今回で竜希さん対法月の勝負に決着がつきます。
「改めて・・・・・お前戦闘力もだけど能力もバグの域だよな」
「否めねぇ・・・・・」
あははは・・・・・それでは本編に参りましょう。
「本編どうぞ」
「さて・・・・・まだやるかい?正直これ以上戦っても無駄だと思うよ~?今の俺はもう君より強いし~」
竜希は鞘に収まったままの刀を法月に突き立てて尋ねる。
これで退いてくれたらいいなぁと思っていた竜希だったが・・・・・そうもいかないらしい。
「・・・・くくくっ。あっははははははは!!」
突然、狂ったように笑い声をあげる法月。その様子は竜希と永琳にとっては気味が悪いものであった。
「何を笑っているのかしら法月?あまりにもショックで気が変にでもなったの?」
「くふふふっ・・・・そうじゃないさ永琳。ただ、あまりにも愚かな問いかけだったから笑ってしまっただけだよ」
「愚か?どうして君はそう思うのかな~?」
「確かに君の言うとおり今の君は僕よりも強いようだ。だけど君は肝心なことを忘れている・・・・・僕は蓬莱人だ!この身体は朽ちることなく、傷も一瞬で回復し、決して死なない!つまり僕はずっと戦い続けることが出来るんだ・・・・・・只の人間風情である君と違ってね!」
これが法月が唯一竜希にとれるアドバンテージであった。
蓬莱人故に法月の耐久力、体力は無尽蔵といっていい。対して竜希は異常なまでの力を宿してはいるが普通の人間・・・・・疲れもするし怪我もする。確かにそこで法月とは差ができていると言える。
「なるほど~。つまり持久戦に持ち込んで俺を消耗させてぶっ殺すって考えてるわけだ~」
「そうさ!これなら君を殺せる!君を殺して永琳を連れて行ける!やはり君は僕に勝てない運命にあるんだ!くふふふふ・・・・あははははははっ!」
「そっか~・・・・・・そいつは残念だ」
「そうだろう?結局君は死ぬんだ!残念でならないだろう?」
「いや、そう言う意味じゃなくてさぁ・・・・・・君の思惑は見事に外れることになるから残念だって言ってるんだよ」
「なんだと?」
竜希が苦笑いを浮かべながら言ったことに対して、法月は怪訝な表情を浮かべる。
「どういうことだい?僕の言ったことになにか間違いでもあるのかな?」
「そうだねぇ・・・・・君が相手にしてるのが俺以外だったらその作戦で通用するんだろうけど・・・・本当に残念だねぇ。君が相手にしてるのは『最強の剣士』である俺だ。残念だけどその思惑は通用しない。それを・・・・・・すぐに思い知らせてやる」
竜希は刀を腰にさし、抜刀術の構えを取ったあと、そのままゆっくりと抜刀をはじめる。
「抜刀術かい?それにしては随分とゆっくりだね。それにこの距離でそんなことしてなんになるっていうんだい?」
確かに法月の言うとおり、二人の間には距離が開いていて、普通に考えればこの抜刀術で法月を斬ることなどできない。
そう・・・・・普通に考えれば。
「飛天『絶龍閃』」
刀を抜ききると同時に技名を口にする竜希、
そしてそれと同時に・・・・・法月の左腕の肩から先が斬り裂かれ、ぼとりと地面に落ちた。
「ッ!?ぐあぁぁぁぁぁ!!」
自分の腕が斬り裂かれたそのあまりの痛みに、法月は絶叫を上げる。それとともに、傷口からは大量の鮮血が溢れ出した。
「・・・・この距離でどうやって斬ったの竜希?」
「それが俺の力だよ。俺の力は『悉くを断ち切る程度の能力』。こいつは文字通りあらゆるものを着ることができるってやつなんだけどその射程は『目に見えてるもの全て』なんだよ。だから刃を当てなくても斬れるってわけ」
「・・・・・『最強』に加えてとんでもない能力ね」
永琳はまたもや竜希に戦慄した。そのあまりにも広大な射程はもちろんだが、『目に見えてるもの全て』を斬れるということは、竜希の目に映る『世界』そのものさえ斬ることができるということだ。つまり竜希一人で世界を崩壊させることがあまりにも容易であるということ・・・・・・それに気がついてしまっては戦慄しないほうが無理である。
「ぐぅぅぅ・・・・貴様よくもやってくれたな。でも無駄だよ。たとえ腕が斬り裂かれようともすぐに再生・・・・あれ?」
痛みに悶えながらもどうせ直ぐに再生するからとタカをくくっていた法月であったが、その余裕はすぐさま崩れ去ることとなる。
なぜなら・・・・・傷口はふさがっているというのにいつまでたっても斬られた左腕が再生することがなかったからだ。
「な・・・・なんで?なんで・・・・・再生しない?どうしてだぁぁぁぁ!!」
「・・・・・あれもあなたの能力の一旦なのかしら?」
「いぐざくとりー。俺が能力を使って斬ったものはその結果が覆ることはないんだよ。つまり腕を斬られりゃ斬られたまま・・・・・再生力の高い蓬莱人であろうとそれは例外ないさ」
「つくつくとんでもないわね。本当にチート・・・・・いえ、これはもうバグの領域よ?」
「自覚してますとも・・・・・・まあそんなことよりも、法月・・・・ああ、そうだ法月だ。ようやく覚えられたよ。君さぁ、そんなになってまでまだ続けるかい?俺は君が蓬莱人だろうが関係なく斬ることができるんだけど?」
「ふざ・・・・・けるな。ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁぁ!!」
どうやら法月は自分の左腕が二度と再生しないことに相当腹を立てているらしい。我を忘れて竜希に襲いかかっていった。
「こりゃ話聞いちゃいないな・・・・・仕方ない。左手一本で勘弁してやろうと思ったけど・・・・・動けないよう足もいっとくか」
襲いかかる法月に向かって刀を振るう竜希。すると今度は、右足の膝から下が斬り離されてしまった。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!足が・・・・僕の足がぁぁぁぁ!!」
「あ~・・・・うん、痛いよね。ごめんね。でも・・・・・そうでもしないと君止まらないでしょ」
自分のしたこととは言え、流石に哀れに思ったのだろう。竜希は非常に申し訳なさそうな表情で法月に謝る。
もっとも・・・・・法月の自業自得であることは否めないのだが。
「永琳さん、鎮痛剤とかあったらくれないかな?」
「あるけれど・・・・・正直彼の為に使いたくはないのだけど?」
「そう言ってあげないでよ~。というか鎮痛剤でも打ってあげないと彼いつまでも喚き続けるよ?薬は俺が打つからさ・・・・ね?」
「・・・・・仕方ないわね」
確かにこれ以上法月の喚き声を聞きたくはないと思った永琳は、仕方なしに竜希に鎮痛剤の注射を渡した。
「一応聞くけどこれ蓬莱人にも効くんだよね?」
「ちゃんと効くわよ。麻酔も兼ねてるから意識も奪えるわ」
「それは何より。どこに打てばいいの?」
「首に打ってくれればいいわ」
「了解~」
鎮痛剤を受け取った竜希は法月に近づき、その首に鎮痛剤を打つ。
すると程なくして法月の喚き声は収まり、その意識を失うこととなった。
「処置完了。ついでに永琳さん防衛戦も終了だ」
「随分と注射を打つのが上手いのね」
「これでも医術の心得があったりなかったりするからね~」
「なかったらダメじゃないの・・・・・まあいいわ。そんなことより・・・・・あなたのおかげで法月に連れて行かれずに済んだわ。ありがとう」
永琳は約束通り自分をきっちりと守り通してくれた竜希に心からの感謝の言葉を述べる。
「あはは~。どういたしまして~」
それに対して竜希は大したことはしていないとばかりゆるい笑顔で答えた。まあ、実際竜希にとっては大したことではないのだろうが。
「それにしても・・・・・・貴方はとんでもないわね。蓬莱人として長い年月生きてきたから色々な人に出会ってきたけれど・・・・・あなたほど異常な存在は初めてみるわよ?」
「まあ自分で言うのもなんだけど俺は人類史上『最強』の存在であり、今後俺以上のバグが生まれることはないだろうからねぇ。永琳さんがそう思うのも無理はないよ~」
(・・・それをこうして受け入れられているっていうのもまた異常ね)
永琳は思う。紫黑竜希・・・・・彼はあまりにも異常すぎる存在だと。
強力な力、身体能力、特性を備えていることはもちろんだが、ある意味で一番異常と言えるのはその自我と精神力だ。並の人間であれば押しつぶされて狂ってしまってもおかしくないほどのものを背負わされながら、演技であるとは言えこうして笑っていられるのは正気の沙汰ではない。
間違いなく竜希は人類史上『最強』・・・・・その力も、その精神もだ。
そして・・・・・そんな竜希だからこそだろう。永琳は・・・・・
(まったく。こんなとんでもない人間・・・・・・惚れてしまっても仕方がないわよね?)
そんな竜希だからこそ・・・・・永琳は惹かれてしまったのだろう。
『最強』の剣士、紫黑竜希と月の最強戦力、法月千良
その戦いは・・・・・・竜希の圧倒的なまでの勝利で幕を下ろした
今回座談会はお休みいたします。
まあ、余裕があったら後ほど追記するかもしれませんが。
それでは次回もまたきてくださいね!