以前感想で返信したのですが、冷静に計算すると
ガタバルの母親が12で出産とかいうあかん状態でした。
その為17でカエンサ、20でガタバルという計算になるように変更いたしました。
「今日はこの場所の紛争を終結させてきてほしい」
国王様から直々の命令。
ここ数年で小さな紛争はすくなくなっている。
しかし根絶されたわけではない。
だから常に今回のような任務があるのだ。
「わかりました、行ってまいります」
ここで勤続してから3年間、ただの一度も取りこぼすことなく、死者がいない中の任務遂行。
間違いなくこの防衛軍は最強級と言わざるを得ない。
今日もそんなメンツを引き連れて紛争地域に赴いた。
「さて……今日もよろしく頼みますよ!!」
紛争地域で主にやることは、俺が最前線に立ち相手を気絶させる。
傷ついた人の回収や治療が部下の役目。
武装していても首筋に一撃を加えたり腹部へ蹴りを入れると倒れるのだ。
銃弾も掴むことができるし、最悪気弾で迎撃すればいい。
「りゃあ!!」
相手を掴んで放り投げる。
何人か巻き込んで当たっていく。
背中を打ち付けて起き上がることができていない。
「てぇい!!」
さらに片方の相手も回し蹴りで何人かまとめて吹き飛ばす。
横薙ぎに倒れ込むが、蹴りの威力で吐いてしまったようだ。
相手もだんだんと青ざめている。
まさか武器を持っている自分たちがこうも圧倒的にやられるなんて想像していなかったのだろう。
「どちらもこれから先、争わないならやめるが……どうする?」
初めから話し合いでの解決はできない。
その為武力を俺が見せて相手に対して有利な状態を作る。
その後の交渉はお互いのえらいさんがやればいい。
国王様がおせっかいともいうべき理由で派遣して様々な国の紛争を止めている。
そのおかげでこの数年で何度もこの国は表彰されている。
全世界を恐怖に陥れるであろうピッコロ大魔王が手始めにこの国を襲おうとした。
だからこそ他の国の安全や争いに気をかけるのだろう。
「わかった、これ以上やっても我々はお前には勝てない」
そう言って軍を引き上げる。
それを見て片方も引き上げる。
力を見せたのちに解決をさせる。
このやり方には穴はあるかもしれないが一番現実的だ。
俺がこのような力を持っているからできる事だが、自分たちより恐ろしい外敵が今後現れないとは限らないという事を暗に諸国に伝える。
そうすることで密接な助け合いや親密な関係を築き上げられる。
「終わったから怪我人の回収をしなくては」
両軍の間を飛び交い、ケガをしている人間を助ける。
瓦礫をどかしたり、火の手が上がっているところを突っ切ったり。
ある意味、戦いよりも重労働な場面もある。
一度激流にながされそうになっている兵士を泳いで追いかけたこともあるし、足元が崩れ落ちる中での救出作業もあった。
人に舞空術を見られないために必死に足の力でこらえていた。
もっとこの武術を持っているという事が周知に知れ渡って常識になれば多用して、より多くの人が救えるんだが……。
「今回はそんなに時間がかからなかったな」
ひどい時は長くて移動だけでも結構な日数が掛かる。
さらにその到着した先でも紛争を止める以外の部分での時間の消費もある。
止めるよりも前の紛争によって、亡くなってしまった人の埋葬なども行うからだ。
移動時にも時間が長い場合はお互いの体臭などが鼻に着いたり、不快感があったり、清潔という観点から遠ざかる。
清潔でないと最悪、病にかかる可能性も高くなるし、不快感はお互いの不和を引き起こしてしまうので、そう言った所から速ければ速いほどありがたい。
それに速い時は本当に速く表彰されるのが不思議ではないと思えるほどだ。
「この気は……」
そんな事を考えていると冷や汗が一筋伝っていく。
気が凄まじいとかではない嫌な予感だ。
しかも上からその嫌な予感の元凶を感じる。
一体何があるのかもと思い、千里眼を使って、宇宙単位で見てみる。
するとサイヤ人やギニュー特戦隊が乗っていた丸形宇宙船が徐々に近づいているのがわかった。
もう一つ後ろにいるが高速型なのか、前の宇宙船との差を縮めつつ接近している。
5個でないという事はギニュー特戦隊はない。
一人、もしくは二人。
それで考えられるのは……。
「これは早く戻らないとな……」
この事態はピッコロや桃白白にも伝えておかないと。
もし最悪のパターンだったなら地球が終わってしまうかもしれない。
対抗手段がないとは言わないが、それまでの時間を稼ぐだけにどれだけの犠牲を払うのか。
あいにく部下が見ている前で瞬間移動はできないが速く動くことはできる。
この場所から国王のところまで帰ってくるぐらいならば今の兵士たちで問題はない。
「ちょっと、急用ができてしまったので今日はこれで帰らせてもらう、国王様には先に報告するから各々のペースで帰還してくれ」
そう言うと兵士は頷く。
こういった終了後の場合はなかなか緩いのか、平然とOKを出す。
夜になるのでどこか宿をとるだろう。
指揮を取れる奴に隊長代理を任せて俺は大急ぎで国王のいるキングキャッスルへと向かった。
「全力で行けば数時間もかからない……」
千里眼で動きを見ながら全速力で木から木へ飛び移るように駆けあがっていく。
人の目に止まることの無いように山を越えていく。
結局着いたのは二時間後。
夜の10時に国王様に報告をして明日の任務を外させてもらった。
ピッコロ大魔王以上の脅威が接近していると言ったら信じてもらえた。
宇宙船の到着までは残り半日ほど。
明日の朝から昼の間だろう。
人気がいないところまで行って瞬間移動して桃白白のバーに行った。
.
.
「この嫌な汗はなんだ……」
バーの用心棒を始めて早3年。
今や独立をしているのでバーテンダーだ。
凝った趣味といった感じでこれがなかなか面白い。
銘柄を集めているから組み合わせを考えるのもいい。
武道家が酒を飲むなどけしからんという意見もあるが酔拳があるからな。
しかし今日に限って手が滑り、瓶を取り落としてしまいそうになった。
よく見ると手にじわりと汗がにじんでいた。
しかも手汗というよりは脂汗、冷や汗に近いものだった。
「長く生きているからか、こういった勘は強い……」
そう思っていると扉が開く。
そう思って振り向くと、そこにいたのはガタバルであった。
「何か飲むか?」
そう言ってグラスを置くがいつになく真剣な目をしている。
これは何か一大事が迫っているのだろう。
あれから3年間、全員が2倍の重力での訓練をしてきた。
2倍ぐらいならば、あの時の用意20キロの重りを両腕や足につけていた方が効率はいい。
しかし神が認めない限り、神殿には入れないのでそれは仕方なしといった所だ。
私とピッコロは3倍か4倍でやってきていたし成長をしている。
まだまだ体を苛め抜けばさらなる高みには行ける。
きっと今ならば子育てに忙しい孫悟空を超えているだろう。
ピッコロの奴には追い抜かれているがな。
そんな我々でも厳しい相手が襲来するのか?
「明日の朝から昼にかけてとんでもない相手が地球に来る」
ガタバルが重々しく口を開く。
嫌な予感の正体はやはりそう言った脅威によるものか。
こいつもやはり感じ取っていたか。
だが、私たち二人が分かっているという事はきっとピッコロもすでに知っているだろう。
「どれほどの相手だ?」
強さについて聞いておかねばなるまい。
もし、本当にとてつもない場合は助っ人に天津飯達を呼んでも、今のあいつらでは力にはならんだろう。
.
.
「上下するが最悪のパターンは俺以上が一人、俺と同格が一人と考えた方がいい」
ベジータ王子と父さんならばそれぐらいだ。
あいにく見えた未来ではラディッツさんが来ていたが、ブロリーの時の例もあるから、もしかしたらそれは後々なのかもしれないしな。
そうでなくてもサイヤ人ではない可能性を含めれば、自分以上が二人という場合もあり得る。
しかしフリーザにわざわざ逆らってまでこの星に攻め入るメリットはあまりない。
ちなみにメリットというのは己の死を覚悟してまでという意味だ。
地球自体の価値は高いだろうからフリーザだって気にいるだろう。
「うむ、やはり天津飯達でも手を借りた方がいいか?」
桃白白が言ってくる。
確かに本来ならば必要ないと言いたいところだが、地球が滅亡する可能性もある。
今は猫の手も借りたいといった所だ。
連れてきてもらった方が僅かな戦力にはなるだろう。
「遠距離での援護や待機でいつでも駆けつけられる状態にしておく分には困らない
でも相手が最悪のパターンだったら隠れておいた方がいいだろうし来ない方がいい
死ぬ可能性の方が確実に今回は高いからな」
ベジータ王子が来たらあの人にかかれば俺以外はきっと対抗できない。
あれだけの実力ならば塵を吹き消すぐらい簡単なことだ。
しかもそこに兄さんが来たらもはや詰みも同然。
前回は運良くベジータ王子が手を出さずにいてくれただけの話だ。
「まぁ、こればかりは死を覚悟してやらざるを得ないな」
桃白白が息を吐き出す。
これを回避してもドラゴンボールの存在に気づかれたら一巻の終わりだ
願いがかなうとか誰もが欲するものだ。
それで不老不死とかやったら手を付けられなくなる。
「まだましなパターンだったらいいんだがな」
視察程度の雑兵なら追い返せる。
5000ほどの奴らでも問題はない。
スカウターを壊したり宇宙船を壊してしまえば、通信や反応が途絶える。
その反応の途絶えた場所がよくわからない惑星だったら特に問題はないだろう。
「どちらにせよ、明日に備えておくしかないだろう」
そう言われて俺と桃白白は別れる。
フュージョンについて言っておいた方がよかったかもな。
.
.
行ったか……
今からかきいれ時になるというのに胸にもやもやが残るな。
しかし客に悟られるわけにはいかん。
明日の臨時休業だけを伝えてしっかりと仕事をしなくてはな。
きれいに畳んでいる武道着を確認して銘柄の酒の少ないものがないか在庫の確認。
どうやら今日の客にふるまう分の在庫は十二分にあるな。
それに一品の材料も申し分ない。
「さて……始めるか」
そう言って数分後、客が扉を開ける。
会社帰りの後の二次会だったり、軽く飲める場所として認知されている。
兄も一度訪れてわだかまりは解け始めてはいるが、いまだに変わってはいない。
亀も鶴も関係なく切磋琢磨せねばならない。
ピッコロのような奴らが現れた時に協力をしなければこの地球は終わる。
そう言ったのだがな。
「マスター、酒をお願い」
そう言われて客が飲みたい銘柄をシェイカーに入れて振る。
時にはストレートでグラスを渡すこともあるが、カクテルはおおむね好評だ。
「明日は急用が入ったので、臨時休業にいたします……」
そう言ってお客一人一人に詫びを入れる。
それにサービスとして食事を簡単なものだがつける。
みんなが残念な顔をしてみていると少しうれしい。
ここを行きつけにしているお客様もいらっしゃるという事だ。
それから数時間後、閉店時間となって店を閉める。
張り紙で達筆な字で臨時休業の旨を記述しておく。
「これで用意は万全だ、休養を取って明日に備えておくか」
そう言って舞空術をする。
夜の闇に隠れているしバーテンダーの服は黒が基調だ。
カーカーと言いながら飛んでおけばカラスに間違われる。
うまいやり方かといわれると首をかしげるが、人にばれないようにするためにはこういった姑息というかつまらん手を打つのも必要だ。
家に着いたらすぐに服を脱ぎ、風呂に入ってさっぱりとした後、少し体をほぐして布団へ潜る。
さて……賽は投げられたのだ。
最悪の出目か最善の出目、もしくは中ほどの出目。
どれが出るかなど賽が地面に着くまでわからない。
気を引き締めて臨まねばならんと再度心に決めて眠りについた。
.
.
そしてその翌日……
朝の9時と思った以上に速く1つの宇宙船が到着。
着陸地点は人の手が入っていない山奥の一角。
野生動物もいないので被害はないまま着陸ができた。
そこから出てきたのはラディッツ。
久しぶりの地球の空気をいっぱいに吸い込んでいた。
.
.
「相変わらずいい空気だ、澄んでいやがる」
俺は空気を吸い込んでさっぱりとした気分になる。
着陸地点が氷河だったり高地だったりはあったが、このプロテクターでは寒さを完全に防げない。
その為、山手の方にした。
「さて……スカウターを使ってと」
スイッチを入れたとたん、戦闘力の強い奴らがあちらこちらに居やがることに気が付いた。
「560、542、476、432……」
なかなかこののどかな星にしては強い奴らだ。
しかしそれより大きな反応が4つ。
「2238、1986、619、こっ、こいつは!?」
2000を超える反応はカカロットか?
それ以外に1500を超える反応も一つ。
619も悪い数値ではない。
しかし、最後に算出された数値に驚きを隠すことはできなかった。
今の俺をはるかに超えた戦闘力だったからだ。
今の俺も4792、しかし計測したものは……
「6788……これがガタバルだな!!」
確信にも似た予感。
しかしいきなりその反応が消えた。
故障ではないのか?
そう思ったがどうやら戦闘力をコントロールしたようだ。
あいつ……俺が来るのが分かっていたのか?
「まずは2000の方を当たるか」
そう言ってその方向へ高速で進んでいく。
ちなみに宇宙船は抱えたままだ。
地球ではシュールという言葉で表現されるらしいが、山なんぞ上空から見ないと判別がつかんからな。
数時間したら、その2000の戦闘力の持ち主の元にたどり着く。
1900を計測したやつもそこにはいた。
うむ、この二人だとしたら600の奴がカカロットか。
あいつ、頭を打ってしまったんではなかろうな?
もしくは子育てでもしているかだ。
あいにく奴の年齢はもうサイヤ人の結婚適齢期に入っているからな。
確か22だったか?
ガタバルが26、俺が29、ベジータは29だ。
戸籍の計算ミスがあったらしくルビコラは現在46、ラブカは50、カエンサは俺たちと同じ29だ。
「誰だ、貴様?」
緑色の肌の奴が俺に言ってくる。
口が悪い奴だぜ。
「宇宙船を持っている事を考えれば昨日からの嫌な予感の正体はお前か」
構えた武道家が言ってくる。
ほぅ、勘は鋭いようだな。
「やめろ、争う気はない、人探しのためにここに来た」
そう言うと敵意が薄れていく。
あいにく争ってこいとかこの星を滅ぼせとは一言も言われてはいない。
それならば友好的な手段も一つの手だ。
これはザーボンさんやギニュー特戦隊から教えてもらった。
「誰を探しているんだ?」
緑色の肌の奴が言ってくる。
構えを解かないところを見ると用心深いのだろう。
「ガタバルという男だ、あるお方の命で奴を探しに来たのだ」
そう言うと驚きの顔を見せる。
この反応、間違いなく知っているな。
「あいつならこの方向をまっすぐ行ったところに家を建てている、畑が目印だ」
あいつ、どうやら地球の環境になじんでいるようだな。
まぁ、有力な情報をもらっただけでもありがたい。
俺は礼を言い、お辞儀をして向かう事にした。
しかしその直後、600を計測していた奴が凄まじいスピードでどこかへ向かっている。
ガタバルもいいが、カカロットを一目見ておくか。
あの時は小さなガキだったあいつがどう成長したのか。
「お前の成長を見せてもらうぞ……カカロット!!」
俺は速度を上げて追い越しかねないほど早く、カカロットを追いかけるのだった。
次回からZの話に本格的に入っていきます。
指摘などありましたらお願いします。