とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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超の設定を再び使いました。
次回はラディッツ視点の日々を書いたりをする予定です
最後に悟空の話を書いています。


『金属生命体との戦い:カカロット子育ての日々』

 

地球に戻ったり、オモミーに行く生活を繰り返して半年。

もうカカロットが結婚してから1年ほど経ったようだ。

最近の未来視では地球にサイヤ人ではない誰かの襲来が見えていた。

さっき、その未来視の正体が分かったのだ。

 

「メタルマンとか言っていたな……」

 

どうやら昔の因縁があるような奴らがその仕返しにだまして連れてきたのだろう。

若すぎる奴なのが印象的だった。

細身で歴戦の勇士の雰囲気でもなければ初めて戦いますというような感じ。

 

「畑のこの時期に勝負してたら腐るかもしれないんだよなぁ……」

 

開墾して折角春先に実ってきた作物。

先にとっておかないと放置してダメになりましたなんて話にならない。

だからこそ、少し手伝ってもらおうと思い2人を呼んでいた。

 

「まさか武天老師様と同じことをやるなんてな……」

「まぁ、久々にやるのも悪くないじゃないですか」

 

クリリンとヤムチャは快く来てくれていた。

二人は元々農業の手伝いをしたこともあってその動きは素晴らしい。

瞬く間に収穫を終えてそれを農協に輸送して用事は終わった。

 

「しかしわざわざ俺たちを手伝わせるなんて何かあったのか?」

 

まぁ、いきなり呼び出してこれを手伝わせるって言うのは不信感あるわな。

一人で収穫したらいいだけの話だし。

 

「実はこれから戦いがあってな……」

 

正直に打ち明ける。

ついていきたいと言われた場合は気を付けてもらわないといけない。

もしあの若いメタルマンとかいう種族が二人を狙わないとは限らないからだ。

 

「俺たちも一緒に行くって事か?」

 

そのつもりは無くただの手伝いで呼んだのにな。

どうしたものか?

あの騙して連れてきたやつも戦闘力は低いが、今の2人よりは上だし。

死ぬ前に撤退させればいいか。

 

「ちゃんと死ぬような危険の時に撤退するなら構わないぜ」

 

そう念を押して俺は相手が待つ場所まで飛んでいく。

相手の戦闘力を見極めたうえで帰りたいなら帰ればいい。

 

「来たか……」

 

自然のある場所での戦いとなる。

相手は腕組みをして今かと俺を待っていた。

 

「お前、そいつは傭兵ではないだろ?」

 

降り立ってすぐに質問をする。

傭兵から雇うのであればまだベテランの奴を用意する。

しかしそうではなくわざわざ若い奴を選んでいる。

実戦経験が浅いであろう、もしくは明らかな素人。

その時点で矛盾している。

 

「その通りだ、こいつはある惑星の若者だ」

 

やはりその通りだったか。

もっといいやつを呼べただろうに。

それともそれを差し引いても戦闘力が高かったか?

 

「連れてきたのは俺への恨みか?」

 

セッコ・オロ、もしくは別のところで恨みを買ってしまうようなことがあったか?

思い出せない。

しかし相手の目を見ると怒りに満ちているあたり俺への恨みで十中八九間違いないだろう。

 

「無論だ」

 

憎しみの目だ。

平然とその言葉を肯定できるとはな。

まぁ、そっちの方が気にしなくて済む。

 

「お前こそ、そこに連れているのは何者だ?」

 

クリリンとヤムチャを見ている。

援軍がいるとは予想外か?

でも、こいつらを勘定に入れてきたわけじゃあないぞ。

そこは勘違いしないでくれよ。

 

「ここにいる地球人が相手をするわけじゃない、気にするな」

 

今のこいつらがその若者と戦えば、瞬く間に殺される。

隠している気だけでもこいつらより強いのがはっきりとわかる。

気のコントロールもできるとは、なかなかの相手と認識した。

 

「だが邪魔をされては面倒だ、俺が相手をしよう」

 

そう言って構える。

強さとしては戦闘力として500もない。

どうやらセッコ・オロでの対戦をしたものではない。

漂流先で何かしらの要因で恨みを買ったか。

 

「かかってこい」

「地球人をなめるなよ!!」

 

ヤムチャとクリリンが構える。

お前ら、ちゃんと協力して戦えよ。

死ぬ前にマジで撤退をしてくれないとあとで困るからそこも気を付けてくれよな。

 

「シュー!!」

 

その拍子にメタルマンが気を開放する。

想像したようにかなり大きいが……

 

「俺よりは小さいな!!」

 

俺も全力で気を開放する。

風が巻き起こり、落ち葉や砂塵が巻き上がる。

それが止んだ時、空気がさらりと頬を撫でた。

 

「オラァ!!」

 

一気に接近して拳を撃ち込む。

えらく頑丈ではあるがまだ拳が壊れるようなものじゃない。

相手は少し後ずさりをしたが重いからか足元がどっしりとしており、大きく体勢を崩さない。

 

「ポー!!」

 

一撃の仕返しという様に、相手も拳での一撃を放つ。

交差して受け止めるが、体が金属だからか非常に重い。

戦闘力に換算はしても10000はある。

 

「だが終わりだ…」

 

腕を取って柔道の一本背負いのように投げる。

相手が背中を打ち付けた瞬間に飛び上がって照準を合わせた。

 

「喰らえ、『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

これで決まる。

実戦経験の浅さがもろに出ている。

まだ経験豊富な奴なら問題なく捌けただろうに。

しかし、次の瞬間目を疑う光景があった。

 

「『アルバトロス・ブラスター』が分散しただと!?」

 

受け止めるわけでもなく、逸らしたわけではない。

メタルマンの体に当たった瞬間、気が細長い煙のように飛び散ってしまった。

まさか、こんなことが起こり得るとは。

ピオーネでもこんな芸当は……できないと言えないのが悲しい。

 

「メタルマンの中でもこのビック・ラコイタは突然変異の存在だ、気弾攻撃を無効にする力が備わっているんだよぉ!!」

 

復讐のためとはいえどんな掘り出し物用意してんだ、こいつは……。

まぁ、そんな特殊な存在には必ず弱点があるもんだ。

それも自分すら気づかないようなものがな。

 

「なんて奴だよ……勝つには肉弾戦しかないじゃないか」

「あんな頑丈な奴にどうやって戦うんだ……」

 

2人とも取り巻きの奴を2人で協力して倒していた。

しかしというかやっぱりまだまだだな。

傷つきすぎだ、狼牙風風拳で翻弄して、その隙に上からかめはめ波などコンビネーションを活かせばもっと速く、ダメージも少なく終わらせることができただろう。

やはり比べてみるとピッコロたちの方が十分強い。

今や684と759だからな。

じっくりと慣れていくんじゃなくて、10倍から始めたり厳しい状況で鍛錬したら、もっと早くに1000はいけるんだが……。

 

「シュポー!!」

 

メタルマンが突進してくるがそれを避ける。

勝負を続けていくうちに気づいたが段々と速度が上がっている。

どうやらこいつは運動をして熱を発したりすればその分戦闘力に転化されていくようだ。

戦闘における気弾攻撃以外のすべての行動が当てはまる。

というよりは極論として言えば動けば熱は発する。

戦闘が長引けば長引くほど強くはなるが、最終的にはその強くなっていく状況に体が耐え切れない。

もしくは熱量が自分の限界を超えてオーバーヒートを起こしてしまうだろう。

そしてまだ今の差では一気に決める事も不可能ではない。

 

「騙されているんだぜ、お前はよぉ!!」

 

アッパーで殴り飛ばして宙に舞い上がらせる。

気弾が肉体で分散されるという驚異のスペックを見せていたが、殴打に関してはそういった力を発揮しないのは確認済みだ。

そこからは地面に叩きつけてジャイアントスイングをする。

放り投げて岩に激突させる、追撃をしないで相手のあの肉体のからくりの攻略法を考えてみる。

相手の体へのダメージ、手ごたえはあるがむくりと起き上がってくる。

急所が分かりにくいからいくら拳を打ち付けても効果がわからない。

 

「こうなったら……『レイブンリヴェンジャー』!!」

 

ピンとひらめいた俺は気弾攻撃を再び放つ。

当然のようにラコイタに弾かれるが……

この状況は織り込み済みだ。

 

「もう一発!!」

 

オーバーヒートさせて勝負をつけるのではなく、この分散を連続的に発生させた場合にタイムラグはないのか?

その確認のために速射性に優れた技を放つ。

すると……

 

「シュ……」

 

僅かに後ずさりをする。

やはり一度やったら連続でやる場合、分散できる気弾の量が少ない。

ならばこれで一気に追い詰めるか……

 

「おらぁ、『コンドル・レイン』!!」

 

全弾、ラコイタめがけて連射する。

ラコイタはずっと分散を続けていき段々と後ずさりをしている。

分散に頼らずに腕で防御をすればいいがやはりこれは素人だ。

そう言った計算もなく自分の体が弾いているから任せようという事だろう。

段々量が減っている事に気づいていれば、即座に腕で防御したり高速でバックステップを踏んでやり過ごすのがベストな判断だ。

連射でようやく分散ができずに直撃した瞬間、ラコイタは原因に気づいていないからか、驚愕の顔をする。

それを見た俺は片手で連射を継続しながら額に指を当てて瞬間移動をした。

 

「終わりだ、『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

ラコイタの背後から俺の最大の技を放つ。

ラコイタの分散が機能せず、俺の最大の技が背中に直撃する。

そのまま地面をバウンドしながら吹っ飛ばされていったラコイタは『ピーガガーピー』という音を立てて、動かなくなった。

どうやら気絶したようだ。

これでロボットじゃないとか驚きしかないわ。

 

ラコイタはその後、起き上がって自分の星の宇宙船を呼んで帰っていった。

騙されていたことに怒って雇い主を空の果てまで殴り飛ばしたことは笑ってしまった。

あんな剛腕の一撃を食らったら死んでしまったんじゃないだろうか。

それにしても久しぶりに全力で戦ったぜ。

そんな事を思っていると、わずかに未来が見える。

 

「ラディッツさんが地球に来るのか……」

 

ラディッツさんが空を飛んでいる映像が見える。

そしてその傍らには幼子がいる事も。

あのプロテクターではなく、地球人の服を着ている以上はラディッツさんの子供ではないようだ。

カカロットに似ていたが…仮にそうだとしても知らせは全くなかったぞ。

一体どういう事だ?

 

「しかし今すぐではないな……」

 

幼子の年を考えたら3か4歳ほど。

カカロットたちに子供ができていたとしても今から3年か4年の猶予はある。

 

「やっぱりおぼろげに見えていたビジョンは嘘ではなかったか」

 

おぼろげに見えていたのは地球を戦場にしたサイヤ人同士の対決。

それに対して戦力差は歴然。

それを解消するためにはある程度の鍛錬が必要だ。

神様の重りをやっていない天津飯、ヤムチャ、クリリン、餃子は神殿で鍛錬をした方がいい。

ピッコロと桃白白は元々重りをつけたり、2倍か3倍の重力で既にトレーニングを経験済みだから、今更重りなんていらない。

だが修行をやるにしてもカカロット抜きでだ。

もしあの幼子がカカロットの子供なら、今から子育てに忙しくなる奴を引っ張り出す気はない。

親としての自覚を持たせないとな。

親の愛情に飢えた子供にしてはならない。

そう思って俺はクリリンとヤムチャと一緒に戻っていくのだった。

 

.

.

 

「悟空さ、悟飯ちゃんの面倒見てほしいだ!!」

 

チチが大きな声を出す。

今チチは料理をしているところだ。

手を離せないからオラが悟飯をあやす。

オラたちが結婚して10か月後に生まれた子供だ。

最初は病院は嫌だったけど、チチを連れて何度も行き、そして腹が膨らんでいった。

チチが腹が痛いっていうから連れて行ったら、そのちょっとした時間の後に悟飯が生まれた。

爺ちゃんと同じ名前だけどこれには理由があって、色々な名前をチチと牛魔王のおっちゃんが考えていた。

爺ちゃんは参加していなかったけど、その時オラが腹減ってご飯って言ったら気に入っちまった所からそうなった。

爺ちゃんは最初聞いた時には笑って許してくれた。

 

いないいないばぁをすると泣き止む。

しかしすぐにぐずりだした。

 

「あぁ、悟飯おめぇ、大きい奴したんか」

 

オラの鼻がいいお陰ですぐに原因がわかる。

でもチチはそんなんじゃなくてもわかってる。

爺ちゃんにも一回見てもらったけど爺ちゃんも同じように匂いじゃなくてもわかってた。

 

「すげえなぁ……」

 

オラは素直に感心しながら悟飯のおむつを替える。

すると気分がいいのか笑顔になった。

 

「チチ、悟飯のおむつ替えたけど残り少ねぇぞ」

 

袋の中にはあと10枚もない。

そういったらドアが開く音がした。

みると牛魔王のおっちゃんと爺ちゃんが来ていた。

亀仙人の爺ちゃんには内緒だけど二人とも言ってないみてぇだ。

おっきくなってからブルマやクリリンに見せるんだ。

二人ともきっと驚くぞ!!

 

「おっとう、おむつ買ってきてくれたのか、ありがてぇべ!!」

 

こうやって牛魔王のおっちゃんと爺ちゃんは悟飯のおむつとかをよく買ってきてここに来てくれる。

それも少なくなってからだ。

いつの間にそんなの身に着けたんだ?

 

「しかし悟空も、立派に父親じゃのう」

 

爺ちゃんがそう言ってふぅと一息をつく。

オラは修行もしてぇんだけど、そうなるとチチが一人で全部しねぇといけねぇし……

悟飯が大きくなるまではうんと我慢して、あとでクリリンやガタバル、ピッコロに追い付かねぇとな。

 

それまではオラもがんばって悟飯の面倒を見っぞ!!

悟飯を抱きかかえながらオラは今、大事なものをもう一度確認した。




まさかの超のメタルマン出現。
老界王神のじっちゃんでも初めて見る種族だったのですが、ガタバルへの恨みで誰かが引っ張ってきました。
次回からは別視点での話も必要になってくると思います。
指摘などありましたらお願いします。

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