東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第116話!

今回の話はこのコラボでやりたかったことの一つがメインとなります。

「やりたかったこと?」

「それって何~?」

それは見てのお楽しみです。

それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」


第116話

「・・・・・」

 

「竜希さん、こんなところで横になっては風邪を引いてしまいますよ?」

 

白玉楼の庭で仰向けになりながら物思いに耽る竜希に、妖夢が声を掛けた。

 

「・・・・よ~むちゃん。君それはちょっとそれはマズイよ」

 

「マズイ?それはどういうことですか?」

 

目を手で覆いながら言う竜希に対して、妖夢はわけがわからないといった様子で首を傾げている。

 

「この角度からじゃ・・・・・見えちゃうから」

 

「みょん!?」

 

竜希に言われ、妖夢は顔を真っ赤にしながらスカートを両手で押さえた。

 

「み、見ましたか?」

 

「・・・・・ごめん。ちょっとだけ白いの見えた」

 

「わ、忘れてください!今見たものをすぐに忘却の彼方に消し去ってください!」

 

「わかったよ。忘れるから少し落ち着きなよ~むちゃん」

 

酷く取り乱した様子で言う妖夢に竜希は苦笑いを浮かべながら宥めた。

 

・・・・・・まあ実際は先ほど見た絶景を脳内メモリーに永久保存しているのだが。

 

「うぅ・・・・・そ、それはそうと竜希さん。聞きたいことがあります」

 

「ん?なに~」

 

「その・・・・・ミコトさんの事なんですが」

 

「ミコちゃんの?よ~むちゃんがミコちゃんのことで俺に聞きたいことがあるなんて珍しいね~。それで?ミコちゃんの何が聞きたいのかな~?」

 

まさかミコトのことを聞かれるとは思わなかったらしく、一瞬驚いた表情をする竜希であったが、すぐにいつもの緩い笑顔を浮かべて妖夢に尋ねた。

 

「はい・・・・・・ミコトさんは今自分に向けられた愛に気がつくことができずにいるんですよね?」

 

どうやら妖夢は竜希にそのことを聞いていたらしく知っていたようだ。

 

「・・・・・うん。そうだよ」

 

「なら・・・・・自分の愛に関してはどうなんですか?もしかしてなんですけど・・・・・ミコトさんは自分が抱いた愛にも気がつくことができずにいるんじゃないですか?」

 

妖夢は神妙な面持ちで自分の考えを竜希に話す。

 

「・・・・凄いなよ~むちゃん。よくわかったね。その通りだよ」

 

どうやら妖夢の推察は当たっていたようだ。

 

「確かにミコちゃんは今自分が抱いた愛にも気づけないでいる。それもミコちゃんの欠陥が原因だよ。もしもミコちゃんが気がついていたなら・・・・・とっくに彼女と結ばれているだろうからな」

 

どこか儚さを感じさせる笑みを浮かべながら言う竜希。

 

竜希は誰よりもミコトの幸せを願う。

 

それ故に竜希は・・・・・・現状を嘆いているのだ。

 

「・・・・やっぱりミコトさんのことは心配ですか?」

 

そんな竜希の内心を知ってか、妖夢が尋ねる。

 

「まあね・・・・・でも多分大丈夫だよ。ミコちゃんが向こうの幻想郷に行かされたのはきっと・・・・そのことも関係あるだろうから。本当・・・・・早く気が付ければいいんだけどね~」

 

どこか含みのある笑顔を浮かべながら、竜希は冥界の空を仰いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人共、今日はありがとう」

 

「いえ、霖之助さんのお役に立てて良かったです」

 

「俺としても結構楽しかったしな」

 

霖之助は今日一日店の手伝いをしてくれたことに感謝の言葉を述べると、葵とミコトは微笑みを浮かべて返事を返した。二人にとって店の手伝いは苦にはならないようだ。

 

「本当に助かったよ。今日はいつもよりお客さんが多かったしね」

 

普段はあまりお客の来ない香霖堂であったが、この日は珍しく繁盛していたらしい。

 

「それはなによりだ。それにしても・・・・・」

 

「どうしましたミコトさん?」

 

「いや・・・・こっちの幻想郷には幸せそうな奴が多いんだなと思ってな」

 

葵に問われ、ミコトは今日来た者たちの事を思い返しながら言う。

 

今日香霖堂に来た客は早苗と想起をはじめとして魔理沙と魔法士と呼ばれる存在の夢幸、紅魔館で共に働く咲夜と光冥。そして賢者、紫に仕える藍と茜の4組。

 

この4組は・・・・・いずれも互いのことを想い合っていた。

 

「ミコト君の居る幻想郷ではどうなんだい?」

 

疑問に思ったらしく霖之助が尋ねる。

 

「不思議なことに皆あまり男と関わり合いにならないからカップルなんて全然いないな」

 

「そちらの世界で能力を持った男性ってミコトさんと竜希さん、それと霖之助さんぐらいですもんね」

 

「・・・・・・今更だけど男女比おかしい気がしてきたな」

 

ミコトの疑問・・・・・それは本当に今更のものであった。

 

「あ、あはは・・・・そ、それじゃあ霖之助さん私達はこれで失礼しますね」

 

「うん。それじゃあまたね葵。ミコト君も」

 

「ああ。また機会があればな」

 

挨拶を交わして、店を出ようとするミコトと葵。

 

その時、店に新たな来客・・・・・霊夢と歩が現れる。

 

「え?ミコト?」

 

「なんでミコトがここに?」

 

二人はミコトがここにいることに驚きを顕にする。

 

「・・・・・霖之助。今日は本当に客が多いようだな」

 

「そのようだね。僕としては嬉しい限りだけど」

 

「良かったですね霖之助さん」

 

「・・・・俺と霊夢の疑問に関してはスルー?」

 

自分達を置いて勝手に話をする三人に、思わず歩はツッコミを入れた。

 

「ああ、すまない歩。なにせ同じリアクションを今日何度も見てきたからな」

 

「え?どういうことよそれ?」

 

「あはは・・・・・ミコトさんは今日会う人皆に同じこと聞かれたんだよ霊夢」

 

「なるほどね。それで?結局のところミコトはどうしてこっちの幻想郷にいるの?」

 

「・・・・・少し長くなるかもしれないが聞くか?」

 

「ならいいわ。面倒だし」

 

「「・・・・言うと思った」」

 

面倒くさいという理由で聞くのをやめた霊夢。その反応は予想通りであったらしく、ミコトと歩が同時に苦笑いを浮かべながら言う。

 

「そういう霊夢達はどうして香霖堂に?」

 

「私の巫女服の替えを取りに来たのよ。歩は私の付き添い」

 

「つまりデートを兼ねてるってことだね」

 

「「なっ!?」」

 

霖之助が言うと、霊夢と歩は顔を真っ赤にさせる。どうやら図星であるようだ。

 

何とも初々しい二人の反応は非常に微笑ましいと言える。

 

ただ・・・・

 

「デート・・・・・か」

 

ミコトはそんな二人の姿を、複雑そうな表情で見ていた。

 

「もう、霖之助さんったら・・・・・って、ミコト?あんた何変な顔してるのよ?」

 

からかう霖之助に悪態をつく霊夢であったが、ミコトの様子がおかしいことに気がついて声を掛けた。

 

「・・・・・なあ、二人は恋人同士なのか?」

 

「あ、ああ。ついこの間から・・・・な」

 

ミコトに問われ、照れくさそうに頬を掻きながら答える歩。その隣で霊夢はゆでダコのように顔を真っ赤にさせていた。

 

「・・・・・そうか。おめでとう」

 

二人が恋人同士だと知り、優しい微笑みを浮かべながら祝福するミコト。

 

だが・・・・・その表情とは裏腹に、心にはズキズキとした重い痛みを感じていた。

 

「それじゃあ俺はもう行くな。ここにいたら二人の邪魔になっちゃうだろうし」

 

そう言うやいなや、ミコトはそそくさと店の扉を通って外を出ていった。

 

「ミコト・・・・一体どうしたんだ?様子がおかしかったような・・・・・」

 

「そうね・・・・・なんか変だったわね」

 

(ミコトさん、やはりあなたは・・・・・)

 

ミコトの様子がどこかおかしかったと首を傾げる霊夢と歩。その一方で葵は理由に心当たりがあるようだ。

 

「・・・・・私ももう行くね。ミコトさん待っているかもしれませんから」

 

「わかったわ。それじゃあまたね葵」

 

「うん。またね」

 

軽く手を振りながら、葵はミコトを追って店の外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

店を出てすぐ近くの木に体を預けるように寄りかかるミコト、その表情からは先程までの笑顔は消えており、どこか苛立っているようにも見える。

 

そんなミコトの脳裏には・・・・・霊夢と歩の姿が浮かんでいた。

 

(なんなんだこの気持ち?なんで・・・・・なんでこんなにもざわつく?なんで・・・・胸が痛む?どうして・・・・)

 

二人が恋仲だと知った瞬間に覚えた痛み。そして自分の中に芽生えた正体不明のナニカ。これまでに身に覚えのないその感情にミコトは戸惑っていた。

 

そんなミコトに・・・・葵が近づき声を掛ける。

 

「ミコトさん、大丈夫ですか?」

 

「・・・・・大丈夫?何がだ?」

 

葵が何を心配しているのかがわかっていないミコトは、逆に葵に尋ねた。

 

「・・・・・やっぱりわかっていないんですね」

 

「わかって・・・・・いない?どういうことだ?」

 

「それは・・・・・すみません。それだけはミコトさん自身で気がつかないといけないことですから教えることはできません」

 

葵は申し訳なさそうな表情を浮かべながらミコトに謝罪する。

 

「葵・・・・いや、気にしなくてもいい。葵がそう言うっていうことは・・・・俺が自分で気がつくことに意味があるって事なんだろうからさ」

 

ミコトは微笑みを浮かべながら言う。

 

本当は自分が何がわかっていないのかはなんとしても知りたかったであろう。だが・・・・・それでもミコトは葵から無理にでも聞き出そうとはしなかった。

 

それはひとえに葵のことを信じているが故・・・・・葵が自分で気がつかなければいけないというのならそうなのだろうと信じたからだ。

 

「本当にごめんさいミコトさん。でも・・・・・その代わりというわけではありませんがミコトさんが知りたがっていること・・・・・教えます」

 

「・・・・え?」

 

「・・・・・神社に帰ったら話します。ミコトさんが自身に向けられた愛に気がつくことができない理由を」

 

ミコトの目を正面から見据えながら言う葵の表情は真剣のそのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに明らかなものになるミコトの欠陥

 

それは酷く悲しい欠陥であり・・・・・・

 

酷く哀れな欠陥




あとがき座談会のコーナー!IN東方!

今回のゲストは歩さんです!

「よろしくな」

はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう。

「歩君って元々はルミナスさんのところのキャラじゃなかったんだっけ?」

はい。もともとはタジャドル・隼さんの東方雄漢録に登場するキャラクターですが現在はルミナスさんの東方~もう一人の巫女~に委託されています。

「なんでだ?」

ひとえにルミナスさんと隼さんの繋がりが強いからですね。本当に仲がよろしいですから。

「なるほどね~。それじゃあ本編についての話にいこうか」

「そうだな。まず竜希、お前は開幕早々なにおいしい思いしてるんだよ」

「ミコト・・・・最初に言うことがそれなのか」

ははは・・・・・爆ぜればいいのに。

「辛辣過ぎません!?特に主!!」

だってさ~。

「まあ気持ちはわからなくはない・・・・かな?」

「しかもこいつ脳内メモリーに永久保存してるしな」

「それはむしろしないと失礼ってもんでしょ!!」

同意はしますがやはり爆ぜればいいと思います。

「まだ言う!?というかそんなことよりも他に話すことあるでしょ!」

「そうだな。ミコトは俺と霊夢が恋人同士ってわかって内心では結構動揺してたようだが」

「・・・・ああ。俺はどうしてこんな・・・・」

「・・・・Ex。ミコトのこれって・・・・・」

本気で言ってますよ。ミコトさんは欠陥のせいで自分が抱いた愛にさえ気がつけずにいますからね。

「・・・・・もしかしてミコトの欠陥って俺が思ってるよりも重大なのか?」

「そりゃもうね~。重大すぎるぐらい重大だよ~。ミコちゃんの今後の人生にも関わるって言ってもいいしね」

竜希さんの言うとおりですね。ですが・・・・霊夢さんと歩さんが恋人同士だと分かってあの反応をしたということは・・・・

「そういうことでしょ~。霊夢ちゃんはミコちゃんにとって特別だからね~」

「たとえ自分の知る霊夢とは違っても・・・・ってことか。俺もももしもミコトの立場だったら動揺するかもしれない」

まあそれが普通でしょうね。ミコトさんは根本のことに気がついていませんけど。

「根本の・・・・・それって一体・・・・」

「はいはい。考えるのはまた今度だよミコちゃん。そろそろ締めだからさ~」

「・・・・ああ。わかった」

じゃあ今回はここまでですね。

それでは・・・・・





「「「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」」」











次回、とうとうミコトさんお抱えた欠陥が明らかに!

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