闇に潜む影   作:クリュネル

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前回の投稿から数日中に出す予定だったんですが...

リアルで予定がぎっしり詰まっていて、
少し間隔が空いてしまいました...

でも、落ち着いたので書いていきま~す

ではでは、ハクダンジム戦編書いていきまっしょい!


小さき身体、大きな勇気

キノ side

 

 

「良いと思ったときに思いっきりぶちかませ」

 

セツナがそう言った瞬間、

 

空気が、気配が変わる。

 

少しだけ、寒くなった気がする

温厚だった気配が獰猛なそれに変わる。

 

そして、眼が鋭く光を放つ。

 

 

これは昨晩、フレア団のカグアと言う男と

戦った時のあれには及ばないものの、

纏う雰囲気は同じだった。

 

つい、戦いの途中なのに相手から目を離してしまう。

しかし、幸運にも相手もなにかを感じ取ったらしく

攻撃をしては来なかった。

 

「セツナ君、今度はどんなことで私を驚かせてくれるのかな?

 おっと、睨まないでくれないか?

 怖いだろうその顔はさ」

 

ビオラが挑発をする様に笑いながら言う。

それには、一切の反応を示さず

ただ一点を凝視している。

それは、獲物を仕留める獣のような眼だ。

 

(怖いって感じるけど、それより...

 私には哀しそうに見える...)

 

そう、セツナのこの本気のバトルの姿は

あまりにも儚く哀しそうなのだ。

 

まだ、二回しか見ていないが

それが判るくらいセツナを短い時間で

たくさん見ていたのだろうか...

 

でも今はそんなことを気にしている場合ではない。

意識をバトルへ戻し大きく息をはいた。

 

「頼まれたのならしっかりと責務は

 果たしてこないとね...

 あの子にもちゃんと繋げてあげないと...」

 

思考を巡らし、バトル全体を客観的に見る。

 

アメタマはほとんどダメージを受けておらず余裕そうだ。

対して自分は治癒したものの疲労が少し残っている。

 

状況を整理し、手順を組み立てる

 

「よし、行こう!」

 

ゆっくりと一歩踏み出し

目を閉じ、意識を集中させた。

 

(セツナ、見ててね私の本気を)

 

再び戦いが幕を上げる。

 

 

キノ side out

 

セツナ side  out

 

 

キノが相手に向かって歩みを進める。

何を始めるのだろうか

 

しかし、意識を切り替えたのだろう

迷いが感じられない。

 

ビオラのアメタマはキノを警戒してか、

少しずつ後退している。

 

「アメタマ、[バブルこうせん]!」

 

さっきの[あわ]と比べて威力も増している。

[あわ]の上位互換の技なのだろう。

 

「キノ、二秒後に左斜め前方」

 

技の発動前だが、軌道が見える。

 

身体が少し熱くなる。

右目に痺れが出てくる。

視界が少し欠ける。

 

キノは指示を聞いてその方向に飛び出す。

その直後、[バブルこうせん]が

キノの走っていた空間を過ぎる。

 

ビオラは技のタイミングを完全に見破られたのが

衝撃だったのか少しばかり指示が止まる。

そんな隙をみすみす逃してしまうキノではなく

キノが一瞬で距離を詰めて蹴りを放つ。

 

キノの身のこなしは荒削りな所があるが、

しなやかで尚且つ綺麗だ。

 

 

 

キノはあまり、遠距離戦が得意ではなく

精密な技の発射が出来ず、

至近距離じゃないと命中率がかなり低い。

 

しかし、それを補える程の格闘術の基礎が

身に付いていた。

 

キノは生まれたときから異常な存在で、

肉親には見放され自分で自分を守るしか選択肢はなかった。

 

だから森のポケモン達の動きを

見よう見まねでなんとか覚えたらしい。

 

 

 

普通ポケモンが肉弾戦を仕掛ける事は余り無く

その分対応も遅れるのだろう、

ビオラの表情に漸く焦りが見え始める。

 

俺はおもむろに口を開き、

 

「キノ、もうやったよな?」

 

ニヤリと笑う。

 

「はぁ...もうとっくの昔に終わってるよ」

 

キノもそれに溜め息を吐きながら答える。

 

すると、アメタマが揺らめく。

 

「なっ!?アメタマ!?どうしたの!?」

 

苦しそうで顔を歪めている。

 

 

 

 

そう、毒だ。

 

実は初めの«フラッシュ·バン»の時の攻防の際に、

相手に当てるはずの<どくどく>を

<むしのさざめき>の衝撃波により、自身に降り注いでしまったため

[もうどく]に侵されてしまった。

 

それが鍵となる。

キノ、もといブラッキー種は特性が<シンクロ>であり

<シンクロ>は相手に自分の状態異常をその名の通りシンクロし

相手に[もうどく]を付与したのだ。

 

 

 

アメタマはもう弱りきっており強攻撃を叩き込めば

一発で落とせる。

 

「キノ、まだ行くぞ?」

 

キノもかなり辛そうだ。

<シンクロ>は相手にも付与するだけで、

自分の状態異常は治らない。

 

「まだまだ...余裕だよ...」

 

「じゃあ、ぶちかませ [白夜の解き放たれた慈雨{ルナ·インパクト}]!」

 

キノの右手にエネルギーが収束し光を放つ。

それは正に暗闇を照らす月光の如き輝き

 

それを立ち上がろうとしているアメタマ含め、周囲に

[解放{バースト}]する。

 

視界を白く染めるさっきの«フラッシュ·バン»

とは比べ物にならない位の圧倒的光量

アメタマを容易く飲み込みフィールドを削り取る。

 

光が収まるとフィールドには、

目を回して倒れるアメタマと、くらりと崩れ落ちたキノの姿が

 

キノが倒れると同時に左目が焼けるように熱くなる。

視界がボヤけ頭が冷えていき疲労感が体を駆け巡る。

 

「戻って来て...キノ」

 

ボールを掲げキノを戻す。

 

「お疲れ、有り難うね」

 

ボールが微かにカタリと揺れた。

 

「あ~アメタマがやられちゃったか~

 つくずく君は面白いよ!

 さて、次いってみようか?」

 

「そうですね...じゃあ少しだけ待っててください

 友達を連れてくるので、アイツを必ず」

 

苦笑し踵を返して、入り口から走り去る。

ジムから出て広場に立ち

 

「ヤヤコマ、決まったかい?」

 

返事はない、姿も見えない

ボールも消えている。

 

「はは、は、まぁ、僕みたいなちんちくりんの下では戦いたくないのかもね...」

 

ボールを拾い上げ、ジムに戻る

降参するために。

 

居ないのはヤヤコマの意思だからしょうがないのだが、

少し残念かなぁ...

 

扉を潜り、

 

「ビオラさん、すみま...」

 

そこまで言いかける。

 

 

 

 

 

バトルフィールドに凛として立つ小さな影、

ヤヤコマだった。

 

「何だ、居んじゃん...」

 

ヤヤコマは小さな羽を広げ差し出した

僕の指に止まる。

 

「本当に良いの?」

 

素っ気なく飛んで臨戦態勢に入るヤヤコマ、

そこで

 

「その子、君が居なくなった途端そこの茂みから

 出てきてたんだよね、ま、早速再開しようか

 

 

 

ビビヨン」

 

そうビオラは宣言しボールを投げる。

 

華麗に燐粉を散らすビビヨン

それに対峙するは、

仄かな、でも確かな熱を内包する小さな不死鳥、ヤヤコマ

 

戦いは佳境に入る。

 

 

セツナ side out




長いな...
大変だこんなに書くのは、
今回で終わらないし...

バトルシーンがある回はかなり長くなる可能性高いな~
ついでに、書いてから気づいた
サブタイ、スバルのCMのフレーズに似てる。

あ、今回からこの後書きで技紹介や人物紹介をしていきますよ!
今回はキノです!

キノ (ブラッキー種)

特性 シンクロ 性格 意地っ張り

技 どくどく つきのひかり あくのはどう みがわり

体に月の力を蓄積させる事ができて、応用が利く。
接近戦が得意で体術を駆使して戦うのが基本戦法
意外と家事は得意。

<フラッシュ·バン>
月の力を光として[解放{バースト}]し視界を潰す技

[治癒]
月の力を体の傷ついた所に集中しその名の通り治癒する。

[白夜の解き放たれた慈雨{ルナ·インパクト}]
月の力を収束し、それを叩き込む力業
[解放{バースト}]することで周囲に無変換の力を解き放つ
範囲技にも応用可能

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