PSPのゲームの中でエースコンバットX2が個人的には一番好きなゲームでした(最近全然やってないけど....)
今回はエスコンX2とスト魔女(1期後半~2期までの予定)のクロスオーバー作品です。楽しめてもらえれば幸いです
太平洋、北緯28度13分 西経177度22分
ミッドウェー島
「ずいぶん霧が濃いな」
「そうですね」
ミッドウェー基地のビル屋上にある喫煙スペースでアンタレス隊一番機パイロットとその担当オペレーターであるグレアム・ハートリーは昼飯後の休憩時間を過ごしていた。
辺りはこの時季には珍しく霧がたちこめている
「オルカは大丈夫でしょうか?」
「まぁ今回は護衛つきだからな、余程のことがない限り大丈夫だろ」
「ですが数日前、中国空母"河北"を含む艦隊が太平洋を航行しているのが目撃されています」
ヴァラヒア・ゴールデンアクス事件から一年近く経った現在、被害を受けた国々は復興が進み平穏を取り戻しつつあった。
しかし、そのどさくさに紛れて中国は南シナ海や太平洋へ進出。自衛隊や米軍とにらみ合いを続けていた。それはMS社も例外ではなく、実際戦闘寸前までの事態になった事もあった。
「なぁに、奴等もバカじゃない。一年前の戦いを見たら下手に喧嘩を売っては来ないだろう」
そう言いながらアンタレスは日本製の自販機のボタンを押す、選んだジュースが落ちてくると同時に自販機の表示番がピピピッと電子音をだし数字が並んでいく。
『"7 7 7"大当り!』デデーン!
「おッ!ラッキー」
数字が並び、日本語で当たりの表示がでる。すると飲み物の選択ボタンが再び光りだし、アンタレスは先程とは別のジュースを選択しボタンを押す、そのジュースはグレアムがよく飲んでいるジュースだった
ガタン
「飲むか?」
「あ、頂きます」
「ま、所詮は欠陥空母買ってコピーするような国だ」
アンタレスは先程買ったジュースを一口飲み込み言った
ボオォォォォ
「来たらしいな」
「無事なようですね」
「あぁ...」
アンタレスは辺りを見回した、そしてあることに気がつく
「さっきより霧濃くなってねぇか?」
「た、確かに....」
グレアムが回りを見渡すと20m先が見えないほどの霧に包まれていた
「気味が悪いな、戻ろう」
「はい」
二人は外階段を降りて建物内に戻った
「やけに騒がしいですね」
本部棟三階にあるオフィスは異様に騒がしかった、普段冷静な担当オペレーター達も同じだ
「ハザワさん、何かあったんですか?」
ハートリーが近くにいたハザワ伍長に今の状況について問いかける。彼女も何枚もの書類を抱えて慌てているようだった
「本社との連絡が急に途絶えたのよ、おまけにインターネットや衛星との回線まで使えなくなったわ。もう何が何だか」
「アンタレス」
「おっちゃん」
「バーフォード中佐!」
直後に基地司令兼飛行隊司令のバーフォードがアンタレスを呼び止めた
「直ちに部隊をブリーフィング室に集めてくれ、私もすぐいくが恐らく皆混乱しているだろう。落ち着かせてくれ」
「わかった」
二人は直ぐに飛行隊やオペレーター達をブリーフィングルームに集めた
――本部棟半地下1階ブリーフィングルーム――
「隊長」
「アレク、状況は?」
アンタレス1はアンタレス2ことTACネーム『アレクセイ』に聞いた
「さっぱりだ、インターネットが止まったと思ったら次は衛星電話、携帯電話は圏外でGPSは使用不能、終いにはこれだ」
「ん?」
アレクセイはポケットからコンパスを取り出した。パイロットは自機の航法装置が故障したときのためにコンパス等を持ち歩いている。しかし、アレクセイの出したコンパスは針がクルクルと回転していた
「訳が分からない」
「そうか....」
アンタレスは恐る恐るポケットから自分のコンパスを取り出した。やはりクルクルと針が回転していた
「とにかく、コイツらを一旦黙らせるか....」
ブリーフィングルームには担当オペレーターやパイロット達が30人近く居た。皆状況が把握できず落ち着かない様子だった
「全員聞け!バーフォードから説明があるハズだ、全員混乱するのは無理もないが少し落ち着け」
アンタレスの言葉を聞きブリーフィングルームが静まりかえる
「皆揃ってるな?」
直後にバーフォードがブリーフィングルームに入ってた、アンタレスが敬礼をすると皆もそれに続いた
「楽にしてくれ」
そう言うとバーフォードはホワイトボードにミッドウェー島の地図を張り付けた
「全員知っての通り、先程から基地内の全ての電子機器が不具合を示した。今から約20分前だ」
バーフォードは時計を指差し状況を説明した
「EMPか?」
「オルカが入港した時間だな」
「オルカが怪しい!オルカを調べるべきだ!」
パイロット達がオルカ船団を疑う、しかし....
「既にやっている。が、今のところオルカ各艦から不審な妨害電波や電磁パルス等は発せられていない」
バーフォードは冷静な口調で否定する
「電磁パルスじゃないならEMPの可能性は無しか」
「ならこの霧か?」
アンタレスはブリーフィングルームの脇にある換気用の小窓をみて言った
「私もそれを考えた、実際霧が出始めてからレーダーが全く機能しなくなった」
そう言うとバーフォードはホワイトボードに貼られたミッドウェー島の地図にペンでばつ印をつけた
「スピット島のアショア、サンド島の対水上レーダー....」
「さらにはミッドウェー北西10Kmにある米海軍の海上配備Xバンドレーダーも....」
ブリーフィングルームにしばしの沈黙が広がる、その沈黙を破ったのはアンタレスだった
「この霧じゃあ、離陸は出来ても着陸がなぁ....」
アンタレスは小窓の外を見ながら呟いた
「とにかく、今ここにいる者全員はスクランブル配置についてくれ。今のところ我々は警戒配置だが、米軍も空自も緊急配備がかけられている状態だ。アンタレス及びその他の部隊は格納庫の待機室で待機」
『了解!』
直後にアンタレス隊とバーフォードを除く全員がブリーフィングルームを後にした
「どうしたんです隊長?俺たちも行きましょうや」
座ったままのアンタレスを見てアンタレス隊三番機のキースが問いかけた。アンタレスはしばらく黙った後に答えた
「胸騒ぎ、嫌な予感がする....いや、何か起こるかもしれねぇな」
「え?」
「いや、何でもない」
アンタレスはそう言うと席を立った
「お前とうとう頭イカれたか?「イカれてねぇよ!だいたい隊長なのに"お前"呼ばわりは何だ?!」」
「別に」
そんなアンタレスとアレクセイのいつもの言い争いを見てバーフォードが口を開く
「さっさと行け」
アンタレスの予感は後々的中する。自分等の回りでとてつもない怪現象が起こっていることをアンタレスや島の者達はまだ知るよしもなかった....
次回予告
濃霧に原因不明の電子機器異常、そんな矢先、ミッドウェーにスクランブル警報が鳴り響く
次回『我が名は天駆ける蠍アンタレス』
第1話
__謎の敵__
お楽しみに!