我が名は天駆ける蠍アンタレス!   作:伊 号潜

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小説、しかも二次創作クロスオーバー物書くのがこんなに大変だとは思わなかったw
それでは第二話をお楽しみください!


第2話 __魔女__

大型ネウロイ上空

 

「今までの奴とは大きさも装甲も桁違いだぞ!」

 

バルクホルン大尉がMG42を乱射し弾幕を張る

 

「見えた!コアは前方だ、火力を集中しろ!」

 

その後ろで魔眼を使ってコアを探していた坂本少佐がコア発見した

 

「護衛機を何とかしないと!一機倒してもまた一機!キリがない!」

 

数十機は居るだろうか、小型ネウロイが親鳥を守ろうと無数の光線を放つ、バルクホルンも負けじと弾幕を張る。しかし....

 

「クソッ!弾切れだ!」

 

「こっちもか....」

 

弾丸は無限に有るわけではない、数分間に渡って撃ち続けた二人の機関銃の弾倉はついに底をついてしまった

 

「増援はまだなの?!」

 

ミーナが最寄りの基地に増援を要請したが距離が有るためなかなか来ない。ウィッチ達の魔法力も限界に近い

 

「トネール!」

 

ペリーヌは何とかこの状況を打開しようと電撃を放つ

 

「トネールが効かない!?」

 

しかし、運悪く今回のネウロイは電気に対して耐性があったのだ

 

「このままじゃ....」

 

「美緒!後ろ!」

 

「っ!?」

 

一機のネウロイが坂本に突進していく、刀を抜こうとする坂本だが到底間に合わない

 

もうダメだ!そう思った直後

 

「ッ!?」

 

突進してきたネウロイが突如爆発した。その場にいた坂本達は何が起こったのか理解が出来なかった。すると

 

「何!?」

 

次々とロケット弾が小型ネウロイに向かって吸い込まれる様に命中していく、そのほとんどがまるで意思を持つかのように方向を変えながら飛んでいくのだ。戸惑う坂本達、次の瞬間

 

《うわ、スゲェ数》

 

《コイツはヴァラヒアの航空隊より多いぜ》

 

《稼ぎどころだな》

 

《あぁ》

 

無線から聞き覚えのない声が聞こえてきた。男の声だった、一人はリべリオンなまりで一人は扶桑なまり、そしてもう二人はオラーシャなまりのブリタニア語を話している

 

「おい!その無線で話しているのは誰だ?!」

 

《ん?》

 

バルクホルンが無線に向かって怒鳴る

 

《誰ってそりゃ....》

 

()()()()()()()()()》》

 

直後、四機の見慣れない形をした航空機が雲の中から現れた。

背部は水色、青、赤の迷彩模様、腹部は真っ赤に塗装されている。翼はカールスラントが研究中の後退翼、プロペラはなく轟音と共に聞きなれないジェットの音を響かせながら凄まじいスピードで飛行していた。その垂直尾翼にはサソリのエンブレムが描かれている

 

「な....何だあの機体は.....」

 

坂本達は目を丸くしている

 

 

 

《おい!そちらの所属を述べろ!》

 

雲から出ると、今さっき無線から聞こえた女性の声がした

 

「ん?」

 

キャノピーの外を見ると四人の少女が空中に浮かんでいた

 

《何だ何だ?女が空飛んでるぜ》

 

キースが驚いたように言う、よく見ると四人の少女が足に装着している飛行装着と思われる物はボロボロで黒煙を吹いていた、一人は負傷しているように見える

 

「お前ら損傷してるな?後は任せて離脱しろ。ついでに墜とされたくはないだろ」

 

《なに?》

 

一人がこっちを睨みながら言う

 

《隊長、赤外線で見ると機体前方の中心部分に高熱源体が確認できる》

 

アレクセイが巨大航空機の機首を指差している、アンタレスは計器板左側のモニターをキャノピー前方にある赤外線追尾・レーザー測距装置に備え付けられたカメラに接続し赤外線モードに切り替え、巨大航空機の機首に向けた。そこには確かに熱源らしき反応が確認できた

 

《恐らくそこが機関部だ》

 

「了解した。3、4は雑魚をやれ。アレクは俺と一緒に来い、親玉をやるぞ」

 

《Yes Sir!》

 

《Да》

 

《了解》

 

アンタレス全機が一機にブレイクし攻撃態勢をとる

 

《やっぱり...》

 

ふとキースが何かに気づく

 

《隊長、奴が攻撃する直前にHUDやHMDに若干のノイズが走った。たぶん何らかの電磁パルス的な物が影響していると思う》

 

「何が言いたい?」

 

《奴がレーザーを放つ前にノイズが走る、だからソレを利用すれば奴の攻撃を予知できる》

 

キースが言った通り奴等がレーザーを放つ寸前HUDやHMD、コンソールに若干のノイズが走ったのだ

 

「ナイスだキース!全機聞いたな?HUDとHMDのノイズに注意しろ」

 

《タマには役に立つじゃないか》

 

《タマには余計だ》

 

「グレン、聞こえるか?」

 

アンタレスが無線でハートリーに呼び掛ける、だが応答はない

 

(電波妨害....か?)

 

 

「クソッ!完全に無視されてる!」

 

バルクホルンは何度か無線で呼び掛けたが、全く相手にされなかった。

ネウロイの攻撃はアンタレス隊と名乗る所属不明機4機に集中している

 

「一体何者なの?」

 

「わからない、敵ではなさそうだ」

 

「見たところジェットみたいだけど」

 

「ジェットエンジンはカールスラントでまだ研究開発中のハズだ」

 

「えぇ、確かにそうよ」

 

「ならあれは一体....」

 

「とにかく、今は彼らに任せて一時離脱しましょう!」

 

 

 

「発射!」

 

アンタレスは下方からGSh-30-1機関砲を叩き込む、1~2秒の射撃で約60発の30mm弾を放ち全弾が命中し巨大航空機の表面をえぐりとる。

しかし、数秒後には命中箇所は何事も無かったかの様に元通りに再生してしまうのだ

 

《再生するなんて聞いてねぇぞ》

 

「だな」

 

アンタレスは敵の弱点を探った、そして....

 

「アレク、高高度から急降下で仕掛けるぞ」

 

《何か策でも?》

 

「相手が再生するなら、再生する前に次を当てればいい。時間差をあけてミサイルを叩き込めばいいんだ、奴の表面から熱源まで約20m、まずお前から先に攻撃して後に俺が続く。先攻は任せたぜ」

 

《かわった》

 

アンタレスとアレクセイら操縦桿を引き急上昇に入った、そして数十秒後には高度14000mに到達した

 

『14205m』

 

「高度14000、こんなところか」

 

HMDの表示をみてアンタレスが呟く

 

「行くぞ!」

 

《Да》

 

アンタレスとアレクセイが同時に操縦桿とスロットルを前に倒す、二機のSu-35が急降下に入る

 

『1213km/h』

 

『2178km/h』

 

「もう少し」

 

速度計の数字がどんどん数を増していく、バックアップ用に取り付けられたアナログ式の速度計も、針が目にも止まらぬ早さでグルグル回転していく

 

『3054km/h』

 

ビィィ!ビィィ!ビィィ!

 

『предупреждение! Помедленнее!(警告! 速度落とせ!)』

 

コックピットに警報が鳴り響き、HMDの速度超過の表示が投影されると共に警告音声が鳴り響いた。機体中からガタガタと振動が発生する。

 

《おい。機体がバラバラになるぞ?》

 

「もう少しだ……!」

 

《ピィィィィィ!》

 

目標までの距離が2000を切ったとき、HMDに表示されたコンテナが赤色に変わり、ロックオンを知らせる警報が鳴り出す。機体のレーダーが目標を捕捉したのだ。

アンタレスは待ってましたと言わんばかりにアレクセイに向けて叫ぶ

 

「今だ、撃て!」

 

《Fox3!》

 

アレクセイがアクティブレーダー誘導のR-77ミサイルを短距離・直撃モードにて発射する。マッハ3の速度域で赤外線誘導のR-73では空気との摩擦熱で誘導装置が作動しないからだ。放たれたミサイルは急降下による加速とミサイル自身の推進力、重力の三つの要素が加わり、R-77ミサイルの出せる最大速度マッハ4.5という目にも止まらぬ猛スピードで大型ネウロイめがけて逆落としに突っ込んでいった。

 

 途中、驚くことにR-77は何機かの小型ネウロイを直撃したが、まるで紙のように容易く貫通していき、ミサイルの通過した所を軸に半径10m以内にいたネウロイは衝撃波によりバランスを崩し空中分解した。そしてミサイルは吸い込まれるかのように大型ネウロイに命中した。しかし、ミサイルはネウロイの外殻を引き剥がしたのみで、コアまで到達することはなかった。

 

「食らいやがれ!」

 

 アンタレスはアレクセイの放ったミサイルが直撃した部分に向けてR-77ミサイルを叩き込む、再生を開始した部分めがけて放たれたミサイルは見事に命中し、ネウロイのコアのあるモジュールに巨大な破口を作り出した。多面体で成形されたコアが姿を露出する。

 

「あれか....」

 

 アンタレスはあれがネウロイの動力源だと確信し、出過ぎた速度を落とすためエアブレーキを展開、スロットルを引を引いた。アンタレスは機体を巧みに操作し、バランスを崩さず且つレティクルにコアを捉え続けた。

 レティクルが目標と重なった瞬間、アンタレスは操縦桿のトリガーを指の力いっぱいに引いた。毎分1800発を発射するGSh-30-1機関砲が轟音を響かせ、30mmの弾丸を弾き出す。

 栄光弾、炸裂弾、徹甲弾の最高級ブレンドの弾丸がネウロイを貫いた。ネウロイのコアは、高い運動エネルギーを持った30mm弾の直撃に耐えられるわけもなく破壊され、エネルギー源を喪失、光のチリとなった。

「うぉおおっ!?!」

 アンタレスは目の前でチリになって消えていくネウロイに一瞬戸惑ったが、チリの中を通過した直後、紺碧の壁が目の前に広がっているのを目にしハッと我に帰ると、操縦桿を目一杯引いた。

 コブラ機動の要領で機首を引き起こし、水面スレスレでなんとか墜落を回避した。

 

「危っぶねぇ〜〜……!」

 

《隊長無事っスか?!》

 

「おう……なんとか」

 

 無線からキースの無線に答えたアンタレスは、未だチリが降り続ける空を見上げた。

 

《消えちまった....》

 

 先程までうじゃうじゃ居た小型ネウロイも大型の破壊と同時に分解していった

 

《とりあえず、任務完了だな》

 

「あぁ……」

 

全員が戦闘の終了により油断しきっていた。と、次の瞬間

 

ピッピッピッピッピッピッ!

 

《な、ミサイルシーカー波!? ロックオンされたぞ!?》

 

 突如アンタレス3のコックピットにロックオンされたことを示す警報が鳴り響いた、レーダー画面が示す方向を見るとミサイルが見えた。ミサイルは真っ直ぐアンタレス3に向かっていく

 

「キース!避けろ!」

 

《おいマジかよ!?》

 

キースは操縦桿を倒すが間に合わない。しかし、その直後

 

「ぐわぁっ!」

 

ミサイルはキースではなくアンタレスに命中した。

キースの機体に当たる直前、アンタレスがキースとミサイルの間に割り込みキースをかばったのだ。

ミサイルはアンタレスの左エンジンを下からえぐるかのように直撃。エンジンノズルが飛散し、左水平尾翼が変形した。しかし幸運なことにミサイルは不発だった。アンタレスはなんとかバランスを保ち飛び続ける。

 

《左のエンジンが燃えてるぞ》

 

「んな事ぁわかってる!」

 

 幸い操縦系統に目立った損傷はなく右のエンジンが生きていたため辛うじて操縦は可能だった。

 

《一体何処から....》

 

 アレクセイがミサイルの発射元を探す、すると太陽の方向に航空機を発見した

 

《あれか!》

 

《まだ残ってたのか....》

 

 謎の航空機は旋回し離脱を図る

 

《アンタレス4、頼んだ》

 

 アキラは航空機に対しミサイルを発射、撃墜した

 

《くたばれクソッタレ!》

 

 とキースが怒鳴る。炎に包まれ落下する航空機を見るアンタレスは、その機体に見覚えがあった

 

「あれは...."利剣"か?」

 

アンタレスは疑問形でつぶやく

 

《大丈夫か?》

 

「なんとかな」

 

アキラがアンタレスの横につき問いかける

アンタレスの機体の左エンジンは脱落寸前だった。アンタレスは左エンジンを止めて燃料も遮断している、だが漏れているのか遮断機が損傷しているのか炎と黒煙を吐き続けている。消火装置も作動しない。

飛行しているのがやっとの状態だった

 

「少しマズイ....」

 

《どうした?》

 

「燃料が底をつきそうだ」

 

アンタレスは燃料計をみるとあと20マイルも持たない量しか残っていなかった。おまけにどんどん減っている。アンタレスは左エンジンへの燃料アクセスを遮断している。しかし減量速度は治らない。

 

「だめだ。完全に漏れてる」

 

《滑走路だ!》

 

 直後にキースが叫ぶ、水平線の向こうを見ると確かに滑走路をらしきものが見えた。余談ではあるが、キースはM42飛行中隊で一番目が良いのだ

 

《(こんなところに基地? 太平洋のハズだぞ....)》

 

 アレクセイは疑問を持った、太平洋のど真ん中に居たはずなのに気がつけば島ではない巨大な陸地、そして巨大な基地があるのだ

 

「お前達の基地か?!」

 

アンタレスは無線で少女達に問いかける

 

《そうよ》

 

「悪いが降りさせてくれ! もう持ちそうにない!」

 

《その状態では危険です!許可できません!》

 

アンタレスは恐らくこう思っただろう『こんなときに危ないもクソもあるか!』と

 

「チィッ...」

 

アンタレスは少し考えたあと再び無線で呼び掛ける

 

「あー、あー、よく聞こえねぇな。もい一度言ってくれ~(棒読み)」

 

《なに?》

 

アンタレスは滑走路へと進路をとった、キース達も後に続く

 

《おい!何をする気だ!》

 

バルクホルンがアンタレスを止めようとするが巡航速度が700Km/h以上の機体に追い付くのは容易ではない、どんどん離されていく

 

《今すぐ進路を変更しなさい!さもないと撃墜します!》

 

ミーナがアンタレスに対して警告する

 

「気が散るから黙ってろ!」

 

アンタレスはギアを降ろしできる限り減速する、機体は小刻みに揺れ始め失速寸前。コックピット中にありとあらゆる警告が鳴り響き、段々と滑走路が近づいてくる

 

「タッチダウン!」

 

メインギアが地面に擦り付けられる、アンタレスは制動傘を展開しさらに減速する。しかし

 

「クソッ!」

 

ミサイルの直撃はギアにまで影響していた、左のメインランディングギアは根元から折れ機体が勢い良く地面に叩きつけられる

 

「うあぁぁぁぁ!」

 

《隊長!》

 

機体はグルグルと回転しながら滑走路を進み続ける、脱出しようとするが遠心力で装置に手が届かない。アンタレスは機体が無事止まるのを祈るしかなかった。すると

 

「お前らそこ退け!!」

 

 滑り続ける機体の目と鼻の先に、作業員と思われる男性二人が立っていた。回転し続ける機内から二人に気付いたアンタレスは、ドラッグシュートを展開した。

 放出されたドラッグシュートは、空気抵抗を生み出し、滑り続ける機体の進路を僅かにだが変え、作業員の真横を通過した。

 

「畜生! 止まれぇぇぇぇ!」

 

アンタレスが叫ぶ、すると……

 

「と....止まったぁ~....」

 

機体は接地位置から300m程進んだところでようやく停止した、そこは滑走路と直結した格納庫らしき建物の中だった

 

《無事か?》

 

「あぁ、何とかな」

 

《状態は?》

 

「俺は大丈夫だぜぇ」

 

幸いアンタレスは無傷だった

 

「ただ....」

 

《なんだ?》

 

「怖~い顔したおっさん達に囲まれてる」

 

機体の回りには銃を構えてアンタレスを睨み付ける大勢の兵士が居た

 

 




         __次回予告__
巨大航空機を破壊した直後に現れた謎の不明機によって攻撃を受け損傷してしまったアンタレスは、見知らぬ少女達の基地に降り立った。
しかし、そこで待ち受けていたのは.....
次回『我が名は天駆ける蠍アンタレス』
第3話
       __アンタレス拘束__  

お楽しみに!

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