とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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『壊れず、折れず、諦めず』

「だあ!!」

 

ザマスの肋骨を蹴りでへし折る。

そのまま頭突きをして鼻を砕き、足を持ってジャイアントスイング。

そんな中、味方の増援は来ない。

なぜならば未来の俺もサイヤパワーを送り込んだことで疲労困憊のトランクス達を守っている。

こいつらの恋人たちは今、カカロット達の為に警戒している。

ドクターゲロは管理人だから離れられない。

 

「一人で神を二人相手にしようなど思いあがるな!!」

 

ブラックが来るが瞬間移動で後ろをとって肘打ち。

逃げる気がないお前らならやりようはある。

 

「消耗戦になれば貴様の命が尽きるのを速めるだけだ」

 

体力が無尽蔵に近い二人だからな。

時間が長引けばその分、相手が有利。

カカロット達が戻ってくる前に全滅もあり得る。

 

「これは厳しいな」

 

仙豆はあっても4の力は戻らない。

月の光を浴びない限りはどうしようもない。

サイヤパワー自体がほぼ全員枯渇気味。

 

「フュージョンももたないだろうし……」

 

体力も起因する。

今やっても5分ともたずにやられてしまう。

なんとか上手くやりくりをしていくしかない。

 

「いずれにしても全力ですべての行動を行わないとな」

 

そう思い、ブラックの方へと向かう。

その邪魔をザマスがするが腕を掴み放り投げる。

そのまま一撃をブラックへ放つ。

 

「愚かな……」

 

手を前に差し出すがフェイント。

腹部へのアッパーでまずはくの字に曲げる。

そのまま電光石火の早業で顔面を叩く。

 

「がふっ……」

 

呻いている間にザマスへ気弾を放つ。

それを弾いている間に後ろをとる。

そのまま首を絞めあげた。

 

「このまま殺すつもりか?」

 

無駄なことだ。

そう言いたいからか抵抗しない。

だがそれではないのさ。

 

「ふんっ……!!」

 

絞め落とす。

そうする事で不死身の肉体が関係なく気絶をする。

 

「ハア!!」

 

ブラックが邪魔をするから離脱。

そのまま再度向き合う。

拳を振るってくるのを避ける。

 

「ちっ!!」

 

舌打ちをして蹴りを放ってくる。

それを受け止めて距離を詰める。

そのまま顎に肘打ち。

頭を揺れたところに膝蹴りを叩き込む。

 

「まだまだ!!」

 

ぐちゃっと音を立てていく。

指先にぬるりとした感覚。

こういう技を使うのは本当に嫌いなのだが……

 

「もうお前の左の眼は光を映さない」

 

ゴクウブラックが顔を押さえる。

憤怒の形相でこっちを見ている。

 

「痴れ者が……よくも神の眼を……」

 

そう言っている間に関節蹴りを放ち足を壊す。

さらに肩口に踵落としで肩の骨を砕いてやる。

 

「カカロットの体の構造だというのならば……」

 

蹴りで金的をする。

神とてここは鍛えられない。

 

「あがが…」

 

蹲りもはや悶えるのみ。

普段ならば決して使わないがお前らなら遠慮なく使える。

 

「塵になれ!!」

 

『プライド・オブ・ラクタパクシャ』を放つ。

それを庇うようにザマスが立ちはだかる。

 

「この私の肉体があればこの程度!!」

 

焼け焦げていく肉体。

そのまま不死身の肉体から朽ち果てろと思う。

しかし……

 

「ハアッ…ハアッ……」

 

息を荒げながらも徐々に皮膚が治っていく。

そのまま首をコキリと鳴らして綺麗な肉体のまま立っている。

 

「『復活パワー』だ、同志」

 

触れていくと怪我が治っていく。

そして光をもう一度映すように左目が開いていた。

 

「振り出しってわけかよ」

 

溜息をついてしまう。

だが、それでも……

 

「同じことをやり直したらいいだけさ」

 

棘状の気弾を二人の体中に着弾させる。

引っこ抜く間も与えず爆発させる。

致死の損傷がないからブラックはあまり強化できていない。

 

「神である我らを無様な姿に……」

 

憤怒の形相を浮かべて眼前に来る。

しかし全く恐ろしくもない。

独善的な神でしかない。

それは俺達人間とあまりにも変わらない。

 

「お前らは神の姿、器があってもふさわしくはない」

 

きっとこいつらは神の任務をまじめに全うしようとして狂った。

肩肘張りすぎても良い事は無い、うちの時代の老界王神様を見習え。

そう思い、蹴り飛ばす。

 

「孫悟飯とトランクスが孫悟空を助けなければ……こんなことにもならなかっただろうに」

 

負け惜しみのようだ。

ついに責任転嫁を始めた。

あまりにも見苦しい。

 

「私が孫悟空を知らなければ未来にこのような災難が降りかかる事もなかった、全てはあの二人が元凶だ!!」

 

そんな泣き言を聞くつもりはない。

そう思ってとどめを刺そうとした時。

 

「俺達にやらせてください」

 

悟飯とトランクスが俺に背中を見せる形で前に立つ。

自分たちの責務だったと言い出す。

そして決意を新たに力を振り絞る。

すると俺の眼には青いオーラを纏う二人が見えた。

神の世界に心だけで至るとはな。

 

「速く決めろよ」

 

だがそれは長くは持たないだろう。

急にそこに入っても肉体が悲鳴を上げる。

俺は二人が倒れても大丈夫なように構えていた。

 

そこからは怒涛のラッシュを見せる。

剣で切り裂いても戻るザマスの胴体を蹴り飛ばす。

そしてブラックを悟飯が担当。

ロゼという形態相手にも拮抗した戦いを進める。

 

「ぐぐぐ……」

 

不死身の肉体が邪魔をしているのかトランクスも押し込まれそうになっている。

仕方あるまい。

 

「バトンタッチだ」

 

そう言ってザマスを蹴り飛ばす。

こうなったら剣で切り裂いたりは甘い。

 

「おまえをバラバラにしてやるぜ」

 

そう言って殴ってやる。

そのまま腹に穴ぼこを開けるような気弾を撃つ。

そして再生する間に体に気弾を忍び込ませ……

 

「ドカーン!!」

 

中心で爆発をする。

これならばこたえたはずだ。

 

「げはぁ……!!」

 

なんという事にあれでも再生をしていく。

魔人ブウと同じだ。

バラバラでもそれほどのタイムラグがない。

 

「塵一つ残さずこの私をこの世から消す事はできない」

 

そう声高々に叫ぶが奴にも弱点はあるはずだ。

そして俺の背中にぶつかる感覚。

悟飯とトランクスがブラックにやられていた。

 

「「ぐぐ……」」

 

二人そろって同じ呻き声。

どうやら時間切れのようだ。

だがブラックもかなりの苦戦をしたのかボロボロの状態。

 

「『復活パワー』も使えない……」

 

そう言ってブラックとザマスが去っていく。

奴らも枯渇してしまった。

 

「俺達も休むぞ……」

 

疲労困憊というよりもここしばらくは時間を稼げなくなっていた。

一週間の粘りは相手の精神的な余裕や見せしめのなぶり殺しという名目があっただろう。

しかし今や自分たちだけ。

そうなれば全力で叩いてくる。

ましてや食事もまともに全員が取れていない。

仙豆の回復ぐらいだ。

ここで気骨を振り絞ってもたかが知れている。

 

「ザマスをやる術はあるんですか?」

 

一度食事で戻ってから悟飯が聞いてくる。

確かにない事は無い。

だが……

 

「封印するかもしくは」

 

俺は術を知ってはいない。

未来視で一度見たがどうもな。

あと一つは……

 

「破壊神を殺す以外にない」

 

それだけは逃れえない不文律。

不死身であろうとこの世から消え去ってしまう。

神の掟を破ることは今のザマスにはできない。

 

「ポタラでやっても奴の要素が無くなってしまうだろう」

 

そうなれば不死身ではないブラックのみ。

そうなったらこっちのものだ。

 

「ですが破壊神の強さは……」

 

そりゃそうだ。

相手がこっちにわざと殺されるような存在でない限り厳しい。

それだけじゃない。

 

「この宇宙まで来ない限りは無理なことだ」

 

相手も移動してこないといけない。

こっちからキューブを手に入れる方法は今の現状では無い。

きっと占いババ様も宇宙に行っているだろうから。

 

「無理な話かもしれませんね」

 

溜息をつく悟飯。

そうだな。

やはり前者の封印が一番理想的だ。

 

「奴らの生命線はやはり……」

 

ザマスだろう。

『復活パワー』がある以上、ブラックを絶命近くまで追い詰めてもすぐに回復。

そして自らの体を盾にした戦い方。

不死身にかまけているおかげで隙が結構あるのが救い。

 

「分断してブラックを仕留めると残りはザマスだけ……」

 

しかし、今の自分たちが仙豆で回復できても戦力になるのは悟飯とトランクスだ。

4で戦いすぎたせいでサイヤパワーの枯渇。

 

「俺も未来の俺も3で戦うのが精いっぱいだ」

 

カカロットとベジータが戻ってこないと無理な状態というような体たらくである。

時間稼ぎにしかならない。

 

「お前らがとどめを刺せ」

 

そう言って肩をほぐす。

すると驚いたように悟飯たちが声をあげる

 

「ここにきて俺達が主力ですか!?」

 

実力で決めたらそうはならないのだが俺達はこの時代の人間ではない。

それに未来の俺もあてにはできない。

だからこそお前らなんだ。

 

「封印方法は分かれば俺達で何とかする」

 

最大限はサポートをさせてもらう。

だから時間とか隙がない相手だとかは綺麗さっぱり忘れてふるまえ。

 

「分かりました……自分たちで道を開いて見せます」

 

それもいいがカカロットやベジータも頼れ。

そう耳打ちをしてビルの奥の方へ入っていく。

ゴロンと寝転がっても十分なスペースだ。

 

「休息をとらせてもらう」

 

奴らも今は休んでいる。

だからこちらも休んで英気を養う。

そう言って全員に休息を勧めた。

 

さて……少し仮眠でも取るか。

そう思って欠伸をする。

すると次の瞬間、驚く出来事が起こる。

 

「なっ!?」

 

目の前が霧に包まれる。

ブラックたちの襲撃ではない。

 

「トランクス!!、悟飯!!」

 

大きな声で呼びかけるが返答がない。

どうやらこれは魔術。

かけた相手の場所へたどり着くように迷い込まされたようだ。

 

「速く抜け出してやらないと……」

 

そう思って進むと花の香りがする。

心が安らいでいく。

傷の痛みも感じない。

 

「ようこそ、私の宮殿へ……」

 

そう言われて辿り着いたのは花の都。

桃源郷ともいう世界。

そんな中に佇む影。

 

「ザマスと対をなす破壊神だな……」

 

顔を見たいがあいにく後ろ姿しか現状分かってはいない。

だがそれでも感じ取れる途方もない力。

 

 

「左様でございます」

 

そう言うと手を叩く。

使いの天使が出てくる。

茶を盆で運びに来たのだ。

 

「しばらくは話をしましょう」

 

そう言って振り向く。

姿は魔術か何かを使っているのか全く分からない。

声色さえも変えている。

きっとまだまだあの愚かな神は治っていない。

だからこそ、この休息の時を味わうように告げられる。

逆らったら消すというように手から破壊のエネルギーを出していた。




界王神であるザマスが生きている以上、破壊神も存命。
神自身の掟は破れないのではないかという事です。

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