、卍月を殺すためだけに振るわれようとしている。

 

「はは・・・ははははははっ!素晴らしい!素晴らしい力だ!それが蓬莱人の力か!儂も・・・・儂もその力を手にするぞ!儂も蓬莱人になるぞ!」

 

「蓬莱人にですって?無理よ。あなたはここで私に殺されるの」

 

「確かに儂では姫様には敵いませぬ。正面からやりあえば殺される・・・・まあ、時間があればの話ですが」

 

「時間?」

 

「ええ・・・・儂はただまともに戦わずに待てば良いのです。法月がくるまで」

 

卍月にはまだ希望があった。

 

月の最強戦力・・・・法月千良さえ来ればどうにでもなると。

 

彼がいれば、万事うまくいくのだと確信があった。

 

ただまあ・・・・その希望は既に打ち砕かれていた。

 

「その法月を連れてきました~」

 

その場に似つかわしくない声がその場に響き渡る。

 

声のする方には竜希と永琳、そして・・・・竜希に引きずられている、左腕と右足の無い、気絶した法月の姿であった。

 

「ごめんね~。君の希望・・・俺が断ち斬っちゃった」

 

「法月!?ば、馬鹿な!月の最強戦力が・・・・なんだこの体たらくは!?」

 

「月の最強戦力・・・・ぶっちゃけいうほど大したことがなかったよ。ただ力が強いだけ・・・・まあ、今では俺の方が強くなっちまったんだけどな」

 

「そ、そんな・・・・ありえぬ」

 

「残念だったわね卍月。ここにいる男は・・・・間違いなく『最強』の男。彼の前では法月は小物に過ぎなかったといういことよ」

 

現実を受け止められずに呆然としている卍月に、永琳が言い放つ。

 

よもや月の最強戦力たる蓬莱人、法月千良が負けてしまうとは卍月にとっては予想だにしない事態だろう。既に部下も全員戦闘不能・・・・卍月に打つ手はなかった。

 

「・・・・どうやらあなたの希望は潰えたようね。大人しくここで私に殺されなさい。ミコトの仇・・・・打たせてもらうわ!」

 

「ひっ!?」

 

今まさに弾幕を放たんとする輝夜と、恐れおののく卍月。

 

だが・・・

 

「ちょい待ち輝夜ちゃん」

 

竜希が輝夜の前に立ち、妨害してきた。

 

「・・・・なに?邪魔しないで?そいつは・・・・ミコトを殺した。だから私が殺してやるの」

 

「輝夜ちゃんは本当にミコちゃんのことが好きなんだねぇ。でも・・・だったらなおさら邪魔させてもらうよ。だってそんな仇討ちなんてミコちゃんは望まないんだから・・・・だよねミコちゃん?」

 

「・・・・ああ。そうだな」

 

「「「!?」」」

 

それは聞こえるはずのない声だった。

 

閉ざしていた目を開き、立ち上がるのは・・・・間違いなくミコトであった。

 

「鈴仙、てゐ・・・・心配かけてすまなかったな」

 

自身の傍らで涙を流していた鈴仙とてゐに、安心させるように微笑みを向けるミコト。

 

「ミコト・・・・さん?」

 

「嘘・・・だって心臓を・・・」

 

鈴仙とてゐは貫かれたはずのミコトの胸をみる。確かに服は貫かれて破れてはいたが・・・・胸を穿った穴はどこにもなかった。

 

「き、貴様・・・・何故生きている!」

 

なぜミコトが生きているのか・・・・それがわからない卍月の動揺はさらに増す。

 

「俺の能力・・・・『命を理解する程度の能力』の影響さ。幻想郷で取り戻したこの能力は日毎に強力になっていき、俺の生命力をも増大させていった。その結果俺は蓬莱人と同じ・・・・いや、あるいはそれ以上の不死者となった」

 

「ミコトが・・・・私達以上の不死者?」

 

「そうだ。と言っても、自分の力で心臓を再生させるほどの規模のことはしたことなかったんで意識を戻すのには少々時間がかかってしまったがな。その点に関してはすまなかった輝夜。でももう大丈夫だ。ほら」

 

ミコトは輝夜の傍に歩み寄り、輝夜の手をとって自身の胸に置いた。

 

「・・・・感じる。ミコトの鼓動・・・・」

 

「ああ。俺は生きている。生きてここにいる。だから・・・・憎しみにとらわれるな輝夜。勝手だけど・・・・そんなお前は見たくない」

 

「ミコト・・・・だったら」

 

「ん?」

 

「だったら心配させないでよ・・・・馬鹿」

 

ミコトの鼓動が聞こえるように、胸に耳を当てながら寄り添う輝夜。

 

その表情は・・・・先程の憎しみに染まったものではなく、安堵のものであった。

 

「ああ・・・・本当にごめん。ごめんな輝夜。そのお詫びってわけじゃないけど・・・・ケリ付けるから」

 

ミコトは輝夜の頭を撫でた後、卍月の方を見やる。

 

「卍月とか言ったか?俺は・・・・お前を嫌悪する。お前は・・・・平気で命を弄ぼうとする。自分の勝手で他人の命を無下にし、そのくせ自分は不老不死を求めるだなんて・・・・俺は許さない」

 

ミコトは自分と対峙し、同じように心臓を穿かれて死んだ月の使者に視線を向けながら言う。

 

ミコトは命の理解者・・・誰よりも命に対して強く、深い思いを持っている。だからこそ、卍月のように自らの我欲の為だけに不老不死を求め、そのために他者の命さえも平気で切り捨てる卍月に怒りを覚えているのだ。

 

「ぐうぅ・・・・許さないならどうするというのだ?」

 

「・・・・俺が報いを与える。たとえそれで禁忌を犯そうとも」

 

ミコトはどこか悲しげな表情を浮かべ、懐からスペルカードを取り出した。

 

「輝夜・・・・聞いてくれ。俺は今から外道に成り下がる」

 

「・・・・え?」

 

「命を弄ぶ奴に報いを与えるために・・・・俺自身も外道となり、奴の命を弄ぶ。輝夜には・・・・そんな俺を見ていて欲しい」

 

報いを与えるために、同じように外道になり果てる。

 

同じような外道から報いを受ければ・・・・卍月も自らの過ちに気がつくかもしれない。だからこそ、ミコトは外道に成り下がろうというのだ。

 

そのために・・・・禁忌にしていたスペルカードを使おうとしている。

 

「ミコト・・・・わかったわ。ちゃんと見てるわ。それと・・・・何があっても私はミコトを失望したりしないから」

 

「そうか・・・・ありがとう輝夜」

 

失望したりしない・・・・それはこれから外道なことをしようというミコトにとって嬉しい言葉であった。

 

「さて・・・・それじゃあ覚悟しな卍月」

 

卍月に向き直り、スペルカードを構えるミコト。

 

そして・・・それを発動した。

 

「天命『命羅万象の統括』」

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!

今回はゲストなしでお送りします!

「なんでまたゲストなし?輝夜とか呼べばいいだろう?」

ネタが・・・・ね

「駄主だね~」

ぐっ・・・・否定できない

で、ですがまあ進めていきましょう

「ミコちゃん・・・とうとう不老不死になっちゃったんだね~」

能力的になってもおかしくないですからね。幻想郷に来てから力が爆発的に強くなってきていますし

「ちなみに俺が死ぬ方法はあるのか?」

ないですね。完全なる不死なので。たとえ肉体が消滅しようとも生きてますよ?

「むしろその方法でどうやって生きてられるんだって話だよね~」

器がないって感じですね。まあ、完全消滅した場合は生命力を使って再構築が可能ですが

「もはや俺人間じゃないな」

「人妖ってやつかな?いや、スケールが半端ないけども」

「そのうち霊夢に退治されたりなんかは・・・」

させませんよ。よほどのことがない限り。むしろ退治するとしたら紫さんでしょうし。

「あ~・・・・・警戒されてるもんね~」

「それお前もだからな」

・・・・お二人とも本当に規格外だこと

「竜希ほどじゃない」

「いや、ミコちゃんも大概だから」

・・・・どっちもバグキャラっすよ

さて、今回はここまでにしましょう

「およ?ミコちゃんが発動したスペカについてはいいの?」

それは次回に回します

「そうか」

それでは・・・・











「「「次回もまたきてくれ(きてね~)(きてください)!!」」」

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