とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今週であっさりと第4宇宙が消えました。
破壊神越えの2人目の期待がなくなってしまい辛いです。
敗者復活枠というご都合を考えて落としまくろうかなと思いました。


『絶望の宇宙』

「無駄だ、俺には勝てぬ!!」

 

ケールの拳を受け止めてカウンター。

それを首を動かして避ける。

だがそう易々とは逃さない。

肘を曲げて後頭部を掴んで引き寄せる。

 

「まだまだ!!」

 

掴んでいた腕を力任せに引き剥がす。

そして前蹴りを打ってくる。

それを腕を交差して受けとめる。

 

「なかなかやるが……」

 

受け止めた足を掴んで地面へ叩きつける。

逆の方に振り上げる。

 

「ぬおお!!」

 

振り上げられた瞬間に力づくで抜け出すとくるりと回る。

そのまま蹴りを繰り出してきた。

 

「ぐあっ!!」

 

後頭部を蹴られてよろめく。

一撃を大事にしないと、連続攻撃が必ずいいってわけでもない。

 

「まあ、勝たせてもらうがな」

 

淡々とした運び方をすればいい。

隙を見せずに、相手の隙が生まれた時にだけ苛烈に。

 

「冷静に戦うのがいい」

 

相手の攻撃を受けながら、隙を見つけに行く。

実戦経験の差もある。

ましてや慣れない状態の超サイヤ人4。

そう長い時間、居られるわけはない。

 

「血気盛んとは言い難い戦い方だ」

 

フェイントを多数交えながら相手の様子を見ている。

普段の性格から相手に合わせに行くことを狙っている。

動いた方向の死角やあまり動いていない当てられる場所を狙っている

 

「あえて動かなければ……」

 

フェイントの意味を成さずに正面突破。

もしくは後ろをとるために旋回、跳躍。

 

「はっ!!」

 

気弾で勢いをつけて殴りに来る。

その拳を掴んで締め上げていく。

 

「ぬぐぐ……」

 

力づくで剥がそうとするが甘い。

このまま腕を折ってやる。

そう思って力を込めた。

 

「がっ!?」

 

だが、次の瞬間、後ろから衝撃を与えられる。

無防備な所からの一撃ほど効果的なものはない。

 

「悪いな、おっさん」

 

掴んでいた拳を離して膝をついてしまう。

不意打ちとはいえどこうも簡単に体勢を崩すとは……

 

「流石に超サイヤ人4が二人は無理だろう?」

 

確かにその通り。

割かし同じ系統であったせいで、実力が勝っていても強靭な肉体。

気の消耗や疲れは並の超サイヤ人4に比べれば格段に違う。

 

「だが、素直に落とされる俺だと思うか?」

 

そう言って二人ごと抱えて『アルゼンチンバックブリーカー』の体勢に整えるとそのまま地面へ叩きつける。

ダイナミックに二人まとめて倒してやる。

 

「立て、これが宣戦布告ってものだ」

 

起き上がってこない相手にエルボードロップを叩き込むというのもいいが、それではつまらない。

それに隙だらけになってしまう。

 

「ぐぐぐ……」

 

カリフラが先に立つ。

そしてこっちに突っ込んできた。

 

「シャアアア!!」

 

速度はある。

しかし力強さではケールの方が上。

一長一短のコンビだな。

 

「そら!!」

 

腕を掴んで上空へ放り投げる。

それを跳躍で追い越すと……

 

「『オメガ・ブラスター』!!」

 

気弾をモロに喰らわせる。

その一撃は腕を交差して耐えるが落ちていく。

途中でまだ技を放つために、気弾を推進力に変えてカリフラよりも地面に近づく。

 

「どりゃああ!!」

 

頭突きで突き上げていく。

呻いて落下するカリフラ。

その落下に対して照準を合わせ……

 

「『ギガンティックツイスター』!!」

 

弩級の一撃でまたもや空に舞い上がり、落下する。

地面に叩きつけられて動いていない。

俺もそれを追って地面に着地する。

ケールが立ち上がろうとする中、とどめを刺しにいく。

 

「いくぜ、『ギガンティックミーティア』!!」

 

頭を掴んで気弾を使い、さらに叩きつける。

その一撃はカリフラを超サイヤ人4から戻すほどのダメージ。

死んではいないから掴んで場外へ放り投げようとする。

 

「させないんだから!!」

 

しかし、ケールから繰り出されたショルダータックルを喰らって、カリフラを取り落とした。

ケールがこっちへ敵意をむき出しにして向かってくる。

 

「姐さんの分も戦う!!」

 

そう言って力が増した一撃。

誰かを思う事で殻を破っている。

 

「俺も第7宇宙の脱落したやつの分、参加していないやつらの分も背負って、戦っているのだ!!」

 

そう言って近接距離からで互いが見合う。

こちらが先に動いて蹴りを繰り出す。

それを跳躍でかわし、踏み台にして膝蹴りを顎に放ってくる。

 

「なんの!」

 

両腕で挟む形で食い止める。

しかしそれを見越しての延髄切り。

 

それを回避しようと頭を下げる。

かわし切ったが相手も脱出をしていた。

 

「やるな」

 

素直な賞賛を述べる。

ケールが構えてこっちを見てくる。

 

「かっ!!」

 

爆発的な速度で距離を詰めて技を繰り出す。

さっきのように相手に合わせる事以外にも、積極的な心に目覚めている。

 

「『ガルガンチュア・マシンガン』!!」

 

一つ一つの威力は落ちるが連射してくる蹴り。

とはいえど普通の戦士の必殺技の威力程はある。

 

「ぬんっ!!」

 

だが俺には通用しない。

持ち前の頑丈さを活かし腹筋で食い止める。

そのまま前進で威力が乗る前の蹴りにして受けきってやる。

 

「『ガルガンチュア・ブレード』!!」

 

踵落としを放ってきた。

こちらの意識を前方に向けておきながらの上からの一撃。

見事なタイミングだ。

 

「あぐっ……」

 

こっちが受けた拍子に少し足がよろめく。

すぐに体勢を立て直すがあえて、もたつくようなそぶりを見せた。

するとそれを見たケールが力を込める。

 

「スゥウウウ……」

 

深呼吸をして大きく振りかぶっていく。

今、この状態が誘われているとはつゆほども思っていない。

実戦経験の浅さからか、まだまだそう言った部分が甘い。

 

「『ガルガンチュア・ハンマー』!!」

 

振りおろしの一撃。

ケールがどう来るか予測していた。

このような一撃を待っていた。

 

「ハアッ!!」

 

カウンター一閃。

拳を繰り出した死角から顎を射抜く一撃。

熱くなりすぎたが故に相手も分からなかった。

 

「う……あ…」

 

顎に喰らったケールが膝から崩れる。

そして一気にフィニッシュへ持っていく。

 

「はあ!!」

 

膝から崩れそうになったケールをアッパーで起こす。

そして蹴りをこめかみに。

左肩と右肩に拳。

ラッシュを放って徐々に相手の身動きできる範囲を奪う。

 

「落ちろ、『ギガンティックジェノサイド』!!」

 

手のひらを腹に当てる。

最大の技でケールに攻撃を放つ。

 

「うああああ!!」

 

気弾がケールに襲い掛かる。

頑強な肉体と言えども俺の最大奥義。

そう簡単に耐えきれはしない。

あれだけのラッシュで体の動きが鈍くなっていれば、どうしようもないだろう。

 

「ケール!!」

 

起き上がったカリフラが体を動かすが無情にも届かない。

ケールが場外へ落ちていく。

それを見てカリフラの様子が変わっていく。

 

「うぉおお!!」

 

仲間を落とされた怒りからかとてつもない爆発力で気が吹き上がる。

失敗したな、同時に落とすのが正解だったか。

 

「だりゃあ!!」

 

迫ってくる拳を避ける。

しかし風圧か、衝撃波か。

僅かに体勢を崩される。

 

「絶対に落としてやる!!」

 

速度が上がっていく。

防御をすり抜けていき、腹部へ一撃を喰らう。

 

「がっ……」

 

内容物が押し上げられていく。

そしてこめかみに衝撃がはしる。

 

「ぐおっ……」

 

体勢が崩れていく。

だが踏ん張って構える。

だが視界がおかしい。

 

「オラァ!!」

 

声が聞こえる方向へ体を動かして防ぐ。

こめかみから流れる血が瞼から垂れていたのだろう。

赤い視界と眼が血で塞がって死角を作り出していた。

 

「ハアアッ!!」

 

死角から集中攻撃を浴びせてくる。

戦い方としては理にかなっている。

 

「だらぁ!!」

 

反応がどうしても遅れる。

そんな中、逆の瞼も切れてしまう。

こうなったら……

 

「もうお前を目で追いはしない」

 

拭う暇も与えないだろう。

だったらこの状態で打開する。

 

「そこだ!!」

 

目を瞑って研ぎ澄ませた感覚。

それに身を任せてみた。

あの人のような境地ではない、ただ言えるのは野生の勘に近いもの。

 

「なっ!!」

 

声も変わっていない。

つまり間違えてはいない。

腕を掴んで捕まえる。

 

「離さんぜ、『ギガンティック・カタストロフィー』!!」

 

自爆覚悟。

これ以上の戦いはこのコンディションではできない。

絶対にこいつだけは落とす。

腕を掴んで無防備になっていたカリフラに喰らわせるのは気弾の中でも最大の威力を誇るもの。

この零距離ならば、かなりのダメージになっただろう。

気の爆風が血を拭い、視界が良好となる。

しかし体は疲労感があった。

 

「があああ!!」

 

その中を意地で突っ切ってきた。

白目をむいているのを見ると、半分意識が持っていかれているだろう。

喰らわせたはずだがしがみついてくる。

 

「ぬぉおおおお!!」

 

そして抱え上げられた。

相手の息の荒さから考えて無理をしてでも倒すつもりか。

 

「喰らいやがれ、全身全霊の一撃をー!!」

 

振りほどけないほどの力。

その一撃は計り知れるもの。

自分も大技を使って疲労も溜まっていた。

もはやこれまでという確信さえあった。

 

「だりゃああ!!!」

 

計算のわずかな綻び、そして昔の俺のようなぎらぎらとした闘争心がカリフラに有った事。

その二つの主な理由が俺を敗北に導いた。

地面に叩きつけられるとその箇所が崩落する。

力を使い切った俺は体勢を立て直せずに、徐々に落ちていく。

跳躍しても掴むところがないだろう。

 

「ケールのおかげだ、これは2人で勝ち取ったもんだ!!」

 

そう言ってカリフラがガッツポーズをとる。

そんな隙だらけの今ならば……

 

「ハアアアッ!!」

 

特大の気弾を放つ。

それをカリフラが避けてニヤリと笑う。

 

「……こっちができる事は全部やった」

 

それは負け惜しみでも何でもない。

ケールを落とした時にこの状況を察することができなかったのは軽率だった。

しかしケールを落としたことで無駄な脱落ではない。

それにあの気弾がどういった意味があるのか、理解できていないようだ。

まあ、苦肉の策でしかない。

伸るか反るかの大博打を打っただけの話だ。

 

.

.

 

「私は今、気が立っているのよ」

 

第2宇宙の戦士、第3宇宙の戦士、第4宇宙の戦士が一人ずつ。

囲むようにしている。

 

「今なら見なかったことにしてあげる、去りなさい」

 

しかしそう言って消えるような相手ではない。

一気に三人とも、向かってくる。

だったら相手をしてあげるわ。

凄惨な末路になるけれどね。

 

「貴方達に技なんて不要!!」

 

相手の姿が全く見えていない。

どうやら透明人間のようだけど……

 

「空気を割く音に頼ればどこに居るのか一目瞭然!!」

 

拳を出してきた相手の腕をとってそのままへし折る。

呻いている間に足をへし折って身動きをとれないようにしておく。

芋虫のように這っている状態、痛みで痙攣を起こす。

相手が姿を現したがもはや無駄だ。

 

「まずは一人…」

 

投げて落とす。

そして次の相手には首を絞める。

チョークスリーパー。

相手はもがくこともできずに三秒足らずで失神した。

 

「二人……」

 

投げてまたもや落とす。

瞬間移動の使い手が残っているのね。

少しは楽しめそう。

 

「自分の愛する宇宙にサヨナラでも言いなさい」

 

そう言って後ろをとる。

それを見た相手も瞬間移動をする。

だが……

 

「そこ!!」

 

裏拳を掠らせる。

相手は瞬間移動で回避をする。

しかし……

 

「……右」

 

そう言って振り向いて蹴りを放つ。

それは浅い形だが相手に当たっていた。

 

「くっ……」

 

またもや消える。

よく格闘技で弱い奴が強い奴の周りを回っていくって言葉があるけれど。

今の相手はそれに当てはまっているわね。

 

「……上」

 

死角に入り込むのが使い方としてポピュラー。

そして効果が高い。

しかしそれはつまり……

 

「対策はもう存在しているのよ」

 

死角だと思われる場所に先回りをする。

そうすれば相手がどこから来るかの予想など簡単なものである。

 

「落ちなさい」

 

そう言って叩き落す。

その勢いでバウンドをしていくが死んではいない。

 

「がはっ……」

 

こちらも降りて相手を見る。

相手は焦燥感がにじみ出ている。

無理もないだろう。

自分の技が通用しないし、実力差は歴然。

どうあがいても勝ち目はない。

 

「さ……落ちてもらうわよ」

 

そう言って蹴り落とそうとする。

振りかぶって足を振りぬいていく。

間違いなく落ちるはずだ。

だけれども……

 

「……あれ?」

 

蹴りがすり抜けている。

目の前にもいない。

すなわちこれは……

 

「落ちろ!!」

 

瞬間移動で避けてその体勢からの硬直で落とすつもりだったようね。

確かにいい方法だわ。

でも一つ誤算があった。

それは何かというと……

 

「残念だけど、私もできるのよ」

 

相手にはできないという思い込みだ。

飛びついたはずの姿が目の前から消える。

そして後ろから声がする。

そう感じた相手が振り向きざまに驚愕の視線をこちらに向ける。

しかし体は宙を舞っていた。

 

「『瞬間移動』」

 

その顔を浮かべるよりも前に貴方を蹴り落としたからよ。

これでお終いね。

 

.

.

 

「ついに全員脱落の宇宙が出てきてしまいましたか」

 

それでは全王様にお願いしましょう。

私は息を吸い込んで言葉を放つ。

 

「第2宇宙、選手10名が全員脱落いたしました」

 

芝居を打つのは大好きですがね。

出来れば全宇宙から1名は出てほしかったです。

 

「よって、第2宇宙……消滅です!!」

 

全王様が手を掲げる。

そして、光に包まれて第2宇宙は消えた。

しかし天使には宇宙を見るとその虚偽がわかる。

その為、杖での透視などもできないように細工をしておいた。

 

「皆様、引き続き戦いに勤しんでください」

 

そう言って頭を下げて私はこの戦いに再び視線を戻すのであった。




第2宇宙:10名脱落
リブリアン(ガタバル),カクンサ(ガタバル),ラパンラ(ガタバル)
ビカル(ピオーネ),ロージィ(ピオーネ),ジーミズ(ピオーネ)
ハーミラ(ベリー),ザーブト(悟空),ザーロイン(サラガドゥラ),プラン(ベジータ)

第3宇宙:9名脱落
コイツカイ(悟空),ニグリッシ(悟空)
ボラレータ(バーダック),ナリラーマ(ヒット),
ザ・プリーチョ(ガタバル),パンチア(悟飯),パパロニ(ピオーネ)
ビアラ(ベルガモ),マジ・カーヨ(ジレン)

第4宇宙:7名脱落
ガノス(バーダック),マジョラ(バーダック)
ダーコリ(亀仙人),キャウェイ(亀仙人)
モンナ(キャベ),ニンク(サラガドゥラ),ガミサラス(ピオーネ)

第6宇宙:7名脱落
フロスト(ジレン),ドクターロタ(ジレン)
ボタモ(悟飯),マゲッタ(ピッコロ),ケール(ブロリー)
ベリー(ディスポ),キャベ(トッポ)

第7宇宙:4名脱落
亀仙人(ジレン),ピッコロ(ジレン)
ブロリー(カリフラ),悟飯(バーダック)

第9宇宙:8名脱落
ホップ(フリーザ),コンフリー(フリーザ)
ベルガモ(ジレン),ラベンダー(ジレン)
オレガノ(バーダック),チャッピル(ガタバル),バジル(ベジータ)
ローゼル(サラガドゥラ)


第10宇宙:8名脱落
ジラセン(ブロリー),リリベウ(ブロリー),ジルコル(ブロリー)
ザマス(ガタバル),ナパパ(ガタバル)
ムリサーム(フリーザ),ジウム(フリーザ)
メチオープ(悟飯)

第11宇宙:8名脱落
カーセラル(カリフラ),ゾイレー(カリフラ),ケットル(カリフラ)
タッパー(ケール),ブーオン(ケール),ココット(ケール)
クンシー(バーダック),ディスポ(ベリー)

現時点:61名脱落
残り19名
撃墜数
7人:ガタバル,ジレン 6人:バーダック 5人:ピオーネ
4人:カリフラ,フリーザ,ブロリー
3人:ケール,悟空,サラガドゥラ,悟飯
2人:ベリー,亀仙人,ベジータ
1人:キャベ,ヒット,ピッコロ,ベルガモ,ディスポ,トッポ

指摘などありましたらお願いします。

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