カナッサ星人の未来予知の拳では、現在進行形の近い未来をうつしていないからこんなことが起こってしまう。
あのブロリーとの交戦以降、相も変わらず頭痛は続いている。
徐々に痛みが大きくなっている為、自分が想定していたよりも操縦や生活にも影響が出始めている。
今まで操縦の失敗で墜落してしまったり、気絶してしまって風呂で溺れたりしなかったのは運が良かったという他ない。
この症状が治るのが何時になるかわからない以上はセッコ・オロには戻れない。
療養できる惑星が有るのだから地道に治そう。
そうと決まればいち早くピタルに行って、この症状を治す術でも教えてもらおう。
その後にはやっておきたい事も有る。
まずは普段着をヤードラット星に行って、長に頼みこんで重くしてもらうか。
「さて、その前にまずは着陸する惑星を決めないとな……」
中継を挟まずに行けるような宇宙船ではない。
その為一度は着陸をして整えないといけないのだ。
座標を確認したところ、どうやら緑の惑星『地球』という星のようだ。
その中でも人が誰もいなさそうな土地は……
「ユンザビット高地という場所か……」
降り立った瞬間、なじみのある気を感じて驚愕した。
まさかこんな惑星にいるとは思っていなかったから。
「なっ、この気はまさかナメック星人!?」
それだけじゃない、三つ目人の気やサイヤ人の気まである。
それ以外は地球の固有の民族たちの気のようだが……。
「いったいどんな惑星だというんだ?」
気の小ささからは大したことのない平和な惑星のようだ。
もしかしたら多様な民族が何かしらの理由で求める安息の地なのかもしれない。
このナメック星人の事に関しては最長老様に聞けばいいだろう。
「まぁ、ここには今回降り立っただけだし、このまま瞬間移動でピタルへ行こう」
聞きたいことができた為、のんびりとした航行はやめる事にする。
俺はすぐさま額に指を当ててピタルへ瞬間移動をしようとする。
「ピタルの人の気が感じられないな…残念だ」
しかし思った以上に辺境の星だったようでピタルまで行けそうにない。
経由しながら行くとなると…
「どうやらナメック星人の気は感知できるから近いのがナメック星か」
因みにヤードラットも感じ取れなかった。
消去法として、自分が知っている惑星でナメック星以外に経由できる場所はない。
この質問の結果を聞いて整理した後にヤードラットとピタルに行けばいいだろう。
「なぜ地球にナメック星人がいたのか?」
この疑問は最長老様に聞かないと分からない。
俺たちサイヤ人の様に飛ばしてきたのか?
想定としては好戦的でもないから何か災害に見舞われてなんだろうな。
額に指を当てて宇宙船を忘れないように、手を添えてナメック星へと瞬間移動をした。
「随分と木が生い茂ったな」
10年前に来た時よりも木々が生え、美しい星に変わっていた。
生態系としては魚やどこかから流れ着いた獣たちもいる。
「おおっ!!、久しぶりだな」
瞬間移動した先は懐かしい顔ぶれがいる集落だった。
ムーリ長老が出迎えてくれた。
子供のナメック星人もいる。
「どうやらあれから何かあったようだな、話してみないか?」
俺は正直に言った。
10年間戦闘を続け、強くなった事。
色々な星を巡ってきた事。
同族にあった事。
そして、カナッサ星人に対する虐殺についても。
「怒りで我を忘れてしまったか……しかし相手側にも非があるな」
虐殺行為自体は咎められて、子供たちもおびえていた。
しかし元々の性格を知っている以上、自ら率先して有無を言わさず行ったわけではないと分かられていた。
相手のやったことを含めたうえで今回のこの言葉なのだ。
「彼らも話を聞いたり、本人では無いサイヤ人への敵対心を燃やさなければよかったのにな」
最初からなにもなしに襲撃されれば困惑がある。
その後に余計に怒りを刺激されて、理不尽なものだったとしたら反撃を試みる。
そのうえ、憧れた人間を馬鹿にされて黙るような性分ではない、
それらが重なって生まれたものだとムーリさんは言っていた。
「話してもらったがそれだけが理由ではないな、何か疑問があったんだろう?」
流石に年の功には勝てないか。
俺は疑問を打ち明けて真相を聞いてみた。
「このナメック星にかつて災害なんてありましたか?」
地球でのナメック星人の事で聞かなくてはならない。
元々はそれが自分の今回の目的だからだ。
「すまん、わしも最長老様によって生み出された子の一人、元祖ともいえるナメック星人はもはや最長老様だけなのだ」
ムーリさんは申し訳なさそうにうなだれる。
つまり最長老様しか知らないこと。
そうなると行くべき場所は決まっている。
「それでは今から最長老様のところへ向かいます、ありがとうございました」
そう言って10年ぶりに最長老様の元へ向かう。
あの頃の倍以上の速度で瞬く間に到着した。
成長をかみしめることができたよ。
「んっ、お前は……大きくなったな」
扉が開いて出てきたのはネイルさんだった。
筋骨隆々と言った感じではないが今の自分よりも強いのがわかる。
やはり最長老様を守る手前、力を上げていたのだろう。
「お久しぶりです、最長老様、お元気そうで」
座ったまま、あの日と変わらない貫禄と大きな包み込むような雰囲気のまま。
椅子に最長老様が座っていた。
「そういうあなたこそ……
久しぶりですね、ネイルより質問があると聞いたのですがどういったモノでしょうか……」
穏やかな変わらない声色でこちらに声をかけてくる。
この人を前にすると気が引き締まって、背筋を伸ばしてしまう。
「地球にナメック星人の気を感じたのですが、かつてナメック星人の間での災害などについてご存知ですか?」
背筋を伸ばしたまま、明瞭に伝えやすい形で語っていく。
これでわからないといわれたら、本当にお手上げだ。
「異常気象ですね…そして地球となると」
考え込むように頭を下げる。
一度は異常気象で滅んでしまったのか。
やはり、その時に死の運命から逃れるために地球に送ったか。
「カタッツの子です、龍族の天才児でした、まさかあの幼子が生きていたとは」
顔を上げて思い出したのか、声を発し始めた。
元祖ナメック星人の子供だったのか。
龍族という事は戦士型ではないため特殊な力を持った存在だ。
やはりそのナメック星人がドラゴンボールを作ったのはおよそ間違いないだろう。
「善性を持っていたあの子がもし邪心を持ってしまうと分かれることもあるでしょう、
元祖でも邪悪なものが一人いましたが、生まれながらの悪であればそう言った事もないのでしょうが」
善と悪で別れてしまう。
そうなればいくら天才的なものといえど半減させてしまうのだろう。
というよりあれだけ穏やかなナメック星人の人の中にかつて邪悪な存在がいたのは驚きだ。
「そうなっていたら再び一つに戻るようにお伝えください、そうすればだれにも負けないでしょうと」
半減したから1+1になるとかそういうレベルではないのだろう。
強さをかけあうのかもしれない。
そうなれば流石に戦闘力が1という事は無いしこのナメック星の強さを考えると確かにとてつもない力が生まれそうだ。
「わかりました、お伝えいたします」
そう言ってお辞儀をして俺は最長老様の家から出ていく。
ネイルさんにもお辞儀をして、ムーリさんのいる集落まで戻っていった。
「どうだった、分かったかね?」
帰ってくると開口一番に言ってくる。
俺は笑みを浮かべながら親指を立てていた。
「さすがは最長老様です、全てをご存知でした」
まさか、すらすらと答えてもらえるとは思ってもいなかった。
高齢であり、なおかつ痛ましい事情の事柄を何十年かも間、覚えていたいとはふつうは感じないだろう。
「そうか、次はどこに向かうのだ?」
次の目的地はピタルでもいいんだが、先にこっちに行って話をつけよう。
今の服を脱ぐか、別の服に細工をしてもらうかだ。
それを決めておかないとな。
「ヤードラットです、強くなるために服へ細工を施してもらおうと……」
力を制御できるようなものにするか、重りにするかで意味合いが違う。
重りは外せばその分上がるが、それ一つだとそれを外せばたちまちフルパワーになってしまう。
それを解決したければ手袋や靴など細分化しておくのが一番やりやすい。
「ふむ、そうか、また会おう」
「ええ、いずれまた……」
そう言って俺はヤードラットまで瞬間移動をしていた。
久しぶりのヤードラット星だがどうなっているのだろうか?
「おぉ……久しぶりだなぁ」
長老が瞬間移動してきた俺をすぐに見つけて、声をかけてくる。
文明の発達はあったが、素朴な雰囲気は変わっていない。
物々交換を行って毎日を過ごしているみたいだ。
10年近く前は金銭のやり取りもあったが、まさか『錬金術』とかいう奴でも身につけたか?
「今日は何の用だ、あれから超能力はよく使っているようだが?」
「はい、瞬間移動も千里眼も使っています、本日はこの服に、少し細工を施してもらおうと」
新しい服を長老に見せる。
『中華服』という様な珍しい服のようだが。
「これはまた面妖な服だな、どういった細工がいいのだ」
長老も不思議そうな顔でその服をまじまじと見ている。
俺も初めて見た時はセンスはいいがどういったモノなのか、不思議に思った。
「戦闘力をセーブできるように服の重さを変更してほしいんです」
何分の一にするとか超能力を活かした工夫でもいいんだが、やはり重さで制御できる形にした方が使い勝手はいい。
またいずれは重さの調節をするだけで済むのだから。
「うむ、上下だけでは足りんな、中に来ている服、靴、そして特製の重りをつける形にしよう」
そう言われて俺は追加で靴と中に着る予定の服を手渡す。
用意はできていたがさすがに上下だけでは制御を細分化できないもんな。
「今からどこかに行くか?」
このような言い方をするという事はすぐにはできないという事だ。
つまり時間をかける予定がないと待ち時間の間は暇だというのを暗に示している。
「ピタルで体調の診断をしてもらいますけど……」
本来の目的はこれである。
疑問が浮かんだり、やってもらう事があったため薄れていたが、未来視を治さないことには解決はしない。
「そうか、お前さんの診断結果が出るころにはできているだろう、行ってきなさい」
そう言われて俺はピタルに向かっていた。
時間は掛かったがこれでようやく本命の目的が果たせる。
未来視が行われている状況は精神とのズレや時に頭痛さえも引き起こす。
その為、このまま長期化してしまうと俺は廃人に近くなってしまうだろう。
それを緩和するために、頼ろうと思ったのだ。
「うむ……強引に治すのはほとんど無理だな」
すぐさま診断をしてもらい結果を聞くと、どうやら未来視によるデメリットはないらしく、
カナッサ星人から受けた一撃は不完全な状態で、緩やかに脳波への干渉を行っていたようだ。
解決としては時間がある程度経過すると自然と薄れていくと言われた。
その間の状態で異常な事態が起こらないように薬を処方してもらっておいた。
「力になれず、申し訳ないな」
診断しても解決するために何を行えばいいのか?
強烈な衝撃や刺激を与える事で緩和できても、その後が恐ろしい。
それ以外に、その時点でミスをすると症状の悪化の可能性がある。
色々考えたが無理やりに近かったり、緩和できそうにない方法ばかりだったので自然に任せるしかなかったようだ。
「仕方ないですよ、今度何か特別な薬でも貰いに来ます」
突発的な病や体の不調などを即座に解決しないと後に響く。
もしくは死ぬだろう。
そうならないために、用心深くこのピタルの力を借りて対策を打っておこう。
そう思いながら、俺は増えた記憶の未来の真偽のために再び地球へと向かう事を決意。
しかしその前にヤードラットに戻って、細工が施された新しい一張羅を受け取るのだった。
今回死なずに済んだ要因:
カカロットじゃない。
破壊しまくっていたのでエネルギー弾の威力や攻撃力のピークを過ぎ始めていた。
瞬間移動のおかげで最後以外被弾なし。
劇場版の時期より速すぎたのでまだあれほど驚異的じゃない。
見てしまった1対1の映像:
今回の戦いとは違う未来でのタイマン。
指摘有りましたらお願いします