とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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ガタバルの怒りの恐ろしさを考えて書いてみました。
地球に行くための理由づくりとはいえやりすぎな気がしないでもない。


『惑星旅行記:メタモル星/カナッサ星』

俺はあの後、惑星スイッツで洋菓子を食べて心を癒した。

そして、ギニュー特戦隊の皆さんと別れて、次の目的地へと俺は向かっていた。

次の目的地はメタモル星という惑星。

一人一人の強さは乏しく侵略はしやすい惑星。

しかし特殊な技能である『フュージョン』を使う事で外敵を今まで退けてきたのである。

どれ程強くなるのかは分からないがとてつもなく興味が湧いた。

仮に俺とピオーネのフュージョンが達成されれば間違いなく最強級の戦士になれる。

ただこの技能に対して、疑問がある。

 

「条件がどういったモノかわかっていないのがネックだ」

 

そこらへんはメタモル星の長老から聞けばいい。

しかし、もし同性でないとダメとか言われたら誰とすればいいんだろう。

絶対にベジータ王子や兄さんのようなプライドが高い人が合体なんてするはずもない。

 

「そうこう考えたり言ってる間にもう到着か、スイッツから思ったより近かったな」

 

一週間かからないでメタモル星にたどり着いた。

どうやら荒野やかやぶき屋根の小屋が点在している所から考えると、集落のようなものが多数ある惑星のようだな。

 

「異星人、それもサイヤ人がこの星にどういった用ですかな?」

 

着陸して宇宙船から出てきたらあっという間に囲まれてしまった。

幾らなんでも警戒心強すぎるよ、この惑星。

流石に悪評があるとはいえ限度がある。

最初のヤードラット以上じゃないだろうか?

 

「『フュージョン』を俺に教えてほしい」

 

目的はそれだけだ。

それ以外に目的などあるはずもない。

侵略しても俺には利益が全くないんだからな。

 

「あれはメタモル星に伝わる秘伝だ、どうしても知りたいのならばそなたの力を示すのだな」

 

そういうと若い男性二人が出てくる。

どうやらこの二人が『フュージョン』をするようだ

 

「『フュー……』」

 

外側に向けていた腕を内側に持ってくる。

左右対称に同じポーズを取っていく。

タカタカタカというような音が聞こえる動きだ。

ちょうど三歩分の動きだろう。

 

「『ジョン!!』」

 

腕を握り拳の状態で外側へ伸ばす。

足は片足立ちで片方の足は膝を曲げている。

間合いを考えないと腕がぶつかってしまうな

 

「『はっ!!』」

 

最後に人差し指を合わせてこの技は完了するのだろう。

眩い光が俺の目を覆う。

それが晴れて視力を取り戻した頃には一人の戦士が誕生していた。

 

「気は大きいが俺と同じほどしかないな」

 

だがその元の小ささから考えておおよそ100倍近くには跳ね上がっている。

これをマスターして力を蓄えればフリーザに勝てる。

まぁ、単独での敵討ちじゃあないんだが……。

 

「はっ!!」

 

相手が拳を突き出してくる。

俺はその一撃を難なく避けてカウンターを合わせる。

相手の速度もほぼ同じなのだろう。

相手も俺の攻撃を避けてカウンター返しをしてきた。

 

「はあーっ!!」

 

俺は相手が放ったカウンター返しの拳を掴んで空中へ放り投げる。

相手は空中で宙返りをして気弾を放ってくる。

俺はその気弾を相手に向かって弾き返す。

しかしそこに相手の姿はなかった。

 

「後ろだぁ!!」

 

相手がそう言って、後ろから蹴りが放たれる。

だがその時に、俺は瞬間移動で相手の後ろに回り込む。

 

「どりゃぁ!!」

 

相手の後頭部に俺は肘の強烈な一撃を加える。

蹴りが外れてしまって、硬直した隙の一撃。

 

「ぬがあぁぁ……」

 

そのまま相手が呻いている間に俺は掌に気を集中させた。

 

「『イーグル・フラップ』!!」

 

気弾ではなく気を集中させた掌を押し出す。

そうする事でとてつもない突風が巻き起こる。

それは不可視の一撃であり相手へ直撃していった。

相手は訳も分かっていないだろう。

吹き飛んで行って、その際に飛来する砂利や岩が体に当たっていく。

相手が何とか着地をした時には傷だらけで大きな隙が見えた。

さて……こいつでとどめを刺してやる。

 

「『アルバトロス・ブラスター!!』」

 

大きなアホウドリが相手に向かって迫っていく。

『ソウルオブサイヤン』の方が威力は高いが、あれは本当に最後の奥の手だ。

実質、普段から打てる技としてはこれが最高のものとなっている。

さあ、合体戦士はこの一撃にどう対応する!?

 

「ぬぉおおお!!」

 

真っ向勝負を相手は選んでいた。

両手で受け止めて押し返そうと試みる。

 

「「ありっ?」」

 

その瞬間、相手が元の二人に分かれてしまう。

相手も驚いた顔になっていた。

そのまま、二人の間をすり抜けてアホウドリが大空へ飛んでいくように技が外れた。

どうやらフュージョンの制限時間は思ったよりも短いようだ。

 

「うむ、制限時間いっぱいまで互角に戦われてはこちらの負けじゃ、認めよう」

 

話を聞いたところ、どうやら制限時間は30分ほどしかないらしい。

それを過ぎると今度は1時間ほど待ってから再びフュージョンをしないといけないようだ。

連続ではできないというのが難点だな。

解除後も手詰まりにならないように、個人的な強さも前提として考える必要がある。

 

「まさかここまで強い異星人に出会ってしまうとは……」

 

一人のメタモル星人は溜息をついている。

若い自分達が相手ならば打ち勝てると思っていたのだろう。

この発言から考えて侵略者たちの戦闘力はおおよそ5000くらいを推移していたのかもしれない。

 

「サイヤ人であればあの解けた瞬間に首をちぎって殺されてもおかしくないと思ったが……」

 

もう一人のメタモル星人は身震いしながら言っている。

悪評があったとはいえ、侵略目的じゃないんだからやらないよ。

戦闘で昂ってもそこらの線引きぐらいはする。

 

「教えましょう、『フュージョン』を」

 

そう言うとさっき見せてもらった動きを一つ一つ懇切丁寧に教えてもらう事が出来た。

これでばっちりだな。

 

「ちなみに条件としては『背丈が一緒』であり『戦闘力がある程度近い』という事だ」

 

戦闘力が近い者がいない為、動きだけを覚えて俺はそのままメタモル星から別の惑星に行く。

……その惑星が俺を地球に導く原因になるとはこの時は知る余地もなかった。

 

.

.

 

「此処は一体どういった惑星だ!?」

 

あれから一週間後、メタモル星から少し遠い惑星に俺はいた。

少しだけの寄り道のつもりだった。

しかし着陸直後にこの惑星の住民に襲い掛かられてしまった。

問答無用といった感じで、こちらの言葉には微塵も耳を傾けていない。

半魚人のような見た目だったが一体何者だ?

 

「にっくきサイヤ人め、待ちやがれ!!」

 

待てと言われて待っている場合ではない。

捕まったら殺しに来るだろう。

わざわざ寄り道で来ただけの惑星で命のやり取りをするとか嫌なんですけど。

 

「あの日から偶然にも生き延びる事の出来た我々の安住をこれ以上壊そうとするな!!」

 

相手はそう言って、俺に向かって槍の一突きを放ってくる。

力を振り絞っているため、その攻撃は速い。

俺は体をくるりと反転させて避けるが、相手は一人で追いかけてはいない。

どこからともなくやって来た奴の追撃で腕に一撃を食らった。

 

「ぐっ!!」

 

一体この惑星にはこいつらと同じ種族が何人いるんだろうか?

数で押し切る場合は個々の戦闘力が低くても光明を見いだせる。

その証拠に単独なら回避できるはずの槍で腕を刺された。

とにかく逃げ回って各個撃破できる状況を作ろう。

そう思った俺は気弾で目晦ましをして再び逃げ回る。

 

「甘いわ!!」

 

逃げ回っていた俺の後頭部に衝撃がはしる。

相手が放った一撃を喰らってしまったのだろう。

視界がグラグラとするし平衡感覚が狂っているが歩みは淀まない。

そのまま逃げの姿勢を保っていき、相手の追跡と攻撃を潜り抜ける。

 

「ようやく追い詰めたぞ!!」

 

追いかけっこに終わりが来るのは普通の事だ。

大人の男が多数だ、子供がいないのは別にどうでもいい。

 

「お前ら、なにのつもりだ?」

 

俺は構えながら問いかける。

こいつらの眼差しはまるでありとあらゆるサイヤ人全てを憎んでいるという様なものだ。

一体こいつらの過去に何があったというのか。

 

「バーダックというサイヤ人が我らの平穏な日々を終わりにさせて、カナッサ星の文明は崩壊した」

 

あの人がまだ第7宇宙のサイヤ人として活躍していたころか。

おおよそフリーザの裏切りの前の前兆で侵略しろと言われた惑星だろう。

飛び火しただけで特別こいつらが悪かったわけではない。

手ごろな所がたまたまこいつらの惑星だったってわけだ。

 

「そう言えばあのサイヤ人はどうした」

 

おおよそ復讐するために聞いておきたいのだろう。

残念だがお前らが束になってもあの人には勝てない。

俺よりも明らかに弱い奴らの集まりだ。

こちらが追いかけっこしていたのは弱いからではない。

 

「フリーザと戦った、惑星ベジータのために、サイヤ人の誇りを守るためにな」

 

そう言うとカナッサの人間は笑い始めた。

一体何がおかしいというのか?

 

「愚か者だ、あのフリーザとやりあうなんぞ」

 

じゃあ、黙って惑星が壊されればよかったとでもいうのか。

そう言った必死な抵抗する心がないのに、侵略者と戦ったらそりゃ壊滅させられるだろう。

 

「あの屑のようなサイヤ人にはぴったりだ、我らを壊滅させた畜生の末路にふさわしい」

 

笑いながらそんなことを言いやがった。

その瞬間、俺の頭は怒りに満ち溢れた。

気を抑えることもなく相手を睨み付ける。

 

「…り…せ!!」

 

俺は怒りからはっきりした声でいう事が出来ずにいた。

体が怒りで震えている。

もう少しで何かが切れそうになっている。

 

「何を言っているんだ、小僧?」

 

カナッサ星人が嫌みたらしい、嘲笑った顔を向けてきた瞬間。

俺の頭の中でプツンという音が聞こえた。

 

「取り消せー!!」

 

俺は怒りに身を任せて『アルバトロス・ブラスター』を放っていた。

あの人が屑ならば、何もしていない無抵抗で無関係なサイヤ人を襲うお前らはそれよりひどいじゃねえか!!

 

「ぐっ、この野郎、ほんしょ……」

 

俺は構えていた男の首を蹴りでへし折る。

謝ったとしても許さないぞ、お前ら。

 

「『レイブンリヴェンジャー』!!」

 

『クロスリヴェンジャー』から変更した技だ、事前に腕の交差をせずに腕の振り下ろしで交差させて放つ。

威力は落ちてしまったが、振り上げでも放てるので速射性に優れた技へと変貌を遂げた。

 

「ぐぁあ!!」

 

多くのカナッサ星人が吹き飛んでいく。

これで終わると思うなよ、この漲るエネルギーを全てお前らで発散してやる。

 

「『コンドル・レイン』!!」

 

女も男も無差別に打ち続ける。

避けている奴らもいるが、それ以外にダメージを負ったやつらは速い動きができなくなっていた。

 

「『ファルコン・ツイン・クラッシュ』!!」

 

両手から隼の形をした大きな気弾を放つ。

その速度は今までのどの技よりも速く、ケガをしていた奴らに容赦なく直撃する。

ピクピクと動いているがそれで終わらせることはない。

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

その一撃でほとんどのカナッサ星人が包まれる。

その一撃が終わったころには残っているカナッサ星人は初めの半分を割っていた。

 

「まだまだ、おねんねには速いぜ!!」

 

そう言って一際大きな『アルバトロス・ブラスター』を撃って念入りに灰も残さないようにする。

一息ついたころにはカナッサ星人の姿は消えていた。

 

「やはりサイヤ人は恐ろしい民族だ、あの時に根絶やしにされていれば……」

 

俺が降り立ってから声を発する奴がいた。

どうやらあの攻撃の嵐から逃れたようだな。

睨み付けてきやがるが、こちらは何食わぬ顔だ。

元はと言えば、お前らが売ってきた喧嘩だろうが。

 

降り立って早々襲撃されて憧れを貶められて、謂れのない恨みをぶつけられる。

戦力差のある一方的な蹂躙は好まないといってきたが、自分からはする気はない。

今回に関してはこいつらの私怨から被害を被りそうになった。

しかも抵抗しなくて追い詰められたら殺されていただろう。

 

最後の抵抗という様に拳を俺に打ち込んできた。

頭痛が一瞬したが一体何を俺にしたんだ?

 

「トオロ様のようにはいかないが、お前もまたあのサイヤ人の様に未来に悩まされるがいい」

 

この言い方だと恐らく未来視をするようになる拳を撃ち込まれたか。

そう言った長老の首を引きちぎって家も何もかもを気弾で壊して、全てを更地にしていった。

一度は終わった民族、ここで終わっても結果は一緒だ。

頭が冷えてから思ったが、あのプツンとした音が聞こえてからの漲るパワーは何だったのだろう。

もしかすると理性がある状態での中途半端な超サイヤ人に近い状態だったのかもしれない。

 

俺は自分が簡単に感情の壁を越えてしまった事に驚きを。

そして殺し尽くした罪悪感を覚えながら、人の気配が全く無くなったカナッサ星から去っていった。




今回のプッツンからのパワーアップは悟飯と同じ現象です。
ただ悟飯と違って一瞬ではないからどちらといえば超サイヤ人寄りな感じですね。
今回は戦闘力が全然足りていないのでそんな事になりませんでしたが。
指摘がありましたらお願いします。

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