トランクスたちが来る時間と未来でのガタバルの戦いは同時に動いています。
『未来からの再会』
俺と悟飯さんが無我夢中でボタンを押していた。
まだ相手は来ていない。
ガタバルさんとゲロさんは時間を稼いでいる。
マイとラズリさんは万が一の最後の砦。
悟飯さんの恋人であるビーデルさんは同じようにレジスタンスで現在はここにはいない。
相手の動きを注意深く観察する偵察隊だからだ。
「絶対にあの時代に行くんだ!!」
そう言って力を入れる。
するとロケット部分から火が出る。
煙が噴出した、動く準備が整った。
空中に浮いていく。
そんな俺達に向かって漆黒の泥のような気弾が放たれる。
それをゲロさんが打ち消す。
太陽の光のようなものを当てたら蒸発した。
一体何だったのか……。
俺達はシュンという音、そして眩い光と共にこの時代から移動した。
次に戻ってくる時に戦力を整えてくることを考えて。
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あの祝勝会から数日後。
激痛の原因を探りながらピオーネやターサと共にカプセルコーポレーションに入り浸っていた。
ラエンカもパトロールで来ている。
カカロットがベジータと組み手をするらしいから来ている。
あれから殴る事は無く、苛立ちを胸に収めながら接している。
一向に謝る気配がないのはどうかと思う。
そんな中、バーダックさんが声をかけてくる。
「ちょっと未来が見えたんだがな……」
この人も未来視を持っている。
だからわかっていた。
次の相手が今までで群を抜いて危ないという事。
おおよそ神の次元が数人。
しかもあいつらまだ隠しているものがある。
「未来とか時間を航行するのは重罪じゃねえのか」
バーダックさんが言ってくる。
確かに運命なり決められた中での出来事を変化させる。
そうすれば未来への影響、『タイムパラドックス』が発生する。
意図的に行ったらそれは重罪だろう。
「見て見ぬ振りもどうかと思いますが……」
そんな事を言っていると光輝いている。
懐かしいタイムマシンが見えた。
ビルス様とウイスさんにはちゃんと言わないとな。
地面に降りてきてそのハッチが開く。
トランクスと悟飯だ。
どうやら切羽詰まった顔だが……
すると次元から穴が出てくる。
そこから一人の男が出てきた。
それはカカロットによく似ている。
「くっ!!」
構えるトランクスを横目にこっちはずかずかと近寄っていく。
そして……
「開けたら閉めろ!!」
穴に向かって蹴り飛ばす。
なんとか踏ん張るがこちらを見て驚く。
「貴様はガタバルだな」
俺を知っているようだが……
この気はカカロットではない。
つまり……
「おまえ、カカロットの体を乗っ取ったな」
そう言うと殴りかかってくる。
避けるが超サイヤ人でないにせよ中々の速さだ。
「一体何の騒ぎだ!!」
カカロットとベジータが駆けつける。
ビルス様たちもいる。
トランクス達も降りていた。
「これは不利だな……」
戦士が6人。
破壊神と天使。
いずれにしても脅威である。
「トランクス……仕留めるぞ!!」
悟飯とトランクスが同時に仕掛ける。
超サイヤ人2の状態で3並み、もしくはそれ以上の力とは。
しかしそれを難なく受け止める。
「私一人だったら大丈夫とでも思ったか?」
そうは言うがお前にも言える事だ。
それは……
「二人ならば逃げおおせると思ったか?」
超サイヤ人4で踵落としを当てる。
両腕が使われているから格好の機会だった。
「ぐはっ……」
地面に倒れ込む。
とどめを刺そうと思い、手をかざす。
しかし……
「ぐぉおおおおおお!!」
次元の穴に入っていった。
つまり自分の時代に戻ったのだろう。
「……で、説明してもらうよ?」
穴が閉じた時、静寂を破るようにビルス様が言う。
ここでは流石に大声で言えない。
既に集まっているメンツも会議室へ入っていく。
「それでは今回何故ここに未来のトランクス達がいるかというと収納しましたタイムマシンによるものです」
そう言うと溜息をついてこっちを見る。
そしてその後にブルマさんを見た。
「時間の移動は重罪なんだよね、分かってる?」
そう言うとウイスさんが説明をしてみんなが納得をする。
そのうえで何故今回こうやってSOSを飛ばしたのか。
それは聞けば聞くほど厄介な状態だった。
「全人類の滅亡を狙う奴らか……」
魔神ドミグラ。
邪神エコトゥーク・アザラ。
そして神を自称するゴクウブラック。
その強さは単体では一筋縄でいかない相手。
修行を重ねてもその抵抗できる水準に至るのが非常に少ない。
現状、未来の俺と悟飯、トランクス。
ゲロにラズリ。
その5人ではあまりにも難しい。
それで助っ人は必要だという事。
だからこそ現代に来たのだ。
「ふざけた奴らだが……界王神はどうなっている?」
ビルス様が聞く。
界王神がいるならば破壊神が出てくるはずの状態。
それにもかかわらず動かないというのは……
「あの……界王神様はなくなられました」
そう言った瞬間、机を叩く。
ギリギリと歯軋りをする。
「あのバカ……出しゃばりやがって!!」
表裏一体だからこそどちらか死ねば片方も死ぬ。
それを知っているのならばもしかしたら……
「もう全宇宙の界王神様は死んでいるだろうな」
ゴクウブラックがその仕組みを知っているならばの話だが。
そして、その言葉にピンと来たのか未来の悟飯が言ってくる。
「もしかして亡くなった界王神様以外のどこかの界王神様がゴクウブラックの正体では?」
そう言われると納得できる。
この仕組みを普通の存在が知っているはずもない。
知っているとしたら界王神かもしくは破壊神である。
「だとしたら見習いの可能性もあるぞ……」
そう言って現れたのはサラガドゥラ。
よく見ると後ろに老界王神様もいる。
「最悪な話、今の俺が界王神様を殺してポタラを奪えば新しい界王神になれる」
頭をかいて可能性を広げる。
しかしトランクスと悟飯はきょとん顔だった。
「ポタラとは?」
あっ、こいつら界王神様の耳元見てなかったのか。
そんな事を考えていると老界王神様が取り出す。
「色が違っていたら別の宇宙なんじゃが……」
俺とバーダックさんは未来視と現実。
その二つで色は焼き付いている。
確かあれは……
「ブラックが付けていたのは緑でした」
そう伝えるとビルス様が立ち上がる。
ウイスさんも同じように。
「神の諍いとなれば仕事はする」
だが戦いの決着はあくまでお前らがつけろ。
その言葉を残して去っていく。
「今の間にタイムマシンの燃料をどうにかしてもらおう」
そのうえで戦闘について行く面子を選ぶ。
トランクスたちの決断次第だが……
「父さん、ついてきてもらえませんか?」
ベジータに声をかける。
それに対して手を伸ばす。
髪を撫でるように振れる。
任せろというわけだ。
「僕からもお願いします」
悟飯がカカロットに声をかける。
それに快諾する。
うーん……カカロットが行くのかぁ。
「お前はいつまで引きずってんだよ」
嫌そうな顔をしていたのがばれたのかバーダックさんに叩かれる。
未来の自分も関係してるから行かないとダメなんですけどね。
「しかしミクロバンドを使って何とかしないと六人も入れないですね」
それもそうだった。
店員オーバーもいいところだ。
前回、未来の俺達はそれで5人帰ることに成功している。
「でもセルが使ったやつ再利用したらいいじゃん」
そう言ってブルマさんにどこに収めているかを聞く。
ホイポイカプセルの中にあるので外に出した。
コケを落とすのは手作業。
サラガドゥラも真剣になっていろいろな宇宙を回って調べるらしい。
それが終わり次第合流するとのことだ。
「しかし、今までで最も恐ろしい敵となると……」
フュージョンやポタラも視野に入れなければいけない。
相手は神の次元の為、一時間で解けない可能性がある。
「一対一で勝とうなんてのはやめとくべきだ」
サイヤ人の誇り以前の問題。
そう、バーダックさんは言う。
戦いに生きるサイヤ人。
誇りはあるがそれの重きを置く場面。
そう言う機微をはかってこそ意味がある。
「俺達の世界ならそれでいい、だが今回はな……」
他人の世界なんだ。
だから確実に平和を取り戻さないといけない。
そう言ってガラスを張り替えた。
「そうですね」
あの姿を想像する。
タイムマシンもなしでどのようにして移動できたのか。
そしてあの指輪は何だったのか。
神の事は神しかわからない。
それから作業をすること、数時間。
コケは落ちて新品同然になったタイムマシン。
傷が無くなって綺麗になったタイムマシン。
2つのタイムマシンがきれいな姿になった。
今は食事にありついて英気をみんなが養っている状況だ。
「あとはエネルギーを充填したらいいのか」
一週間もの時間稼ぎ。
そう、トランクスが漏らす。
最悪、死んでいる可能性まである。
だが……
「期待の方向に良くも悪くも斜め上を行くのがこの男だ」
ベジータがトランクスへ励ましの言葉を言う。
そして、にやりと笑ってこっちを見てきた。
それにつられるようにトランクスも微笑む。
「明日には激戦だ、ゆっくりと休めよ」
一足先に食事を終えたバーダックさんが席を外す。
俺もそれに倣って席を外す。
とにかく気が静まらない。
「失敗はできないからな」
握り拳を作って呼吸を整える。
未知数とはいえカカロットの体を乗っ取ったゴクウブラック。
まだブルーにはなれないようだが、いずれは到達する。
その為、早期決着で撃破しないといけない。
そしてアザラの完全な顕現。
邪神として目覚めているのならばビルス様の半分かもしくはそれ以上。
最後に魔神ドミグラ。
初めて聞く名前ではある。
誰かに聞けばわかりそうなのだが。
空を見上げて今一度冷静になるのだった。
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.
.
「ハアッ……ハアッ…」
ドミグラとアザラが攻め込んでくる。
トランクスたちが旅立って一週間。
ゲロたちは避難をしながら俺一人で三神を相手にしていた。
つい、先ほどゴクウブラックが戻ってきやがった。
アザラの攻撃についても判明はしている。
『マイナスエネルギー』を利用しているのだ。
それは人が持つ不純な心、邪悪な思い。
『妬み』や『憎悪』、『怒り』。
それをあの像の状態で一身に受けてきた。
その貯蔵量たるや一つの惑星を呑み込む次元である。
「どこに逃げるんだ」
目の前からドミグラとアザラが現れる。
どうやら魔術師の類。
瞬間移動でこちらに休む暇を与えない。
「ちっ!!」
隠し持っていた煙幕を投げつける。
そしてそのままビルから飛び降りた。
「逃げれないな…」
一人ずつならば、まだ何とか各個撃破できる。
しかしこいつらが魔術などですぐさま合流できる環境。
それが自分から余裕を奪う。
「情けないぜ……戦闘民族でありながらこんなざまとはよ」
時間を稼ぐことになりふり構わない。
殆ど飲まず食わずで一週間。
睡眠が取れない極限状態。
「ならば死ぬがいい!!」
気の刃が迫りくる。
ゴクウブラックだ。
ここならばまだ合流まで距離がある。
「くっ!!」
脱力したまま、掌底で顎を射抜く。
フルパワーの超サイヤ人4でダメージを与える。
崩れ落ちそうなブラックを蹴りあげる。
そのまま追い越して地面へ叩きつける。
その状況に気が付いたのか、アザラ達が迫る。
そのまま一本道に逃げ込む。
上はバリケードで商店街の名残がある。
「愚か者が、その向こうは崩れた瓦礫で埋もれている!!」
3人ともが横一列に並ぶ。
その瞬間、一網打尽にできる機会が生まれる。
「喰らいやがれ!!、『ファースト・スロー・ダイス』!!」
商店街全てを包み込む気功波。
三人は今から天井を破る様に上空には飛べない。
さらにドミグラと離れてしまった。
瞬間移動すら不可能。
乾坤一擲の一撃である。
「ぐああっ……」
盾にでもされたのだろう。
ゴクウブラックやドミグラに比べて明らかな損傷がアザラにはあった。
ここで仕留めてやる。
そう思うと体が動く。
ボロボロの体に鞭を打ってアザラの首を掴む。
「死にやがれ……」
その言葉を最後に胸に腕を突き刺していた。
神と言えどこのマラソンマッチ。
ダメージを受けてしまうとこうなる事もある。
一週間、粘り続けて消耗戦に持ち込んだのは決して間違いではなかった。
「まずはお前だけでも……」
心臓を握りつぶす。
引き抜くとそこからマイナスエネルギーが噴き出ていく。
そしてそのエネルギーは徐々に勢いを緩めていく。
「邪神の力……我が元に」
そう言うとドミグラの元へマイナスエネルギーが引き寄せられていく。
そして、『マイナスエネルギー』の塊が小さな像へと変化する。
今まで見たこともないような禍々しい像だった。
ドミグラが笑みを浮かべている。
膝をつく俺をしり目に再度体勢を立て直すべく、ブラックとともに消えていく。
嫌な予感が体を駆け巡る。
「だが……今は喜ぶべきなのかもな」
ゲロたちと合流するために俺も動き始めた。
だが、この時の俺は知らなかった。
倒す順番をドミグラにするのがベストだったという事。
そして、かつて過去でボージャック一味を復活させたように『善かれ』と思った行動がさらなる激戦を巻き起こすという事を。
最後の後悔がどのようにつながるのか。
まさかの敵側のアザラが現代が来る前にリタイアです。
もっていく為の犠牲なので仕方ないと言えば仕方ありません。
指摘などありましたらお願いいたします。