とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回は少し時間が飛んでいます。
そして最悪の黒幕登場という形です。
クウラの予定でしたが路線変更からブロリーを出せるようになりました。


『命永らえて』

俺はどうしてしまったのだろう。

閻魔様とかいう奴の下っ端の鬼が目の前にいる。

 

「もしかして死んだのか?」

 

俺は目の前の鬼に聞いてみる。

全然状況がつかめていない。

 

「いや、死んでいるのかわからないオニ」

 

死んでないけど、とりあえず迎えに来たって事か。

思った以上にやる気があることで。

 

「つまり仮死状態で待機?」

 

そうなれば考えられるのは死んでるかどうかわからない。

半分こっちの世界に足を突っ込んだって事だ。

 

「そうなっているオニ」

 

待機せずにこのまま生者の世界に帰れと言われた方がよっぽどましだ。

まだ全然終わっていないからよ。

 

「情けないぜ、小僧」

 

そんな事を考えていると声が聞こえる。

その方向に振り向くとサイヤ人がそこにはいた。

 

「トーマさん、もしかしてこいつを送り返すオニ?」

 

トーマというのか。

送り返すって事は仮死状態から復活させてくれるってわけか。

 

「たり前よ、あのフリーザにもう少しで勝てそうだったんだ、それに段々透けていやがる」

 

確かに透明感が増したな。

次やったら勝てるとは思う。

しかし、一度負けたサイヤ人が何度も挑んでいいのか?

 

「閻魔様はいいと言っていたオニ?」

「地獄からつなげて界王様から許可取った、事情を説明したらいいってよ」

 

そう言うものか。

どうやらフリーザを倒せる可能性があるというのは随分といい形に見てもらえたようだ。

 

「お前らわざわざ来たのかよ」

 

気配を感じて構える。

するとそこには3人のサイヤ人がいた。

 

「私の名前はセリパ」

 

珍しい女性のサイヤ人だ。

珍しいとは言ってもスパーニと母さんを見ているから何とも言えないが。

 

「俺の名前はパンプーキン」

 

大きな体のサイヤ人だ。

肥満に近い奴は初めて見るな。

 

「俺の名前はトテッポ」

 

凄い頭髪だ。

これならナッパさんのようにまるっきりない方がいいんじゃないのか?

 

「さて……4人から贈りもんだ」

 

そう言うと囲い始める。

そして気を高めていく。

4人の気が徐々に共鳴して俺を包み始める。

まるで電気を帯びるようにバチバチと音を立てて俺の力が強くなっていく。

 

「俺たちサイヤ人の力、『サイヤパワー』をお前に渡す」

 

そう言ってもう一度気を高めるとその力は俺に注がれていく。

一気に俺の気が増えて普通の状態でありながらあふれ出していた。

 

「これがサイヤパワーか……」

 

体から漲るパワーを実感して手を開いて閉じてを繰り返す。

基礎戦闘力が一気に上がったのがわかる。

もう一人いたらゴッドの道も開けただろうが、それについては今はどうでもいい。

 

「へっ、お前を助けたお人よしがいるって事だ」

 

さらに俺の体の透明度が増していく。

仮死状態から誰かが救ってくれたのか?

あんな水面の底にいた俺を、どうやって見つけたんだろうな。

 

「地獄に来るにはまだ速いって事だ、きばりな小僧」

 

完全に足元が消えて、徐々に下から俺は消えていく。

トーマがそう言うと目の前が再び真っ暗になるのだった。

 

.

.

 

「親父ぃ、水底に居たぞ」

 

俺はガタバルを引き上げる。

大きな音が聞こえた方向へと向かっていたのだ。

バシャンと何かが水に落ちたような音だった。

 

「星が震えるほどの戦いだったからな」

 

大地が大気で崩れるほどの状態。

徐々に岩が削れたりなどもあった。

時間にして三十分ほどたったところでさっきの音が聞こえた。

方向は分かるが湖のどこに落ちたのかはわからない。

そのせいで今になって見つかったという事だ。

 

「メディカルポッドに入れて起動させろ」

 

親父がそう言うからすぐに入れて起動させる。

すると回復力が上がっていたのか数分すると目を開いている。

それを見て俺たちはメディカルポッドから出す。

 

「ありがとうよ」

 

簡潔ながら礼を述べる。

そして俺たちがあの大きな球を持っている事でにやりと微笑む。

 

「もう、隠せないだろう?」

 

あれだけの大掛かりな戦いの後に願い事を叶えられないとあってはこの星ごと爆破されるだろう。

それのためにこっちは全てのドラゴンボールの所在が明らかになった状態で再度フリーザとの集めあいをしないといけない。

 

「お前もパラガスさんもスカウターでばれるだろう……しかし来てくれるか?」

 

もはや戦力として数えなければならない。

すぐにでも決着をつけられるように体勢を整えておかないとな。

 

「あんたが来いというのなら行かせてもらう」

「我々もやはり故郷をやられた相手を見逃す気はない、ベジータ王は嫌いだったがな」

 

二人とともに飛び立とうとする。

しかしどこかで戦いが始まっていた。

この気はよく知っている。

ギニュー特戦隊の人たちの気だ。

 

「俺がフリーザと戦って何日たったんだ?」

 

そう言うと指折り数え始める。

サイヤ人の生命力とはいえよく大丈夫だったな。

それとも冷たい水が体を冷やし切って冬眠の状態にまで押しとどめたのか?

 

「そんな事を言っている暇はないぞ」

 

パラガスさんが飛んでいく。

この人も死線はかいくぐってきているはず。

少なくても地球人よりは戦力になってくれるだろう。

 

.

.

 

「まさかこんなにも地球人たちが強くなっていたとは……」

 

ギニュー特戦隊にまんまと出し抜かれてボールを奪おうとしたところ邪魔をされて今のような戦いとなっていた。

ギニューの野郎を追いかけようにも気が増えて感じられる、つまりもう既にフリーザが近くにいる状態、目を盗んでいくにもリスクが大きい。

 

そして戦いが始まり数分後、俺の目の前で横たわっているグルドがそこにはいた。

あの三つ目の野郎に超能力は通用せず、腹に一撃をくらわされてそのまま昏倒しやがった。

次はターブルの奴がバータとやりやがる。

あいつの性格上、とどめを刺す事は無いだろう。

だが、仮にもこの俺の弟。

無様な戦いになる事は無い。

 

「『ブルー・ハリケーン』!!」

 

バータが己を中心に回転をして風を巻き起こす。

その中に入ると風圧で切り刻まれるだろう。

だがこの技には大きな弱点がある。

 

「中心のあなたには風はない!!」

 

そう、中心のバータは回転を続けるため無防備な状態となる。

その為、ターブルは気功波の連打で風のバリアのようになっている竜巻に綻びを作る。

 

「『スタート・コメット』!!」

 

竜巻の綻びに向かって一気に攻撃を仕掛ける。

足から気功波を放ち、その推進力を活かして体全体でぶつかる。

スクリュー回転を加えて弾丸のごとくそのままバータの腹にめり込む。

バータは吹っ飛んで起き上がらなかった。

あまりにもあっさりとしていた。

 

ジースの野郎がいなくなってやがった。

一体何をしに行ったんだ?

 

リクームの相手はニアという女だ。

 

「『リクームイレイザーガン』!!」

 

いきなり大技を放つ。

それを片手で受け止めて接近する。

 

「『エレファント・ナックル・マシンガン』!!」

 

拳の乱打だがまるで暴風の嵐だ。

振り切った拳の勢いでもう一度放つ。

それを受け止めても吹き飛ばされてしまう。

リクームの奴は腕を交差して延々と攻撃をやり過ごす。

 

「『ドッグ・シャープ・タスク』!!」

 

防御が下がり気味な所に気弾を放つ。

両肩に傷が入る。

こうなるとこの女の独壇場だ。

 

「『ギガンティック・ホース・スタンプ』!!」

 

踏みつけた太ももあたりに大きな馬蹄型の痕ができる。

大腿骨がへし折れる音とともにリクームの心の折れる音が聞こえたような気がする。

 

「『ワイルド・ハンマー』!!」

 

頭にとてつもない衝撃が走るような音が聞こえる。

そのまま地底にまで響くような音だ。

頑丈なリクームだからいいものの他の奴らなら頭がそのまま飛んでいたかもしれん。

 

「こいつらもまた地球からここに来る間に強くなりやがったか」

 

そんな事を考えていると一つの気の接近を感じた。

この気はカカロットか!?

残念だったな、もう戦いは終わっているぜ。

 

リクームは倒れたし、ここからドラゴンボールを持ち運ぶだけだな。

 

「後ろから失礼」

 

戻ってきていたジースがいつの間にかギニューを引き連れてあの女の後ろに立っていた。

声に反応して女が振り向いた瞬間。

 

「チェーンジ!!」

 

ギニューの声が響きまばゆい光が走る。

その発行が止んだ時。

 

「ぐっ……」

 

ギニューとあの女の気が変わってた。

うわさでは聞いていたがギニューは体を入れ替える能力があると聞いている。

ギニューの奴があの女の体と入れ替わったのか。

ターレス、ナッパ、スパーニの3人は雰囲気だけで飲まれる。

 

「ハアッ!!」

 

一瞬の間に動くギニュー。

3人とも昏倒させられていた。

緩やかに繰り出しては見たが綺麗に相手を気絶させるコースに決まったのだろう。

 

「うぉおお!!」

 

俺は突撃して拳を繰り出していた。

俺はサイヤ人の王子だ。

他の奴らと同じように飲まれるわけにはいかん。

ましてや昏倒するわけにもな。

 

「遅い!!」

 

そう言って俺の拳を掴む。

だがこれは囮。

逆の手から気功波を放つ。

 

「『ビッグバン・アタック』!!」

 

成す術もないまま直撃した。

馬鹿な野郎だ。

あの女は強いが、さすがにこの距離だと……

そう考えた瞬間、首を掴まれて地面に叩きつけられる。

 

「がっ…」

 

ギニューには傷一つついてはいない。

その人間の潜在能力を呼び起こして使役するという噂も本物か。

 

「この体、素晴らしい、サイヤ人の力を遥かに超えている!!」

 

満面の笑みで手を広げるギニュー。

しかし次の瞬間、後ろから一撃を見舞われる。

 

「人の体で好き勝手はやめてもらえないかしら」

 

ピオーネの奴が構えている。

俺の最大技でもダメージがないギニューなど瞬殺だぞ!?

 

「私の体の戦闘力は120000、お前の体に比べれば月とスッポンほどに違う!!」

 

ギニューが拳を繰り出していく。

それを掴んで放り投げる。

いつの間に後ろに回ったのか頭を打ち付け手締めへ叩きつける。

足を持ってぐるぐると回し、石に向かって投げる。

 

「くっ!!」

 

石を気功波で砕くがその一瞬の隙を見逃さない。

腹に膝をぶち込んで胃液を吐き出させる。

自分の体と言えど容赦のない女だ。笑えてくるぜ。

 

「なっ……スカウターが壊れた!?」

 

スカウターの計測値がおかしなことになっている。

元々のギニューを遥かに超える戦闘力になっているのだ。

ジースの奴も意味が分からないといった顔を浮かべている。

 

「まさか、チェンジで手に入らないものがあいつ自身には存在するのか……」

 

ギニューも驚きを隠せない。

そしてここから持ち主の逆襲が始まる。

 

「ハアッ!!」

 

ギニューボディになった女が飛び膝蹴りを放つ。

それをギニューが掌で受け止めた瞬間に、その勢いで飛び上がる。

身体の構造で相当な負荷をかけてる。

 

「まだまだ!!」

 

女が後頭部に蹴りを放つ。

ギニューが頭を下げて回避をする。

女がそれを見て気弾を放つ。

距離を取るのもいいタイミングだ。

 

「徐々に速く攻撃が重くなっていくな……」

 

構えたギニューは警戒しながら動き始める。

だがもう動き始めたらあの女は止まらない。

構えた瞬間、すでに懐にいる。

 

「しっ!!」

 

ガードをすり抜けるようにアッパーを放つ。

後退してギニューは距離を開こうとする。

しかし、足から気功波を放ちその推進力で肘打ちを顔にめり込ませる。

その一撃でよろめくと、そのまま抱え上げて地面に叩きつける。

一撃の勢いの良さで地面をバウンドする。

 

「ぐぐぐっ…」

 

起き上がるが戸惑いからか困惑の表情を向ける。

その隙は逃さない。

そのまま顎に飛び蹴りを放つ。

跳ね上がった顎に向かって気弾で顔面へ攻撃。

 

「ぬあぁ!!」

 

顔を痛みからか抑えるギニュー。

がら空きの脇腹へ強烈な蹴りを見舞う。

バキバキという音が聞こえた。

 

「この体の強さがありながらなぜ……」

 

だがギニューは困惑を浮かべながらもにやりとした。

そして再び腕を広げる。

 

「『チェーンジ』!!」

 

その一言でまたもや女とギニューが入れ替わる。

そしてギニューが自分の体に戻った瞬間……

 

「ぐああああっ!!」

 

溢れる力と体の負荷が一気に押し寄せたのか、のたうち回っている。

苦しそうだな。

 

「ハアハアッ……」

 

すぐに起き上がるが体は相当な無理をしているのがわかる。

脂汗をかいてその動きに精彩を欠いている。

 

「残念だったな、ギニューさんよ、あんたはその体に戻っても慣れていない、今なら俺でも勝てるぜ!!」

 

そう言って俺がギニューに攻撃を仕掛ける。

腕を伸ばし受け止めようとするが、体勢を低くして懐に潜り込む。

 

「舐めるなよ!!」

 

バックステップで俺を懐に入れない。

俺が次の攻撃を放つと同時に忌々しい奴も到着した。

 

「カカロット……」

 

ギニューもその存在に気付いたのか。

俺ではなくカカロットの方へと向かう。

 

「貴様だけでも倒さねばな、サイヤ人に徒党は組ませてはならぬ!!」

 

そう言うとカカロットが構える。

その動きに俺がバカにされたと感じたのかターブルが突撃をする。

 

「やめておけ!!」

 

俺の声で静止をするが、ターブルが向かっている隙にカカロットは手痛い一撃をギニューから食らう。

地面に叩きつけられて、そのまま気弾が雨霰のように飛び交う。

カカロットの気が徐々に弱まっていく。

 

「俺がいる事を忘れるな」

 

カカロットに死なれても困る。

徒党を組んでフリーザを倒す算段が狂ってしまうからな。

元々ガタバルの奴もその腹積りだった。

それがあのようなことになってしまった以上、俺と女が率先して指揮を執る。

 

「くっ!!」

 

カカロットから視線を外して俺に対応する。

その隙にカカロットのガキがカカロットを連れていく。

 

「チェンジの後のお前でもこうなれば形無しだ!!」

 

俺はギニューに対して気弾を撃つ。

これを連射する形で目くらましをする。

 

「そう言ってこのような子供だましか!!」

 

捌いていくが徐々に俺が近づいていることには気づいていない。

そして防御が一瞬甘くなった隙に懐に入り込んで腹に一撃を与える。

 

「がっ……」

 

悶絶する隙に頭を掴んで膝にぶち込む。

鼻が折れただろう。

そのまま流れるように角をもって振り回す。

 

「フンッ!!」

 

空中に向けて放り投げた。

そしてそのまま照準を定めて……

 

「『ビッグバン・アタック』!!」

 

光線がギニューを飲み込む。

片はついただろう。

しかしあれだけの戦闘力の状態。

頑丈すぎる肉体は消し飛ばされることなく落ちていく。

それをジースが受け止める。

これで全員、特戦隊は倒した。

あとはフリーザの宇宙船に忍び込んでドラゴンボールを奪う。

そんな事を思っていると大きな邪悪な気がどこかで立ち上る。

このナメック星の空を覆いかねないほどの気だ。

一体何が起こっているのかはわからない。

 

「お前ら、大丈夫なら移動するぞ」

 

そう言って飛び立つ準備をする。

カカロットはナッパが背負っている。

 

「もたもたするなよ、どうなっても知らんぞ!!」

 

小さな気がこっちに向かっている。

フリーザの気は停滞している。

この隙を逃したら無理だ。

 

「しかし地球のドラゴンボールを復活させるのが目的とはな」

 

確かにそうしておけばわざわざナメック星にまではいかなくていいからな。

その理由であればあのナメック星人に関してはよみがえらせてもいいだろう。

ただ、今不老不死に対する気持ちが減っている。

奴が言っていたように強くさえなってきっかけを掴めたならば超サイヤ人となりフリーザの打倒は可能だ。

どちらにせよ、もはや激突は避けられない。

 

「おいおい、なんだこれはよ!?」

 

ターレスが大きな声を上げる。

確かにいきなりとんでもない状態になった。

空が真っ暗になってしまったのだ。

すると地球人の奴らも驚いた顔をしている。

ナメック星人のガキがこっちに来ていたがその顔は驚愕に染まっていた。

 

「これはドラゴンボールだ、フリーザが呼んだのか!?」

 

地球人がナメック星人のガキを見ながら叫ぶ。

何という事だ。

こうなったらもはや全宇宙はフリーザの天下だぞ。

するとナメック星人のガキがこういってきた。

 

「ナメック語でないと呼べないはずです、それにあいつらはそういったものを知っているとは思えません」

 

つまりナメック星人どもがしゃべられる独特の言語でないと意味がないのか。

それならばフリーザが人質に取ったという可能性は……

いや、フリーザの気はようやく向かい始めたところだ。

やたらでかい気が二つだが邪悪な感じはしない。

 

「おい、ナメック星人のガキ、ナメック語を喋れる異星人は存在するのか?」

 

俺は聞いてみる。

そうでもないとそいつが呼び出した以外考えられない。

すると頭を抱えながらガキは呟いた。

 

「……そう言えば昔にこの星に来た人が居たそうでその人には教えたようです」

 

居たそうという事はこいつは他人から聞いたってわけか。

思い出してさえくれればいいんだが……。

 

「あっ、ムーリ長老が言っていました、ガタバルという人が喋られると」

 

あいつ、生きていたのか!?

じゃあ、あいつがこの状況を作ったというわけか。

死んだふりなどサイヤ人としてあるまじき行為だが今回に関しては……

 

「いや、あれは本当に死んでいたんだろうな」

 

あいつがそんな器用な真似をしてだますことができるとは思えない。

計画をすべて見抜かれていたらしいからな。

おおよそ、本当に仮死状態になったものをフリーザが見逃したといった所だろう。

 

.

.

 

「これでピッコロを蘇らせてこの星に連れてきた、あと一つの願いはどうしたものか……」

 

俺は既に願いを叶えていた。

 

あの後、フリーザの宇宙船へ到着すると近くに何かを埋めた跡があった。

それを掘り起こしたら7つのドラゴンボールが出てきた。

まさか埋めたら気づかないとでも思ったのだろう、浅はかな奴が居たものだ。

さて、俺は呼び出すために必要な条件を知っている。

フリーザを出し抜ける最後の秘策と言っても過言ではなかった。

 

「『タッカラプト・ポッポルンガ・プピリットパロ』!!」

 

その条件はナメック語でいう事だ。

叫ぶと空は暗くなり大きな光の柱が出てくる。

それはたちまち竜の姿へと変わっていき、夢をかなえるための存在だと感じさせる。

 

「『ドラゴンボールを7つ集めしものよ、願いを3つまで叶えてやろう、言うがよい』」

 

その言葉を聞いて、すぐに全員の蘇生を願うも一人ずつとなっていた。

それならばピッコロしかもう蘇らせる候補はないだろう。

そのように言おうとしたとき、界王様という人から通じて俺にピッコロから伝えられた。

蘇った後に、フリーザとそして巨悪の気配。

その二つを倒すために転送しろと。

俺はやめた方がいいというが譲らないピッコロに折れる形でその願いを叶える。

 

そして3つ目を叶えようとしたとき……

 

「最長老様の気が消えた……!?」

 

それと同時にポルンガも消えて空も晴れる。

フリーザの気がこっちに向かっている。

それ以外の気もこっちに来ている。

一体誰がそんな事をしたんだ?

そんな事を考えていると恐ろしい速度でこっちに向かってくる気がある。

邪悪な気がそこにはあった。

 

「ブロリー、パラガスさん……フリーザよりも先に始末しないといけない奴が居ます」

 

俺がそう言って3人で向かっていく。

俺以外の二人も気は分からなくても本能で感じ取っているのであろう。

嫌悪感をむき出しにしたような顔で飛んでいる。

 

「『ネイビー・ティアーズ』!!」

 

女の声が聞こえて下から気功波が放たれる。

その攻撃を捌いて俺たちは降り立つ。

その攻撃の主を見た瞬間、俺は凍り付いた。

 

「母さん……いや、お前は!!」

 

母さんの顔をしていて妖艶な女性ではあるが気の種類が違う。

あの人とは真逆の気だ。

 

「ふふふっ……」

 

ほくそ笑んだその顔にはどこか邪悪さがにじみ出ている。

そして気を探ると驚愕の事実が明らかとなった。

 

「お前というのも語弊があったようだな……お前らという方がよかったようだ」

 

まさか、こんなことがあるとは……

技術班の試作段階の機械の仕様の代償か?

 

「まさか、二人が融合しただけではなく女になってしまうとはな、『カエンサ』と『ラブカ』よ」

 

そう言うと顔がさらに悍ましい笑みへと歪んでいく。

こいつら、もはや強さのために性別と一個体としての生存までも捨てやがったか。

サイヤ人の気だけではなくナメック星人の気まで感じられる。

種族としての誇りさえも完全に捨てた存在。

 

あの時、地球でどんなことがあっても消しておくべきだった。

後悔しても、もう遅い。

俺は睨み付けるようにして構える。

最悪の親子喧嘩であり、兄弟喧嘩が再び始まろうとしていた。




黒幕はあの親子にしました。
クウラの予定でしたが、クウラはまだどこでも出せますので保留にしました。
まぁ、速く退場願いたい人もいるでしょうけど、
こいつらまだまだ作者的には使いつぶせるのでどうするか考えてはいます。
何か指摘などありましたらお願いします。

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