フランケンシュタインの幻想入り   作:ピークA

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フランケンシュタインはフランケンシュタインでもfateのフランちゃんです

ノリと勢いだけでやった

後悔と反省しかない



1話

彼女は炎の中にいた。

 

彼女にとって慕うべき人間が、創造主が死んだのだ。

 

彼女の行動の結果死んでしまったのだ。

 

だから彼女は薪の山を積み上げ、業火で自身を焼き尽くした。

 

彼女は自身の身体が焼失していくのを感じた。

 

そして数時間後、彼女の身体は完全に焼失した。

 

 

 

数百年後 幻想郷 無縁塚

 

ネズミの耳と尾がある少女、ナズーリンは無縁塚を歩いていた。

 

理由は彼女の上司、寅丸星がまた宝塔を無くしたからだ。

 

「はぁ、まったくご主人は。毘沙門天様から貰った大切な物をどうして何度も無くすんだろうね・・・」

 

まあご主人の無くし癖は今に始まったことではないが、いい加減なんとかしてもらいたいものだ、とナズーリンは思う。

 

そんな彼女の後ろから声をかける者がいた。

 

「おや、ナズーリンじゃないか」

 

聞き覚えのある声だった。

 

彼女はそちらを振り返った。

 

「なんだ、店主じゃないか。店をあけてもいいのかい」

 

そこにいたのは背が高めの白髪の青年だった。名前は森近霖之。幻想郷で香霖堂という店を営む男だった。

 

「ああ、誰も来ないだろうからね」

 

「それは店としてどうなんだ?」

 

彼女は呆れながら言った。

 

「大体、なんで君がここにいるんだい。いくら店に客が来ないといっても、君は店主なんだし店にいるべきだ。それに無縁塚はとても危険な場所なんだ。君のような戦闘ができない者が近づくのはよしたほうがいい。」

 

「それはその通りなんだが、無縁塚が最も外界の物を手に入れ易いんだ。」

 

「それはそうかもしれないが・・・」

 

幻想郷は二種類の結界に守られている。一つは「幻と実体の境界」これは結界内部を幻、結界外部を実体に分け、結界の外側で忘れられた物や生き物が結界の内側に流れこむようになるという結界になっている。

 

そしてもう一つ「博麗大結界」これは「思いを通さない壁」として機能し、同時に「思い」の強さに影響されやすい結界である。強力な結界であるのだが、時折結界の外側から外部の物や人などが流れ来んだりする。この現象を「幻想入り」などと呼んでいる。

 

そしてこの無縁塚はその結界がとても不安定で幻想入りした物や人が集まり易いのだ。さらに冥界に繋がり易いかなり危険な場所なのだ。

 

ふと、霖之助が別の場所に目を向けた

 

「どうやら、ここにいるのは僕達だけではないらしい」

 

彼は珍しい物を見つけたかのように言った。

 

ナズーリンもそちらに目を向けた。

 

「おや、本当だ」

 

彼女も驚いていた。

 

「あら、二人してこちらを見て・・・何のようかしら?」

 

そこにいたのは金髪で知的な雰囲気を漂わせる少女、アリス・マーガトロイドだった。

 

「いや、別にようがあるわけじゃないさ。ただ君がここにいるのが珍しいと思ってね」

 

霖之助は笑いながら言った。

 

「別に・・・ただ魔術の触媒を探していたのよ」

 

「君の魔術の触媒・・・というと人形かな?」

 

「違うわよ」

 

はぁ、とアリスはため息をついた。

 

「ごめんごめん、軽い冗談だよ」

 

ははは、と笑いながら彼は言った。

 

「ところで、何故貴方達がここにいるのかしら?」

 

アリスが聞いた

 

「僕は店の新商品を入荷するために」

 

「私はご主人の宝塔を探しに」

 

「なるほど」

 

アリスは納得したらしい。

 

そしてナズーリンの方を向き、

 

「貴女も大変ね・・・」

 

と、憐れみの目を向けた。

 

「やめてくれ。というか同情するならご主人が宝塔を無くすのをなんとかする方法を一緒に考えるくれ」

 

「そうねぇ・・・」

 

アリスは10秒ほど考え、

 

「というか、宝塔ぐらいならあなたのご主人の『財宝が集まる程度の能力』でなんとかなるんじゃない?」

 

「前にそれをやって聖にこっぴどく叱られたからやりたくないらしい」

 

と、ナズーリンは言った。

 

数十分後

 

「やっと見つけた・・・!」

 

ナズーリンはようやく宝塔を見つける事ができた。

 

「おお、見つけたのかい」

 

霖之助はその辺りから見つけた外界の物を集めていた。

 

その中には初期の携帯電話やら壺やぬいぐるみなどがあった。

 

何故か二宮金次郎像が動き出したときには驚いたが、アリスが粉々に粉砕してくれたので誰も怪我しなかった。

 

「あら・・・?あれはなにかしら?」

 

アリスはいくつかあるガラクタの山のひとつを凝視していた。

 

「おや、どうしたんだい?」

 

「そっちになにかあるのかい?」

 

ナズーリンと霖之助がアリスの見ている方を見た。

 

そこにはボロついた花嫁の姿をした少女のような人物がガラクタの山に埋もれていた。

 

アリス達は彼女に近づき、埋もれている人物を引っ張り出した。

 

「これは死体か・・・?」

 

ナズーリンは言った

 

「いや、それにしては腐食が全く進んでない。服の状態からして少なくとも数年前にはここにいた・・・いやここに来たというべきかな」

 

霖之助は推測する。

 

「これはいったい何・・・?」

 

アリスは頭部を見る。

 

その頭部には明らか人工物とわかる角や電極等が付いていた

 

「彼女は人工的に作られたのか?」

 

ナズーリンはアリスに問いかけた

 

「恐らくはね。詳しく調べたいから私の家に運んでくれないかしら」

 

「分かった」

 

「いいだろう」

 

ナズーリンと霖之助はそう返事したあとその死体のような少女を霖之助が持ってきていたリヤカーに運んだ。その際二人は彼女の近くにあった棍棒(メイス)も一緒に運んだ。

 

二時間後 アリス邸

 

「「で、何か分かったのか?」」

 

霖之助とナズーリンはアリスに聞いた。

 

するとアリスは

 

「ええ、いろいろとね」

 

と言った。

 

「まず、彼女は人間じゃない、繋ぎ合わされた死体よ(・・・・・・・・・・)

 

「「何?」」

 

「より正確にいうなら繋ぎ合わせた死体に電撃を流し擬似的な生命を与えられた人造人間」

 

「それってまさか・・・」

 

「そうよ霖之助、私の推測が正しいならこの子はフランケンシュタイン。いえ、ヴィクター・フランケンシュタインという人間が造りだしてしまった、名も無き怪物」

 

「しかし待ってくれアリス。確かその怪物はかなりの大男だったんじゃないか?」

 

「私だって分からないわ。だけど例外はどこにでも存在する。伝承で男と伝えられていても、実際は女だったとかあったりするんじゃないかしら」

 

「なるほど」

 

「それとこの子はかなり完成度が高い。決定的に欠けている部分があるけど、それを直すと他のところに影響がでかねない」

 

「「欠けている?」」

 

「ええ、この子感情の線がちゃんと繋がってない。涙腺の線もきちんと繋がってない。だから哀しみの感情が表現できない」

 

「そこまで分かるのか」

 

「ええ、一応人形師だからね。まあ私より上の人形師や魔術師ならその欠けている部分をきちんと修正できるかもだけど、少なくとも私には無理。」

 

「「なるほど」」

 

そこで霖之助は思い出した。

 

「そういえば、彼女の近くにあった棍棒のようなものは何だってんだ?」

 

「あの棍棒は彼女の心臓よ」

 

「「え?」」

 

「ああ、ごめんなさい。棍棒の先の球体が彼女の心臓にあたるものよ。多分心臓そのものを改造したものだと思うわ」

 

そうして、アリスはいったん間を置いてから

 

「この棍棒もかなり特殊なものでね」

 

と、アリスは指先に魔力で作った弾丸を棍棒の先端に発射した。すると先端の球体に当たる前に弾丸が電気に変化し球体から放たれた電撃によって相殺された。

 

「こんな風に微弱な魔弾であれば自動で相殺してしまうの。しかも相殺して飛散した魔力は球体に吸収される。言ってしまえば彼女の心臓は第二種永久機関としての働きがあるの」

 

「永久機関か・・・実に興味深いな・・・」

 

霖之助は彼女の心臓を見つめながら言った

 

ふとナズーリンは彼女の顔を見た

 

そして先ほどまで閉じられていたはずの彼女の瞳と目があった

 

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

ナズーリンは呆けたような声を出し

 

「む?」

 

霖之助は何が起こった理解して

 

「は?」

 

アリスは何故か起動した彼女を見て驚き

 

「・・・ウゥ?」

 

怪物はなにが起きたかわからないといった風に首をかしげた




初投稿なので色々拙い部分があると思いますが大目に見て下さると助かります


この作品におけるアリスの人形師としての実力は傷んだ赤色さんより下で、Fate/strange fakeにでてくるランガルさんより上ぐらいです。 やろうと思えばアリスと同じ姿をした人形を作れるけど「自分なんて二人もいらない、維持するの面倒くさいし」と言ってしまうのがこの作品のアリスです

基本的に幻想郷には明確な敵対者がいないのでほのぼのとした話にはずで・・・あれなんか赤色のトランク持った赤髪の人がこっちに向かって歩いてきて・・・なっ、何だあの化けぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!

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