東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第115話!

今回はルミナスさんのところのキャラが3人登場します。

「うちオリキャラは一人だけどな」

「さて、どうなるかね~?」

それでは本編どうぞ。


第115話

「はあ・・・・・」

 

ミコトが紫に神無月神社に連れて行かれた翌日、霊夢は気だるそうに縁側でお茶を飲んでいた。

 

「お~い霊夢、来てやったぜ」

 

「・・・・・なんだ魔理沙か」

 

「なんだとはなんだ。失礼な奴だぜ」

 

訪れた魔理沙に明らかに落胆した表情を見せる霊夢。対して魔理沙は実に不満そうだ。

 

「その様子じゃあまだミコトは帰って来てないみたいだな」

 

「ええ・・・・・本当に早く帰ってこないかしら?」

 

「まあ同感だな。ところで霊夢、聞きたいことがあるんだが・・・・・」

 

「なによ?」

 

「・・・・・結局ミコトの欠陥っていうのはなんなんだ?」

 

いやに真剣な表情で霊夢に尋ねる魔理沙。

 

実は魔理沙は昨日の話でミコトに何らかの欠陥があるということを聞いていたが、その欠陥がなんなのかは最後まで聞けずじまいであったのだ。

 

「・・・・・ミコトは――――ないのよ」

 

「え?」

 

霊夢から告げられたミコトの欠陥・・・・それは魔理沙にとって予想外なものであったらしく、キョトンとしていた。

 

「だからミコトは・・・・・自分に向けられた愛に気がつけないっていうのか?」

 

「そうよ。誰にだってある・・・・・私にもあんたにもある()()がミコトには一切ない。だからミコトは自分への愛に気がつくことができない。もっと言えば自分のことをやたらとないがしろにするのも同じ理由なんでしょうね」

 

「・・・・・霊夢はそのことを知っていたのか?」

 

「ええ。といっても竜希に教えてもらったのだけどね」

 

「ならなんでお前がミコトに教えてやらなかったんだ?」

 

魔理沙の意見は尤もであった。霊夢はミコトにとって誰よりも身近な存在。欠陥があるというのなら教えるのが普通であるだろう。

 

「それは・・・・・本来ならそれはミコトが自分で気がつかなければいけないことだからよ。自分で気がついて・・・・・治さなければいけないことだから。だから私は教えなかったの」

 

「でも・・・・ミコトはその欠陥を教わりに神無月神社ってところに居るんだろ?それはいいのか?」

 

「良くはないとは思うわ。でも竜希が言うには今のミコトはかなり危険な状態らしいから仕方がないんだと思う。それに・・・・・教えるのは葵だし」

 

「葵ならいいっていうのか?どうしてだ?」

 

「葵は・・・・ミコトに似た存在だから。それに・・・・・あの子は自分の能力でミコトの過去を知っている。竜希を除けばミコトがああなった原因を誰よりも理解できるているからミコトに言い聞かせるなら葵が適任なんだと思うわ。でなければ紫がわざわざミコトを神無月神社に送るわけないし」

 

「そうか・・・・・・ならいいが」

 

霊夢から説明を受けた魔理沙であったが、まだ釈然としないという様子であった。

 

「大丈夫よ。葵に任せておけばきっと・・・・・」

 

「随分と信頼してるんだな。会ったのって1回だけなんだろ?」

 

「ええ。大して話もしてないけど・・・・・不思議と信用できる子だから」

 

「・・・・・ふ~ん」

 

魔理沙はどこか不機嫌そうにムッとした表情を浮かべた。

 

「そんな変な顔してどうしたのよ魔理沙?」

 

「変なのは生まれつきだぜ。それよりも私にもお茶」

 

「はいはい。湯呑持ってくるから少し待ってなさい」

 

魔理沙に告げると、霊夢は台所に湯呑を取りに向かった。

 

「・・・・・霊夢の親友は私なのに」

 

不貞腐れるように呟いた魔理沙の声は、霊夢の耳に届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミコトさん、ちょっとお願いがあるんですけどいいですか?」

 

朝食を終えて、ミコトが葵と二人で洗い物をしている時に、葵がミコトに声を掛けた。

 

「お願い?なんだ?」

 

「その・・・・・今日ちょっと行くところがあって。それでミコトさんについて来て欲しいんですけど・・・・・ダメですか?」

 

恐る恐るとミコトに尋ねる葵。その心内では断られてしまうのではないかと不安に駆られていた。

 

というのも、もしも断られてしまえば・・・・・また別の()()()()を考えなければならないからだ。

 

「行くところか・・・・いいよ。俺でよければ」

 

微笑みを浮かべながらミコトは快く承諾した。

 

「本当ですか?ありがとうございます」

 

「それじゃあ早く洗い物を終わらせちゃおうか」

 

「そうですね」

 

二人は洗い物をするスピードを早めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、そういえば葵、今どこに向かってるんだ?」

 

洗い物を終えて、葵に後ろからついて行くミコトがふと思い出したように尋ねた。

 

・・・・・普通は出発する前に聞くものであるのだがそこには今は触れないでおこう。

 

「はい、今向かってるのは香霖堂ですよ」

 

「香霖堂・・・・霖之助のところか」

 

目的地を知ったミコトは少々複雑そうな表情を浮かべた。

 

その理由はミコトが幻想郷に来たばかりの時にあったあの出来事・・・・・霖之助に告白されてしまったことが原因であろう。

 

「あはは・・・・やっぱり霖之助さんのことは苦手ですか?」

 

能力でそのことを知っていた葵が苦笑いを浮かべながらミコトに尋ねる。

 

「まあちょっとな。悪い奴じゃないし数少ない男の知人だから嫌いというわけじゃないんだが・・・・・あのことが頭から離れない」

 

「え、えっと・・・・・心中お察しします」

 

思わず頭を抱えそうになるミコトを励ます葵。どうやらミコトにとってはあの時のことはトラウマになりかけているようだ。

 

「ありがとう葵。それはそうと香霖堂に何の用があるんだ?」

 

「はい。以前お手伝いすると約束しましたのでそれで」

 

「なるほどな」

 

「すみません。本当に私一人で行くべきなんでしょうけど・・・・その・・・・・」

 

「気にしなくてもいい。泊まらせてもらってるんだからそれくらいのことは喜んで手伝うよ。気分転換にもなるしな」

 

何かを言おうとするが、中々話せずに口ごもってしまう葵に気を遣わせないようにと命は言う。

 

「ありがとうございます。あ、着きましたね」

 

そうこうしているうちに、どうやら香霖堂に到着したようだ。

 

「香霖堂・・・・・他の所もそうだけどやっぱりこっちの幻想郷とは建物とか雰囲気は同じなんだな」

 

「次元は違っても幻想郷であることは変わらないですもんね。それじゃあ入りましょう」

 

「そうだな」

 

二人は香霖堂の中に入っていった。

 

「やあ、葵。こんにちは」

 

「こんにちは霖之助さん」

 

店内の椅子に腰掛けて読書をしていた霖之助は、葵の姿を見るやいなやすぐに微笑みを浮かべて挨拶した。対する葵も嬉しそうに挨拶しかえす。

 

「おや?君は確か・・・・ミコト君だったかな?」

 

ミコトに気がついた霖之助は声を掛ける。

 

「ああ・・・・久しぶりだな。霖之助」

 

「そうだね。こっちに来てたんだ」

 

「まあ・・・・な」

 

霖之助と会話するミコトの態度はどこかぎこちなさを感じさせた。

 

「どうしたんだい?僕が何かしてしまったかな?」

 

「いや、そういうわけじゃなくて・・・・」

 

「えっと・・・・霖之助さん。ミコトさんはあちらの幻想郷の霖之助さんとその・・・・・色々あって」

 

「色々っていうと?」

 

「・・・・・できれば聞かないでくれると助かる。あまり思い出したくはないから」

 

「そっか・・・・・そういうことなら詮索はしないでおくよ」

 

気を遣った霖之助は、それ以上の追求をやめた。

 

「それはそうと二人共今日はどうしたんだい?」

 

「はい。今日はお店のお手伝いをしに来ました」

 

「本当かい?それは助かるよ。それじゃあ色々と頼みたいことがあるんだけどいいかい?」

 

「もちろんです」

 

「俺にできることなら」

 

「ありがとう。それじゃあまずは・・・・・」

 

霖之助は二人に手伝いの内容を指示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「葵、ちょっといいかい?」

 

店の裏で霖之助は一緒に作業していた葵に尋ねる。

 

「・・・・ミコトさんをここに連れてきた理由ですか?」

 

「うん。君がわざわざ他人を手伝いに連れてくるっていうことは何かあるんだよね?」

 

どうやら霖之助は葵になにか考えがあることを察していたようだ。

 

「はい。その・・・・・ミコトさんには教えなくてはならないことがあって。そのきっかけを作るために・・・・」

 

「なるほど。そういうことか」

 

「すみません霖之助さん。巻き込んでしまったみたいで・・・・・」

 

「いや、気にしなくてもいいよ。僕としても少しでも君の力になれるって言うなら嬉しいからね」

 

ニッコリと微笑みを浮かべながら言う霖之助。その様子からどれだけ葵にぞっこんであるのかがうかがい知れる。

 

「霖之助さん・・・・・ありがとうございます。その代わりと言ってはなんですが頑張ってお手伝いします!」

 

「うん。こちらこそありがとう」

 

ともに笑顔を浮かべ合う葵と霖之助であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、こいつはこんなもんかな?」

 

葵と霖之助が裏で作業している一方で、ミコトは店の商品の手入れをしてた。

 

香霖堂に置いてある商品の中には外の世界から流れ着いたものも多い。なので外の世界の住人であったミコトが手入れを請け負ったのだ。

 

もっとも、一つ一つの物の手入れの仕方をきちんと把握しているミコトの知識量があったこそなのであるが。

 

(それにしても・・・・・・あの二人上手くいってるみたいだな)

 

ミコトは葵と霖之助のいる店の裏の方へと視線を向ける。その表情はとても穏やかだ。

 

(まあ仲いいのはなにより・・・・・って、あれ?そういえば俺・・・・・・他人のには気づけるのか?)

 

ふと、ミコトは疑問を抱いた。

 

自分に向けられた愛には気がつくことはできないにも関わらず、自分以外に向けられた愛には鋭く察することができる。

 

そのことに疑問を抱くのは当然のことであった。

 

(俺って本当にどうなってるんだ?自分のことなのに・・・・・全然わからない)

 

顎に手を当てながら神妙な面持ちで考え込むミコト。

 

その時・・・・・・店の扉が開く音がミコトの耳に入る。

 

「いらっしゃいませ・・・・・って、想起。それに・・・・・早苗?」

 

店に訪れたのは想起と早苗であった。

 

「・・・・ミコト?どうして香霖堂・・・・・というかこっちの幻想郷に?」

 

「いや、俺はまあ色々あってな・・・・・」

 

「色々か・・・・まああまり詮索はしないでおくよ。でも君がこっちにいることは葵達は知ってるの?」

 

「ああ。というより神無月神社に泊まらせてもらったからな。葵も今霖之助さんと店の裏にいるし。そういえばお前昨日から神無月神社に居なかったけどどこに居たんだ?」

 

今更になって昨日から想起が神無月神社に居なかったこと気がついたミコトは想起に尋ねる。

 

まあ気がつかなかったのはミコトにそれだけの余裕がない状態であったからだが。

 

「それはその・・・・・昨日は守矢神社に泊まらせてもらったからね///」

 

若干顔を赤らめて照れくさそうにして早苗を見ながら想起は言う。

 

(想起・・・・もしかして早苗と?)

 

「あの想起さん。こちらの方はどなたですか?」

 

想起に尋ねる早苗。前回ミコトがこちらの幻想郷に赴いた際に直接会っていないらしく、ミコトのことを知らないようだ。

 

「彼は一夢命。別次元の幻想郷の博麗神社に住んでる人だよ」

 

「そうなんですか。よろしくお願いしますミコトさん」

 

「あ、ああ。よろしく」

 

「どうかしましたか?」

 

どこか様子がおかしいように見受けられたらしく、早苗はミコトに尋ねた。

 

「その・・・・・早苗にそう呼ばれるのはなんか慣れなくてな」

 

本当は他にも理由が・・・・・早苗に告白されたからというのもあるのだがそれは言わなかった。

 

「慣れてないって・・・・そちらの私はなんて呼んでいたんですか?」

 

「ミコト先輩って呼ばれていたよ。俺は外の世界から幻想入りしてきたんだけど早苗は外の世界での俺の後輩だったからさ」

 

「そうだったんですか。なんだか不思議な感じがします」

 

クスリと笑みを浮かべながら早苗は言う。

 

「まあそうだな。気持ちはわかるよ。ところで二人はどうしてここに?」

 

「まあちょっと近くを通りかかってね。ここには外の世界のものもあるから早苗に何かプレゼントしようかなと思って」

 

「本当にありがとうございます想起さん」

 

「ううん。気にしないで早苗」

 

本当に嬉しそうに想起に礼を言う早苗。対して想起も釣られて嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「プレゼントか・・・・・なあ想起」

 

「何ミコト?」

 

「もしかして・・・・・お前と早苗って恋人同士なのか?」

 

「「えっ!?そ、それは///」」

 

ミコトが尋ねると想起も早苗も顔を赤らめてもじもじしていた。

 

「あ~・・・・・その反応でわかったよ。仲睦まじいことでなによりだ」

 

ミコトはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら二人に対して言う。

 

「なっ!?か、からかわないでよミコト!」

 

「はははっ!ごめんごめん。でもまあ・・・・早苗のことちゃんと幸せにしてやれよ想起。早苗も・・・・・想起を支えてやれ」

 

「・・・・うん。わかってるよ」

 

「もちろんです」

 

ミコトが先程までとは違う、穏やかで優しい笑顔を浮かべて諭すように告げると、想起と早苗は真剣な表情で返事を返した。

 

「・・・・ならいい。さて、野暮はここまでだな。俺は引っ込んでるから二人は商品を見てろ。買うものが決まったら霖之助呼んでくるから」

 

「うん。ありがとうミコト」

 

ミコトに礼を述べ、想起は早苗と店の商品を見て回った。

 

ミコトはその光景を微笑ましそうに見つめるのであった。

 

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!!

今回のゲストは想起さんです!

「よろしく」

はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう!

「今回は想起くんと早苗ちゃん、それと霖之助さんがでたね~・・・・・やっぱミコちゃん霖之助さんに苦手意識あるんだ~」

「そりゃあ・・・・・あんなことがあればな」

「ははは・・・・・ドンマイミコト」

「本当だよ・・・・・というか竜希、早苗の呼び方違うな」

「一応こっちのさなちゃんと向こうの早苗ちゃんで区別するべきだと思ってね~」

「そうなんだ。それはそうと・・・・・ミコトに聞きたいことがあるんだけど」

おや?何やら想起さんマジですね。

「だね~。その聞きたいことって・・・・・さなちゃんとのこと?」

「うん。やっぱり気になっちゃってね。ミコト、君は早苗のことどうするつもり?」

「それは・・・・・わからない」

「わからない?それは本気で言っているの?」

「ああ・・・・早苗に悪いとは思っているが今はまだどうするべきなのかわからないんだ。まだ答えが見つからないから・・・・・だから・・・・・」

「・・・・・いつかはちゃんと答えは出すつもりではいるんだよね?」

「もちろんだ。早苗の気持ちを無下にはできないから」

「そっか・・・・ならいいよ。でも一つ約束して。答えを決めたその時は・・・・・たとえそれがどんな答えだろうときちんと早苗に伝えてよ。そっちの早苗も・・・・・それを望んでると思うから」

「・・・・ああ。わかった」

「ならいいよ」

結構真面目な話でしたね・・・・

「そうだね~。ところで主、コラボの話は後どれくらいやるつもりなの~?」

そうですね・・・・あと1~3話ぐらいになりそうです。

「なんか結構大雑把じゃない?」

内容は思いついてるんですけどそれに何話かかるかは自分でもよくわかってませんからね。

「お前話を無駄に引き伸ばすの得意だもんな」

「その結果が100話を軽くオーバーしてて未だに風神録が終わったばっかっていうことなんだね~」

・・・・・なにも言い返せない。

「あ、あの・・・・・流石にそこまでしてあげたほうが・・・・」

「仕方がないな・・・・想起がそう言うならここまでにしよう」

うう・・・・想起さんの優しさが染み渡る。

(この人・・・・・色々と大丈夫かな?)

さて、今回はここで締めにしましょう。

それでは・・・・・






「「「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」」」

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