我が名は天駆ける蠍アンタレス!   作:伊 号潜

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おかしい点やアドバイス、またリクエストなどは大歓迎なので感想ページにどんどん書いてください!(むしろその方が捗る....ボソ)

  ....と、いうわけで第5話をお楽しみください!


第5話 __脱出!....囚われたウィッチ!?__

「....ッ!」

 

「どうした?」

 

アンタレスは窓の外にロープが垂れ下がる瞬間を目にした、その様子を見て阪本が後ろを振り返る

 

「....ロープ?」

 

阪本が垂れ下がるロープに気づく、上に何かあるのかヒラヒラと揺れている。次の瞬間

 

「な!?」

 

「....ッ!!」

 

突如二人の人影が窓の外に現れた。窓拭き係ではない、明らかに戦闘員だった。

アンタレスはとっさに机の下に隠れる

 

ガシャアァァァン!

 

「きゃあ!」

 

「くっ!」

 

アンタレスが机の下に潜った直後二人の戦闘員がふりこの様に勢いを着け窓を蹴り破る。突然のダイナミックお邪魔しますに、坂本はともかくミーナやバルクホルンは何が起きたのか理解するのが遅れる

 

「動くな!」

 

「なんだお前達は....?!」

 

二人の戦闘員がミーナとバルクホルンに銃を向ける

 

「この....ッ!」

 

阪本が刀を抜こうとする、が

 

「動くな」

 

「貴様....!」 

 

アンタレスは懐に隠してあった拳銃を構えて阪本に向ける。制圧が完了した

 

「アンタレスですね?」

 

「SEALsか?」

 

「自己紹介をしている暇はありません。行きましょう!」

 

「あぁ」

 

『ミーナ中佐!大丈夫ですか!?』

 

扉の向こう側から数人の兵士が扉を叩いている、正面から出るのは不可能だ

 

「外は兵士がいる」

 

「どうするんです?!」

 

「飛び降りるぞ!」

 

「え?」

 

アンタレスの言っていることに対しSEAL隊員が抜けた返事をした直後、アンタレスは二人の隊員の手を掴み先程蹴り破られた窓から飛び降りた

 

「行けえぇぇ!」

 

「うわぁぁぁぁ!」「無茶だぁぁぁ!」

 

SEAL隊員の悲鳴にも聞こえる叫びが窓の下に消えていく

 

「バカかアイツら!?ここは五階だぞ!」

 

ミーナとバルクホルンと阪本が窓の下を覗きこむ、下にある屋根には大きな穴が空いていた

 

「待って、この下って確か........ッ!?」

 

ミーナは穴の空いている場所を見て何かに気がついた

 

 

 

「い、ってぇぇ~」

 

あの高さから飛び降りたハズなのにアンタレス達は無傷だった。 

 

 って言うかコイツら体の構造どうなってんだ?....

 

「大丈夫か?」

 

「えぇ」

 

「屋根がほどよく脆かったお陰で....クッションになってくれましたよ」

 

「立てるか?」

 

「えぇ....一つ言わせてください」

 

「ん?」

 

「二度と"アンタ"の救助は引き受けませんからね」

 

「懸命な判断だ」

 

そう言うとアンタレスは、隊員の肩をポンと叩く

 

「ここは何処だ?」

 

「暗くて良く見えないな」

 

穴の真下以外は薄暗く良く見えない、SEAL隊員がライトを点け辺りを見回す、すると

 

「あ、あなた達は....」

 

「ッ!?」

 

そこには一人の少女が立っていた、銀色の髪のショートヘアーの少女だ

 

「だ、誰k....ムグゥ!」

 

アンタレスは助けを呼ぼうとした少女の口を塞ぎ、取り押さえる。

 

「静かにしろ!」 

 

「ムゥー!ムウゥー!」

 

少女も必死で抵抗するが、急旋回、急上昇、急降下のGに耐えるため訓練された戦闘機パイロットに敵う訳がない

 

「言う通りにすれば危害は加えない、わかったな?」

 

コクコク

 

『ここだ!』

 

すると外から兵士の声が聞こえてくる、段々近づいてくるのだ

 

「動くな!」

 

兵士が辺りを見回す

 

「居ない....」

 

アンタレスとSEAL隊員はギリギリのところで隠れた、少女の口を押さえながら。

隠れたと行っても内開き扉の後ろに隠れただけ、兵士が扉の後ろを見ればアウトなのだ

 

「それほど時間もたってない、しかもあの高さから飛び降りたんだ、そう遠くへはいけないハズだ」

 

「アホが、戦闘機パイロットナメんなよ....」

「SEALs隊員ナメんなよ....」

 

三人が無意識に言葉を発する

 

「今何か言ったか?」

 

「いや」

 

三人に緊張が走る、

 

「気のせいか....」

 

「とにかく西棟の方を探してみよう!」

 

「行ったな」

 

幸い兵士達は扉の後ろに隠れているアンタレスらに気づくことなく部屋を後にした

 

「格納庫に行きたい、案内してくれ」

 

アンタレスが少女に格納庫までの道を尋ねる

 

「こ、こっちです」

 

「行きましょう」

 

「あぁ」

 

四人は急いで廊下を進んだ

 

「この廊下を真っ直ぐ進んで、階段を下りた先です」

 

「ここか!」

 

アンタレスが少女を抱えながら廊下を突っ走り階段を駆け下り、廊下の奥にあるドアを勢い良く蹴り破る、しかし 

 

「ん?」

 

「あっ...」

 

その先は格納庫ではなかった、中には兵士が数人いたのだ。

SEAL隊員が外にある看板を見る、そこには

  『Security headquarters room(警備本部室』

と書かれている

 

双方状況を理解するまでしばらくかかった、空間に沈黙が広がる。そして

 

「いたぞぉぉぉ!いたぞぉぉぉお!」

 

某エイリアン映画並みの「いたぞぉ!」が響き渡る。

 

「ヤバイ!間違えた!」

 

「逃がすなぁ!」

 

数人の兵士が四人を追いかける

 

「軍曹!撃て!」

 

そう言われもう一人のSEAL隊員がおもむろにショットガンを抜き後ろに向かって二発を放つ

 

『グァ!』『ギャア!』

 

二発は見事に命中、おってきていた兵士の二人をダウンさせた

 

「おま!正気か?!」

 

アンタレスは少女を抱えながら驚いた顔で撃ったSEAL隊員を睨む

 

「正当防衛ですよ、正当防衛。それに....」

 

SEAL隊員がアンタレスにショットガンを投げ渡す、アンタレスはショットガンを受け取った。彼はその特徴に直ぐに気がついた

 

「これって.....」

 

「暴投鎮圧用のゴム弾です、たぶん死にはしません」

 

「"たぶん"言うの止めろ」

 

SEAL隊員が冗談?を言いながら説明する

 

「バーフォード中佐より、可能な限り敵兵力の殺害は避けよとの事でしたので」

 

「流石おっちゃん!でも....」

 

アンタレスは振り向き、二人の気絶した兵士を見てこう思った。(....痛いだろうなぁ)と

 

「こっちだ!」

 

四人はようやく格納庫にたどり着い、しかし

 

「機体が無い!?」

 

アンタレスの愛機であるSu-35が無くなっていた

 

「我々が来たときには既に何もありませんでしたよ」

 

アンタレスは辺りを見回す、そこであることを思い出す

 

「あのトラックだ!」

 

「え?」

 

アンタレスは今朝見たトラックの事を思い出したのだ

 

「今朝尋問の前にコンボイを見た!あれに違いない!」

 

しかし、今となっては追いかける術は無い

 

「居たぞぉ!」

 

「ッ!」

 

兵士がアンタレス達を発見する、アンタレスらは格納庫と直結した滑走路の方向へ走る

 

「撃て!逃がすな!」

 

一人の兵士が撃つよう指示する、しかし

 

「止めなさい!サーニャさんに当たるわ!」

 

ミーナが止めにはいる

 

「止まれー!」

 

阪本が怒鳴る

 

「止まれっ言って止まる敵は居ねぇんだよクソボケェ!」

 

そりゃそうだよね....

 

アンタレスらは滑走路の端まで来た。しかし、その先は海だ、逃げ場がない

 

「クソ!行き止まりか!」

 

「脱出方法は考えてんだろうな?」

 

「勿論」

 

「仕方がない....ここでやるぞ」

 

「了解」

 

するとSEAL隊員がおもむろにバックパックからハーネスを取り出した

 

「このハーネスをつけて」

 

「何する気だ?」

 

「良いから早く!」

 

SEAL隊員がアンタレスにハーネスを着ける、一人はバックパックから大きな風船の様な物を取り出し膨らませ始めた

 

「おい、それって.... 」

 

アンタレスは膨らむバルーンに見覚えがあった。

 

「よいしょっ」

 

「え、あっ」

 

作業の約半分が過ぎたところでアンタレスが少女を抱きよせ余ったハーネスを着け始めた。SEAL隊員もそれに気づく

 

「連れていくんですか?」

 

「無事に帰るための保険だよ」

 

四人はハーネスを着け終え、後はバルーンが膨らむのを待つだけだ

 

「そこまでだ!」

 

「ッ!」

 

追ってきていた阪本らがアンタレス達を取り囲む

 

「アンタレス、出来るだけ時間を稼いで」

 

「あぁ....」

 

後はバルーンが膨らむのを待つだけなのだ、時間にして約1分

 

「早く....早く!」「早く膨らめこのポンコツ!」

 

SEAL隊員は苛立ちを隠せない、バルーンは徐々に膨らみを増していく

 

「今すぐサーニャさんを解放しなさい」

 

「俺の機体はどうした?」

 

アンタレスは話を反らし時間を稼ぐ

 

「あなたの機体なら、しかるべき場所で保管してあります」

 

「今すぐ返してもらおうか」

 

「それは....」

 

ミーナの口がとまる、直後

 

「よし!気球上昇」

 

バルーンが勢い良く空中に放たれる、バルーンにはワイヤーが繋がれており、そのワイヤーはアンタレスらに繋がっている

 

「Dragon, this is shadow. Ready!」

 

《Rajah, this is dragon. standby》

 

SEAL隊員が何処かに無線をつなぐ、『ドラゴン』と言うコールサインがそれに答える

 

「コイツを返して欲しければ、まず俺の機体を返してからだ」

 

アンタレスもなんとか時間を稼ごうと必死だ

 

「そんな気球でどうするつもりだ?まさか飛ぼうと考えてる訳ではあるまい」

 

「どうだかな」

 

「何?」

 

その直後基地の後ろからかすかにエンジン音が聞こえてきた、音は徐々に大きくなって近づいてくる

 

「来るぞ!」

 

SEAL隊員が叫ぶ、基地の後ろ側からターボプロップの音がどんどん近くなってくる

 

「衝撃姿勢をとれ」

 

SEAL隊員二人はタンデムハーネスで繋がれ衝撃姿勢をとった。アンタレスも衝撃姿勢をとる。しかし、少女は何が起きるか把握していなかった

 

「おい!歯を食い縛れ!首に力いれろ!骨折れるぞ!」

 

少女は状況を理解できないまま言われた通りはを食い縛り首に力を入れる。

 

直後、基地の後方から四発のプロペラ機が出現した。細い翼に太い胴体、胴体左側には砲身らしき物が数本ある。"AC-130"だ

 

「な、何だ!?」

 

阪本達や兵士は見慣れない航空機に釘付けである。

航空機は真っ直ぐ突っ込んでくる、バルーンに衝突するコースだ

 

「まさか!?」

 

バルクホルンはバルーン目指して飛んでいく航空機を見てある予想をする。その数秒後、予想は的中した。

 

「あの気球を撃ち落とせ!」

 

バルクホルンが叫ぶ。しかし、もう遅い

 

「きゃあぁぁぁ!」

 

「ボンボヤァァジュ!」

 

航空機の機首に取り付けてあるVの字の装置にバルーンのワイヤーが引っかかる。

アンタレスと少女、SEAL隊員の二人はワイヤーに引っ張られ勢い良く大空に舞った。

 

「しまった!」

 

阪本が叫ぶ。アンタレスらを回収した航空機は高度を上げてどんどん遠ざかっていく。すると

 

「サーニャアァァァ」

 

「え、エイラさん!」

 

ユーティライネンがいつのまにかストライカーユニットを装着し凄まじい勢いで航空機を追いかける。

あれ....て言うかコイツ今まで何処にいた?

 

「私たちも追いかけるぞ!」

 

阪本達は急いで格納庫まで走る

 

 

AC-130機内

 

「ライン固定!巻き上げ開始!」

 

回収要員が機内にあるウィンチを動かしアンタレス達が繋がっているワイヤーを引き上げる。1分足らずで四人を機内に引き込んだ

 

「アンタレス、無事で何よりです!」

 

「コイツを頼む」

 

アンタレスはハーネスを外すと少女を要員に預ける、少女は抵抗する様子がない。

 

「航空機一機接近!」

  

一人の回収要員が叫ぶ、後方を見ると人形の何かが近づいてくる。良く見ると女だ

 

「人だ!」

 

「女だ!」

 

昨日の戦いで見たアンタレスはともかく他の要員やSEAL隊員は驚きを隠せない、女は凄まじい勢いで突っ込んでくる

 

「突っ込んでくるぞ!」

 

「ドアを!カーゴドアを閉めろ!」

 

すぐさま要員がカーゴドアの開閉レバーを倒しドアを閉じ始める。しかし間に合わなかった

 

「サァァァァァァニャァァァァァァ!」

 

「うわぁ!」

 

「ひぃ!」

 

足に飛行装置らしき物を装着した少女はカーゴ内に盛大に突っ込み機内にいた数人を巻き込みようやく止まった、幸い怪我人は居なかったが巻き込まれた数人は完全に伸びていた

 

「エイラ!」

 

「サーニャを返せ!」

  

『エイラ』と呼ばれる少女はアンタレスを指差し叫ぶ。しかし、アンタレスやその他の機内要員はあることに気づく

 

『丸腰?』

 

「え?」

 

エイラもその時ようやく自分が丸腰であることに気づく

 

「か、確保ぉぉぉ!」

 

結局彼女は呆気なく捕獲された

 

「一体何のために来たんだ、コイツ....」

 

「エイラ.....」

 

アンタレスと少女の呆れ声が機内に広がる

 

 

数時間後 ブリタニア.ロンドン連合軍司令部

 

ミーナはロンドンにある連合軍司令部にて三人の将校にこれまでの出来事について報告していた

 

「連れ去られた?」

 

「はい。アレキサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク中尉が、不時着した機体のパイロット、そしてそれを救出に来たと思われる謎の戦闘員に連れ去られました」

 

「また、それを追跡したエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉も、追ったまま戻っていません。恐らく....」

 

「我々も追跡を試みましたが、相手は高高度にて離脱したため、追跡を断念しざるを得ませんでした」

 

「貴重なウィッチを二人も連れ去られるとは....」

 

「申し訳ありません」

 

ミーナが頭を下げる、そこに

 

「まぁ、それはどうでもいい」

 

「ん?」

 

ブリタニア空軍大将であるマロニーが割ってはいる

 

「代わりに我々は貴重な資料を手に入れることが出来た」

 

「マロニー大将....」

 

「あの機体の技術があれば、対ネウロイ戦争の終結に大きく近づける。そう考えれば、ウィッチの一人や二人安いものだ」

 

「それはどういう意味ですか....!」

 

「マロニー空軍大将、流石にそれは言い過ぎではないかね?」

 

「我がブリタニアのウィッチならともかく、オラーシャやスオムスのウィッチだぞ。もしもの事があれば国際問題だぞ」

 

ミーナを含め三人がマロニーの発言に対し反論する

 

「おっと、勘違いしないでいただきたい....決して使い捨ての駒という意味ではない、勿論ウィッチの奪還が最優先だ」

 

マロニーは大のウィッチ嫌いで有名なのだ。彼の名前を聞けば悪い噂しか聞こえてこないほど

 

「連れ去られた場所の目星はついとるのかね?」

 

「はい」

 

「うむ....今の我々は人同士で戦うほど余裕は無いし、ましてやウィッチ二人が人質になっている状態だ。あくまで平和的に解決したい、相手の要求等は無かったのかね?」

 

「俺の機体を返せ....とのことです」

 

「なるほど.....」

 

マロニーはその言葉を聞いて何かを企むような顔になる

 

「一度会ってみたいものだな、そのパイロットと」

 

マロニーはニヤリと不気味に微笑んだ

 




__次回予告__
帰還を果たしたアンタレス、そしてアンタレスが連れ帰った少女たちの取り調べを進める内にバーフォードの仮説は事実となる
次回『我が名は天駆ける蠍アンタレス』
第6話
 
         _異世界_


お楽しみに!
※タイトルや内容は予告なしに変更する場合があります

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