とは言っても次回ぐらいまでは時間経過を書く予定です。
強引な理由で強さを釣り合わせて申し訳ございません。
『15年前の忘れ物』
あの破壊神騒動から二ヶ月。
俺とブロリーはラエンカのビッグゲテスターに入り浸っていた。
理由はただ一つ。
超サイヤ人4での修業のため。
ちなみにブルマさんにも現在開発を頼んではいる。
その代物は『超ブルーツ波発生装置』
大きくはなるだろうが小型化をしてほしいのだ。
修行の合間にサイヤパワーの供給を常にもらえるとは思えない。
それならばもう一つの『ブルーツ波の過剰供給』を使うしかない。
「とにかくゴッドになっていた時のカカロット達並みにはなっただろうな」
組み手をしながら呟く。
互いが神の領域まで達したいという願い。
それゆえに修行をマンツーマンで行っている。
さらにその後に、ピオーネとも修行を行うためへとへとな毎日ではある。
「守る為に強くなるしかない」
そう言ってこっちに拳を振るう。
それを受け止めて投げる。
着地して肘打ちをしてくるが避ける。
「シッ!!」
蹴りを叩き込むが腕を交差して受け止める。
基礎的な動きをさらに錬磨していく。
筋肉の肥大により速度や無駄な動き。
それらを基本に立ち返って見直している。
「『ギガンティックジェノサイド』!!」
大技もその基本の動きの見直しで威力が上がっている。
インパクトの瞬間の力の込め方。
また、脱力による速度の緩急で動き自体のキレの良さ。
「ぐっ!!」
大技は隙がない相手に使うのは愚策。
しかしブロリーほどの体格にもなると回避に専念しても冷や汗ものだ。
風圧で皮膚が切れてしまう。
そして防いでも体勢を崩していく。
もしくは防御を突き抜ける。
「ふんっ!!」
しかし効いていても強引に押し込むことはやめていた。
罠の可能性。
そしてこの形態には時間制限があると言っていい。
それを考えた実戦的な発想。
「はあっ!!」
そしてその距離の取り方は正解だった。
こっちはわざと体勢を崩していた。
声でいかにも効いた感じを演出。
次に脇を閉めた拳で隙を消していても顎を的確に射抜いてカウンターをとっていた。
「流石に戦闘経験は高いな……」
そう言ってブロリーを深呼吸をする。
おまえやベジータのような天才児ではなかった。
今でこそこうだが、当時は弱いと揶揄されてきた。
生き残るためには泥臭い戦いをする。
何度も死にかける戦いが幼少時にはあったしな。
「危険を察知することも一流だぞ」
破壊神の時は察知できていた。
だが暴れ酒をするなんてのは予想できなかった。
あの未来視は『俺が干渉しなかった場合の未来』だったのだろう。
それを止めようとしたらそれより俺たちにとってひどい結果になった。
「しかし、あれから何にもないのは不思議ですね」
そう言ってブロリーが4を解いて一休みする。
確かにどんな異変もない。
破壊神が目覚めるという事は気まぐれもあるかもしれない。
しかし重大なことがあるから起きたのかもしれない。
「一応聞きに行くか」
ベジータの奴があの騒動から数日後にビルス様の星へ修行をつけてもらいに行った。
神の気は感じ取れなくてもベジータならば大丈夫だ。
カカロットは無理だろうが俺は知った気さえ察知できれば距離はほとんど関係ない。
「土産も持っていこう」
そう言ってシュークリームを買っていく。
お二人で1箱ずつ食べるだろうか?
「掴まっておけよ」
ベジータの気を察知して移動する。
すると砂時計まみれの部屋に来た。
「お前ら、何しに来やがった!?」
小声でベジータが言ってくる。
ビルス様は寝ているのか。
つまり修行と家事手伝いをこなしているようだ。
「話を聞こうと思ってな」
そう言ってシュークリームの箱を持ち上げる。
とりあえず起こさないと。
そう思って動いた瞬間……
「んがぁ!!」
寝相で蹴りが飛んでくる。
とにかくおとなしく起こすか。
蹴りを受け止めて体を揺する。
「うぅん……」
まだ起きないか。
だったら……
「起きろ!!」
大声で呼びかける。
すると寝返りを打って……
「やかましい!!」
寝言で怒りながら裏拳を放つ。
それを避けるが随分と眠りが深い。
「いつもこんな感じか?」
ブロリーがベジータに聞く。
するとこんな起こし方はしていないようだ。
だから今の光景は不敬でしかない。
「うぅん……起きてしまったじゃないか」
欠伸をして降り立つビルス様。
苛立ちこそあるがわざわざここまで訪れているのだ。
それを察して『湯浴みしてくるからシーツを片付けといてくれ』とのこと。
「何か気になるんだろ、僕が目覚めたわけだからね」
湯浴みが終わり普段の格好でソファに座るビルス様。
鼻をクンクンと動かす。
シュークリームを渡し忘れていたな。
「甘い匂いがするな、それを食べながら話をしよう」
そう言うので箱を差し出す。
飲み物も用意してむしゃむしゃとうまそうに食べる。
「で……何が気になっているんだい?」
俺は全ての悩みを打ち明ける。
破壊するべき巨悪が現れたから目覚めているのではないか?
心当たりはまるでなさそうだが、本当の所で危険がこの第七宇宙に迫っているのではないかと問いかけた。
「つまり僕が目覚めたから宇宙単位のとんでもない事が起こるんじゃないかって?」
そう言ってきたので頷くと大笑いされる。
ウイスさんもくすくすと笑っている。
そして笑いをやめてこっちの眼を見てくる。
「お前ら人間と一緒で寝起きしていただけだよ」
だから大した事は無いさ。
そう言ってシュークリームを頬張る。
そして立ち上がる。
「前は酔った勢いで戦ったからね、二人がかりでかかってきなさい」
そう言って表の森へ出る。
俺達は同時にフルパワーで向かっていく。
それを見て飄々としていた顔を引き締めて回避する。
だがこっちが後ろをとる。
まだギアを入れていないのだろう。
それならば今、一気呵成に畳みかける。
「だりゃりゃ!!」
連打をかいくぐっていく。
そこに尻尾で足をすくい上げようとする。
「ちっ!!」
それを跳躍で避ける。
だがその上に大きな影が現れる。
ブロリーが先回りしていたのだ。
「があっ!!」
地面に叩きつけていく。
しかし木に掴まってくるくると舞う様に着地した。
その瞬間に足場を爆発させる。
「舐めるな!!」
前に詰めてきてこっちに拳を振るう。
頭に血が上っているのならば……
「なっ!?」
残像拳でいなせばいい。
後ろから踵落としを決める。
「全くサイヤ人の成長速度には驚かされる……」
頭を押さえながら起き上がる。
そして首をコキリと鳴らして握り拳に力を込める。
「初めて会ったときは半分を少し超えている程度が今や6割にのびている」
寝起きの運動ですらない。
食後の運動でもない。
ここからは一歩間違えれば致命傷を負うこと必至の闘争だ。
「少しだけワクワクするな!!」
腕をとって投げようとするが背中を踏み台にして跳びあがる。
そしてそのままブロリーの眼前まで迫って気弾を放つ。
「ちっ!!」
回避行動をとるが尻尾でとらえられてしまう。
喰らってしまうがカウンターで頭突きを放つ。
それも避けるが腰を掴んでそのまま地面に突っ込む。
「くっ……」
何とか腕力で引き剥がすもその隙を逃す俺ではない。
その無防備な背中を狙って放つ。
「『プライド・オブ・ラクタパクシャ』!!」
灼熱の鳥型気弾を相手にビルス様も本気の一撃を放つ。
手を合わせて上空に手を掲げる。
真紅の巨大な元気玉のような気弾が現れた。
「『破壊玉』!!」
腕を振り下ろして技同士がぶつかる。
だがこれは二人いる戦いだ。
ブロリーが打ち合いに入り込む。
「『ブラスター・オメガ』!!」
二発の気弾がビルス様に当たる。
それによって破壊玉の勢いが僅かに落ちる。
その瞬間、一気に一撃の勢いを強めた。
「ぐおおおおおおー!!」
灼熱に包み込むのではなく呑み込む。
包み込んでも力づくで解けるのが前回の戦いで立証されたからな。
一気に一撃でダメージを負わせる。
「やってくれるじゃないか……」
煙をあげてニヤリと笑う。
そして満足げな笑顔を浮かべていた。
「二人がかりでこれならもう少しすれば本気で戦えるな、期待しているぞ」
さて……聞きたい事終わったし帰るだろう?
そう態度が示していた。
「精進して本気を出しても良いように頑張ります」
実際は個人的に聞きたい事はあるのですが……
そんな態度がばれたのかウイスさんがビルス様に耳打ちをする。
「ウイスが隠していないかどうかというんだが……」
至極、面倒くさそうにしている。
シュークリームの残りをさっさと食べたいのだろう。
「えっと、惑星バンヤの民についてのお話を……」
そう言った瞬間、机が崩壊する。
すごい勢いで迫って壁に追い詰められる。
「なんで君がそれを知っている?」
実は……
その始まりですべてを伝えた。
自分の妻との初めての出会い。
特殊な力だと感じていたもの。
最近になって背中に現れた紋章のような痣。
伝え終わった後、ビルス様は頭を抱えていた。
「確実に君の奥さんはバンヤの民だ、それは分かる」
しかし逃げ延びていたとはな……
そう呟いて再びこっちへ視線を向ける。
そして真剣な顔で警告をしてきた。
「何があっても全王様に伝えるな」
ばれる分は仕方ない。
自分から言ってもあのお方が気づいたとしてもいずれにせよ良い結果になんてならん。
自分たちの宇宙ごと消えたくなければ黙っておけ。
黙っていないと僕が君を破壊する。
そう念押しされた。
やはりとんでもないのか……
「これで用事は終わりだろ?」
頷いて、次のお土産は腹にたまるものがいい。
そう、ビルス様のリクエストを受けて地球へ戻る。
そんな時、嫌な予感が突き刺さる。
未来視ができなくても分かる巨悪の蠢き。
しかしそれを感じ取りながらもどこか微笑んでいた。
これから先強くなっていく結果の試金石になっているだろうからな。
空の向こうを睨み付けるように見つめていた。
.
.
「フリーザ様……またもや特訓でしょうか?」
私はフリーザ様に声をかける。
汗を流しており、あの15年前から血の滲む鍛錬を繰り返されていた。
変身に行き詰まり、基礎的なものを鍛えてはいたが、いかに天才と言えど本気で戦う相手もいない。
その為、いくら努力しても試す機会がなかった。
モチベーションが最悪なままの修行は大怪我につながり、それを治す暇もないと言ってオーバーワークを課し悪循環につながってしまう。
その結果リハビリとケガを延々と繰り返すといった状況だった。
さらに星の地上げをやめて他の星々に売りさばいていった。
しかもフリーザ様がやってきたものは非常に多くそれらを成し遂げるのにも時間が何年もかかった。
そしてその中で気に入った星をトレーニング用に仕立て上げていた。
「あまり上がる事は無かった15年間でしたからね、無駄な時間を過ごしていたものです
一体何を自分で慌てていたのか……怒りがこみ上げますよ」
修羅の形相だった。
我々のせいであの宇宙の帝王の妨げになっていた時期もあった。
何故ならば我々も鍛えていたのだから。
「しかし偵察隊のおかげですね……」
二ヶ月前、私が気まぐれで送った偵察隊が地球での映像を送ってきた。
その中にガタバルの形態が映っていた。
それを見たフリーザ様は一念発起して、修行に明け暮れた。
モチベーションが最高潮のままの特訓はいい結果を生んでいた。
それこそ15年間の緩やかな伸びを完璧に凌駕している。
もしこの姿がもっと前に観測できていたならばと悔やまれる。
当時のプランを徐々に速めている。
流石はフリーザ様だと驚嘆しかない。
「待っていなさい」
15年前の忘れ物を取りに行きますよ。
そう言って歩んでいく。
ガタバルよ……
おまえは火をつけるべきではない人に火をつけてしまったようだ。
地球は間違いなく今までで最大の戦場になるだろう。
フリーザ様、スぺりまくっていた模様。
正直、15年間もフリーザが真っ当に修行したら勝ち目なんて、微塵もないのでこんな形にしました。
指摘などありましたらお願いいたします。