多分、フリーザ編よりは日常回を除けば短くなる予定です。
俺は現代の俺が戦った後に合流したやつらを見て溜息をつく。
こいつら超サイヤ人の壁を越えてはいない。
まだまだ発展途上なのだろうがあの白髪の青年……ドクターゲロには叶わない。
それが顔に出ていたのか。
納得できないという風にベジータが噛みついてきた。
「見るなり溜息とはどういうつもりだ!!」
まあ、態度が悪かったのは謝るが、それなりの理由がある。
正体不明の怪物までいるんだからな。
そいつと人造人間という相手。
どれかを倒してもらうのが役目なのに実力が低ければ意味がない。
「修行に行った方がいい、溜息については謝るがな」
そう言ってラズリとともに神殿から下へと向かう。
ピッコロの奴が向かっていったようだが、これならば追いつくな。
気を現代の自分の何分の一かに抑えて超サイヤ人になる。
追いつくためにいちいち地球全体が震えるフルパワーを使う事はしない。
ラズリを背中に乗せるような形でピッコロを追いかける。
ジンジャータウンという町に来た。
ピッコロの奴も見つけたが、あまりにも異様な光景だ。
衣服だけが残っている。
俺がかつてやったゲテスターによるエネルギー吸収の跡のようだ。
すりつぶすのではなく、その人間に針の触手を突き刺して養分を吸い取るといったモノ。
「こいつは吸収型の相手だぜ」
そう言ってピッコロの前に降り立つ。
身構えていたが風貌と雰囲気で察したのか。
すぐに別の方向を見て集中している。
「気配がちかづいてきているな」
ヒタリヒタリという様な音。
緩やかな音だがまるで足を濡らしたかのような音。
そして二歩目で感じ取ったがそこそこ大きい。
さらに体重は軽く身のこなしがいいもの。
「お前がこの事件の首謀者か、昆虫野郎」
その姿は虫のような形だった。
ピッコロとの会話を聞いていくとどうやら抜け殻があったらしい。
そして相手の目線はラズリへと向いた。
「まさか、こうもすぐに18号を捕まえられるとはな!!」
そう言って飛びかかる昆虫野郎。
とにかく尻尾を掴もうとするが……
「来ないで!!」
そう言ってラズリが突き飛ばす。
相手は受け身をとったが冷や汗をかいていた。
想定以上だという事か。
「この一撃の重さ……お前は本当に18号か?」
俺はラズリの前に立って昆虫野郎に対して伝えてやることにした。
多分吸収しても思った結果になるのかがいまいちわからないからな。
「これは未来のドクターゲロが作ったクローンだ、ラズリにも伝えている」
最初聞いた時は泣きそうな顔になっていたが今は落ち着いている。
どんな状態でも離れなかったからか信頼の眼差しで見られていた。
こそばゆいものを感じる。
「なるほど、吸収しても自分の計算が狂ってしまう可能性があるな」
残念そうに言っている。
さて、とにかく聞き出すことは聞きださないとな。
「ここは俺に任せろ」
そう言ってピッコロが昆虫野郎と戦うらしい。
そう言って気をお互いに噴出させた瞬間、ぞわりとした。
昆虫野郎からは複数の気が感じ取れたからだ。
カカロット、フリーザ、ベジータ、ピッコロとわかるだけでも4つ。
異質な気ではあるが、種は分かった。
こいつも別のタイプではあるが人造人間だ。
おそらくは人の細胞を組み合わせて培養から育てられた存在。
いずれにせよ、真実はピッコロが聞き出すだろう。
「だっ!!」
いきなり大きな気功波で吹き飛ばしにいく。
相手は踏みとどまるがピッコロに殴り飛ばされてしまう。
その先へ回って肘打ち。
戦いの流れとしてはピッコロが優勢に進める。
気弾を避けられる速度で連射をするが巧みな気のコントロールで昆虫野郎を包囲する。
避けられない状態で次々と気弾を食らってダメージを負う昆虫野郎。
だがその煙からだまし討ちのようにしてピッコロの背後に回る。
かなりしんどそうな中、一瞬の隙をついてきたようだな。
「ぐあっ!!」
体をよじるが腕を刺されてしまった。
再生能力があるナメック星人にとっては痛手にはならないだろう。
「ぐっ……」
食らったピッコロは苦悶の表情を見せる。
しかし俺にはわかっている。
あれは芝居だ。
情報を引き出すために行なっている。
大根役者ではない。
れっきとした芝居だ。
その芝居が功を奏したのだろう。
昆虫野郎は気前よく情報を提示していた。
名前はセルといい、ドクターゲロが作成を試みた別の考えによる人造人間。
最初に予想したように細胞をいくつか組み合わせたものらしい。
特殊な生命体と認識された現代の17号と18号を吸収することで完全体へと進化する。
最強の存在とは言っているがきっと現代の俺の本気には叶わないだろう。
気を感じた中に現代の俺やピオーネという女、ブロリーの3人の気はなかった。
現代のスパイロボは『俺が昔から地球に来ていたら』という世界の状態。
つまりは現代の俺やピオーネ、それ以外にもブロリーたちの細胞でさらに強力なこいつを生み出せる。
未来では『俺が人造人間の動作手前に来た世界』だから俺の細胞やピオーネの細胞はないセルなのだ。
だから、驚異的なパワーを獲得できなかったのだ。
「もう十分な情報をもらったんじゃないのか?」
そう言うとピッコロがにやりと笑う。
腕をへし折って、新しい腕を再生させる。
セルの奴もピッコロの細胞があるのに気づかないとはドジを踏んだな。
「ここは仕切り直しだな、『太陽拳』!!」
このままでは危ないと読んだのだろう。
そう言って体から発光して目の前から消え去る。
どうやら気を消したようだが、獣のような勘ですぐに当ててやる。
これ以上、人間のパワーを吸い取り続けたら厄介極まりない。
「お前は他の奴らに報告してくれ、俺は探す」
ピッコロにそう言って互いに去っていく。
ちなみにお前と呼んだのは俺の前で名前をピッコロが名乗っていない。
もしくは誰も呼んではいない。
だから不自然さを取り払うためにお前と呼んだのだ。
「で……お前さん遅いな」
何故かセルの方向に先回りをしてしまっていた。
勘がさえわたっているのもあったが、セルも驚愕の顔をしている。
だが、そんなセルの後ろから青肌の男女が出てきた。
「未来のガタバル……あなたの実力ってどれほどなのかしらね?」
そういったかと思うといきなりセルを黒い靄で包んでいく。
徐々にセルの戦闘力が上がっているのがわかる。
これはまずいな。
そう思って攻撃を仕掛けるも……
「ヌン!!」
青肌の男が食い止める。
無駄なあがきをしやがって!!
少しだけ力を開放した超サイヤ人でひねりつぶしてやる!!
「どりゃあ!!」
一発でガードごとぶち抜いて殴りとばす。
相手はあの一撃の脅威に荒い息をついている。
向かおうとしたが、遅かったようだな……
「完全体としての強さはいかがなものかしら……」
こいつ……魔術師だったか。
セルを特殊な条件を無くして完全体に変貌させやがった。
「ふんっ、言いなりになっているようなことが癪だが、試運転に丁度いい」
そう言って駆けだしてくる。
試運転扱いねぇ…
俺は向かってきたセルの頭をそれを超える速度で横から押さえつける。
「随分とのろまだな……」
速度に自信ありという様だったが今の俺には止まって見える。
これでも全力にははるかに遠いぞ。
人造人間どもの時も正直全力といった感じはしなかった。
お遊びで一方的に倒そうとしていたぐらいだ。
「ちなみにどれだけの戦闘力を想定しているんだ?」
聞いてみると現代のカカロットたちを超えているような状態らしい。
ここから17号と18号を吸収させたら俺の出番になってしまう。
だが、奴らにも思惑はあるだろう。
「はあっ!!」
蹴りを放ってくるがそれを掴んでもぎ取ってやる。
放り投げるとゴロンと音を立ててセルの足が転がった。
「ぐっ!?」
再生させて立ち上がるが背中に俺は居た。
全く舞空術があるのにこんな仰々しい羽根なんて……
「ただの重りに過ぎない!!」
引きちぎって気弾で消滅させる。
振り向いてきた瞬間、蹴りを放つ。
それこそこの一撃の瞬間だけ大猿超サイヤ人1の全力で。
「ぐがあああああっ!?」
ブチブチと防御している箇所の筋繊維がちぎれていく音。
徐々に威力に耐え切れずガードした腕がちぎれて飛び散る。
メキメキとアバラのへし折れる音。
そのアバラが開放性の骨折を伴って右肺部分から骨が露出する。
蹴りを振りぬいた時……
上半身と下半身が別れながら、上半身だけ回って地面に叩きつけられるセルの姿があった。
その時の蹴りに俺は奴の気脈を乱すようにした。
気を消せなければ町で生体エネルギーの採取ははかどらないだろう。
「時間切れね……」
そう言うと、再び黒い靄がセルを包む。
靄が晴れるとセルの体はくっつき、初めの形態へと戻っていた。
気脈の乱れは若干ある。
気を引き出すときに乱れたり、今の間でもわずかな気の漏れがある。
「この男を倒したいのなら私の手駒になりなさい」
女が提案をする。
やはりそう言った狙いがあったか。
只でやってくれる善良な奴ではないと思っていたが……。
「断る、自分らしいままでいたい、私は私の目的を達成して見せる」
そう言うセルの気が高くなっている事に気が付いた。
魔術によって変身させられた分、戦闘力が見つけた時よりも上がってしまったのだろう。
サイヤ人の細胞のおかげでさっきの致命傷からの上昇もあったというわけだ、
天才的な細胞や遺伝子の成せる技だろうな。
セルは飛んでいきどこかへ行った。
追いかけていこうとするが……
「おおおおおお!!」
青肌の男がタックルを繰り出してくる。
不意打ちとはいえ雪辱に燃えているのか。
それを受け止めて距離をとる。
「お前も吸収して強くなれるなら、なぜ俺から奪おうとしない?」
現代の俺の気を感じ取っている。
かなり強い事は強いのだろう。
だが全然満足もしない。
俺の全力の欠片程度で圧倒的なのだ。
「貴様の力をもらってしまうと確実に自己崩壊を起こすだろう」
つまり強大なパワーに耐えられないって事か。
それならば仕方あるまい。
そう考えた刹那、女が杖で地面をたたく。
するとシュンッと音がして目の前から消えた。
「瞬間移動の魔術、凶暴化による強化魔術」
あいつらが第三勢力か。
邪魔をされてしまうと面倒なことになる。
そんな事を考えているとラズリが岩山の陰から出てきた。
あの青肌の奴を見た瞬間、隠れるように言っておいた。
巻き込まなくてよかった、大怪我どころでは済まなかっただろう。
「この事も伝えないといけないな」
そう言ってピッコロたちの気がある方向へ向かっていく。
現代の俺やブロリーもそこへ集まっている。
風を切るように、音を置き去りにするように瞬く間につくように速度を上げていた。
「ムー……」
着いた後のラズリの機嫌が悪かった。
揺られたのが嫌だったんだろう、申し訳ない。
「…と今回の別の相手についての情報だ」
みんなに伝える。
完全体にしたので相手は強化ができるという事。
もしかすると誰かを洗脳して敵にすることも可能ということ。
そのうえで敵に回ってほしくないやつには気を付けるようにした方がいい。
そう言うとみんなが十人十色という様に別々の人間を見る。
「とにかくピッコロから教えてもらったセルと、俺たちの発見した未来のドクターゲロ、そして青肌の男女が今回の敵」
現代の俺が敵の戦力をもう一度おさらいする。
セルや人造人間たちはカカロットに任せて未来のゲロと青肌の男女が俺たちの担当。
敵を袋叩きにする性分じゃないのが悔やまれるな。
それができればこんな7人程度、すぐに何とでもできるのに。
「おめえらもこの部屋に入ったらどうだ?」
カカロットが言ってくる。
今、誰が入るかの話だったらしい。
カカロットは現代の悟飯と入るようだ。
未来の悟飯はピッコロと。
ベジータとトランクス。
ちなみに、現代の俺やブロリーはすでに修行済。
「最後に入るよ」
星の再建で失った戦闘力の復活。
その目的があるからな。
伸びをして、次の相手の動向を予測する。
そんな中、現代の俺とピッコロが近づいてくる。
「今回の戦いに出ていくのか?」
ピッコロが聞いてくる。
俺は今、ラズリの命を狙う未来の20号や青肌の男女ぐらいしか相手にしない。
守るべきものをほったらかしてまで、勇んで戦うようなこともしない。
さっきの奴は追いかけていくといった手前、、そうなっただけだ。
基本的にラズリに危害が及べばを前提とした守る戦いだ。
最前線に出ていくつもりは微塵もない。
「現代の俺がやられたら出るさ」
そう言うと苦笑いをする。
おおよそ、現代の俺はカカロットたちが言ってきたり、もしくは命の危険があれば出るという事だろう。
流石は自分、考え方が似通っている。
「まあ、あいつらの修行が終わった時を楽しみにしておこうぜ」
そう言って『精神と時の部屋』を見る。
どれほど、伸びるのかはわからない。
超サイヤ人の壁を超えることができればいいが、第一段階の発展形で、きっと2にはなれそうにもない。
基礎的な戦闘力がある状態ではないこと。
時間も2年あるからといってもそう簡単なものではない事。
多分2になるきっかけを見つけられないのではないだろうか
そう思うと途端に背中に冷や汗が伝っていく。
できる事ならば、自分が前線に出て地球が崩壊しませんようにと俺は願うのだった。
原作に比べては強くなっているけど2になれるかはきわどいです。
ベジータは一時期修行つけてもらって、一番2に近いキャラとなっています。
指摘などありましたらお願いします。