今回で紅い月の夜は終わりを迎えます。
「ただまあ・・・・完全にスッキリはしませんね」
まあそれはね・・・・
ともかく本編にいきましょう。
「本編どうぞ」
noside
二人の吸血鬼を狂わせる紅き月の夜
二人の吸血鬼を苦しませる紅き月の夜
二人の吸血鬼を悲しませる紅き月の夜
二人の吸血鬼が尤も忌み嫌う紅き月の夜が・・・・・・
終わりを迎えようとする
「「・・・・・・」」
カラン
レミリアとフランが手にしていた武器・・・・槍と大剣が二人の手から滑り落ちた。
「ようやく終わりましたか・・・・・お嬢様方。気分はいかがですか?」
ミコトは微笑みを浮かべながらレミリアとフランに尋ねる。
「ミコ・・・・ト」
「う・・・・ヒグッ」
二人は涙を流しながら、辛そうな表情でミコトを見る。
「どうしました?なんで泣いているのですか?」
「わた・・・し。ミコトを・・・・壊そうとして」
「お兄様を・・・・ボロボロ」
「大丈夫でございますよ。確かに服は少々傷んでしまいましたが身体に傷は一切ついておりません。ですので・・・・・お二人が涙を流す必要は無いのですよ」
涙を流すレミリアとフランに近づいた命は目線を二人に合わせるように屈み、二人の頭を優しく撫でながら諭した。
「でも・・・・・」
「私達・・・・・」
「レミリアお嬢様、フランドールお嬢様。私はお嬢様方と交わした誓いを守ることができたのです。ですから・・・・私は十分に満足です。ですからどうか・・・・どうか涙を見せないでください。どうかお嬢様方の笑顔を私に見せてください」
「ミコト・・・・・・」
「お兄様・・・・・」
二人は流れる涙を手で拭った。そして・・・・・
「「ありがとう。ミコト(お兄様)」」
眩しいほどに美しい笑顔をミコトに向かって振りまいた。その笑顔を間近で見たミコトは先ほどまでの激闘による心労が全て癒されるのを感じ、心の底から喜びの感情が湧き上がってきた。
「いえ。私はお嬢様方の執事でございますから」
ミコトは二人に満足そうに綺麗な笑顔を浮かべて見せる。
こうして狂乱の夜は・・・・・無事に終わりを迎えた。
だが・・・・・
「そういえばミコト・・・・咲夜達は?」
まだ事態の全てが収束したわけではなかった。レミリアが思い出したようにハッとしてミコトに尋ねた。
「それは・・・・・わかりません。感知できる範囲では命を感じないので近くには居ないようですが・・・・」
ミコトが咲夜達の行方を思案し始めたその時・・・・・
グニャリ
「「「!?」」」
ミコト達の目の前に空間の裂け目が出現した。
「「ぐ・・・・うぅ・・・・」」
「全く・・・・・・随分と手こずらせてくれましたね」
ボロボロになり、力なく跪く瑠璃と玻璃を美鈴は見下ろしながら呟いた。
「もう一度言います。これで最後ですよ。私達を紅魔館に戻してください」
美鈴は鋭い殺気を二人に浴びせながら言った。
「そういうわけには・・・・・いかないんだよね!」
「私達にも・・・・引けない理由があるんだから~」
二人は力を振り絞って立ち上がり、美鈴に言い放つ。
「・・・・・そうですか。でしたら申し訳ありませんがあなた達の志を砕かせてもらいます」
美鈴は瑠璃と玻璃に拳を振りかぶる。二人は意を決して目を閉じるが・・・・・
パシッ!
二人の間に割り込んでその拳を受け止める者が居た。
「痛ッ!うわ~・・・・凄い力だね~」
「「マスター!?」」
美鈴の拳を受け止めたのは瑠璃と玻璃の主、プライスであった。
「・・・・・誰ですかあなたは?随分と巫山戯た格好をしていますね」
美鈴はプライスを鋭く睨みながら言う。プライスの格好は黒いフードを目深に被り顔は道化士がつけるような仮面で覆っている。巫山戯ていると思われても致し方ないであろう。
「あはは!僕もそう思うよ紅美鈴さん」
「マスター・・・・どうしてここに?」
「るーちゃんとはーちゃんがなんか危ない目にあってたからね~。主としては放っておけなかったんだよ~」
「マスター・・・・・私達のために・・・・」
「ありがとうマスター!」
プライスに心配してもらえたことに瑠璃と玻璃は喜び礼を言った。
「さて、それじゃあ二人共、彼女達を紅魔館に戻してあげて」
「えっ?でも・・・・・」
「大丈夫だよ。向こうはもう終わっちゃってるから」
「終わってる!?それって・・・・」
美鈴の脳裏に最悪の光景がよぎり、表情を強張らせた。
「そんなに恐い顔しなくてもいいよ美鈴ちゃん。向こうは君達の言うところのハッピーエンドになってるからさ。本当にミコト君は憎たらしいほどに有能だね~」
プライスはやれやれといった風に仮面に手を置く。
「というわけでるーちゃん、はーちゃん。お願~い」
「は~い!」
「わかりました~」
瑠璃と玻璃はプライスに敬礼し、美鈴達の足元に空間の裂け目を出現させた。
ミコト達の目の前に出現した空間の裂け目から、咲夜、パチュリー、小悪魔、そして美鈴が姿を現した。
「ここは・・・・紅魔館?」
「どうやら戻ってこられたようね」
「!そうだ・・・・お嬢様と妹様は!?」
咲夜達4人はレミリアとフランを探して辺りを見渡した。
「咲夜!皆!」
「よかった!皆戻ってきた!」
そんな咲夜達にレミリアとフランが駆け寄った。
「お嬢様!妹様!」
「皆大丈夫?怪我はない?」
レミリアは心配そうに4人に尋ねる。
「私達は大丈夫。それよりもレミィ達は・・・・・」
「私達も大丈夫よ。ミコトが止めてくれたから」
「そうですかミコトさんが・・・・・ってミコトさん!?ボロボロじゃないですか!」
ミコトのボロボロの姿を見た小悪魔は表情を驚愕に染めた。
「落ち着いてください小悪魔さん。ボロボロなのは服だけですので。怪我はしておりません」
「そうですか・・・ならよかったです・・・・・」
「ミコト・・・・・お嬢様方を止めてくれてありがとう」
咲夜はミコトに礼を述べながら頭を下げた。
「頭を上げてください咲夜さん。私は執事として当然のことをしたまでですから」
微笑を浮かべながら答えるミコト。
そんな中・・・・
「・・・・・皆さん。お話はそこまでです」
話に参加していなかった美鈴がある一点を見ながら皆に促した。
美鈴の視線の先にあるのは・・・・・・空間の裂け目。そしてその空間の裂け目から・・・・
「やっほ~!こんにちは~・・・・いや、今は時間的におはようございますかな?」
「「「!?」」」
プライスが瑠璃、玻璃を引き連れて現れた。
「・・・・・誰ですかあなたは?」
ミコトは銃口をプライスに向けながら尋ねた。
「おいおい、初対面でいきなり銃口を向けるのはやめてくれない?流石に恐いよ~」
プライスはわざとらしく恐がるそぶりをとる。
「・・・・・質問に答えてください。でないと本当に撃ちますよ?」
「ノリ悪いな~・・・・・まあいいけど。僕の名前はプライス。るーちゃんとはーちゃん・・・・ああ、僕の傍に居るこの二人の事ね。この二人の主だよ。よろしくね♪」
「・・・・・そうですか」
バババババババ!!
ミコトは躊躇うことなくプライスに向かって弾幕を放った。ミコトだけじゃなく、咲夜とパチュリーも弾幕を放つ。
「うわっと!おいおい~。名乗ったのにどうして撃つかな~?しかもそこのふたりまでさ~」
プライスは弾幕を回避してミコト、咲夜、パチュリーに抗議する。
「そんなの決まっているわ」
「あなたがそこに居る子達の主だというなら・・・・・私の魔法の邪魔をするように指示をしたのはあなたということでしょ?」
「だったら・・・・・・私達にはあなたを討つ理由があります」
パチュリー、咲夜、ミコトはプライスを睨みつけながら言う。
「あ~なるほど。それは尤もだね。だけど少なくとも今はこれ以上君達に迷惑をかけるつもりは無いんだ。だから見逃してくれないかな?」
「見逃す・・・・ですって?」
ビュン!
プライスの肩を巨大な槍が掠める。
その槍は・・・・・レミリアによって投擲されたものであった。
「・・・・・ふざけたことを言わないでくれないかしら?あなたのせいで私は・・・・私とフランは・・・・!」
「・・・・・許さない。私は絶対にあなたを許さない!」
レミリアとフランは夥しいほどの殺気をプライスにぶつけながら怒号を放つ。
「・・・・・そっか。僕を許さないか~・・・・・・クククッ・・・・アハハハハハハ!!」
プライスはおかしそうに大声を出して笑う。
「なにがおかしいのかしら?」
「ごめんごめん。でもさあ・・・・・・・あんまり僕を嘗めないでくれるかな?」
「「「「ッ!?」」」」
突如、プライスを包む空気が変貌した。気の抜けるような軽いものから張り詰めたものに。そして何より・・・・・まるで目に見えるかのようなドス黒い殺気・・・・・ミコト達が身を震わせるほどの殺気を身に纏っていた。
「僕がその気になればここに居る全員を殺すことができる。それを今しないのは興が乗らないからだ。だけど・・・・・君たちが僕を攻撃するっていうのなら仕方が無いよね?」
プライスは更に殺気を強めながらミコト達に言い放つ。
「・・・・・皆さん。闘気を収めてください」
「美鈴?でも・・・・・」
「言うとおりにしてくださいレミリアお嬢様。このまま戦えば・・・・・勝てたとしても少なくない代償を払うことになります」
「・・・・・」
美鈴は真剣な表情でレミリアを諭す。その表情からレミリアは美鈴がどれほど本気で言っているのかを理解する。
「流石は美鈴ちゃん。幻想郷の特記戦力の一人名だけあるね~。こと戦闘に関しての感性はとても鋭いようだ」
「・・・・・・あなたに褒められても嬉しくないですね」
「そんな~。僕ショックだな~・・・・・まあいいけどさ。それじゃあ僕達はそろそろお暇させてもらうね。中々楽しかったしまた遊びにくるからね~」
「楽しみにしているわ。その時は・・・・・私達を愚弄した罰をしっかり受けてもらうから」
レミリアはその紅の瞳をプライスに向けながら堂々と宣言する。
「・・・・恐い恐い。と、そうだ。最後に君達にいい事を二つほど教えてあげよう」
「いい事?」
「そう。まず一つ。僕は単独で動いているわけではない。僕には何人も仲間が居るんだ。同じ野望を胸に抱いた仲間がね」
「仲間・・・・ですか?」
「うん。そして第二に・・・・・僕達が胸に抱いた野望についてだ。僕達の野望、それは・・・・・・・この幻想郷の支配者になるということだ」
「「「「なっ!?」」」」
プライスの口から語られる野望の内容は、ミコト達を驚愕させる。
「そしてそのその為にはね。君がこの上なく邪魔なんだよ・・・・・ミコト君」
「私・・・・が?」
「当然だろ?君の力は本当に厄介なんだからさ。いつか君を殺してあげるから覚悟してね~。それじゃあバイバ~イ!」
プライスは瑠璃、玻璃を連れて空間に裂け目に入っていき、紅魔館から去っていった。
「あいつら・・・・本当になんなのよ!」
「お兄様を殺すって・・・・そんなの絶対に許せない!」
レミリアとフランは居なくなったプライスに対しての激情をあらわにする。
「落ち着いてくださいお嬢様方。確かにあの男が言っていたことは気になりますが・・・・・これで全て終わったのです。今はそのことに安堵しましょう」
「ミコトの言うとおりですお嬢様、妹様。もう・・・・・終わったのですから」
ミコトと咲夜は傍に寄ってレミリアとフランを宥めた。
「・・・・・うん。わかったお兄様、咲夜」
「・・・・・まあ終わったことを気にしても仕方が無いものね」
二人に宥められ、レミリアとフランは落ちつきを取り戻す。
かくして、紅の月の夜・・・・・『紅月狂』は終わりを迎えた。
あとがき座談会のコーナー!IN東方!
今回のゲストはレミリアさんとフランさんです!
「「・・・・・」」
・・・・あれ?なぜお二人とも黙り込んでるんですか?
「それ本気で聞いてるの主?」
え?
「ねえ主。どうして紅い月の夜が終わったっていうのに・・・・私とお姉様よりあのプライスっていう人の方が目立っているの?」
そ、それはその・・・・・ねえミコトさん?
「私は知りません。主が自分の口で説明してください」
そ、そんな・・・・・
「さあ主・・・・」
「説明してもらうよ?」
あ、あのですね・・・・今後の話の展開上ここでプライスさんを出すのは重要な事でして・・・・何せ彼はミコトさん最大の敵となる予定ですから・・・・だから・・・その・・・・・
・・・・・すみませんでした(DOGEZA!発動!)
「・・・・フラン、やるわよ」
「は~いお姉様!」
ちょ、ちょっと待ってください!次回!次回はこの章のエピローグをやるんです!その時にお二人の出番ありますから!ちゃんとありますから!だからお願いします!どうか御慈悲を!!
「・・・・はあ、仕方が無いわね」
「そこまでいうなら許してあげる」
あ、ありがとうございます!
「全くあなたという人は・・・・・まあお嬢様方が許したのであれば構いませんが」
あ、あはは・・・・・さ、さて、レミリアさんとフランさんから恩赦を賜りましたので今回の座談会ではプライスさんのことを話しましょうか。
「そもそもなぜプライスは仮面をつけてたのよ。今までそんな描写無かったじゃない」
あ~あれですか。あれには理由があるんですよ。
「理由?どんな理由?」
それは・・・・・ある人物に正体がばれないようにする為です。
「ある人物?それって誰ですか?」
それはネタバレになるので言えませんね。ただ一つだけヒントを。そのある人物は紅魔館の人ではありません。
「・・・・・本当に誰なのかしら?」
「わからないよ~」
まあそれが普通だと思います。まあ勘のいい読者ならわかったという人が居ると思いますが。
「そうですか・・・・それでは次にいきましょう。プライスは相当な実力を持っているようですがどれぐらい強いのですか?」
そうですね・・・・能力無しでも美鈴さん、そして『
「それは相当ね・・・・」
「能力無しでそれって・・・・・能力ありだとどうなるの?」
彼の能力はかなり特殊ですからね。能力を使えば今のところ美鈴さんを単独で倒すことは可能です。
「それはチートというのでは?」
まあそうかもですね。ただ・・・・能力を使っても強さの絶対に変わるというわけではないのですが。
「どういうこと?」
それはまだ秘密ですよ。
さて、今回はここで締めにしましょう。
それでは・・・・・
「「「「次回もまたきてください(きなさい)(きてね)!!」」」」