インフレだけではなく、普通に覚醒の為なりのイベントをつぎ込みます。
もう少しでこの人造人間編も終わりそうです。
「流石に完全に防ぐことはできないか……」
セルの最近の動向を伝えられる。
あの後ピッコロと17号が交戦。
その隙にセルが襲来。
あらゆる手を使い、17号を吸収したらしい。
現代の俺がゲロの方は止めてはいるようだが、あまり進展がない。
青肌の奴らもあれっきりだ。
「最悪なのはサイヤ人の悪い癖が出るかもしれない」
今のセルを超えてしまうと、次の標的は完全体となる。
それにするために18号をわざと吸収させるかもしれない。
そうなると手を付けられない。
少なくても前線に出ない人間を除いた話だが。
「あいつらの不安要素を除いてやるか」
ラズリとともにベジータの方へと向かう。
どうやら移動しているらしい。
トランクスも一緒だ。
目的はセルだろう。
クリリンも同じ方向へ移動をしているようだ。
何かしら重要なことがあるのかもしれない。
わざわざクリリンがベジータ達のように前線に出るリスクも必要ないからだ。
「止まって!!」
ラズリがいきなり叫ぶ。
一体何事かと思い、急ブレーキをかける。
すると目の前が光り、人型を形作る。
「何者だ!!」
戦える態勢で相手に問う。
光が晴れない限り、正体不明としか言いようがない。
そんな事を考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。
「つれないものね」
光が晴れた時、目の前にいたのはミラとトワ。
そして抱えている布が一つ。
随分大きいが一体なんだ?
二人が秘策有りという雰囲気を纏って現れた。
「久しぶりに見たと思ったら……」
俺がそう呟くとかぶせていた布をとる。
すると目の前にいたのは未来の18号だ。
気絶しているのだろう。
こいつら、まさか……
「はい!!」
魔術でラズリを引き寄せる。
止めようとするが割って入るミラ。
腕を掴んで放り投げる。
邪魔をしやがって!!
そう思っていると今度はトワが透明な壁を作り出す。
「ラズリ!!」
打ち破ろうと変身をして殴りつけて割っていく。
しかし、わずかに遅かったのか未来の18号と重なり合っていく。
ミラの奴がにやりと笑っている。
何かがこみ上げていく。
今までとは違う、胸を締め付けられる感覚。
止めないとまずい。
「させないというのを忘れているのか?」
駆けだした俺を追いついていたミラが止める。
こいつは何度も何度も……
「邪魔をするなぁ!!」
ラズリの方へと向かおうとして蹴り飛ばしにかかる。
しかしバリアのようなもので防がれていた。
「この程度!!」
ビキビキと音を立ててバリアーを壊していく。
だが間に合わなかったのか、激しい光に包まれていた。
「くっ!!」
光が晴れた時、髪と背が伸びていて、さらに体つきが女性らしくなった姿があった。
どちらが主人格となったかはわからない。
目を開けて、手を閉じて開いてを繰り返す。
首を鳴らして、伸びをして確認をしたのだろう。
「うん……力がみなぎる」
その声はラズリのものだった。
どうやら主人格は乗っ取られずに済んだようだ。
俺はその事実にほっとする。
「さて……」
しかしそれも束の間。
トワが杖を振りかざした瞬間、ラズリの目が変わる。
紫色のオーラがラズリから噴き出す。
そしてこちらへ突っ込んでくる。
「ぬぐっ!!」
腹部へ人間ロケットと言わんばかりに突撃してくる。
それをモロに喰らって後退する。
すると目の前から消えたと思うと背中に肘打ち。
足を持たれてジャイアントスイングで投げられる。
「まさか、強化したらこれほどまでに……」
今のフルパワーの自分を凌駕する身動き。
合体でどれほどの強さになったかは知らないが、その後にされた強化の恩恵が凄まじい。
「でりゃあ!!」
地面に叩きつけられるとそのままうつ伏せにされてキャメルクラッチ。
ギリギリと締め上げられる中、何とかロックを外す。
体勢を立て直す。
「潰しあいなさい、彼らの目的が終わるまで…」
トワの呟きが聞こえてくる。
一体どういう事だ?
「はっ!!」
そんな事を考えていると攻撃が迫る。
ムーンサルトキックを放っているが、この瞬間を逃さない。
足を掴んで抱え上げる。
これで勝負は終わったも同然だ。
「こっちが無様に受け続けるだけとでも思ったのか?」
腕や足の攻撃も届かないように高くラズリを持ち上げる。
持ち上げることは不可能ではない。
これでは超速度で逃れても追尾はしやすい。
「でも、こうすればいいのよね」
そう言って反発しあう様に弾かれる。
魔術でやりたい放題のようだ。
ここまでやられると流石に……
「久々に怒髪天を突いたぞ、ガキ……」
髪の毛は伸び、金色の体毛を持った大猿超サイヤ人になっていた。
元々の能力はなれる水準だとゲテスターも言っていたが、いかんせんきっかけがなかった。
今、どうやらラズリに対して好き放題している事に怒りを感じて覚醒したようだ。
「なっ!?」
腹へ一撃を叩き込みにいく。
大きな盾を出現させていたがそれも壊しきる。
風圧で少し下がってはいたがまだ追撃はやまない。
「『ペリウィンクル・カローラ』!!」
花びらのように舞う気弾の乱射。
不規則な軌道、その質量に避けることはできない。
バリアーを張っているが、それをするぐらいならば逃げればいい。
「『クレイン・グレネード』!!」
次に放つのは鶴の形の気弾。
相手のバリアーを打ち破っていくも男が間に割って入り相殺する。
「『シザース・ウィンド』!!」
強く空気を押し出すように、相手に放つ。
その動作で生まれた切り裂くような風は男の頬や、女の手に切り傷を作っていく。
「『ムーン・デストロイヤー』!!」
巨大な満月を模した気弾を相手に放つ。
その一撃にはさすがに危機感を覚えたのだろう。
ラズリの洗脳を解き、全神経を転移に集中させているのが見て取れる。
感情もなさげな奴らが一筋とはいえ冷や汗をかいているのがいい証拠だ。
「はっ!!」
そう言うと目の前から消えていった。
俺も臨戦態勢を解いて気弾をコントロールして小さな飴玉の形にして宇宙空間へ打ち上げる。
どこかへ当たってしまっただろうが気にしてはいけない。
俺はそしてラズリの方に向かう。
「ううん……」
眠い場面から起きるような声。
まるで数日前あのポッドから出した時と同じだ。
目をこすりながら一言呟く。
「おはよう……」
それに対して笑顔で答える。
既に大猿超サイヤ人3は解除しておいた。
「おはよう、ラズリ」
相手を追い払うことはできたが、どこかで大きな気を感じ取れる。
セルの気が一気に膨れ上がっていた。
最悪の事態になってしまったようだな。
しかもさらに嫌な予感がする。
怒りに身を任せたが故の軽率な行為がさらなる災厄を呼び込む予感。
「とりあえずは全員と相談だな」
そう言って俺たちは一度神様の神殿に戻る。
するとピリピリした雰囲気がそこにはあった。
.
.
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厄介ごとをベジータが増やしてきた。
セルとの実力差がついたためにサイヤ人の本能で完全体にわざとさせたらしい。
そしてその結果は惨敗。
一体、何がしたいのか理解に苦しむ。
しかも別の方向で滅茶苦茶にでかい気を感じたと思ったら、上空に高密度な気弾を放っていたし。
その正体が目の前に現れたけどね。
未来の俺よ、どう考えてもやりすぎだ。
あれのせいで宇宙空間で動いている影がある。
「あの担当はターレスとブロリーとスパーニ、ニアにラディッツさんあたりに任せよう」
俺は引き続きゲロ、ミラとトワの監視。
ピオーネがいるから特に問題はないだろう。
「こっちはいつでも動けるようにしておく」
未来の俺は自由に動くようだ。
正直あんなパワーを存分に発揮されたら地球が危ない。
それどころか、災厄をもう一つ増やしかねない。
「まあ、それで行こうか」
そして未来の俺が『精神と時の部屋』へ入っていく。
随分と様変わりしたラズリさんを見てトランクスと未来の悟飯は『区別がついていいですね』と言っていた。
残念だけど未来の奴との合体だからもう居ないも同然だぞ。
状況的にまともに恋愛することがないから、女性を見てそう言った事はあまり抱いてないのか?
「おい、セルの奴が!!」
クリリンの奴が叫びながらこっちに来る。
『お前さんが緊急停止したらよかったのに』とかいうのはひとまず置いておこう。
どうやらテレビ局に忍び込んで数日後にまとめて相手をしてやるという事らしい。
「随分と自信があるようだな」
俺はこの話を欠伸をしながら聞いている。
やるべきことは終えているからな。
今すぐ相手をしてやってもいいのだが……
「オラたちに戦わせてくれ、頼む」
カカロットとベジータが直々に言ってくる。
それには仕方ないと思い頷く。
初めからそう言った約束だからな。
「勝算があるのなら構わない、万が一のことがあったら未来の俺がやってくれるかもな」
そう言うとにやりとしていた。
青肌の奴ら担当でもあるが今のあいつなら赤子の手をひねるよりも簡単だろう。
「いや、分からねえ」
カカロットがそんな事を言った瞬間、溜息が出る。
勝算がないのに戦わせてくれとか、大馬鹿者にもほどがある。
普通に考えてみろ。
それなら俺が出張ってやった方がましだろうが。
命を無駄に散らすとかいうのはご法度だぞ。
「だってやってもないのに分からねえさ」
まあ、それもそうだが……
そんな事を考えているとベジータが俺に言ってくる。
「勝つか負けるかで戦う事を決めるサイヤ人は居ない、フリーザの時のお前はそんな事を考えていなかったはずだが?」
そう言われると耳が痛い。
確かにフリーザの時は覚醒できればいける程度で確実な勝ちなど考えずに挑んでいた。
だが、俺たちはもうそんな自分だけのために戦うわけにもいかない。
子供がいるし、妻もいる。
まあ、悟飯の時に死んだ時点でカカロットにいっても無駄か。
「だが、お前の気持ちがわからないわけでもない」
そう言って気を高める。
次に入ってどうにかできる可能性を増やすようだ。
「行くぞ、トランクス!!」
そう言って入っていく。
トランクスは驚いた顔をしながらもついて行く。
未来の悟飯は微笑んで見送っていた。
「あいつもなんやかんやでわが子に伝えたいんだろうな」
強いサイヤ人であると同時に自分の血を分けたものに何かを伝える。
穏やかではある。
しかし前にいっていたことが頭をよぎる。
昔のように凶暴ではないという事。
其れが技や動きを鈍らせてはいないかという懸念。
「その懸念は鍛錬で拭える」
ブロリーだって抱いた懸念だった。
俺との鍛錬で守る為に制御をしながらもその威力や動きは鈍らなかった。
ただ凶暴な時の方が挙動が読みにくくなったり、伸び率という面では優れている。
他人を巻き込む場面でなければその状態でもいいだろう。
「さて……」
地球へと向かっている相手。
そいつらはかつて文献に載っていた一族だ。
「ヘラー一族か」
そう呟いた瞬間、空から声が聞こえた。
切迫しながらも怒っているような声だ。
「おーい、なんで封印が解けておるんじゃ!!」
これが界王様か。
正直に伝える事にしよう。
「実は先ほどまで戦闘していて、その際に宇宙に向けて放った一撃が封印を解いてしまったようで……」
そう言うと界王様は溜息をつく。
折角、封印したのに不慮の事故とは言え壊されたんだからな。
「大丈夫です、そいつらは地球に来ていますが一網打尽にいたしますので」
そう言うと『当たり前だ』と返された。
まあ、こっちがまいた種だからね。
「くれぐれもしっかりと頼むぞ!」
そう言って空からの声は途切れた。
ブロリーたちでもいいんだが俺が出て、ゲロかミラをブロリーたちに任せるか。
瞬間移動で行けるし、あいつらぐらいなら苦戦もせずにいけるだろう。
「作戦会議というか割り振りをしないと」
そう言って俺はみんなを集める。
秘策は分からないがベジータもいるから安心はできるだろう。
それ以外のイレギュラーの対処が重要だ。
戦力のバランスとかも加味してな。
「これだけいたら上々だな」
数分後、集まったメンバーはピオーネ、スパーニ、ブロリー、ターレス。
ナッパとターブルは今回はセルゲームへの参加をするらしいので除外。
未来の俺もセルゲームを担当するので除外となる。
予定がないこの数名が主なメンバーだ。
ちなみに桃白白は第二形態のセルの足止めで疲労困憊となっていて不参加。
奴曰く『老体に気功砲撃たせすぎ』とのこと。
天津飯の負担を減らすためとはいえ身を削りすぎだ。
「ミラとトワについてはスパーニとブロリー」
単独で奴らと勝負するわけにはいかない。
何かしらの搦め手でこっちの弱点を突いてくるだろう。
だからこそ超サイヤ人へ変身可能な二人をあいつらにぶつける。
「ゲロに関してはピオーネ」
一人でも真正面の勝負にならざるを得ない。
実力ならばすでに超えている。
拮抗した状況を逐次作れるピオーネが最適だ。
「地球に向かっている異星人は俺とターレス」
界王様にああ言った手前他の奴に任せるのもな。
一番楽な所をとった様で申し訳ない。
さっさと片づけたらすぐに救援に行くからな。
「勝負がすんだらすぐにカカロットたちの救援、もしくはほかの奴を助けよう」
なんだかんだで一番の激戦区はセルゲームだろう。
秘策があったらいいのだが、あのカカロットの態度に一抹の不安が残る。
当日までは修行と索敵。
これで準備を進めていく。
全員で拳を突き出しあって合わせる。
この秘密裏の激戦を解決することを決意するのだった。
まさかのボージャック達の襲来。
サイヤ人3という時点で襤褸雑巾になるのが確定ですけど。
ちなみにこの後の予定ではブウ編の敵はオリキャラまみれになりそうです。
指摘などありましたらお願いいたします。