とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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日常回を飛ばして、フリーザの襲来にしました。
今回は幹部クラスの勝負を書いています。


『帝王襲来』

あれから月日は過ぎて二ヶ月。

破壊神ビルス様がパーティーで大暴れして四ヶ月ほど。

カカロットもウイスさん達に修行をつけてもらっている。

俺達は強さとして7割弱までビルス様の強さに迫っていた。

むろん超フルパワー超サイヤ人4である。

ブロリーの奴がゴッドに興味を示していた。

 

「あの銀河パトロールの奴が言う様に千里眼で宇宙船が見えている」

 

ジャコという銀河パトロールが忠告をしに来た。

既に知っていると伝えたらエリートよりも情報通など信じられんと憤慨して帰っていった。

情報通ではなく超能力で知っただけだ。

神殿に今すぐ戦えそうなやつだけを集めた。

悟飯、ピッコロ、クリリン、亀仙人、天津飯、ターレスとラディッツ、ラエンカ。

そこに俺とブロリー。

 

「それがフリーザというわけだな」

 

ピッコロが言うので頷く。

クリリンは青い顔をしている。

大丈夫とはいいがたい。

ギニュー特戦隊の皆さんも存命。

ドドリアさんやザーボンさんも蘇生されている。

 

「雑魚は何とかなってもそれ以外の幹部は厄介すぎる」

 

フリーザは俺が何とかする。

そして、ブロリーが幹部クラスを相手する。

ピッコロたちも同様だろう。

 

「僕たちで何とかしないと今はベジータさん達もいませんからね」

 

悟飯が言う様に二人は修行中。

子供軍団は引っ込ませた。

それを見張るために奥さん勢が出ないというわけだ。

 

「サラガドゥラ達が来てたらいいのにな」

 

あいつは今修行中だからな。

界王神になるための修行。

老界王神様にイロハを叩き込まれているが時代的な部分の理解などが必要らしい。

 

「ガキ共が抜けだすことも考えたら十分だろ」

 

そう言って、相手が来る前に再度態勢を整える。

とは言っても俺が常に見張っておく。

そして主要都市の上空で見つからないように待ち伏せをする。

 

「簡素ではあるがこれしか今の状況で防ぐ手はない」

 

宇宙船の降り立つ場所次第では墜落させたら甚大な被害が出るだろう。

だがそんな予想は裏切られた。

徐々に近づいてはいるがどうやら岩場に安全に着陸するようだ。

 

大きな音を立てながら宇宙船が降り立つ。

徐々にハッチが開く。

それは絶望のカウントダウンにも思えた。

そしてまるでイナゴやバッタの軍勢のように何千人単位の部下が現れた。

 

「なんて数だ……」

 

クリリンは驚いている。

5000人ほどの部下。

それをわざわざ投入してきた。

そしてフリーザ軍でも新人の奴等もいる。

忠誠心が薄い奴らだ。

そいつらが街に入り込もうとしていた。

 

「気を抜くな!!」

 

ピッコロが腕を巻き付けて捕縛。

天津飯も四身の拳で雑兵たちを殴り倒す。

ラエンカはホイポイカプセルに納めていたバイクで追いかける。

相手に追い付いてからは気絶をさせていた。

 

「一纏めなら潰すまで!!」

 

ラディッツとターレスは向かってくる相手に大技を叩き込んでいく。

海に落ちたりしていくが問題ではない。

俺とブロリーは殴り倒していく。

そんな中、居場所を教えるようにあからさまなデスビームが放たれた、

 

「そこか…」

 

そう言うと雑兵たちが左右に割れる。

まるで海を割った話のような場面だ。

そして眼前にフリーザがいる。

あの機械に乗らずにすでに最終形態だ。

体から迸るパワー。

これは凄まじいものだ。

久々に本能的な血が騒ぎ始めた。

 

「そちらも10人……こちらも幹部が9人で私を含めて10人…丁度良いではありませんか」

 

こちらの人数を確認して手を叩く。

そう言って手招きをしてギニュー特戦隊の5名。

ザーボンさんとドドリアさんの2名。

そしてフリーザから直々に選ばれた2人。

 

「まず誰を出すか決めてください、こちらも打ち合わせをしますので」

 

そう言って背を向ける。

誰が出てくるかはわからない。

運の要素が際立つ。

 

「こちらからはグルドさんです」

 

そう言うと小さな体躯で複数の眼を持つ人。

超能力の使い手、グルドさんが出てきた。

搦め手相手にはこの人以上の適任はいない。

 

「亀仙人様お願いします」

 

こっちにも運が向いていた。

そして戦いの火ぶたが切って落とされる。

マックスパワーですぐに勝負をつけに行く亀仙人様。

グルドさんが時間を止めて遠くへ逃げる。

しかし、亀仙人様はそれが解けた後ニヤリと笑う。

 

「お主の弱点がわかったぞ」

 

そう言って砂を掴む。

そして再度接近をした。

 

「止ま……!?」

 

止めようとした、その刹那。

砂を顔面にぶちまけた。

それを払いのけようとしたところへ……

 

「『かめはめ波』!!」

 

マックスパワーの一撃を叩き込まれて吹っ飛ぶ。

立ち上がれない状態だった。

サングラスを外してグルドさんの敗因を言う。

 

「動作や言葉が前段階ならそれを封じればよい、そしてわしを爺じゃと思うて警戒心が薄かったのが残念じゃな」

 

初めから最大の超能力で叩き潰せば勝っておったよ。

相手へのフォローを忘れずにこっちへ戻ってくる。

老いれば老いるほどエネルギッシュというかなんというか。

ただ、最後に『修行の成果じゃわい』と小声で呟いたのが聞こえていた。

おいおいおい、まだ現役かよ。

敬意を払うと同時に、脳裏に『この爺さん、えげつねぇ……』という言葉がよぎった。

 

「戦闘経験豊富な爺さんだったようですねえ……グルドさんは再度特訓するようにいたしましょうか」

 

回収をして治療担当に渡すように部下へ言う。

そして次の相手は……

 

「『蒼き旋風』バータ様が相手だ!!」

 

ポーズをとって戦いの場へと赴く。

それに対してこちらは……

 

「私が行くわ」

 

ラエンカの出陣。

すでに超サイヤ人で戦うつもりのようだ。

 

「どちらが速いかね!!」

 

そう言ってバータさんが向かっていく。

だがラエンカが後ろをとり、肘打ちを放つ。

 

「ぐえっ!!」

 

その攻撃が当たる。

しかし……

 

「なっ!?」

 

大爆発を起こしていた。

それに巻き込まれて吹き飛ばされる。

 

「新技、『ネイビー・マリオネット』!!」

 

自分と全く同じ姿の気弾をあの一瞬で作るとは……

速度ならば超サイヤ人を凌駕している。

だが……

 

「はあっ!!!」

 

ラエンカも準備運転は終わった。

そう言うように一気に超サイヤ人3になる。

だが相手も怯みはしない。

深呼吸をしてゴキゴキと音を立てていく。

 

「これが速度特化型の変身……『ストロー・ネイビー』!!」

 

戦闘力自体はそれほど上がってはいない。

骨と皮にうっすらと筋肉がついた姿。

鞭のようにしなる腕からは真空波が放たれる。

 

「捉えられるか!」

 

風切り音を残して消える。

完全に速度ならば通常の俺では見えない。

そして……

 

「ぐっ……」

 

皮膚をカミソリで斬られたような状態にラエンカがなっていく。

回避はしても真空波。

そして拳そのものが刃物のように鋭いのだろう。

血を多く流しすぎたら負けてしまう。

 

「接近戦だぁ!!」

 

一撃を食らってそのまま近づく。

しかし相手も素早い。

ひょいひょいと避けてカウンターを延々と叩き込む。

サンドバッグ状態だ。

一撃を極めて超サイヤ人3を倒すなんて……

そんな発想をだれが考え付いたんだ?

陣営を見るとニヤリと笑っていたのはフリーザだった。

 

「このまま時間を稼ぐ!!」

 

さらに速度のギアが上がる。

徐々に超サイヤ人3のラエンカの気が萎んでいく。

ダメージと出血による意識の混濁。

そして時間を使われてしまい活動の時間のピークが過ぎていた。

 

「ぐぐ……」

 

初めから超サイヤ人3でいっておけばよかった。

そういった後悔が顔から見て取れる。

ダメージが重ければ勝負はつくのだが、相手の形態に感謝せざるを得ない。

 

「だらああ!!」

 

一撃をモロに喰らったが、その瞬間腕を掴む。

そしてそのまま腹に全力の一撃を叩き込む。

 

「肉を切らせて骨を断つか……」

 

血飛沫を舞い上げる。

バータさんはそのまま着地を決める。

ラエンカは立てていなかった。

髪の毛が黒くなり超サイヤ人は解けていた。

 

「もう少し先に目が慣れていれば勝てただろうよ……」

 

そう言って膝をついていた。

もう立ち上がれないと首を振っている。

 

「やはり圧勝なんてのは無いか……」

 

リクームさんの肩を借りて戻っていく。

フリーザが治療班を呼んでラエンカも治療するように言う。

 

「良いのか?」

 

俺がそう言うと笑いながらこっちを向く。

そして真剣な眼差しになる。

 

「敵と言えど……敬意を払うべき相手もいるでしょう?」

 

元より殺し合いならば私が暴れればいいだけですよ。

そう言って治療班に連れて行かせる。

そしてこの敗北をきっかけに勝ち星から遠ざかる。

 

クリリンがタゴマに敗北。

技で最初は優位に立ちまわっていた。

修行をあまりしていなかったからか、スタミナ切れを起こしてしまう。

そのまま、相手との体格差もあり一気に押し込まれてしまった。

 

天津飯はシチミを相手に敗北。

全部の技術を使ったものの相手もフリーザ軍の幹部級。

最初をシチミ優位の場面からも盛り返したのだがそのシーソーゲームで拮抗していた。

最終的には気功砲で相手に反撃させずに押し切っていたのはよかったが、その直後に倒れてしまう。

相手のタフさに軍配が上がり三連敗となった。

 

「折り返し地点ですね」

 

現在こちらの勝ち星は亀仙人様だけだ。

残っているのはリクームさん、ジースさん、ギニューさん、ザーボンさん、ドドリアさんだ。

互いが相手を出す。

こっちはラディッツさん。

相手はジースさんだった。

 

「こっちはウォーミングアップが済んでいるんでな……」

 

超サイヤ人3になって臨戦態勢をとる。

ジースさんは変身ではなく体の筋肉の周りが太くなっていた。

マッチョというよりはシェイプアップを繰り返して均整の取れた状態だ。

 

「『マグマスラッシャー』!!」

 

両腕に刀状の気を纏う。

そして灼熱の炎へと変える。

それを見たラディッツさんは……

 

「『ウェンズデースラッシュ』!!」

 

同じ系統の技で迎え撃つ。

技の威力ではラディッツさんが勝つ。

しかしそれで終わらないのがフリーザ軍幹部。

 

「『マグマレガース』!!」

 

蹴りに灼熱の炎を纏わせる。

それを回避せずに炎がついていない部分まで詰めて受ける。

 

「はあっ!!」

 

掌底で顎を射抜く。

体勢を崩したところにズドンと音がするような重い蹴りを叩き込んだ。

 

「がっ……」

 

蹴り飛ばさずに崩れ落ちるように蹴る。

そして頭を掴んで……

 

「フン!!」

 

頭突きを見舞う。

鼻の骨が折れた音が聞こえる。

 

「『マグマナイト』…!」

 

息も絶え絶えに技を放つ。

体中が灼熱の鎧に包まれる。

触れないので離す。

すると次は竜巻がラディッツさんを囲む。

 

「『マグマプリズン』!!」

 

竜巻が動かずに灼熱を帯びていく。

内部に居るラディッツさんの周りの気温を局所的に高める。

そうすることでラディッツさんは汗だくになっていくはずだ。

熱風を吸い込む為、喉が焼けてしまい呼吸が苦しくなる。

 

「ミイラになるがいい!!」

 

そう言って気を高めていく。

出てきた所を狙っているようだ。

しかし……

 

「…ク…ドォ!!」

 

一本の気弾で突き破る。

片手は竜巻へ。

片手は地面へ。

推進力と技の威力で脱出したのだ。

 

「ぐっ!?」

 

虚を突かれる形になったジースさんが技を放つ。

気弾を打ち破るが威力が落ちている。

十分に高めていればこうはならない。

全員、勝ちを確信できる芸を身につけてはいるが、負けている奴や引き分けの奴はいささか詰めの甘さがある。

そう考えるとバータさんの詰め具合が凄かったな。

 

「だああ!!」

 

気弾を殴り飛ばした。

そして新技を放つ。

 

「『エブリデイ・ハピネス』!!」

 

大きな星型の気弾がジースさんを呑み込んでいく。

その一撃に手応えがあったのと体力の限界が同時にきたのだろう。

ゆらりと体を揺らして盛大に倒れ込んだ。

 

「ハアハアッ、脱水症状のおかげか……」

 

土煙から一つの影が現れた。

なんと、ジースさんはぎりぎりのところで立ち上がっていた。

『相棒が勝っておれが負けるのも格好がつかないからな』と呟いていた。

そしてラディッツさんを抱える。

白目をむいているのを確認して治療室に連れて行った。

 

これで4人連続敗北。

とは言ってもラエンカは若干の油断。

ラディッツさんは炎の竜巻といった搦め手。

力不足というよりは相手がうまく立ち回ったといった所だ。

仮に殴り合いだったなら、バータさんのあの変身に喰らってからカウンターなり喰らった瞬間に掴むといった方法。

それで勝てたとは思う。

ジースさんについてはあの竜巻がなければ普通に勝っていた。

多分、いくら鍛錬していたといっても真っ向勝負であれば超サイヤ人には肉薄できても2には勝てそうにないはずだ。

それを一芸を極めさせて互角に戦わせる策を授けたフリーザ。

やはり指揮官としても超一流だわ、あいつ。

 

「後がありませんねぇ……」

 

そう言ってリクームさんを出してくる。

それを見てピッコロが動いた。

 

「ここで俺が空気を変える」

 

そう言うと力を込めて巨大化をする。

どうやらこれをすると自分と同化したナメック星人のおかげで力が上がるらしい。

的が大きくなるから好まないし、時間制限もあると言っていた。

 

「なかなか楽しめそうじゃ……」

 

始めという合図がない。

だからこそ先手必勝。

ピッコロは相手が言葉を言いきる前に殴り飛ばしていた。

 

「礼儀は大事だがなりふり構っていられないんでな」

 

そう言って踏みつけに行く。

それを腕を交差して受け止める。

 

「小癪な真似を、『爆力魔波』!!」

 

気功波で吹き飛ばす。

そのまま腕を伸ばして掴む。

そして地面に風切り音とともに叩きつけていく。

 

「ぐあああっ!!」

 

リクームさんの強靭な肉体でもダメージが凄まじい。

どうやら肉体改造を行ったり技の隙を無くして基礎的な力を高めたらしい。

しかしそれ以上にピッコロが強い。

 

「どりゃあ!!」

 

前蹴りで飛ばしたかと思うと、速度で後ろをとって空中へ蹴り上げる。

そして掌に気を集めて技を放つ。

 

「『激烈魔弾』!!」

 

背中に直撃する。そのままふらふらと落ちていく間に気弾を何発も放つ。

そしてさらなる追撃を放つ。

 

「『新・魔空包囲弾』!!」

 

爆発でダメージ。

物理的な気弾で突き上げられる。

最後、着地と同時に閃光を放つ。

 

「うっ……!?」

 

両手でベジータの技をモデルに、自分の打ちやすい形。

それでいて威力を今までの最大の技以上に高めたピッコロの新技が放たれる。

 

「『魔穿撃滅波』!!」

 

槍のような形状。

渦を巻いていて見た目はそれほどの範囲がないように見受けられる。

だが速度はすさまじい。

 

「ぐはっ……」

 

腹を貫いてリクームさんが倒れ込む。

そのまま動かず、ピッコロの勝利だった。

リクームさんは至急治療室に行くことになった。

 

「渦が開いていき相手を内部から引き裂く技なんだがな……」

 

試し打ちだと理想からは僅かに外れるものだ。

そう言ってこっちに戻ってきた。

次の相手はドドリアさんのようだ。

 

「あの時みたいに首が落ちないように気を付けろよ、ドドリア」

 

悪い空気を打ち払っての7人目。

ターレスが意地の悪い笑みでドドリアを挑発していた。

まだこの帝王との戦いの前座は終わりそうになかった。




実力的にはラエンカやラディッツの方が上ですが、
搦め手や油断しやすいサイヤ人の弱点を相手がうまく突く形で勝っております。
相手の方でもグルドが亀仙人のじっちゃんをなめた結果、負けております。

ちなみに幹部クラスは全員が超能力特化のグルドを除き超サイヤ人1並みの力は身に着けております。
変身でバータのみ速度『だけ』超サイヤ人3並みになっております。
防御とか捨て去った形態なので総合的な強さは変わっていませんが。
ザーボンやドドリアも強くはなっています。

指摘などありましたらお願い

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