とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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いきなり原作とは違う流れにもっていっています。
原作みたいに第9宇宙の即消滅もありません。
考えた結果、第6宇宙の2人のサイヤ人のポタラは無しにしました。


『言葉の薄さ、年月の厚さ』

「行くわよ、カクンサ!!」

 

そう言って攻撃を仕掛けてくる。

一文字違いだが苛立つな。

野獣の状態になり攻撃を仕掛けてくる。

 

「くっ!!」

 

回避をするが肉体に委ねても四方八方は面倒。

まだ完全な習得ではない。

この戦いの中での目覚めがカギを握る。

 

「はあ!!」

 

突き攻撃をしてくるもう一人の女。

そしてもう一人の太めの女が弓矢を放つ。

遠距離と近距離の攻撃が見事に噛み合っている。

 

「フンッ!!」

 

跳躍をして回避をする。

しかし次の瞬間組みつかれて上昇していた。

翼を持つ相手だったとはな。

 

「『愛の螺旋』!!」

 

解く間もなく高速落下。

錐揉み回転で叩きつけられる。

さっきザマスにやったように威力が高い。

超フルパワー超サイヤ人4の耐久力で防ぐ。

しかし、片膝をついてしまう。

 

「やるじゃあねえか」

 

少なくともダメージはある。

4人がかりとなるとどうしたものか。

勝てるとは思うが……

 

「無傷は都合のいい発想だな」

 

現に一撃喰らっているし。

四方に囲まれた場合は各個撃破。

じりじりと間合いを詰めていく。

 

「ハアッ!!」

 

後ろからカクンサが仕掛ける。

攻撃をひょいひょいと避けていく。

この次のアッパーで腹部にカウンター。

 

「カクンサだけじゃないわよ、『愛の突進』!!」

 

そのプランを崩そうと攻撃を仕掛けてくる。

まさかこいつら……

 

「自分たちだけしか協力しないとでも思ってたのか?」

 

そう言ってしゃがむ。

その次の瞬間、突進していた相手が蹴り飛ばされる。

バウンドをしてこっちに向かってくるから避ける。

 

「なんで!、方向も見ないでこっちに集中していたはずなのに!?」

 

全く……こいつらだけの専売特許じゃあない。

それも分からないのか。

まあ、こそばゆいからお互い言葉にはあまりしない。

 

「見なくても分かる」

 

来るというのがわかっていた。

千里眼でもない。

危機だから来るだろうなどという甘えからではない。

ただ純粋に信じている。

 

「リブリアン!!」

 

蹴り飛ばされた奴を助けに行くヤッチャイナー拳の使い手。

そいつの腕を掴み放り投げる。

当然方向は決まっている。

 

「『エレクトリック・パレード』!!」

 

電撃の奔流に呑まれていく。

死にはしないが落ちようとしていた。

 

「ロージィ!!」

 

翼を持った奴が助ける。

こいつを最優先か?

 

「また、見もしないで……」

 

見もしないで攻撃がつながったりすることがそんなに不思議だろうか。

お前らは合図なしではできないのか?

 

「あの子の考えること、危機なんてわかるわ」

 

風が運ぶように。

虫の知らせのように電流が走る様に俺にもわかる。

何故か?

それは互いが深くまで理解してきたから。

言葉を交わさない阿吽の呼吸。

 

「言っていなさい!!」

 

後ろから掴んで俺達を鉢合わせをさせるように投げる。

それを見てニヤリとするが甘い。

 

互いに目を見合わせる事もない。

だが腕を絡ませあう。

そしてそのまま互いにくるりと回ってドロップキックを放つ。

 

「キャッ!!」

 

相手は二人とも吹っ飛ぶ。

ピクリと予感がする。

ピオーネに目配せをする。

するとこちらを察して頷く。

次の瞬間、高く跳躍をする。

 

「えっ!?」

 

相手が向かっていたのだ。

その攻撃も回避してフライング・ボディアタックで迎撃。

言葉を一言も交わさず。

俺達は目で会話をする。

その攻撃や防御の際に出る呼吸で会話をする。

これは年月が生んだ一つの技。

この俺達の技を形成した日々こそがお互いを思いあい、手を取り合ってきた『愛』の証明。

それに比べればお前らの言う『愛』なんてもの…

 

「ちっぽけであまりにも薄っぺらい」

 

そう言ってポケットから指輪を取り出す。

薬指につけて見せつける。

それを見たピオーネはにやりと笑ってつけていた。

しかしルール違反にならないようにすぐにポケットに入れなおす。

 

「さあ、言葉がなくても連携できて当たり前」

 

そう言ってピオーネの肩に手を置く。

それを肯定するように手を握る。

 

「今からさらに妙技を見せてあげるわ……」

 

そう言ってカクンサに向かうピオーネ。

ロージィと俺が戦う。

リブリアンとビカルという奴は適宜対応だ。

 

言葉もなく攻撃をやり取りする。

ヤッチャイナー拳というがそれより重い攻撃で拳を砕く。

蹴りも距離を詰めて威力を半減。

 

「きゃあ!!」

 

腕をとり振るように投げる。

ピオーネが同様の動きをしていたので鉢合わせとなる。

相手が呻いている間に足を掴み、上空へ放り投げる。

それに呼応するようにピオーネも飛んでいた。

術ではない跳躍なので問題は特にない。

相手を『アルゼンチンバックブリーカー』の状態に担ぎ上げる。

すると相手の体勢を地面に下敷きになるようにしたのだ。、

結果としてはカチカッチン鋼の地面に思い切り叩きつけられたロージィは気絶。

そのまま放り投げられて場外により脱落。

 

「ロージィ!!」

 

心配しているカクンサを掴んで上空へ跳躍。

『キャメルクラッチ』の体勢のまま、落下時に縦回転を加える。

背骨を折るのではなくノックアウトさせるために。

 

「う…あ…」

 

地面に勢いよく叩きつけられてカクンサも気絶。

そのまま場外に投げる。

これで二人目。

エンジン全開。

体が武者震いで絶好調だ。

 

「『愛の突進』!!」

 

その一撃に対して顔面を蹴る。

さらにピオーネから追撃のエルボー。

返す刀でビカルをバックドロップで投げる。

しかし跳躍した瞬間、察知をして体を滑り込ませてピオーネの腰に腕を回す。

二人分の体重を抱えるが勢いをさらに強めるように、俺の投げを加える。

 

「あ……あ……」

 

背中をしたたかに打ち付けてもはや勝ち目無しと悟ったのだろう。

さっきまでキラキラしていた眼は暗くなっている。

自分たちの敗因でも探っていたのか、こっちに顔を向ける。

 

「愛とは何?、恋とは何?」

 

息も絶え絶えにリブリアンとビカルが聞いてくる。

愛や恋の違いも知らずに騒ぎ立てていたのか?

答えとしては千変万化なんだがな。

俺とピオーネにとっての愛とは……

 

「寄り添うものであり長く歩むという夢を見るもの」

 

その言葉にピオーネが頷く。

そしてリブリアンたちのもう一つの問い。

これはよくわかるはずだ

 

「「恋とは……」」

 

リブリアンへ近づいていく。

ピオーネも同じようにビカルに近づいていく。

 

「恋とは?」

 

そんなに早く問いの答えを聞きたいのか、意欲があるのか。

ズイズイというように近づいてきた次の瞬間……

 

「えっ?」

 

リブリアンが素っ頓狂な声を上げる。

蹴り飛ばしていたからだ。

リブリアンが場外に弾き出される。

隣にいたビカルも飛ぶことができないように気絶させるような蹴りをやられていた。

 

「「落ちるもの」」

 

同時にその言葉を言っていた。

その言葉を最後に第2宇宙の精鋭が合計4人。

俺とピオーネの手で落ちていた。

 

.

.

 

「どうした、ジレン?」

 

トッポが俺が動くのを見て声をかける。

なんてことはない。

あの男との戦いが必ずあるだろう。

瞑想だけでなく体を熱くさせておく必要がある。

 

「少し落としてくる」

 

そう言って俺はまずは気の赴くままに向かっていく。

誰かを狙う必要はない。

 

「むっ……」

 

水を差しかねない危険な香りを感じ取った。

これは残しておいては危ない。

 

「ホホホ……犬さんも大したことないんですねえ」

 

薄い黄土色の獣人を一方的に嬲っている。

落とせばいいものを。

 

「ぐぐぐ……」

 

立とうとした所を尻尾で締め上げる。

そして手を背中に突き刺す。

 

「ぐあああ!!」

 

呻いて抵抗を試みるも無残に攻撃を受ける。

奴は放置しては良くない。

 

「ほらほら、抵抗してごらんなさい!!」

 

そう言って振りかぶった手を握る。

相手が振り向く時に顔に拳を叩き込んだ。

 

「ぐあっ!!」

 

吹っ飛んだ相手を無視して獣人の方を落としてやる。

これ以上の試合の続行は不可能。

よしんば続けても死んでしまう。

この判断が最適だろう。

 

「私の獲物をよくも……」

 

どうやら怒っているようだな。

嬲る存在だったはずだが?

俺のみ間違いだったか。

 

「抵抗できないものを獲物と呼ぶか?」

 

ただ、聞かないと分からない。

こちらの問いに答える気も無いようだ。

邪魔をされたからか、体が震えている。

 

「このフロスト様の楽しみを奪った分はお前で補填させて貰うぞ!!」

 

名前は分かった。

覚えておこう。

相手の攻撃に対して構える。

 

「ぐはっ!!」

 

相手が勝手に弾かれる。

しまった、集中をして気を張り巡らせていたからバリアが出来ていたようだ。

 

「まあ、いいだろう」

 

体を動かすのにこれでは本末転倒だ。

少し肩を回してフロストの攻撃を待つ。

振るってくる拳を見て少し落胆した。

実力の差だろう。

止まって見えるのだ。

 

「遅い……」

 

拳を掴んで引っ張る。

その引っ張りでこっちの間合いに来た相手に裏拳を放つ。

 

「ぐえええっ!!」

 

何度もバウンドをして吹っ飛んでいく。

場外ギリギリで踏みとどまる。

 

「毎回、それほど派手に吹き飛ばれても困るんだが」

 

攻撃がつながらない。

これでは体を温めようと思っても存分に温まらない。

 

「貴方が強すぎるだけの事でしょうが!!」

 

蹴りを受け止める。

こいつにとって俺は強すぎるのか。

だが、俺はまだ……

 

「半分も出していないぞ」

 

その言葉にフロストが青ざめる。

もう、俺はこの男には期待はしない。

もう少し探さないといけない。

 

「フンッ!!」

 

足を掴んだまま振り回す。

そしてしばらく回してから放り投げて場外へと落とした。

 

「次の相手はお前か……?」

 

不定形な存在。

水の肉体を持つ相手。

 

「俺の名前はマジ・カーヨ、第3宇宙の戦士」

 

そう言って水の腕をハンマー状にして殴ってくる。

腕を交差して受け止める。

 

「無駄だ!!」

 

水の体積を増やし重量を上げていく。

このままでは地面に体がめり込む可能性がある。

 

「むざむざと放置しないがな」

 

体積が増えていない脇下に手を差し込んで持ち上げる。

どうやら攻撃の無効はあちらが攻撃に転じている際はできないのだろう。

 

「フッ!!」

 

脇からもち上げて転がす。

地面には叩きつけられずに二度転がるのみ。

だが十分だった。

 

「吹き飛べ」

 

立ち上がった瞬間。

その時に風を起こすように拳を振るった。

相手に逃れる隙も与えない無慈悲な動き。

 

「なっ!?」

 

驚愕した顔をしり目に一陣の風が吹く。

しかし数瞬後、まだ武舞台から落ちていない相手の姿があった。

 

「形を変えて、拳圧に吹き飛ばされないようにしたか」

 

地面に食い込むように棘を下に出していた。

それでこっちの拳の風を耐えきったのだ。

しかしその顔には恐怖が染みついていた。

 

「やはりお前も俺が強いと感じているのか?」

 

その言葉に無言になる。

肯定と受け取る。

つまり一握りの相手しか、俺の体は温まらない。

 

「分かっていたがな」

 

棘が食い込んでいようと関係は無い。

奴が風で吹き飛ぶようにとてつもない速度であれば形を整えるよりも速く叩き込める。

 

「フンッ!!」

 

腹にめり込み棘ごと引っこ抜かれて吹き飛んでいく。

驚愕の顔のまま落下していく。

これで二人目。

未だに体に熱を感じない。

 

「残念だ」

 

争いの中、相手を見定めて俺に熱を持たせる相手を探すか。

そう決意をして、ゆっくりと戦場の中心部へと歩を進めていくのであった。




第2宇宙が消滅危機のトップに躍り出た模様。
そしてジレンが原作と違い、自分から動いてウォーミングアップするという恐怖の行進。

前回と今回の脱落()内は落とした人間

第2宇宙:
リブリアン(ガタバル)、ロージィ(ピオーネ)
カクンサ(ガタバル)、ビカル(ピオーネ)
第3宇宙:マジ・カーヨ(ジレン)
第6宇宙:フロスト(ジレン)
第9宇宙:ラベンダー(ジレン)
第10宇宙:ザマス(ガタバル)

残り人数:72名

指摘がありましたらお願いします。

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