東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第104話!

今回は妖夢さん対椛さん&文さんのお話です!

「今回で妖夢の今の実力がわかるな」

「よ~むちゃんの修行の成果、しかと見届けてね~」

それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」



第104話

「狗符『レイビーズバイト』!!」

 

「風神『天狗颪』!!」

 

椛と文はスペルカードを発動し弾幕を展開。二種類の弾幕が妖夢に襲いかかる。

 

「・・・・甘いです」

 

しかし妖夢はその弾幕の悉くを両手に持った刀を用いて捌く。打ち漏らせば被弾してしまうのは明白であったが、弾幕は一つ残らず切り刻まれた。

 

「そ、そんな・・・・・」

 

「あややや・・・・今のを全部捌ききるとは・・・・」

 

まさか今の弾幕を全て捌ききられるとは思いもしなかった椛と文の表情は驚愕に染まる。

 

「見くびらないでください。私は竜希さんに・・・・・『最強』の剣士に修行をつけてもらったんです。はっきり言って今の私ならばこれくらいは造作もありません」

 

傍からすれば今の妖夢の言動は自惚れにも取れるものであった。しかし妖夢は決して自惚れているわけではない。

 

『最強』の剣士、竜希に鍛えられた妖夢は確かな実力を身に付けた事を自覚している。今の言動はその自信から来るものであった。

 

ただ・・・・・

 

「っ!!・・・・・・舐めないでください!」

 

そんな事は椛からすれば知ったことではない。妖夢の言葉を挑発と受け取った椛は妖夢に襲いかかる。

 

「・・・・・決して舐めているわけではないのですが・・・・そう聞こえてしまったのなら申し訳ありません」

 

妖夢は謝罪しながらも冷静に椛の斬撃を見極め、的確に受け流す。

 

(まずいですね・・・・・椛さん完全に冷静さを失ってしまっています。ここは私がフォローしなければ)

 

「岐符『サルタクロス』!!」

 

椛をフォローすべく文は新たなスペルカードを発動。弾幕は椛を避けて妖夢にのみ降り注ぐ。

 

「餓王剣『餓鬼十王の報い』」

 

「くっ!?」

 

それに対して妖夢はスペルカードを発動。驚異的なスピードで繰り出される斬撃により、弾幕を椛ごと弾き飛ばした。

 

「あやや・・・・・本当に厄介ですね」

 

予想以上の強さを見せる妖夢に文は冷や汗を流しながらある考えに至る。

 

今相対している少女は・・・・・・自分よりも圧倒的に強いということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すげえ・・・・」

 

「前に竜希と戦った時とはまるで違うわ・・・・」

 

妖夢の戦いぶりを目の当たりにした魔理沙は、思わず呟く。同じく霊夢も驚きを隠せずにいた。

 

「あれが今のよ~むちゃんだよ。こと剣を使った戦闘なら既にミコちゃん以上の実力を持ってるからね~」

 

「「ミコト以上!?」」

 

「別にそこは驚くことじゃないぞ二人共。俺はそもそも剣の才能がないんだからな」

 

「いやいや、お前あれで才能がないって・・・・」

 

魔理沙はミコトの物言いに呆れていたがミコトの言っている事は正しかった。

 

実はミコトは剣の才能はそこまで高くはない。剣を用いてある程度戦うことができるのは単に身体能力に頼っているからに過ぎないのだ。事実、ミコトは剣を用いたスペルカードを作成することができずにいる。

 

「それにしても・・・・・」

 

「ん?どうしたのミコちゃん?」

 

「いや、妖夢のあの戦い方・・・・本気を出した時のお前に似ているな」

 

「本気を出した時の竜希?」

 

魔理沙はどういうことなのかと首を傾げた。

 

「わかる気がするわ。なんていうか・・・・・凄く静かなところが似てるわ」

 

「そう言われてみれば・・・・・」

 

『静寂』・・・・・今の妖夢の戦い、そして本気を出した時の竜希はその言葉がふさわしかった。

 

滾らず、高ぶらず、常に冷静に冷酷に戦いに赴くその姿は・・・・・達人が身につけることができる境地の一つであると言ってもいいだろう。

 

「わずかの時間であの域にまで到達できるとは・・・・・妖夢の才能は恐ろしいな」

 

「・・・・・それについては俺も同感だね~。でも・・・・よ~むちゃんの凄いところはそれだけじゃない」

 

「え?」

 

「どういうことだぜ竜希?」

 

「・・・・・まあとにかく今は戦いを見守ろうよ。もしかしたらその凄いところが見られるかもしれないしね」

 

竜希は不敵な笑みを浮かべながら目の前で戦う妖夢へと視線を戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあ・・・・なんで?どうして?」

 

椛は肩で息をしながら妖夢と向かいあう椛が呟く。

 

「なんで・・・・どうして勝てないっ!こっちは二人なのに・・・・文様と二人で戦ってるのにどうして!」

 

「椛さん、少し落ち着いて・・・・」

 

「落ち着いてなんていられません!だって・・・・だって私は毎日修行してるんですよ?毎日毎日強くなるために修行しているのに・・・・・どうして?」

 

「椛さん・・・・・」

 

椛は努力家だ。そして努力すればそれが報われると信じている。故に椛は努力を惜しまず、修行し続けていた。

 

だが・・・・・現実は彼女の思っているようなものではない。

 

確かに椛は修行を重ねた。しかし・・・・それでも敵わぬ相手が目の前にいる。

 

天狗の中でも・・・・・幻想郷の中でも上位の力を持つ文と組んで戦っているにも関わらず敵わぬ相手が。

 

その事実は根が真面目な椛にとって悔しくてたまらなかった。

 

「・・・・・椛さん。あなたは何のために強さを欲していますか?」

 

そんな椛に・・・・・妖夢は問いかける。

 

「何の・・・・ために?」

 

「守りたいものがあるからですか?倒したいものがいるからですか?それとも・・・・・・それが自らに課せられた義務だからですか?」

 

「私は・・・・・私は・・・・・」

 

「答えられないのですか?だとしたら・・・・・あなたでは私に勝てません」

 

「え?」

 

「私にはあります。強さを欲する理由が。強さを求め、渇望する理由が」

 

妖夢が強さを求める理由・・・・・それは大切な主である幽々子を守るという使命を果たすため。なにより・・・・・竜希の心からの願いを叶えるため。

 

そのために妖夢は日々修行を重ねていた。

 

来る日も来る日も鍛錬し、修行を重ねてきた妖夢と椛。だが・・・・・振るう刃に乗せた想いには決定的に違いがあり、それが実力の差となった。

 

「もう一度聞きましょう。椛さん・・・・・あなたは何のために強さを求めますか?」

 

「・・・・・・」

 

妖夢の問いかけに答えられず、椛は口を閉ざし俯いてしまう。

 

なぜなら椛には・・・・・強さを求める理由がなかったから。

 

戦意を失った椛は、刀を握る手から力を抜く。

 

「・・・・・椛さん」

 

ギュッ

 

今まさに刀がこぼれ落ちようとするその瞬間、文が椛の手を自身の手で包み込み、それを阻止した。

 

「文・・・・様?」

 

「椛さん・・・・・このまま言われっぱなしでいいんですか?悔しくないんですか?」

 

文は正面から椛の目を見据える。

 

「それは・・・・でも私・・・・」

 

「確かに妖夢さんの言うとおり椛さんには・・・・・強さを求める理由がないのかもしれません。ですが・・・・それでも椛さんが今まで剣を振るってきた事実がなくなるわけではありません。少なくとも私は・・・・・椛さんが今まで努力し続けていたことを知っています」

 

「文様・・・・」

 

「戦いましょう椛さん。例え敵わないとしても・・・・それでも最後に意地ぐらいは見せてやりましょう」

 

「・・・・はい!」

 

文に励まされ、気力を取り戻した椛は再び刀を構え直した。

 

「というわけです妖夢さん。最後の悪あがき・・・・・受けてもらいますよ?」

 

文もまたニッコリと微笑みを扇子を構える。

 

「・・・・・ええ。望むところです」

 

対して妖夢は不敵な笑みを浮かべながら気合を入れ直す。

 

最後の一撃が・・・・・今放たれる。

 

「牙符『咀嚼玩味』!!」

 

「風神『二百十日』!!」

 

先に仕掛けたのは椛と文であった。スペルカードを発動し、椛は刀を、文は扇子を振りかざして現段階で自身が持つ最大の技を放つ。

 

おびただしい量の弾幕が妖夢を襲う。

 

「・・・・凄い!でも・・・・・負けません!」

 

弾幕の勢いに気圧される妖夢。しかしそれは一瞬のことであり、妖夢は二本の刀を鞘に納めた後、臆さずに自ら弾幕に突っ込んでいった。

 

わずかの間に弾幕を見切り、妖夢は隙間を掻い潜っていく。

 

そして妖夢は高密度の弾幕を被弾せずに突破した。

 

「・・・・いきます」

 

両手で二本の刀に手をかけ、妖夢は抜刀術の構えをとり・・・・・腕を振り抜く。

 

「させない!」

 

「甘いですよ!」

 

椛と文は斬撃を躱そうととバックステップをとった。

 

しかし・・・・

 

「「!?」」

 

次の瞬間二人の表情は驚愕に染まった。

 

なぜなら・・・・・振り抜いた妖夢の手には刀が握られていなかったのだから。

 

腕を振り切った勢いのまま妖夢は逆手で刀を掴み、そして・・・・・

 

「魂魄『偽霊双閃』」

 

抜刀して二人の首筋に刃を添えた。

 

「あやや・・・・・これは・・・・」

 

「・・・・・私達の負けですね」

 

文と椛は潔く自分達の敗北を認めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妖夢が・・・・勝ったのか?」

 

「そうみたいね」

 

「あの勝ち方・・・・・どっかの誰かを思い起こさせるな」

 

「え~?それって誰のこと~?」

 

「「「お前以外に誰がいる?」」」

 

3人の竜希に対するツッコミは見事にハモった。

 

「あはは~♪」

 

「全く・・・・それにしても今の妖夢のあの技・・・・・」

 

「うん。俺の『偽龍閃』をベースにしてよ~むちゃんなりにアレンジしたものだろうね~。今日初めて見たけどあれは流石に俺も予想外だったよ~。俺のより完成度高いし~」

 

かつて妖夢は一度だけ竜希から『偽龍閃』を受けていたことがある。そこから妖夢は自分に合った形に技を変化させ、自らの技へと昇華させたのだ。

 

「本当に今の妖夢は強いぜ。私でも勝てるかどうか・・・・・」

 

「そうね。私も・・・・・油断すればやられるわ」

 

魔理沙と霊夢は妖夢の強さを理解し、もし自分が戦ったらどうなるか想像する。

 

(・・・・・確かに妖夢は強いな。剣術勝負では間違いなく俺では勝てないだろう。それに・・・・・最後のアレ。あの時妖夢は・・・・・)

 

「おろ?どったのミコちゃん?」

 

「・・・・・いや。ただどうしてお前が妖夢を見込んだのかがようやくわかっただけさ」

 

「そっか。本当に凄いでしょ?」

 

「・・・・・ああ」

 

命は理解した。

 

なぜ妖夢が竜希の『求め』となり得るのかを。

 

そして・・・・・妖夢に秘められた恐るべきその才能を。

 

(妖夢の才能・・・・・恐怖すら覚えるな)




あとがき座談会のコーナー!IN東方!!

今回のゲストは妖夢さんです!

「よろしくお願いします」

はいよろしくお願いします!。

「今回で妖夢の今の実力がわかったわけだが・・・・・強すぎるだろ。あの二人を手玉に取るとは」

「これも竜希さんが修行をつけてくれたおかげです。本当にありがとうございます竜希さん」

「お礼なんていらないよ~。俺はただ俺の望みを叶えるためにやってるだけだからね~」

「それでも・・・・ありがとうございます」

「・・・・ま、そこまで言われちゃ受け取らないわけにはいかないよね。どういたしまして~」

それにしても・・・・・私が言うのもなんですが今の段階でここまで強くなるとか・・・・・妖夢さんチートキャラに成りそう(汗)

「とりあえず現段階では幻想郷ではどの辺に位置しているの?」

そうですね・・・・・ミコトさんに僅かに劣るといったところですね。剣術勝負では妖夢さんに軍配が上がりますが戦闘においてはまだミコトさんよりは下です。

「ミコトさんは距離を選ばずに器用に戦える方ですからね・・・・主さんの言うとおり今の私では勝てないでしょう」

「だが今回の戦いで見せたアレが出れば・・・・・俺は負けるだろうな」

「そのアレっていうのが私にはわからないのですが・・・・」

「まあ今はまだ詳しくは言えないけど・・・・・一つだけ。その才能があるからこそよ~むちゃんは俺を超えることができるんだよ~。もしその才能がなければどれだけ強くなっても俺を超える事は出来ないね~」

「なんだか余計わからなくなりましたね・・・・・」

そうですね。なら私から一つヒントをあげましょう。

作中には今のところいませんがもしも竜希さんよりも強い方は存在するとします。でも竜希さんが『最強』であることには変わりませんし『最強』になってしまいます。ですが妖夢さんなら竜希さんを超えられるんです。

以上がヒントです。

「今のがヒント・・・・?」

「まあヒントにはなってるね~」

「そうだな」

まあいずれわかりますのでその時まで考えてみるのも面白いでしょう。

さて、今回はここで締めにしましょう。


それでは・・・・・・




「「「「次回もまたきてくれ(きてね~)(きてください)!!」」」」

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