とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

34 / 133
ナメック星編開始です。
いきなり主人公じゃない人のメイン回となっております。


『エンカウンター』

ナメック星に着いたのは出発してから9日ぐらいたったころだ。

最初はどうしたものかと悩んでいたがフリーザの機嫌を損ねないように

何か手土産でももっていかないとな。

 

「しかしまさかあの坊ちゃんに弟がいたなんてなぁ」

 

そう言って隣で寝ているやつを見る。

昨日にまさかの初めての遭遇がサイヤ人とはお互いに目を丸くして驚いたぜ。

なんやかんやで利害は一致していないがともに行動をすることになった。

お互いの目的はバラバラだがフリーザ軍所属のメンツを追いかけている部分は共通している。

だからこそ人手を多くして戦う腹積りだ。

 

「実を半分こにしたらいいだけだしな」

 

戦闘力の増強としては一人で丸のまま食べたら効果がなくなるが食う前に割ってしまえば分けられる。

実にも線があってその線に沿うように割ればきれいになる。

 

「おはようございます」

 

目をこすりながら声をかけてくる。

おはようさん。

 

「で今日はどうするんだ?」

 

予定としては集落にでも行っておくか。

ドラゴンボールって奴を持ってさえいれば無駄に殺されないだろう。

 

「相手は願いを叶えるために集めるでしょうから、先にこっちが一つでも持っておけば相手は叶えられません」

 

やっぱりその発想に行きつくよな。

俺にはスカウターがあるからそこでフリーザたちとは違う方向でナメック星人を探せばいい。

 

「僕は『気』を探れるのでそれがなくてもいいんですが、念のために」

 

スカウターなしで探れるとかすごいな、教えてくれよ。

とりあえず住民を殺して奪うのは辞めておく。

外道な奴らに部下をやられてしまったからか、己のために罪のない奴らをやるのが馬鹿馬鹿しくなった。

それにあいつらと同じ世界にまで落ちたくはない。

腐っても鯛でいたいってやつだ。

 

「しかし、相手の中でも危険度が高いので最悪のパターンはギニュー特戦隊だな」

 

確実に実を食べないと対処ができない。

ここに来るまでの間に致命傷に近い傷を自分でつけてはいた、どうやらターブルの奴もやっていたらしいが測定しても25000と20000。全然上がっていない現状に頭を抱える。

 

「えぇ……でも今のところはいないですよ」

 

あいつらは大きいからわかりやすい。

俺たちはナメック星人たちの集落に向かっていく。

途中で鳥肌が出るような不吉な予感がした。

誰かが死ぬとかそういったものじゃない、とてつもない予感。

このナメック星に来たことを後悔しそうな予感だ。

 

「まぁ、フリーザ様相手に楯突くかもしれないってのを考えるとそうもなるか」

 

勘違いされてしまう可能性はある。

そう考えたら言い訳をしないで渡さないとな。

俺だって実を食えば何とか戦えるだろうが、どう考えてもあれは違う。

あれ以外に俺の今までの経験上から見て……

 

「変身型の宇宙人だろうな」

 

見た目のカモフラージュとかいろいろな目的があるが絶対にそれとは違う理由がある。

言ってしまえば、戦闘力を抑えるためとかだ。

普段でもすさまじいのに開放したら惑星単位で力を振るう事になる。

それゆえに力を抑えているのだ。

 

「見えてきましたよ」

 

緑色の皮膚を持っている民族がたくさんいる。

こいつらがナメック星人か。

さて……単刀直入に言うか

 

「お前たちは何者だ!?」

 

全員、臨戦態勢になる。

気を開放しても3000ほどの戦士型。

そうではない方も1000近い。

並の戦闘員ならやられている。

 

「噂の奴らと同じ服を見ているようだが……」

 

もうすでにフリーザ様が虐殺していたか、ここに来るのも時間の問題だな。

死にたくはないだろうからな。

ここはひとつ体を張る形で貰っていくか。

 

「来た時に渡さなければ殺される、俺に渡して俺をお前らが売るんだ」

 

俺を目の敵にして追いかけてくるだろう。

そうなればナメック星人を殺すという真似はしないだろう。

 

「俺が持っているんだから俺を狙いに来る、お前らが死ぬ可能性は減るだろう

それに同じ服装の奴らだったし、聞き分けよく渡させてもらったとでも言え」

 

リスクは高いし、楯突いたように思われるが手土産とでも言えばいい。

ナメック星人は死なないし、どうせ集めてもどうこうできそうにないだろう。

お互いにメリットがある形での譲渡だ。

 

「お前たちが私たちを売る可能性は?」

「売っても何の得にもならねぇから売るわけがない」

 

他の持っているやつらの場所聞くぐらいしかないだろうが。

それにスカウターがあれば事足りるし。

 

「さて……貰おうか」

 

そう言った瞬間、気弾が襲い掛かる。

ナメック星人に向かっていた奴を弾き飛ばすが手が痺れやがる。

まさかこんなにも早く対面するとはな。

 

「人のものをかすめ取る気かな、ターレス?」

 

カエンサが意地の悪い笑みで言ってくる。

あの在庫の分食い尽くしやがって強くなったから自信満々だな。

だけどこっちも実がある以上は五分に持ち込める。

 

「そっちこそ泥棒の真似をしやがって、ここでは俺が貰う予定だったんだ」

 

そう言って構えるが余裕の笑みを絶やさない。

およそ戦闘力に換算したら200万を超えていやがる。

ラブカも同様だろう。

極上品を奪われなくてよかったぜ。

 

「貰うなどサイヤ人として生ぬるい、奪えばいいものを!!」

 

そう言って雨のように撃ってくる。

こいつ、見境ねぇな。

仕方ない、全部食うのもしゃくだがここで半分にした実を3個食えばこいつらに追い付けるだろ。

 

「おい、ターブルこいつを食え!!」

 

半分に割った実を二人でかぶりつく。

力がみなぎってきたぜ。

 

「それがどうしたぁ!!」

 

俺たち二人を殴り倒す。

さらにラブカが気弾を撃ってきやがった。

くそったれどもが。

人の回しで相撲を取りやがって、反吐が出るぜ。

 

「ぐぅ!!」

 

ラブカがターブルを締め上げる。

こいつら、マジで強くなっていやがるぜ。

実を半分こに素早く行う。

俺が頬張ってもまだターブルを救うには足りない。

隙を作らねぇと……

 

「はっ!!」

 

何を思ったのか集落の若者が飛びかかっていく。

なんて無謀な真似をしやがるんだ、殺されるぞ!!

 

「ハエが目障りだぞ!!」

 

そういって手刀で腕を切り落として蹴り飛ばす。

死んではいないが致命傷を負っただろう。

しかしその間にターブルが抜けだしてこっちに来ていた。

 

「もう二つとも食いやがれ!!」

 

そう言って俺は押し付ける。

二人ともにやにやとしながらこっちに近づいてきやがるが、今にその顔を変えてやるぜ。

 

「はいっ!!」

 

ターブルと俺が食って致命傷を治しつつ強力なパワーアップを起こす。

今の感覚なら超えているかはわからないが確実に言えるのは……

 

「さっきのようにはいかないぜ」

 

そう言って拮抗した戦いを始める。

肘打ちをすれば頭突きを返す。

蹴りを撃てば拳を撃ってくる。

しかしどこか違和感を感じる。

まさかこいつら……

 

「お前ら、まだ隠してやがるな!!」

 

どこか抑えたような勝負だ。

上がりすぎた戦闘力を試すための慣らし運転だったってわけか。

 

「見抜くあたり、さすがといった所か」

「誉めてやろう」

 

そう言った瞬間、気が立ち上る。

冷汗が背中を伝った。

 

「こりゃまずいぜ……」

「はい……」

 

俺たちが220万ほどだとしてもこいつらは280万ほどだ。

まさかここまで食い荒らしていたなんてな。

 

「さて……終わらせてやるぞ」

「ターレス、しょせん貴様は搾取されるものだったというわけだ」

 

どこかで大きな音がしやがった。

でも今そんな事を考えたところで事態は好転しない。

 

「くそっ!!」

 

破れかぶれと言っても問題ないほどの速度で殴りかかる。

ターブルはギャリック砲を撃ってラブカを狙う。

 

「遅い!!」

 

拳を掴まれて捻りあげられる。

ターブルの方は両手で受け止められたようだ。

 

「さて、終わりにしてやる!!」

 

プロテクターを砕くような蹴りで地面をバウンドする。

体を動かそうとするが実力差が結構ある状態だ。

クラッシャー軍団の敵も討てないまま終わっちまうのか?

それだけはあってはいけない。

せめてあと一人でもこの状況で同格の仲間がいたら……

歯を食いしばって立ち上がろうとする。

 

「死ね!!」

 

巨大な気弾が俺とターブルに向かってくる。

俺たちの最大の技を向かって放つのみだ。

 

「『キルドライバー』!!」

「『アルファ・スターダスト』!!」

 

二人の技がぶつかる。

押してはいるがラブカの奴も重ねていこうとしていやがる。

くっ、今放たれたら……

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

劣勢に立たされそうになっていた俺たちに加勢したのは大きなアホウドリの気弾。

その一撃は相殺して、ラブカの気弾すらも打ち消した。

どうやら助っ人が来てくれたようだな。

少しだけ安心したからか、膝から崩れそうになる。

それをターブルが支えてくれるが一体何者なんだ?

 

「お前らの相手はこの俺だ」

 

女顔だが修羅のような闘気。

坊ちゃんやラディッツから聞いていたがこいつがブラーナ一族の除名者。

 

「ガタバルか……」

 

この気の大きさ、どう考えてもナメック星人の奴らと変わらないんじゃないのか?

だが、よく見るとところどころ腕や足に傷がある。

一体どういう事なのか、見当がつかないぜ。

 

「この場面で来ても大した役目なんてお前にはあるまい、死ねぇ!!」

 

カエンサが飛びかかって攻撃を放ってくるが、涼しい顔をしている。

こいつのこの余裕はなんなんだ?

 

「随分と大ぶりな攻撃だな……」

 

そう言って蹴り飛ばす。

一瞬の間だけ戦闘力をコントロールしやがったのか。

なんて器用な真似をしやがるんだ。

 

「油断しすぎだな、まだ地球でやった時の方が張り詰めていた印象だぜ」

 

攻撃をさばきながら平然と言っている。

このまま倒れてみているわけにはいかない。

助けないとな。

 

「言ってくれるな……じゃあフルパワーだ!!」

 

おいおい。まだ本気じゃなかったのか!?

俺たちの時は一体何割ぐらいで戦っていたんだ?

 

「こいつ……」

 

在庫に上物貯めすぎてたつけだ。

これはやばい。

だがガタバルはにやりと笑っていた。

 

「お前らの欲しいものはこれだろう?」

 

いつの間に手に入れていたんだろうか?

そしてどこから取り出したんだと疑問に思うが見せていた。

大きな球でヒトデのようなマークがある。

これがドラゴンボールか。

 

「お前らがこの二人を見逃すというならば、こいつをくれてやる」

 

こいつらの任務としてはこれの確保なだけだ。

こいつらが俺たちが反逆の一員と流布する危険性はあるが命には代えられない。

 

「もし、いやだといえば?」

 

今、優位だから取引もうまく進められると思っているようだな。

悪いが、俺がガタバルの立場なら断った場合の方法はひとつだ。

 

「これを壊すまでだ、俺たちの願いも無理だがお前らの願いもかなわない」

 

やっぱりその結論になるよな。

苦い顔をしていやがる。

これは飲まざるを得ないだろう。

 

「仕方あるまい、あのお方の怒りを買うほど命知らずではない」

 

そう言うと手を差し出す。

よこせという事だろう。

 

「じゃあ、持って行け!!」

 

そう言って投げて渡す。

こいつら相手に近づいて渡すなんていいことないからな。

いい決断だ。

 

「さ……あんたらを運ばないとな」

 

そう言って俺に近づいてくる。

ターブルと俺をヒョイと持ち上げてナメック星人たちのところまで連れていく。

 

「なんで俺たちを助けた?」

 

俺は素朴な疑問として聞いていた。

見ず知らずの同族を助けてもお前にいいことなんてあるはずがないのによ

 

「あんたらはいたずらに殺そうとしない、良いサイヤ人だ」

 

殺すのが嫌になっただけだ。

俺はそんなにいいサイヤ人なんかじゃねぇ

ターブルは別だろうけどな。

 

「この者たちを癒そう」

 

そう言ってナメック星人の老人たちが俺とターブルに手をかざす。

するとみるみるうちに傷は治り、痛みが薄らいできた。

 

「感謝します」

 

ターブルが一足先に起き上がって礼を言う。

俺も少し遅れたが頭を下げて礼を言う。

 

「しかし、ガタバルよ、あの邪悪な者たちにドラゴンボールを譲ってよかったのか?」

 

長老がガタバルの事を呼び捨てにしている。

なるほど、すんなりもらえたのは顔見知りだったからか。

合点がいったぜ。

 

「なぁに、今頃二人がきちんと回収して1つはこっちのものになっています」

 

一人で来たわけじゃなかったのか

頼れるメンバーが来ているようだ。

 

「それにあと2週間で援軍が来ますんで」

 

こいつ、このドラゴンボールの争奪戦に真剣に取り組む気か?

フリーザ相手に喧嘩を売ることになるってのに……

まぁ、俺もどうせあいつらのせいでこいつの仲間扱いされるんだ。

一蓮托生って思うか。

 

「ここに二人いるんだ、味方になってやるぜ」

 

ターブルと俺が肩を組んで宣言する。

俺の目的はカエンサとラブカを殺すこと。

ターブルの目的はアボとカドを倒すこと。

さっき、命を救われたわけだ。

俺は同族に対しては慮る男だ。

きちんと恩は返すぜ。

 

「フリーザの敵に回ることは死ぬ可能性があるんだぞ?」

 

ガタバルが確認のために言ってくる。

さっき死んでた命だ、だったら使ってやろうじゃねぇか。

ターブルも毅然とした面だ。

 

「フリーザをいずれは倒す予定だった、それが速くなっただけだぜ」

「あいつを倒さないと悲劇に見舞われる惑星が増えるんです」

 

そう言って決意表明をする。

するとガタバルが口を開いてきた。

 

「そこまでの覚悟があるならもう止めない、

そして現状フリーザ軍はどれくらいドラゴンボールを確保している?」

 

多分噂になっている程度だから今まで一個だろう。

だが、カエンサ達が持っていくので二個。

そしてガタバルの仲間の奴で三個目。

それを伝えるとガタバルは考え込んだ。

 

「隙を見て盗みに行くしかないな」

 

数分考えた結果がそれだったようだ。

揃えるためにはフリーザの宇宙船に忍び込まないといけない。

だがその危険な賭けはまだ早い。

俺たちはとりあえず、ガタバルの仲間との合流で同意した。

聞いたところ、強さはかなりのものでガタバル級が一人とナッパが来ているらしい。

あいつも苛め抜いたなら強くなっているだろう。

 

「まずはここから近い村のドラゴンボールをこっちが確保しておけば無駄にナメック星人は死なないだろ?」

 

俺はガタバルに提案の形をとって話す。

きっとその集落や村の全員を殺して奪うはずだ。

しかし元から素直に渡すか、ないと知れば犠牲の数は少ない。

その注意喚起を行う。

今回の村の様に俺達の居場所を吐く形にしたらいいんじゃないか?

 

「そうだな、一つでもあれば相手は奪わないと無駄になる

そして持ち運ぶのは一つで十分だから

もし、複数保持するんであればそこから離れた場所に埋めたらいい」

 

水の中に沈めるとか、とりあえず隠すのが優先だ。

散らばった形で保管したといえば相手も躍起になって探す。

それでナメック星人に聞いても分からない。

俺たちを狙いに来てナメック星人は死なない。

 

「じゃあ、合流しに行くか?」

 

ガタバルに聞いて俺とターブルは立ち上がる。

いつでも行けるほどに体力も傷も回復はした。

 

「そうだな、その後に少し今後狙う場所などの話をしよう」

 

そう言って俺たちは宙に浮かんでいく。

そしてガタバルが方向を指さす。

どうやら戦闘力の大きさを感知する術があるようだ。

世話になったナメック星人たちにお辞儀をして、合流の場所に俺たちは飛んでいく。

 

待っていろ、カエンサ。

待っていろ、ラブカ。

今度は絶対にお前らをクラッシャー軍団がいる冥界に落としてやるからな。

 

そう言った思いをガタバルに悟られることなく。

煮えたぎる怒りを胸の内に秘めながら。




戦闘力変遷
ガタバル:270万(8100万)
ピオーネ:320万
ナッパ:170万
ターレス:250万
ターブル:200万

カエンサ:300万
ラブカ:315万

神聖樹の実でのドーピングで大幅アップ。
デメリットとして戦闘方法に慢心がある。

ナッパとガタバルが急激に上がったのはひとえにピオーネとの組手で
ボロボロになった後のメディカルポットによる蘇生です。
ガタバルの()内は怒りモード。
実はカエンサ戦ですでに制御できていたが
フリーザとの勝負を見据えてあえて使わなかった。
あと宇宙船崩壊の危険性からか、この形態でピオーネとの組手は行っていない。

指摘などありましたらお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。